2020年3・4月に読んだ本

・中屋敷 均 著「ウイルスは生きている」(講談社現代親書)
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・石 弘之 著「感染症の世界史」(角川ソフィア文庫)
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いずれもすこし前に発行された本だが、新型コロナウイルスの蔓延の刺激から読んだ。後者はまだ4月末の時点で中途まで。驚くことに、人類をはじめ哺乳類の体内にあるタンパク質の一部は、ウイルスが体内に入り込んで生成されるものなのだそうだ。一例を挙げれば胎盤の中のタンパク質。ということは、人類はかつてからウイルスによる感染に何度も晒され、結果的にウイルスの性質を体内に取り込み、共生しているということなのだ。強毒性のウイルスも、自己保存のためには宿主である人類を殺してしまっては意味が薄く、変異によって弱毒化していく。その積み重ねによってウイルスとの共生が可能になっていく。

各国の政治指導者が「ウイルスとの戦争」などというフレーズを頻繁に用いてウイルス殲滅を企図しているようだが、まったくおこがましいこと。ウイルスは一方的に人類が破滅できるようなものではない。
そもそも、ウイルスと細菌を混同しているようなことではいけないのだ。

・野口 久美子 著「インディアンとカジノ アメリカの光と影」(ちくま親書)
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・駄場 裕司 著「天皇と右翼・左翼 日本近現代史の隠された対立構造」(ちくま親書)
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シリーズ中国の歴史②
・丸橋 充拓 著「江南の発展」(岩波新書)
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3冊とも歴史関係本。インディアンとカジノとは取り合わせにチグハグ感があるが、インディアンが開いているカジノは多いのだそうだ。インディアンという呼称を避ける必要はないらしく、彼らは合衆国憲法によって連邦政府に保護されていること、州レベルでは対応がまちまちで、貧困からカジノと結びつかざるを得なかったことなど、初めて知ることが多かった。
天皇と右翼・左翼は、かなり多数の人物が登場するので理解するのがとても難しい。一歩間違えると「トンデモ本」と言われかねないような驚きの関係がある。一言で内容をまとめることができそうもない本だった。それにしてもこの著者、近影を見ても、どうやら大学時代にキャンパス内や教室内で見かけた気がする。
中国の歴史の第2弾は、第1弾よりも興味を引いた。中国江南地域だけを取り上げて概説した歴史の本はあまり見たことがない。

・松村 圭一郎 著「これからの大学」(春秋社)
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・堀越 英美 著「不道徳お母さん講座」(河出書房新社)
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・内田 著「サル化する世界」(文芸春秋)
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今日の社会を考えさせてくれる3冊。いずれも内容がとてもよかった。この2ヶ月の中の一押しの3冊。

・橋本 愛喜 著「トラックドライバーにも言わせて」(新潮新書)
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・羽田 圭介 著「羽田圭介、クルマを買う。」(集英社)
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交通・車両関係の本を久しぶりに読んでみた。前者はトラック輸送と運転手の過酷な労働を描いている。
後者は作家がひたすら車の試乗をするレポートだが、車を所有する、ということの奥に潜むさまざまなことまで書いているので面白い。