2017年5月に読んだ本から

・天野 郁夫著「帝国大学 近代日本のエリート育成装置」(中公新書)
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著者は教育史の第一人者。戦前の大学は7つの帝国大学を中心に確固たる地位を確立し、慶應・早稲田を筆頭とする私立大学が認可されるのは1920年のことである。つまり大正半ばまでは、「大学」とは帝国大学以外に存在しなかった。しかし、総合大学をめざしていた帝国大学も、東京帝国大学を除いては総合大学の体裁を為していた、とは言い難い側面があった。

・藤澤 房俊著 「ガリバルディ イタリア建国の英雄」(中公新書)
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イタリア統一の三傑、といえば、サルディニア王国の首相カヴール、青年イタリアのマッツィーニ、そして青年イタリアから自立して武の人となり、名声を博したガリバルディであるが、その生涯を描いた本。ガリバルディは明治期の日本でも有名であり、西郷隆盛と比較されてもいたという。

・土屋 喜敬著 「相撲 ものと人間の文化史179」(法政大学出版会)
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国技館に付属する相撲博物館の学芸員が著した相撲に関する本。相撲を学術的に取り上げた本としては最新(2017年4月初版)のものであり、新田一郎「相撲の歴史」以来ではないだろうか。
五月場所も3日目に観戦したが、いまや連日満員御礼で、チケットを取るのに大変苦労した。技量審査場所等という名前でチケットをタダで手に入れられたどん底の時代からすると隔世の感がある。もう10年以上、年3回の東京場所の生観戦は続いているが、いつまで続けられるか?