信越skierなのに、初の志賀高原

自称「信越スキーヤー」なのに、志賀高原で滑ったことはなかった。野沢温泉、白馬八方尾根や栂池など日本を代表するスキー場は複数回経験済みだが、志賀高原はなぜか敷居が高かった。

1月3日 移動日
快晴の東京をゆっくり出発。今回は女房連れで志賀高原スキー場へ向かう。横風が強くて、走りづらい。
善光寺平に出たら雪が舞ってきた。信州中野インターでは降りず、一つ手前の須坂長野東で降りて、のんびり中野方面に向かう。今日は宿に入るだけだ。
中野市街から本格的に雪が降ってきて、湯田中を通過したら視界も悪くなってきた。降った雪にタイヤが取られてかなり緊張する運転になった。なんだか安比高原スキー場周辺の道路と変わらない。屈曲路な分、さらに手強い運転になる。幸い、反対車線の帰路組の車の数もそう多くはなく、この天候で登る車も少なく、何とか15時すぎに宿に到着。蓮池バス停が目の前で、明日以降は自家用車を使わずにシャトルバスで移動ができそうだ。
それにしてもすごい吹雪。夜まで強い風と降雪があった。しかし予報によると明日は風は弱まりそうだ。

1月4日 志賀高原スキー場 奥志賀高原・焼額山・中央エリア(滑走11日目)
朝になっても吹雪いている。
9時のバスで奥志賀高原へ。途中でたくさんスキーヤーが乗ってきて、激混みで汗をかいてしまった。スキートップで間違って降車ボタンを2度も押してしまうし、女房に貸したストックのバスケットが暖房の熱風で溶けてしまうし、散々な目にあいながら1時間近くかかって奥志賀高原にたどり着いた。
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このあとさらに混んでくる

高額なリフト券(3日券+食事券)を購入し、まず奥志賀のペアリフトに乗る。初めてなので知らなかったが、志賀高原のリフトは1本を除いてオープンエアのリフトで、フードクワッドがほとんどない。吹雪いていると辛い。ゴンドラはゴンドラでファット板が入らず、一本ずつ入れなければ収まらない。そして各スキー場の連絡があまり良くない。エキスパートコースを滑って同じリフトを登り、ゴンドラ沿いのコースを滑ってゴンドラに乗り、降り場から一本寒いペアリフトに乗ってすぐに焼額山のゲレンデかと思いきや、連絡通路をかなり歩かされた。焼額山はプリンス系のゲレンデだが、他のプリンス系ゲレンデと同じくゴンドラ中心でリフトは軽視されている(2000年の資料を見ると9本あったリフトが3本に減少)。焼額山は滑る人が多いので、早々に一ノ瀬ダイヤモンドスキー場に逃れる。ここでも山の神第2リフトに乗るときに少し登らされた。ここまで滑り始めから約2時間かかっている。これから蓮池まで午後の滑りで行かれるだろうか?
一ノ瀬ダイヤモンドスキー場のボトムで昼食をとり、13時に再開。短いリフトを使って道路にかかった橋を使い一ノ瀬ファミリースキー場へ移動して、乗ったクワッドリフト降り場で疲れが溜まった女房と別れ、スケーティングしながら寺小屋スキー場へ。標高が高いので、風も強く、ブッシュも出ている状況なのですぐさま東館山ゴンドラ終点と高天原ゲレンデの分岐点へ。13時55分。そういえば一ノ瀬の一枚バーンを滑り残してきた。後悔しないように滑っておこうと戻って一本滑り、高天原へ。高天原スキー場のボトムで女房と落ち合って、太鼓橋で道路を再び越えて西館山スキー場で中級斜面を滑り、女房はジャイアントから蓮池の宿に戻った。
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女房の久々のスキー

私は発哺ブナ平のクワッドに乗って東館山の可愛らしくもレトロなゴンドラに乗って、オリンピックコースを滑った。しかしつづら折れ状にコースが限定されていて脚にきた。ジャイアントのボトムまで滑り、またスケーティングと開脚登行でリフトに乗り、ジャイアントは滑らず途中から道路をくぐって蓮池スキー場へ。
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東館山ゴンドラ内部

リフト運行の残り時間も限られてきたので、蓮池スキー場、丸池スキー場、サンバレースキー場のリフトを各2回づつくらい乗って少し荒れ気味なパウダーを滑った。丸池スキー場に午後になっても結構パウダーが残っていたのが驚きだが、この小さなスキー場ではチビッコのスキー教室が盛んなので残るのだろう。ボーダーも全体的に少なめだからか、残るところには残っていている。
で、ほぼ16時に終了。一応、奥志賀高原から中央エリアまで滑りながら移動してきた。結構かかるなあ。それもリフトが低速だからだろう。志賀高原ってこんなもんか・・・
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ペアリフトが主体


1月5日 志賀高原スキー場 横手山・渋峠、熊の湯エリア(滑走12日目)
朝から宿泊しているホテルの前をたくさんのスキー場へ向かう自家用車が通り過ぎていく。ほぼ奥志賀方面ばかりだ。
我々は昨日苦労して奥志賀方面を滑ってきたので、今日は熊の湯・横手山方面へ向かう。予報は曇りだったが、天気が良くて宿泊先から北アルプスの鹿島槍・五竜が見えるので、このままいい天気ならば横手山からの景色が楽しみだ。
9時すぎのバスに乗って横手山第一リフト前(この便の終点)まで。乗り合わせた人々の多くは熊の湯スキー場で下車していった。横手山のリフトを3本乗り継いで頂上へ。展望台から眺めたら、越後三山や岩菅山から妙高、高妻、金山・天狗原(火打は白くて妙高の稜線と区別し難い)が見え、北アルプスが遮るものなくすべて見渡せた。白馬から穂高までは圧巻で、さらに南に乗鞍、御嶽、南に転じると前景に草津スキー場、その後景に八ヶ岳や南アルプス、浅間山、富士山の頂上まで見えた。この景色が見られただけでもありがたい。
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志賀の笠ケ岳

