神津島に雪が降るのだ3

31日、出港時間は10時30分なのに、若人たちから6時にたたき起こされる。テキパキ撤収すれば8時起床でも何とかなりそうなものだが・・

で、配給された朝食はバウムクーヘン1かけら。こういうことはよくあるが、それにしてもトホホである。事前の計画メニューではちらし寿司だったのに・・個人持ちのチョコレートを足して、インスタントコーヒーを淹れ、腹に流し込む。今回は日程が短いし、もう帰るだけなので何とかなるが、縦走の多い夏にこのレベルの食事ではカロリー不足でシャリバテしてしまう。

西風が強めなので「かめりあ丸」が到着する場所が変わると嫌だなあと思っていたが、8時、キャンプサイトにも鳴り響く島内放送で前浜海岸から出港とアナウンスがあった。いちいち東海汽船に問い合わせなくても定時にわかるのはありがたい。

予定通り「かめりあ丸」は10時に神津島着岸、10時30分には出港。全くのピストン運行なのである。東京での停泊時間も3時間弱だから、船員の方々はさぞ多忙だと思う。



さらば神津島


日中の航行なので、アイランドホッピングをデッキから楽しむことができる。式根島では学校の先生らしき方の転任に伴う見送り風景が見られた。こういう風景を見ると船旅っていいなとあらためて思う。



夕方、東京湾に入る頃デッキに出てみる。右舷方向に房総半島南部、左舷方向に城ケ島や三浦半島南岸が見えてきて、いつもカヤックから見慣れた風景があらわれ、何だか安心する。しかし大房岬沖を通るあたりから明らかに水が褐色を帯びてきた。いつもきれいだと思っている房総南部の海水にしてこの色である。外洋の海水がいかにきれいなことか。

そんな海にデッキからタバコの吸い殻を捨てるオッサンがいた。思わず「灰皿はすぐそこにあるだろう!」と怒鳴ってしまった。本当に船内の喫煙所と目と鼻の先なのである。オッサンはきょとんとしていた。きっと普段から吸い殻を海に捨てているんだろう。自分くらいどうってことなかろうという意識に違いない。デッキのフェンスから海にたたき込みたいくらいだ。しかし、同じようなことをするオッサンが多いらしく、別のオッサンもすぐそばでタバコをふかしていたのだが、ついぞ灰皿に吸い殻を捨てる場面は見なかった。捨てる瞬間を見ていないと注意もできないし、ずっと監視している訳にも行かないのでその場を離れた。こいつらには良心とか、規矩というものはないのだろうか。

富津岬沖の第一海堡、第二海堡(工事中)を間近に眺め、横浜のビルのシルエットとベイブリッジが見える。アクアラインの「海ほたる」を右手に、トンネル部分の空気抜きである「風の塔」を左手に見るころには羽田からの飛行機が四方に散っていくのが見え、日が落ちるとお台場脇をすり抜け、レインボーブリッジをくぐり、竹芝桟橋到着である。都会のど真ん中に着岸するのはドラマチックではあるが、何と東京は光に満ちあふれているのか。同じ都内の神津島の暗闇のキャンプ場からのギャップが著しすぎる。

横浜

「風の塔」と富士山