仕事山行・金峰山(怒りモード含む)

先月に続いて今月も仕事山行で金峰山へ行ってきた。

6月16日土曜日、午前中いっぱい職場で仕事して、12時にきっぱりと職場を離れ、新宿に向かって、13:00発の中央本線特急「あずさ」に乗る。久々に乗る「あずさ」は昔とちがって立川に停車したりして、どことなく急行チックであるが、大月や勝沼、石和温泉には停車せず、韮崎には停車する。本来の特急としての格は「スーパーあずさ」に譲っているのだろうか。だとすれば、どちらも同じ特急料金というのは解せない。

韮崎に14:40に到着し、10分後のマイクロバスで増富ラジウム鉱泉を経由して登山口のみずがき山荘(標高1,510m)へ。乗車料金は2,060円。始発から終点まで乗客は私一人だった。さすがに標高が上がってくると涼しい。みずがき山荘前に16時過ぎに到着し、登山靴の靴ひもを縛り、バルトロ75をよいしょっと背負って登山口から歩き始める。最初はゆるい登りだが、標高1,600mあたりからつづら折れになって急斜面を登ることになる。下山してくる数パーティとスライドするが、この時間から登る人は皆無だ。一頭のニホンジカが目の前を横切り、興味深げにこちらを見ていた。
20180616_072511945_
シカさん

急斜面を登りきり、やや緩くなったら、もうひと登りで富士見平小屋である。若干ガスっているが、明るいうちにたどり着けた。若人たちのテントを探し出し、その近くに我がテント(今回はファイントラックのカミナドーム2)を張る。地面はしっとりしていて、腐葉土が厚く、ペグが刺さりやすい。林間なので風も遮られている。なかなかいい幕営地だ。しかし料金は1,000円とお高めで、トイレも小さい(男性用は大1、小1のみ)のが難点。しかしトイレは掃除が行き届いているのか、換気扇が始終回っているためか、キツイ臭いがしない。この日は若人たちが作ったカレーを食べて、シュラフに潜り込む。すべて着込んでぺらぺらシュラフに入ったが、持っている中で一番薄いシュラフだったからか、夜間に雨が降ったからか、枕の高さがよくなかったのか、何度も起きた。
20180616_085755214_
わが家カミナドーム2

17日は朝4時過ぎから起きて若人が作ったラーメンを食し、カロリー的に足りないので消費期限切れのクリフバーを無理矢理口に入れた。快便。6時出発だというので濡れたテントを撤収して、パッキングを済ませ先に小屋前で若人たちを待っていたが、例によって計画通りの時間に出発できない。出発までに30分のロス。登り始めるとたびたび誰かの靴ひもが緩み停滞、後から登ってきた登山者に道を譲り、しだいに下山者とスライドで時間を食う。もちろん、抜いていった登山者はみな日帰りの軽装であり、こちらはテント・シュラフ・マット・ガス・コッヘルといった生活道具フル装備で70〜80リットルの大型ザックを背負っているのでスピードは遅くなるのは仕方ない。今回初めて大型ザックを背負う12〜13歳の少年のペースが上がらないということもある。少年たちの背中と大型ザックはフィットせず、ショルダーベルトが肩から浮いている。背面長が伴わない成長前の少年にはかなり無理がある。それでも夏の長期合宿の訓練だから、今のうちに苦労しておいた方がいい。

樹林帯を抜ける頃、南アルプス北部がくっきり見えてきた。さらに中央アルプス、御嶽山、八ヶ岳、乗鞍岳、北アルプス、富士山、妙高・火打・焼山、その手前に浅間山から小諸の山々がくっきり見えてきた。感動である。さらっと山座同定してやったら若人たちに感心された。亀の甲より年の功である。
20180616_231000166_
南アルプス(甲斐駒・仙丈、北岳・間ノ岳・農鳥岳)

森林限界を超え、尾根が細くなってきて「千代の吹上」で息が上がった若人が苦しみ始め、6人テントを担いだ年長の若人が「脚が攣りそう」というので、持っていた薬を与える。自分自身では用心のために持ってはいるが服用したことがない薬が役立った。あとで聞いてみたら、だいぶ楽になったらしい。登山道にはイワカガミがよく咲いている。
20180616_231340420_
イワカガミ
20180617_003903608_
八ヶ岳と瑞牆山

五丈岩前に着いたのが11時少し前。コースタイムよりも30分ほど遅い。山頂部には登山者がひしめき合っていて、ノーヘルで五丈岩に取りついている人も10人ほどいる始末なので、簡単に行動食を摂って11:15下山開始とした。しかしここでもわずかにロス。出発は11:30となった。原因は、靴ひもの縛り直しに手間取ったため。最近の若人はヒモ靴に慣れていないのか、靴ひも縛りがものすごく下手である。
20180617_015857546_
五丈岩と富士

金峰山小屋まで下山のコースタイムは15分なのだが、おっかなびっくり歩いているからか、30分もかかってしまう。数年前の春、八丈島の幕営地で金峰山小屋の主人とその子供に出会ったことがあるので、主人に声をかけ、1,200円の高級山小屋手ぬぐいを購入し、下山続行。当初の予定では14:40川端下発の川上村営バスに乗る予定だったが、この歩調では間に合わないことが確定。たまたまこの日、逆コースで途中合流してもらう予定になっていた同僚に電話連絡を取り、金峰山荘までタクシーを呼んでもらうことにした。

