筑波連山北部の縦走

3月になるとお彼岸が近づくせいか、日曜日の東北道渋滞予測が激しくなってくる。日曜日の日帰りでバックカントリーへ一人向かうにはちょっと厳しい。

そういうわけで、普通のトレッキングをすることにした。エリアは先週の筑波山のすぐ北方、筑波連山の中の加波山近くの稜線。車での移動はせず、公共交通機関で東京まで周回することにした。

朝6時20分前後の電車で上野に向かい、宇都宮線の快速ラビットで小山まで行き、水戸線に乗り換えて岩瀬で下車。8時56分。岩瀬は自転車道の筑波りんりんロードの終点にあたり、何度か来たことがある。駅前から10分待たずに桜川市のコミュニティバスが筑波山口まで運行している。これに乗って、途中の雨引観音で降りる。バス代200円。雨引観音まで登ってくるバスは限定されている。

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雨引観音

9時30分トレッキング開始。ガイドマップなどでは登山口がわかりにくいのだが、境内の一番奥へ向かっていくと軽自動車1台分くらいの幅の未舗装路が上方へ伸びており、これを上がっていくと「関東ふれあいの道」の標識が出てくる。雨引山・燕山・加波山の標識に従って歩いていく。平日は道の整備中らしく、小さなパワーショベルが置いてあって、道がまだ踏まれていずに柔らかい。まもなく雨引山との分岐点に至り(9時52分)、右方向へ曲がって燕山・加波山へ向かう。緩やかな登山路は歩きやすくて快適だが、至る所で土が掘り返されているのはイノシシがいるからだろうか?10時30分、365mの三角点通過。

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分岐を右へ

そのうち、登山道の真ん中が異様に掘れているようになる。タイヤ痕があるなあと思っていたら案の定トライアルバイクが2台ソロソロと降りてきた。この山域一帯、登山道に入り込んで道を荒らしているトライアルバイクライダーがいるようだ。やんわりと注意したが、「知りませんでした」などと見え透いた嘘をつくから腹が立って、通報してやろうかと言ってしまう。トライアルバイクに乗ってブーツやプロテクターをして走っていながら知らなかったなどという理屈は通用しない。地形図で344m地点の少し南の登山道まで西側から作業道らしきものが繋がっているらしく、ここへ下から上がってきてしまうようだ。雪山でのスノーモービルよりも地面を掘り返す分、タチが悪いかもしれないが、若い頃は自分も林道をバイクで走っていたのでこういうところへ来たくなる気持ちは少しわかる。だが走っていいトレイルと、ハイカーと出くわす可能性のあるトレイルの見極め、日曜日はさすがにまずいという感覚くらいは持ち合わせて欲しい。

燕山に近づくと尾根が急になり、階段が出てくる。さすがにここまではトライアルバイクも来ていない。息が上がる中登り切ると701mの燕山頂上。11時30分。頂上を過ぎるとすぐに放送局の中継所があって興ざめである。中継所までは車が上がってこれるので、簡易舗装の道路を歩くことになる。

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燕山へ最後の登り

加波山への登山道に入り、すぐに加波山神社の境内になる(11時55分)。登山道は石が大きくなってきて、頂上近くは大岩の合間にいくつかの祠が点在している。「たばこ神社」などという面白い祠もあった。山頂の加波山神社本社の前には赤い字で「自由の魁」と彫られた石がある。周辺には注連縄が至る所に貼られていて、大岩の陰にも神垂〔シデ〕があり、神秘的な雰囲気がある。山頂部一帯が神聖なエリアなのだろう。「自由の魁」の石は自由民権運動の激化によって民権運動を弾圧した栃木県令三島通庸やそこに集まった大臣らを爆殺しようとして未遂に終わり、加波山山頂に立てこもった民権運動家の業績を讚えたものである(民権運動家たちは300名ほどが逮捕され、死刑になった者もいた)。

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加波山神社
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たばこ神社
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山頂の加波山神社祠から燕山方向を振り返る

そこから下りきると以前自転車で走ったことがある舗装林道に出た(12時30分)。石で櫂を模した「自由の櫂」の碑があり(これはさすがに最近作られたもの)、2本の風力発電のプロペラが威圧的に回っている。風車のある丸山は林道でトラバースして、足尾山に登っていく。足尾山山頂にも石垣の上に祠があり、樹木よりも高いので眺望がいい。13時30分。ここから下山する。

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足尾山山頂の祠
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筑波山が近づいてきた

下山ルートは白井集落へ直接降っていく登山道で、分岐点はわかりやすかった。最初は笹が茂ったあまり歩かれていない道で、すぐに急下降になる。少し斜度が落ち着いてきたら、燕山の手前で見たような掘れたトレイルになり、タイヤ痕が目につくようになる。一本杉峠から白井方面への道が大荒れの未舗装路であることは自転車で体感していたが、麓のトライアルパークで飽き足らないライダーがここまで登ってきているようだ。そのうち縦横無尽にタイヤ痕が見られるようになり、どこが登山道なのかわからなくなる。おそらく、この道は登山者よりもトライアルバイクの方が頻繁に走っているとみられる。沢の水が流れ込んできて、とても登山道には見えない。沢を下るのはまずいなと思いつつも、バイクが上がってきているのでいずれはしっかりした道路に出ると思われたので石伝いに降りていくと、トライアルバイクのエンジン音が響いてきた。ハスクバーナとヤマハセローが遊んでいた。さらに歩いていくと石切場のようなところでトライアルが1台練習をしていた。そういえば、自転車で一本杉峠から下りてきたらトライアルパークがあった。登山道には入らずこういうところで練習して腕を磨いていれば好感持てるのに。

人家が道路の左右に出てきて、白井集落に降り立ったようだ〔14時25分〕。このまま西へ向かって桜川市のコミュニティバスが通っている道路に出る。14時50分。バスの時間まで30分以上あるので、近くの喫茶店に寄って、15時23分のコミュニティバスに乗る。筑波山口でつくバスのシャトルバスに乗り換え〔乗り継ぐとつくバスの運賃が100円割引)、つくば駅からつくばエクスプレスで一気に東京へ。1時間足らずで秋葉原に到着した。

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麓に降りてきた日暮れが近づいている

JR・TXの列車とコミュニティバス、トレッキングもワンウェイにして、充実した山歩きだった。
歩数は28,000歩、距離は12.4kmほどだった。一日の行程にしてはかなり歩いたほうではないか?
しかし、そろそろ雪山へ行きたいんだけど・・22日から25日に神津島へ出張して、その後月末の計画を立てよう。