2019年8・9月に読んだ本

・紅野 謙介「国語教育の危機 大学入学共通テストと新学習指導要領 」(筑摩新書 電子版)
・紅野 謙介編「どうする? どうなる? これからの「国語」教育: 大学入学共通テストと新学習指導要領をめぐる12の提言」(幻戯書房)

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来年度からの共通テストでの英語の外部試験導入と同様、新指導要領下での高校国語が問題視されてきた。以前からこの問題を訴えてきた著者による本を集中的に読んだ。
全く愚民化政策も極まった、という感がある。著者のない契約書だとか会則などを読ませ、「論理国語」などと銘打ち、共通テストの事前予備試験で脅かして半ば強制的に導入する。いったいどんな感性の人間を育てようとするのか?本当に現場の感覚を教科内容に導入しようとしているのだろうか?


・ヤマザキマリ「オリンピア・キュクロス」(ヤングジャンプコミックス 電子版)

「テルマエ・ロマエ」の古代ギリシア版ともいうべき同じ作者のコミックだが、途中で手塚治虫が出てきたりして訳がわからない。まあでも面白いからよしとしよう。
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・牧 久「昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実」(講談社 電子版)
・牧 久「暴君 松崎明に支配されたJR秘史」(小学館 電子版)

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国鉄解体を扱った同じ筆者の分厚い本だが、電子書籍で読んでいるとだんだん厭きが来る。「暴君」の方は中断。

・山内昌之・細谷雄一編「日本近現代史講義 成功と失敗の歴史に学ぶ」(中公新書)
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山内昌之氏は私の恩師の一人だが、最近はだいぶ日本史の方に関わりが強くなり、かつ自民党に頼られる学者になった。この新書も自民党議員に対する講義がもとになっているらしい。その割には自民党議員は歴史から勉強しない人が目立つ。

・大木 毅「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」(岩波新書)
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評判の高い本。独ソ戦といえばバルバロッサ作戦とスターリングラードの戦いくらいしか知らないが、その全貌を描いている。無茶な作戦計画はあちらにもあった。

・和田春樹「北朝鮮現代史」(岩波新書)

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読んでいるうちに、昔読んだ本の増補版だということがわかった。和田さんはネトウヨの人々にクソミソに言われていたりするが、昔から北朝鮮についての研究の第一線で研究されてきた人だ。その業績を踏まえずして文句を言うのは筋違いだと思う。

・廣瀬 俊朗「ラグビー知的観戦のすすめ」(角川新書 電子版)
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ラグビーワールドカップ、正直言って始まるまでほとんど気にかけていなかった。ラグビーワールドカップは始まった頃からつまみ食いしているし、4年前の南アフリカ戦、スコットランド戦も生で観ていたが、関心は薄かった。しかし、始まってみれば試合そのものだけでなく、国籍に拠らない代表チーム編成とか、アイルランドのような国家を超えたチームのアンセム、逆にイギリスの一部であるスコットランドやウェールズのアンセムに関心が湧き、南アフリカのアンセムの成り立ちについても興味を持った。クリント・イーストウッド監督の「インビクタス 負けざる者たち」もオンデマンドビデオで観た。さらに大著「ラグビーの世界史」を今読んでいる。入口から誘う本としてはとてもいい本である。


・今尾 恵介「地図帳の深読み」(帝国書院)

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地理の本といえば今尾さんの本を読むことが多いが、また今度も買ってしまった。内容はつまみ食い的な内容になるが、地図帳の帝国書院から出ているので、中学や高校の地図帳にある地図がフルカラーで掲載されていて美しい。