夫婦山行・裏岩手縦走

先週の仕事山行に引き続き、女房と2泊3日の縦走。
車中泊とか、深夜バスで移動直後に登山というアプローチは女房が苦手とするところなので、ここは文明の利器「新幹線」を使って朝から移動し、昼から歩き始められる八幡平〜岩手山とした。このコースなら、朝7時上野発の新幹線と盛岡駅から八幡平頂上まで行く路線バスで12時直前に登山口に立てる。

これまた先週に引き続き「はやて」で9時20分に盛岡着、駅ビルで行動食の一部になるパンを購入して、9時47分発の八幡平頂上行きのバスに便乗。平日なので乗客は少なめで、我々と同じような重量級ザックを背負った人はいない。わずか1,320円という破格の値段で八幡平に到着し、藤七温泉方面に舗装路を少しくだって、12時チョイ過ぎに登山口から歩き始める。
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盛岡駅前にて

まず面前にある畚岳に立ち寄り、縦走路を一望する。天気は良く、標高1,500mクラスの平坦な縦走路である。今回の縦走路には大深山荘、三ツ石山荘の避難小屋があり、いずれも新しく立派な小屋なので、テントは持たなくてもよかったのだが、念のため2人用テントはザックに入れてきた。裏岩手縦走路の平坦ルートでは大した負担はなかったが、岩手山への急登ではかなり堪えた。


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畚岳に向かって歩き始める
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たおやかな尾根と縦走路

畚岳(1,577)からの秋田・岩手県境上の縦走路はところどころに湿原や池が点在し、ハイシーズンにも関わらずすれ違うハイカーもなく、快適そのもの。諸桧岳(1,516m)、嶮岨森(1,448m)を越えて行く。標高1,500m程度でも十分涼しいのだが、みんな梅雨明け直後でもっとメジャーな山域に行ってしまうんだろうね。縦走路から左手に藤七温泉を経由して松川温泉に向かう道路が見えるのはちょっと興ざめ。

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嶮岨森
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大変きれいな大深山荘

午後4時近くに大深山荘着。小屋に入ってみたら他に2組5名が先着していて下段のスペースを使用していたので、我々ははしごを使って上段を寝床とする。水は歩いて3分の湿原にこんこんと湧きだす水があり、不足はない。小屋の外にベンチもあり、ベンチでエスプレッソパスタを作って夕食とした。栃木から毎年のように孫を連れてきているという親子3代の同宿者はカップ麺をふんだんにもってきていた。もう一組は若い男性2名で、秋田駒方面から縦走してきたもよう。会話の少ない無口な青年たちであった。

翌朝、5時大深山荘を後にする。まず大深岳(1,541m)に登り、秋田駒方面への縦走路と別れ、最大の大下りを経て小畚岳(1,467m)に登り詰めると、360度の視界で東北の山々が見渡せた。三ツ石山(1,466m)から下って、三ツ石山荘には9時30分ころ到着。小屋の清掃をやっていたおじさん(地元のガイドさんらしい)に水場を訪ねたら、最近晴れが続いているので水は出ていないとの由。幸い水は潤沢にあるので、辞去しようと思ったら、おじさんが饒舌にしゃべり始めたので、少しつきあったが適当なところで先を急ぐ。大松倉山は狭い稜線で、学生6人くらいのグループとすれ違って大きく下る。

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遠くに秋田駒
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左手に岩手山。あそこまで歩く。
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地図を広げる
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まだ遊ぶ余裕がある
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三ツ石岳に登る
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網張温泉からの登山路と合流して、今までの静かな登山路は終わり。ここからは岩手山への登山ルートになる。犬倉山の巻き道が終わったところで水場があり、補給する。ここに水場があって助かった。その後は姥倉山の肩にとりつく非常に登りにくい階段をあえぎながら登り、地熱の高い危険地帯を通過して黒倉山を南から巻き、「切通」というお花畑コースと鬼ケ城コースの分岐点に至る。お花畑コースを選択するが、20ン年前に網張からピストンで登った時に比べてだいぶ道が荒れていた。

最後は1,450mあたりのお花畑から岩手山の肩(1,830m)に乗る標高差350mの急登。すでに大深山荘からの歩きで溜った疲れがドッと出て、非常にキツイ登りになった。15時30分過ぎ、あえぎながら岩手山の肩、不動平にたどり着いた。ここで思わず大休止。

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鬼ケ城の奇岩
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不動平避難小屋

不動平避難小屋に宿泊することも案の中にあったが、水は八合目小屋まで15分ほど下らないとないし、既に小屋の中にはザックがいくつも置かれていて、トイレの扉の開け閉めの時に派手な音がするので、どうせ水を補給するならと八合目小屋まで降りる。この小屋は夏季のみ管理人が常駐していて一人1,700円の有料だが、小屋の規模が大きいのとトイレが新しくきれい(簡易水洗!)なのと水が小屋の目の前でふんだんに使えるので、お金を落とす価値のある小屋ではある。当日、地元の小学生が岩手山登山でかなり泊まっていて、大盛況だったが、消灯の8時には子供も引率の大人もぱたっと静かになって、気持ちよかった。私はイヤホンでラジオのオリンピック女子サッカーを聴く。なでしこ、快勝である。

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立派な八合目避難小屋

最終日は岩手山山頂に登って焼走りコースを下山するだけなので、ゆっくり朝6時に出発。約1時間で山頂にたどり着いて、快晴の山頂ビューを楽しむ。コマクサも豊富に咲いていて、絶好の日和だ。遠く雪をいただいた鳥海山も見える。

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雲海
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信仰の山
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由緒ある三角点
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コマクサ
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平笠不動避難小屋(ここも快適そうだが水がない)
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岩手山北面

下山はひたすら長い苦行の道。標高差1,500mを降りて行くのだが、火山特有の小砂利の深い、滑りやすいルートであった。まるでパチンコ玉を床にばらまいた上を歩くようで、標高1,500mあたりからのコマクサ群生地を横切るトラバース気味の下りが滑りやすかった。さらに標高が下がるにつれ暑さが増す。最後は焼走り溶岩流の脇の広葉樹林帯の遊歩道のような快適な道になったのだが、もう体が限界にきていてそんな道でも辛くなっていた。11時30分、無事下山。歩いてすぐの「焼走りの湯」で汗を流し(体重が3kg以上減っていた)、昼食を食べ(しかしあまりこってりしたものは食べられない)、下山後お約束のコーラを飲んで、タクシーで大更駅まで移動する。JR花輪線は残念ながら本数が少ないので、盛岡行きの路線バスに乗って1時間かけて盛岡駅に到着。新幹線の待ち時間にソフトクリームなど食べて時間をつぶし、再び「はやて」にて無事帰京。

少し侮っていて、次の本格的縦走の前哨戦のように捉えていたのだが、岩手山登頂まで含めるとかなりのアルバイトになった。夫婦ともに足には肉刺ができたし、前哨戦どころでなくこれがこの夏一番の山行になったかも知れない。
もう私の登山靴も振り返ってみれば10年以上使っている。ソールは一度張り替えたが、それも接着面が少し危うくなってきて、そろそろ新しい登山靴が欲しいところ。仕事でも使うし、スカルパ・ドルポの後継モデルのキネシスプロあたりが欲しいところである。