外房ワンウェイ・流されて勝浦

日曜日の外房の状況が良さそうだったので、行くことにした。せっかくなので過去に細切れで漕いできた鴨川〜勝浦を一気に漕いでみる。距離は21kmほど。状況さえよければ4時間くらいで漕げそうだ。朝のうちに鴨川を出て、軽い昼食を食べて午後早い時間に勝浦に着ければいいやと考えた。

久しぶりに朝5時30分に自宅発。外房に行くにはいくつかルートがあるが、今回試してみたいルートがあったので、たった800円とはいえ金に糸目をつけずアクアラインを使う。さすがに渋滞は始まっていないが、それでも交通量は多め。試してみたかったのは、館山道に乗らず木更津東インターまで走り、久留里を経て410号と鴨川有料道路を使って鴨川に至るルート。亀山湖にある道の駅でトイレに寄れるという目算である。結果はまあまあ。房総スカイラインと鴨川有料道路を使うと500円も取られてしまうのだが、200円だけで済むのはありがたい。7時20分に鴨川駅最寄りの前原海岸着。

早速カヤックを組む。今回は戻りが電車ということもあり、1ヶ月ぶりに背負いやすいカフナをチョイス。ワンウェイのシーカヤックツーリングでは最強のカヤックであろう。いつも思うが、まず組み立てが簡単で非常によろしい。ラダーレス・スケッグレスだと尚更である。今年はカフナに乗る時はこの仕様で乗っている。ウェアは先日暑すぎた反省から、下はタイツ&レイブンパンツ&ネオプレンのオーバーソックス、上は金曜日に着た薄手ラッシュガードの上にsurf8の黒いフード付きウェアを着て、上陸時の冷え対策に半袖のナイロン製パドリングウェアを船内に仕込んでいく(それでも汗は結構かいた)。カフナにはFCテーパードドライバッグ(10L)に詰め込んだ黒のトラベルパック、貴重品とおにぎりを入れた小ドライバッグ(5L)、さらにグルーミング用品とクラトワのパドルケース(実は竹刀袋)を折り畳んで入れた3Lのドライバッグの3つの袋を入れた。


サーファーの邪魔にならぬよう、まっすぐ出てテトラを右から回り込みたい

8時30分、出艇。テトラとテトラの隙間にはサーファーが大勢浮かんでいるので、以前のようにテトラ正面から出ることにするが、釣りのおじさんが陣取っていてテグスが風になびいてきているのでうまく出られる場所が極めて限定されている。こんな波打ち際で何が釣れるのか知らないが・・テグスを避けようとして漕ぎだそうとしたらタイミング悪く大きな波がきて、カフナごとひっくり返されそうになるところをかろうじて腕で支え、何とか出艇成功。外房の最大の難関は出艇と着艇である。テトラのすぐ脇を回り込んで、大きなうねりだけが来る安全地帯に出て、ホッと一息。コックピット内部のチェックをしてから東の天津・小湊・勝浦方面へ漕ぎだす。一番近い岬は天津の葛ヶ崎で直線で4km。まっすぐに漕いでいく。北西風があって波に押される感じで漕いでいくが、ラダーレス・スケッグレスなので少しバウを左に回される。左スイープをしまくり、左肩が辛い。


朝の太平洋、デッカイ!

約1時間で小湊駅のある内浦湾沖に到達。大きなうねりの中で若干休憩する。外房の魅力はこの大きなうねりだが、岸に近づくとブーマーだらけで沖合を漕ぐしかないので、うねりが小さめだと面白みに欠ける。今日がその日みたいだが、大潮の満潮直後で潮位が高いためブーマーは少なめ。カヤックはゆるい風に押される感じで速度は速い。そのまま入道ヶ崎(前原海岸から約9km)を回り込んで、断崖の続く「おせんころがし」こと行川の沿岸に到達する。ここは逃げ場がほとんどない。しばらくは岸に近づけたが、前方にはブーマーが列をなしていて、突っ込むと大変そうだ。ブーマー群の外側を巻いて、浜滑川岬を回る。沖はおとなしいのに、突如として海中の根のところで巨大なブーマーが沸き起こる。そのまま興津に近づき、ようやくブーマーとおさらばできそうだと思ったら、興津の入り江と守谷の入り江の中間で突如目の前に3mくらいのブーマーが起きた。かの「虎丸」と呼ばれるブーマーかも?くわばらくわばら。何も気にせずにまっすぐ漕いでいたら巻き込まれるところだった。行川から興津にかけて、ちょうど何隻も漁船が戻ってくる時間にぶち当たってしまったようで、ストップしてやり過ごす。


