乗鞍岳で会心のターン

今シーズンようやく4回目のバックカントリー。今シーズンはすべて日帰りで、しかもちょっと少なかった・・
で、シーズンラストに選んだのは乗鞍岳。今回は土曜日に年休をとり、乗鞍行きでは初めてインフィールドのツアーに一日だけ申し込んだ。一人で広大な乗鞍を滑るには寂しすぎるから・・

金曜夜に自宅を出て鈴蘭の観光センター駐車場で車中泊。到着直前にキツネが車の前を横切り、もう少しではねるところだった。身支度して7時台に三本滝駐車場へ上がったら、すでに駐車場の舗装部分はほぼいっぱい。なんとか駐車場所を確保してインフィールドの中野君たちを待つ。

朝一番のバスは結局4台になった。快晴なのでスキーヤー・ボーダーが大挙して来ている。位が原山荘で管理人の六辻さんに挨拶して出発。バスから吐き出されたスキーヤー・ボーダーがほぼ全員、肩の小屋方面を目指すので、砂糖の山に群がるアリの行列が延々と続いているように見える。皆さんの狙いはまず剣が峰と蚕玉岳鞍部からの最長雪渓か、朝日岳の雪渓であろう。我々の狙いはそのメインルートを外してあまり人の来ないルートを滑ることにある。

すごい人数

剣が峰

今回の板はシャクサン。もう何年も使い込んでいるが、バスへの板の積み込みや最後のツアーコースの汚れ腐れ雪を考えると新しいワールドピステはもったいない。

乗鞍岳に来るといつも悩まされるのが、標高2600m以上での息切れ。歩く距離は短いのだが、バスで一気に登って歩き始める上、標高が高くて酸素が薄いせいか、今までは息が上がっていた。しかし、なぜかこの日は息が切れない。非常に調子がいい。歩きながら思いついたのは、前夜着ということと毎週のスケート。スケートで確実に脚力はアップしているはずであり、心肺機能も少しは上がっているのかもしれない。

蚕玉岳のエビノシッポ

別のアングルから剣が峰

前日雪が降ったので、新雪とザラメが入り交じっている。新雪部分は標高が高くなると固く凍った状態。朝日岳直下で滑落するテレマーカーもおり(これはシール登行があまり上手くない人かもしれぬ)、なるべく柔らかい部分を選んで登った。雪面に小さなエビノシッポが無数に生えており、
まるでマイタケを踏みながら歩いているようだ。

マイタケ雪面

マイタケはこういう感じ

さて、その後のルートはシークレットである。あまり今後多くの人に来てもらいたくはないルートであるが、一本目は風裏のうっすら新雪、初めカリカリ、中から下はチョー快適できれいにテレマークターンが決まる。その後凍った雪面をキックステップで極めたピークからの滑降へ。これは誰も滑っていない、
パリパリ焼きギョーザ羽根のようなフィルムクラストのシャリシャリバーンで、その気になれば標高差400m近く最高のターンを繰り返すことができる。悔いなきよう、しっかり400m滑っておいた。その後シュートを詰め、ラストは2800mから位が原への大滑降。これまた数本のシュプールはあったが全然荒らされていない最高の急斜面。

その1

その2

昼下がりに雲が・・

シュートを登る

山頂にも雲が・・

北アルプス北部を遠望

穂高連峰と槍ケ岳(雲の向う)

最後の斜面

シュプールでギタギタになった位が原に到着したのが午後3時近く。午前中山頂近くに大挙していたスキーヤー・ボーダーたちは下山してしまったようだ。それが証拠に最長雪渓は夕方のゲレンデ状態となっている。ここで山荘に宿泊してもう一日シークレットコースを攻める中野君たちと別れ、一人ツアーコースへ。最後の大斜面を滑っていた頃、ツアーコースの最初の急斜面あたりに救助ヘリがきていた。誰かケガをしてヘリを呼んだに違いない。一人でケガなどしたら目も当てられないので、コブ斜面になった細いツアーコースをアルペンターンで滑っていく。何組ものパーティを抜き去ったが、その中にT.M.Nスキースクールの望月さん御一行がいた。思わず声をかけてしまった。

ツアーコースとゲレンデを繋ぐ最後の急斜面まで何とか滑れはするが、かもしかゲレンデの分岐で雪は途切れた。潔くスキーを脱いで、ゲレンデ下部まで歩いて降りる。最後に少しだけ残った雪をスキーで拾って3時45分終了。三本滝の車は半分以上が消えていた。みんな日帰りなんだな・・

最後に非常にいい雪を滑らせてもらった。バックカントリーの回数は少なかったけれど、今回の乗鞍でかなり挽回できたような気がする。何より、ケガなく無事過ごせたので十分だ。

その後実家に寄って年老いた両親の愚痴話を聞き、日曜午前中に東京に戻った。