標高1,900m弱で林道に出て、あとは林道をひたすら歩く。14:30、金峰山荘に到着。ジャンボタクシーが2台来るというので金峰山荘前で30分弱タクシー待ち。14人で均等割りすれば信濃川上駅まで一人1,500円程度になるが、列車の接続がいいかどうかはわからない。
20180617_033335222_
シャクナゲも咲いていました


ここから怒りモード!
タクシーが到着し、乗り込もうかというところで金峰山荘の男性が出てきて、「環境整備費」なる金を支払ってくれと言われる。我々は山から下山してきただけで、廻り目平キャンプ場の施設は利用していない。タクシー待ちをしていただけで一人当たり100円、全員で1,400円を支払えというのは納得が行かない。あちらは決まりだから、と言い張るが、こちらも食い下がった。

金峰山から川上村の廻り目平へ下山すると一人100円の料金を徴収される、とは山頂からここまでの道中、どこにも告知されていないし、事前に見た関連ホームページにもその旨は記されていない(この記事アップ時)。もともと我々は村営バスに乗る予定だったので、ここで休憩するつもりもなく、突然言われて金を支払わされるのは不本意である。他にも同じような行動を取る登山者をいちいちつかまえて100円の料金を徴収しているのか?と聞くと、「徴収している」などという見え透いたウソを言う。午前3時や4時に徴収するはずがないではないか。これを聞いて若人たちは納得が行っていない様子だし、小海町から来たタクシー運転手も呆れていた。

廻り目平キャンプ場一帯が私有地だというならまだ理解できる(村の職員によれば、村営地らしい)。先日の四阿山登山口の菅平牧場は私有地であり、通行に200円が必要だった。しかしここは国立公園の一部?でもあり、こんな金を徴収しているのは川上村だけである。登山口の山梨県側では徴収などしていない。金峰山荘の男性は、山梨側で金を徴収していないことを知っていた。また、トイレなどの美化に利用する金ならば利用者からチップ制で徴収すればよい。トイレを利用する場合には山荘に一声掛けるように張り紙があったので、若人にはそうさせたが、トイレを利用したのは私が知る限り一人であった。

「環境整備費」なんていう名目で利用者から金を取っても、金を取られた利用者にはどのように環境が整備されたのかなど、知るよしもない。キャンプ場を管理する「川上村振興公社」(三セク?)は徴収した「環境整備費」の活用の内訳を聞けば教えてくれるのか?教えてはくれないだろう。通過しただけの者から金を取ってキャンプ場を整備しました、という使途だとすると、お門違いも甚だしく、ありえない。登山道でもある林道を整備しました、というなら、別の費目の「予算」ないし「交付金」が投入されるべきであろう。要するに「環境整備費」とは利用者をバカにした金の徴収方法である。いかにも環境に配慮しています、という正義面しやがって、本当は何に使っているんだかわからない。

川上村だけがこんなことをしていると、川上村を通って登山しようという気が起きなくなる。それとも、川上村は登山客に敬遠してもらいたくてこのような措置をとっているのだろうか?

あまり時間をロスしてタクシーを待たせる訳にも行かず、個人ではなく団体として来ているので、本格的なケンカをしてもいいことはないと判断し、その場は1,400円を支払うことにし、あとで川上村役場に問い合わせることに決めた(その後二日間にわたり、川上村の企画課の職員とやりとりしたが、見解は変わらなかった。振興公社と直接連絡を取ってみて欲しいといわれたが、無理筋のルールを作った村役場の見解が変わらない以上、振興公社と交渉しても無駄であり、まどろっこしい電話のやり取りで終わってしまうのが嫌だった)。

たった100円とはいえ、不愉快きわまりない。村営地とはいえ、公の性格が強い場所で曖昧な「環境整備」を名目に金を徴収することに法的な根拠はあるのだろうか?例えば環境省はこういう行為を許すのだろうか?聞けば、環境省に正当性を問い合わせたことはないという。そんなことま勘ぐらなければならないなら、いっそ、500円程度の「入山料」としてしまって山梨側でも徴収するようにしてもらった方が私としてはさわやかだ。村の職員たちは、この100円の徴収が無理筋だということを半分理解しつつも、20年以上にわたって継続しているらしい。

この一件後、ようやく廻り目平キャンプ場のHPに「環境整備費」「施設維持管理」として「入場料」100円を徴収する旨書き込まれた。今まで20年以上告知もせずに徴収していたことから考えれば、今回の追記はアリバイ作りであり、抜本的に今までのあり方を再考することにはなっていないので失望した。私有地でない限り、ある区画の土地の中を「歩いて通過する」という行為を「歩くことで利用した」と見なして金銭を要求するというのは社会通念として受け容れられていないのではないだろうか。
仮に金銭を取るにしても、場内を歩き施設を確実に利用するキャンプ場利用者の入場料が300円(幕営料700円)で、歩いて通過するだけの登山者が100円というのはバランスを欠いていると思う。また、「環境整備費」と「入場料」の費目設定に矛盾を感じる。本当に環境整備に充てるのであれば、川上村だけでなく広域で「入山料」を設定したほうが明快であるという私の意見は変わりない。(2018.07.08)

怒りモード終了

信濃川上駅からは、佐久平経由で新幹線を使うのが最も早かったが、埼玉から参加している若人以外は小淵沢経由なので、私も小淵沢から「スーパーあずさ」に乗ることにした。休日の夕方の上り列車なので、指定席は必須である。若人や同僚は自由席に乗ったようだが、座れなかったに違いない。
何とか無事20時過ぎに帰宅。