内房ストロングスタイル

久しぶりにストロングスタイルで内房を漕いでみようと思った。
ストロングスタイルとは、もともとプロレスの用語だが、カヤックでご一緒させていただいているオオタガキさんの命名で、大きなフォールディングカヤックの収納バッグを背負って公共交通機関で漕ぎに行くスタイルだ。ロールの名手Dubsideはこれを”
コマンドーカヤッキング”と名付けている。もっとも、ダブサイド氏は写真で見るとパックカートを引いているので、背負いではないようだ。私は「ストロングスタイル」の言葉が気に入っている。
しかも今回はカサラノを背負っていく。かなりの苦行。物好きのやることかも知れない。内房線各駅にある跨線橋では重さにヨロメキながら涙が出るかも知れない。

さすがに一人で実行するのは虚しく、思いついたことを行動に移せそうにないので呼びかけてみた。するとありがたいことに5人も応じてくれたのだが、現実には季節の変わり目で体調を崩された方が2名おり、当日は私のほかオオタガキ氏、Yoshida氏、桐生のK氏と、いつものメンバー4名になってしまった。

これはかなり速いペースが予想され、後れを取るのが私ということも分かり切っているのだが、実際漕いでみると想像以上に引き離されるツーリングになってしもうた・・・

電車で館山まで来ることになったのはオオタガキ氏、Yoshida氏と私の3名。お二人は朝5時台に最寄り駅を出るはずである。東京東部に住んでいる私だけ遅く出るのもなんか申し訳ないので、6時01分の黄色い電車に乗る。千葉駅の乗り換えに余裕を持とうということである。が、千葉駅ホームでカートを引いたオオタガキ氏とバッタリ。考えることは同じようだ。千葉駅を経由してカヤックに行くことも以前に比べ減ったのだが、久しぶりなので駅弁など買ってみる。ちょっと奮発して1,050円の柿の葉寿司。家から持ってきたパンなどは行動食やおやつにする。

内房線に乗り換えてカートを引いたYoshida氏と落ち合い、トコトコ各駅停車で館山まで南下。千葉駅からもまるまる2時間である。列車は最近ロングシートになってしまったので、車両の中の人々の今日の目的がわかってしまう。ゴルフ、ダイビングの道具を持っている人は一発だ。しかし、行商のオバチャン並にでかくて真っ黒いバッグを立て掛けた私たちが何をしにいく人か、他の人には想像しがたいだろう。

怪しいバッグ

8時50分館山駅着。ストロングスタイルなので階段を足で上り改札を出る。まだ元気だからできる。しかし北条海岸まで歩く間にずっしり重さを感じる。これ以上海岸まで距離が長ければギブアップするところだ。

昨日のうちにクルマで到着していた桐生のK氏の組み立てられたウィスパーの隣で9時組立開始。順調に30分ほどで組み上がって、荷物を入れるべくパッキング。カヤック収納バッグはテーパードの10L防水バッグへ、その他は着替え、食糧、貴重品と合計4つ(いずれも小)の防水バッグを使用した。

完了

沖には美しい帆船(日本丸か海王丸か?)が見えるのだが、ゆっくりと東京湾を横断していった。

鏡が浦へ

10時過ぎ出艇。暑かったので早速サイドスカリングを。その後漕ぎ始める。最初は大房岬までの館山湾縦断。およそ6Km強。K氏およびYoshida氏速い。雀島までで間隔が離れた。大房の崖近くでソルティーズのご一行とすれ違い。挨拶だけ交わして先へ。南無谷を通過して小浦の先の岩井海岸直前の岬で11時40分くらい。ここまで10.3kmほどだが、またも先の二人に引き離された。さすが奄美シーカヤックマラソン組だ。Yoshidaさんが先導でここで上陸して昼食休憩。そこそこに12時過ぎに漕ぎ始める。岩井海岸の横断。岩井袋を通過して傾城島手前でスローダウン。勝山漁港や保田漁港へ入港してくる漁船・釣り船などが13時前後に通過するので、何隻かをやり過ごしつつ通過。岩井海岸あたりから小さなうねりが出てきた。追い風なのであまり風は感じないのだが、次第に海面が波立ってきたようだ。

雀島

大房岬

各人各色・・

亀ケ崎の北側が風裏になるのでちょっと休憩。ロールしようかと思ったがあとで船内に入った水を排水するのが面倒なのでスカリングレストだけにしておいた。オオタガキ氏はコックピットから出した脚でパドリングができないか試している。なかなかうまくて、足漕ぎボートのように進んでいく。が、ここでオオタガキ氏サングラスを海に捧げた・・・

勝山近辺

金谷まで漕ぎましょう、ということになって保田海岸を横断して、明鐘岬を越える。先行するオオタガキ氏がかなり狭い岩の間を抜けていったので私もショートカットしようと思ったが、うねりによる海面の上下を近くで見たらビビった。あわてて引き返してより安全な岩の間をくぐった。明鐘岬あたりがいちばんうねっていたようだ。

速いペースの人に追いつくのはムリなので、もうのんびり漕ぐ。間もなく金谷のプール前に14時30分ころ上陸して撤収。総距離は22Kmくらいか。K氏はカヤックを置いて館山へ空身で戻っていった。
カヤックを乾かして片づけ終わる頃、携帯で電車の時間を確認したらあと数分後。間に合いっこない。結構こういうパターンは多い。もう電車を使ったワンウェイカヤックツーリングの法則(
「撤収がもう少しで終わる頃、乗りたかった電車が通過していく」)なんじゃないかと思うくらい。あきらめて16時台の列車まで1時間待つ。Yoshida氏はフェリーで帰ってみようということで東京湾フェリー埠頭へパックカートを引いていった。オオタガキ氏と浜金谷駅でアイスを食べ、自販機で買った冷たい飲み物を飲んでまったり時間を潰し、各駅停車で千葉まで。その後黄色い電車でトコトコと。私は18時46分着。駅からのストロングスタイルがまた厳しかった。

内房線・新型各駅停車

久しぶりに、ロール練習で酷使してきたカサラノのフレームをお風呂に入れようと思う。