渋峠スキー場のリフトが動き始めたので、グルーミングバーンとその脇の新雪を何本か滑り、11時近くに県境のレストラン前で休憩。女房が犬と戯れようとして帽子を噛まれ、離してくれないので散々な目にあった。
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渋峠で晴れた

渋峠から再び横手山に戻って、11時台後半にパンとコーヒーの昼食。12時すぎに下山にかかった。つづら折れのコースはあまり楽しくない。途中で脇のペアリフトや、今や化石となったシングルリフトに乗ったりして動いているリフトを乗りつぶしながら、ゲレンデボトムへ滑り込み、道路を渡って熊の湯スキー場に向かった。13時を過ぎ、少しは荒れているが、まだコース脇には踏まれていない新雪が少し残っていた。もちろん動いていたリフトはすべて複数回乗り、14時台に休憩をとって、15時すぎに終了。
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なつかしのシングルリフト
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疲れ果てて珍しいベンチで横たわる

熊の湯ホテル前で15時53分のバスを待つ。横手山スキー場がガラガラだったので乗客は少ないだろうと思っていたら、すでに全ての座席は埋め尽くされていた。熊の湯から乗る人も30人近くいる。運転手から補助席をたたむようにアナウンスがあり、熊の湯から乗り込んだ我々は乗り込んでつかまり立つ。こういう時、バスの運転手の神経は相当緊張するのではないか?雪道、下り坂、満員乗車。左右のカーブや下り坂をアナウンスしながら運転するその姿勢は尊敬に値する。えらいぞ長電バス。
約20分で蓮池営業所に到着し、乗り換えの乗客を尻目にバス営業所の目の前の宿に戻る。この宿に宿泊して本当によかった。
明日は最終日で3連休の初日土曜日。女房の体がどこまで持つのか疑問なので、バスに乗らずに近所で半日滑って終了にする予定。

1月6日 志賀高原スキー場 中央エリア(滑走13日目)
志賀高原最終日。お昼すぎに終えることにして、バスを使わず歩いてジャイアントスキー場から発哺ブナ平スキー場あたりから始めて、ホテルに近い蓮池・丸池・サンバレースキー場で滑ることにする。ジャイアントスキー場の長くて急な一枚バーンも午前中ならコブもできず滑りやすい。2本滑ってから発哺ブナ平に移動し、リフト、古式ゆかしい東館山ゴンドラに乗る。ゴンドラでフランス人の男性と乗り合わせた。あちらが一方的に話すばかりだが、ニセコから移動して志賀高原に来たらしい。寺小屋スキー場とか一ノ瀬・焼額山に行くといいよと言って別れた。
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東館山ゴンドラ、近いうちになくなってしまうかも?
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善光寺平が見えてその向こうには飯縄山のすそ野が

林間コースからオリンピックコースを滑るが、2度目のオリンピックコースのつづら折れはつまらない。ブナ平の緩斜面でゆったり滑って、最後は直滑降でジャイアントのリフト乗り場までの登りを軽減する。その後は国道を潜って蓮池・丸池へ。短いリフトを何本も乗っては滑り、11時台後半にサンバレースキー場で昼食。昼食後はそこそこにして宿に戻り、お風呂に入らせてもらって3日ぶりに車を運転して帰京。

初体験の志賀高原だったが、ツアー気分でバスを利用してひとわたり滑ったのは楽しかった。これは他のスキー場では絶対に経験できない。
一方、分散したスキー場をつなぐ設備や工夫が志賀高原では十分とはいえない。必ずスキーでリフト乗り場を登ったり水平移動しないと次のスキー場に移動ができないようになっている。昔はスキー場のリフト乗り場はすべからくそうだった。しかし、これはボーダーには辛いだろうし、スキーヤーでも慣れていないと不自由だろう。ボーダーを志賀高原であまり見かけない理由もそこにあるのかもしれない(ボーダー泣かせの志賀高原、と言おう)。また、志賀高原のブランドにあぐらをかいているのか、物価は総じて高い。
古式ゆかしく、吹雪いたら寒いだけのオープンエアな低速ペアリフト(フードクワッドは志賀高原に一本しかない!)、移動の面倒さなどは昭和の遺物であるが、そこを根本的に改善しなくてはならない、とは私は思わない。こういう不親切なスキー場が日本に一つくらいあってよく、何でもかんでも利用者の便利さだけを追求するスキー場だけがいいスキー場だとは思わない。中年以上にとっては、スキーの原点に帰ることができるレトロなスノーテーマパークだ。そういう視点から見ると、志賀高原のシングルリフトに乗れたのは収穫だったし(ただし2本中下一本のみ)、稼働していないTバーリフトは是非使ってみたかった。

ところで、老舗のビッグなゲレンデで行ってないのは、蔵王温泉だ。興味が強まってきた。バックカントリーもいいが、初体験のゲレンデを滑りながら栄枯盛衰考えてみるのもいいものだ。こういうテーマでスキー場を綴っているブログ、「
追憶のゲレンデ」はすばらしい研究ブログだと思う。