おせんころがし全容。左手前は雀島(内房にもそっくりな雀島あり)


こんなブーマーに当たった日には・・

小舟に乗った漁師のおじさんから声をかけられた。鴨川から勝浦まで漕ぐと言ったら驚かれた。流れているから帰りはしんどいぞ、といわれたが、こちらはワンウェイなので帰りの心配は無用だ。前日は5艇くらいのシーカヤックとすれ違ったそうだ。漁師のおじさんの言う通り、どうやら鴨川から潮流に乗って漕いでいるようだ。かなりのハイペースになっている。前原海岸から鵜原までだいたい16kmほどだが、まだ11時。2時間半で漕いできたことになる。少し腹も減ったので、守谷と鵜原の中間にある茂浦ちかくの小さな入り江に上陸、軽く行動食(昼食)とする。海水ももちろんきれいだが、なかなかビーチもきれいな入り江であった。


茂浦の入り江(コンビニ袋さえ写さなければ絵になったのに・・)


あと一漕ぎ。来し方を振り返るが鴨川は当然もう見えない


油断ならない磯場

さて、あと一漕ぎ。勝浦までは4kmほどだ。12時には着けるだろう。一瞬、八幡岬を回って御宿まで行ってしまおうかと思ったが、上陸地を知らない上に駅までの距離がわからない。地図もない。初見で漕ぐのはちょっとキツイかな、と思って予定通り勝浦までとする。見えるとつい行ってしまいがちになるが、ここは自重である。以前は近づくこともできず大回りした海中公園も100mくらいまで接近できたが、そこから先はブーマーだらけだ。大回りしていいペースで勝浦湾を横断し、「ホテル三日月」前の砂浜に上陸。ちょうど12時のチャイムが鳴った。ミッションコンプリート。ちょうど3時間30分で21km漕いだ(休憩2回、1回は上陸休憩)ことになり平均時速は約6kmとなるが、いつもより速いのは流れがあったからである。少しでも荒れ気味だったり逆潮だったりすれば、この時間では到着できないだろう。


海中公園


ゴール間近

砂だらけの場所で撤収に適した場所がなかなかないが、幸い人もいないのでわずかなコンクリート部分を使って分解・撤収。もう12時40分前後発の安房鴨川行き列車に乗るのはかなり厳しいので、13時台の列車に乗ることにする。それでも撤収は12時40分ころに終了し、トラベルパックを担いで駅をめざす。勝浦駅で約1時間弱列車待ちをして(なぜかその間に妙高のインフィールドから電話が・・)、13時46分の安房鴨川行きに乗る。勝浦にある国際武道大学からの帰りの人なのか、わがクラトワパドルのケースと同じような竹刀袋を持った人が数名駅に来た。思わず竹刀袋を見比べてしまう。私の竹刀袋の中身は「櫂」なのだ。巌流島の宮本武蔵と同じなのだよ、フフフ・・

外房線も内房線と同じく最近ロングシート車両になったらしい。1車両に数名しか乗っていないとロングシート車両は非常に寒々しい。勝浦から安房鴨川までの運賃は今年最長の400円だった。

帰りは素直にいつもの君津インターへの県道山越えルートを使い、渋滞がまだ始まっていないアクアラインを使ったが、高速に乗ってからトンネル内で事故が起こり、渋滞発生。約3kmの渋滞、20分くらいロスして17時帰宅。

秋の日のいいツーリングだった。日が暮れるのが早くなったので、午前中漕いで昼に上がるツーリングがいまの季節は一番良い。今年は、おそらくもうこれより長いカヤックツーリングはなかろう。今年は礼文島に遠征したのみで、終始房総か三浦で漕いでいたが、それはそれで満足である(半分は負け惜しみですが)。