2017年12月に読んだ本

・遠藤 正敬著「戸籍と無戸籍 『日本人』の輪郭」(人文書院)
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ラジオ番組に出演していた著者のトークを聞いて購入。学術書ともいえる重厚な研究であった。
近代の戸籍は壬申戸籍から始まるが、まもなく戸籍の本来の意味は失われていった。現在、本籍地とはどの程度の意味があるものなのか?
子どもが警備員のアルバイトをする際に、戸籍謄本の提出が必要とされてやむなく遠隔地から発行してもらった。しかしこの本を読んで考えてみれば、そんな大げさな書類を提出させることは社員差別に無頓着な会社であることを宣言しているようなもので(つまり日本国籍を有しないと雇用されないということ)、CMでも派手な会社宣伝を行っている大手警備会社のくせに、とんでもないブラック企業だったことがわかる。
戸籍の代わりに住民票があり、こちらの方が現在は意味が大きい。しかしさらにさまざまな番号(その時その時の国家の都合で多重に番号を割り当てられている)で我々は管理されていて、ほとんど戸籍は無意味だ。しかも無戸籍の人が多数存在し、生活上不都合を被っているのは理不尽である。


・岩鼻 通明著「出羽三山 山岳信仰の歴史を歩く」(岩波新書)
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夏に月山に登り、ずいぶん前に湯殿山神社のご神体を拝んだが、出羽三山の山岳信仰に興味を持ったため、購入し東北のスキー場行脚の最中に読んだ。山岳信仰って、なぜかわからないが魅かれるものがある。この本を読むと、自分で修行をしようとまでは思わないが、出羽三山に残されたさまざまな登山口から実際に登ってその文化を体験してみたいと思わせる。