福島・昭和村の王博士

奥会津の昭和村と柳津町、会津美里町の町村境に、博士山(1481m)という山がある。西側の琵琶首という集落の外れからアプローチするらしいが、下部は尾根が細く難儀しそうであまり行く気が湧かなかった。博士山の南に冬季閉鎖される国道401号線の博士峠があり、博士峠と博士山ピークの中間に1455mのピークがある。地形図では博士山から南にのびる稜線中の名無し1ピークということになるが、近隣では王博士(小博士山)と言われているらしい。尾根も博士山よりは広く、等高線の混み具合もいい感じで、博士山よりも取っつきやすそうだ。ウェブ上にある滑走記録をいくつか見て、3月末がチャンスだと思っていた。最終週の週末の天気が不安定なので、その直前の晴れ間を縫って行ってみることにした。

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道路とトラックが合致していない(赤=登り 青=滑り)

29日の朝5時30分に出発。順調に東北道を北上し、いつもの西那須野塩原インターから南会津町へ下道を走る。気温は1〜3度くらいで、もう路面に雪や氷はない。高畑スキー場へ行く時に使う352号線檜枝岐方面には行かず、会津田島方面に右折して田島の町をかすめ、舟鼻山に接近し、峠を越えて昭和村に入る。さすがに舟鼻トンネルの前後は雪が多くなる。峠道を降りきったところで国道401号線に乗り換えて山を一つ越え、小野川集落に至る。そのまま401号線を博士峠方面に向かい、トンネル工事現場を過ぎて標高850mにある冬季閉鎖ゲート前に駐車。9時過ぎ。宇都宮ナンバーの車が1台停まっていて、どうやらスキーヤーのようだ。

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除雪も済んでいる標高850mのゲート(帰路に撮影)

準備して9時45分出発。携帯の圏外なので、あらかじめ「道の駅たじま」でウェブ利用の登山届は出しておいた。ココヘリのスイッチを入れるクリップを家に置いてきたため見つからず、車の中から精密ドライバーをやっと見つけてスイッチを入れる。


尾根に乗る

最初は除雪済みの道路をスキーを担いで歩く。無理矢理雪の上をスキーで歩くよりも早そうな気がしたから。直線的な道路をたどり、沢を橋で渡ったところからシール登行を開始。つづら折れの道路をショートカットして、1138mに伸びていく尾根に取りつく。10時過ぎ。宇都宮ナンバーの方が先行者としてトレースを付けてくれていて、トレースを拝借した。尾根はあまり広くはなく、1138mの下はちょっと急になっていたので下から見て左側から巻き気味に登った。ほぼ11時。すると尾根がだんだん緩くなってきて、順調に1356mに達する。11時40分。なんだか風景が鍋倉山の山頂近くにそっくりだ。あとはゆっくりと残り100mの標高差を詰めれば王博士のピークに12時到着。北に会津盆地と磐梯山、安達太良の山並みが見え、20日の西大巓とは逆方向の眺めになる。


鍋倉山を彷彿とさせる斜面とブナ林
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山頂に着いた。細長い王博士ピークから博士山本峰方面
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これは東方面。遠くに見えるのは那須北方の山々だろうか?
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北方面に広がる会津盆地と磐梯山、安達太良山系

あまり途中で休憩を取らなかったので、12時も回ったので、パンをかじって昼食とする。家で淹れてきた紅茶をすすってパンを胃に流し込む。しばらくしたら、ゲート前に駐車した宇都宮ナンバーの方が西斜面の方からハイクアップしてきた。聞けば、博士山には行かず西斜面を1300mまで滑って登り返してきたという。まずトレースのお礼を伝えておく。こちらはこのピークから南西方向の広い尾根を1290mあたりまで滑って、1356m方向へ登り返して登ってきた尾根を滑走し、途中1200mから南に伸びる尾根を滑るつもりなので、南側の尾根を歩いたことがあるかどうか情報を頂く。幸い、かつて登りに使ったことがあるようだ。どうやら滑れそう。

ということで、宇都宮ナンバーの方よりひと足早く南西斜面に滑り込む。12時35分。広い尾根でブナ林なので快適に滑れた。昨夜少しだけ降ったようなので雪質はこの季節にしては上出来だが、午後になって片栗粉状態になり、やや重くなってきている。1300mまで滑ってシールを貼って登り返す。王博士山頂には行かず、右にトラバース気味に登って1370mあたりに出た。13時15分。シールを外して、しばらく宇都宮ナンバー氏のトレースを追うようにして滑る。登ってくる時にマークしておいた標高1200mからスキーヤーズレフトに向かい、南にのびる尾根を滑る。思ったほど急ではなく、快適に滑れた。13時30分過ぎ、道路が見えてきた(本当にスキーだとあっという間だ)ので、スキーヤーズライト方向に転進して道路脇の雪壁の上を滑るが、一か所道路の山側を切り通してある個所があって通れず、スキーを脱いで道路を歩かざるを得なかった。再び左カーブのところ(登りで尾根に登り始めたところ)から道路右脇の斜面に入り、登ってきた尾根の末端をクリア。すると宇都宮ナンバー氏と思われるトレースがあった。しばらく利用させてもらったら、登った時にシールを貼った橋で道路に降りず、その上で上手いことスノーブリッジを使って対岸に渡っていたので、橋のところでスキーを脱がずに済んだ。そのまま道路の右脇をゆるゆる滑っていったら、ゲートのところまで滑り降りることができた。14時ちょい前。

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どうしても一か所道路に降りなければならなかった(ここからは登りにも使えそう)

無事下山できた。宇都宮ナンバー氏がちょうど片づけ終わって出るところだったので少し会話を交わす。どうやら、20日の日も同じく西大巓南西尾根を滑っていたようだ。あの日の先行トレースも彼のものだったのかも?

ゆっくり方付けして、400号線に戻り、昭和村役場の方へ足を伸ばして昭和温泉・しらかば荘の温泉に立ち寄る。500円で源泉掛け流し。建物もきれいで、露天風呂もあり、午後早い時間なので独占できた。

帰りも結局同じ道をたどって19時過ぎに自宅着。首都高おりていつのもGSへ給油に行くのが面倒になって蓮田で満タンにするが、いつものところよりリッター20円も高くて失敗した。400号線の舟鼻峠中腹で砂利道を走ったので田島の南で洗車したが水洗い300円と安かった。

王博士は3月末が旬で賞味期間は短い。天気予報が芳しくないので4月上旬ならゲートも開いて楽に登れるかも?

王博士登行と滑降の動画(約3分30秒)
最近はチェストハーネスでなく、ショルダーストラップを挟むクリップマウントを使って撮影しているが、カメラが容易に回転してしまい、地面と水平に撮影できないのが悩み。今回も滑っている動画が傾いている。

王博士のトラックデータ
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