四半世紀ぶりにカカトを固定

30代前半からずっとテレマークブーツとテレマークビンディングのついた板に乗ってきたが、何年も前から再びカカトを固定して滑ったらどんな滑りができるだろうかと思ってきた。今でこそヒールフリースキーに特化しているが、小学校低学年から30代前半までのスキーはアルペンスキー。さすがに革ブーツは経験していないが、ナイロン製のブーツからプラブーツまでは歴史とともに経験している。ストックなど子供の頃はバンブーから始めている。
でもだからといって、単にそこらで売っているアルペンビンディングとゲレンデ用の板に乗るのは敬遠したかった。あれはもう重すぎて耐えかねる。子供が高校生の時に買った基礎系の短い板とビンディングとブーツの重さたるや・・あそこまで重くなくても良かろうに。

自分で所有するならバックカントリー仕様のAT(アルパインツーリング)スキーがいいと思ってきた。もちろん、スキー板はATもテレマークもゲレンデも普通の板で、基礎系やレーシング系やモーグル系ではなくフリーライド系の板になる。
バックカントリースキーは全てビンディングが特殊だ。登行を考えると、ブーツのカカトが固定されていたのではシール登行ができない。
テレマークビンディングもカカトが上がる特殊なもののの一つだが、登行時だろうが滑降時だろうが常にカカトは固定されていない。したがってテレマークビンディングはカカト部分に機械的な細工がない。

ATスキーのビンディングは昔から用いられてきたツアービンディング(ブーツをビンディングに固定したままビンディングのトゥピースを支点にしてブーツが上がる。支点はブーツのつま先よりもさらに先)形式に対して、最近はTECHビンディングが主流である。TECHのツアービンディングとの最大の違いは、ビンディングのトゥピース横から内側に出ているツメによってブーツトゥが固定され、登行時の足の上がりの支点がより肉体のつま先に近づいていること、ブーツヒールの穴にビンディングのヒールピースから出ている2本の金属棒が入って板とブーツが固定されるという点。TECHはツアービンディングに比べかなり軽量になり(片方で数百グラム)、現在ではブーツもビンディングもテレマークのそれよりも片足で200グラムほど軽い。そのような理由で一度試してみたかった。

salomon-guardianツアービンディング(サロモンGurdian)

g3ionTECHビンディング(G3アイオン)
dynafit同じくTECHビンディング(Dynafit ST Radical)

ただし、TECHビンディングの軽さは脚からのパワー伝達の非効率さ(パワーがダイレクトに伝わりにくい)とセットなので、アルペンビンディングに慣れた人がTECHビンディングに換えると不安を感じやすく、最近ではビンディングのトゥは2本のピンでブーツを挟むものの、ヒールがアルペンビンディングと同じ構造になった、剛性の高いもの(ただし若干重い)も出てきている。
自分自身はTECH対応ブーツも持っていなければ、TECHビンディングのついた板も持っていなかった。ATスキーやビンディング、ブーツのレンタルは存在しないし、新品で揃えると板・ビンディング・ブーツ3点セットで10万円台後半の金額は覚悟しないといけないため、なかなか決断ができないでいた。

もちろん、テレマークビンディングはATスキーとは違い、パワー伝達だとか剛性だとかは本来あまり関係がないものだった。つま先のコバを3ピンやワイヤーでブーツを板につなぎ止める75ミリノルムのテレマークブーツ(特に革ブーツやハイトの低いスカルパT4のようなプラブーツなど。プラスティックのテレマークブーツは母指球の上の甲の部分にジャバラがあり、ブーツが脚の力によってそこで曲がる。プラスティック製なのにテレマークポジションが取れて後脚のカカトが上がるのはこの構造による。ブーツハイトの高いプラブーツでもアルペンブーツに比べればブーツ剛性は低く、板へのパワー伝達は弱い)に対して、NTN(ニューテレマークノルム)のブーツはアルペンスキーのようなスキー操作(エッジに乗るカービングターンなど)をある程度可能にするもので、土踏まずでブーツを固定するのでアルペンブーツとテレマーク用75ミリノルムブーツの中間に位置づけられるだろう。
rottefella_75mmwithcableロッテフェラーのケーブルビンディング

rottefella_supertelemark
ロッテフェラーの3ピンテレマークビンディング(シンプル!)
rottefella_freedom
NTNビンディング(ロッテフェラfreedom)

昔のテレマークビンディングはヒモ締めの革靴を爪先部分のビブラムソールに開けてある3つの穴とビンディングに付いた3本の金属ピンで固定して上から押さえるのみだった。これはかなりクロスカントリースキーに近い構造で、板もサイドカーブがない細板で、今のバックカントリースキーに乗り慣れてしまうと操作はかなり難しい。自分も革ブーツ、細板の道具を持ってはいるが、もう乗りこなせる自信がない。

この秋、オークションで都合よくサイズが合うTECH対応ブーツとTECH対応ビンディング付きの板が出品されていたので、飛びついた。
ブーツはスカルパ・マエストラーレ(26.5cm)。もう一人の人と数千円の競りをした上でゲット。現在のマエストラーレは3バックルとワイヤー締めになっているが、ゲットしたブーツは4バックル仕様。
板はブラストラックのブレイザー(旧モデル176cm)にマーカーのキングピンを装着したもの。キングピンというビンディングは、TECHビンディングの中ではブーツ固定がアルペンビンディングタイプと同じ原理(2本のピンによるブーツ固定はなく、ブーツのカカトのコバを固定)で、滑り重視のビンディングだ。G3のシールまでオマケで付いてきた。こちらはオークション終了間際に入札してすんなりゲット。
ブーツと板の出品者は同一人物で、ブーツとビンディングのセッティングはできているはず。

marker-kingpinマーカーキングピン(旧モデルではない)
scarpa_maestraleスカルパ マエストラーレ(4バックル仕様)
img_2763手元に届いたブラストラックブレイザーとキングピン

先にブーツが届いて、試し履きをしてみた。テレマークブーツよりタイトで、ふくらはぎが太い私は4バックルの最上部を嵌めるのに苦労したが、なんとか調整して履くことができた。極寒のゲレンデではブーツが硬くなるので最初ちょっと苦労しそうな予感がする。テレマークブーツの緩さに慣れているので、もしブーツが硬くてバックルが締められなくても、最悪一つくらいバックル固定しなくても大丈夫だろう。滑る時もブーツの滑降モードではなく、ウォークモードで行けると思う(テレマークブーツでもだいたいウォークモードでゲレンデは滑っている)。

使用するシチュエーションとしては、午前中テレマークスキーで練習した後の午後のゲレンデ練習にまず使うつもり。山へのツアーについてはすぐには使わない予定だ。
早く使ってみたくて仕方がない。はよ雪降らんか〜・・