11月に読んだ本

11月もなかなか他の仕事で忙しく、通勤車中での読書量は少なめ。佐藤優の「私のマルクス」はきちんと読み込んでいくと結構時間がかかるのだ。読み切って、今年出た続編「よみがえる怪物(リヴィアタン)」もハードカバーで買ってしまった。年末年始に読むつもり。関川夏央の本も面白かった。相変わらず人を引きつける文体である。また、巻末の澤地久枝の解説もヨイショ解説ではなくて非常によかった。

・内田 樹 著 「武道的思考」(筑摩選書)

最近の内田樹の出す本はこういう類い(書き散らしたブログ文)の本が多く、わざわざ選書にするべき内容なのかと疑りつつも買ってしまった。見事に術中にハマった私だが、読んでみると深い部分はそこここにあるものの、やはり駄文の羅列がほとんどを占め、残念。

・竹内 正浩 著 「鉄道と日本軍」(ちくま新書)

内田の本を弊社図書館に寄贈した帰りに借りてきた。面白い部分もあったが、ちょっと鉄オタ的で入り込めない。


・佐藤 優 著 「私のマルクス」(文春文庫)

これは面白かった。著者は私より3つほど年齢が上だが、学生運動とマルクス主義に彩られた高校・大学時代を経験しているのがちょっと面白い。私の世代は「三無主義」などと言われたり「新人類」などと言われてきたので、団塊の世代特有の学生運動やマルクスボーイはかなりの少数派のはずだが・・この3年間に世代の断絶があるのか、それとも佐藤が歩んだ学歴の環境が特殊なのか・・・いずれにしても内容的にはキリスト教神学の一端がところどころに出てきて、かなり高度な部分があり、単なる半生を描いた自伝ではない。

・関川 夏央 著 「家族の昭和」(新潮文庫)

関川お得意の昭和描写。向田邦子。吉野源三郎、幸田文など、私が読んだことのない作家の作品と家族関係を中心に描写が進む。一人を描いたらその次、という構成ではなく、ところどころ入れ子構造になっているのが面白かった。特に幸田文の「流れる」はちょっと読んでみたいと思った。後半はテレビドラマ(80年代のトレンディードラマ)や映画を中心に家族が論じられるが、これも私にとっては面白かった。巻末解説者の澤地久枝はピンと来なかったようだが・・