9月に読んだ本から

・佐野 眞一 著「新 忘れられた日本人」(ちくま文庫)
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平成の世には見られない、過剰なエネルギーを発散する多くの人物を集め短くまとめたもの。今まで数多く佐野眞一のノンフィクションは読んできたが、その中に登場するバイプレイヤーたちの群像である。電車の中で読むには一つ一つが短くて読みやすい。

・羽根田 治、飯田 肇、金田 正樹、山本 正嘉 著「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」(ヤマケイ文庫)
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2009年の夏に起こったトムラウシでのツアー登山者の遭難事件を分析している。特に、低体温症に関する科学的な記述が非常に参考になる。どんな山でも、ちょっとした気象の変化で人間は低体温症になりうる。

・宇都宮 徹壱 著「松本山雅劇場 松田直樹がいたシーズン」(カンゼン)
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マイナーな出版社から出ているが、東京の某書店では平積みである。宇都宮徹壱のサッカーコラムはウェブ上でよく読んでいて、この本の冒頭部分もどこかで読んだ気がするのだが、2011年シーズンの松本山雅がJFLからJ2に昇格するまでの歩みを、対戦相手も含めて克明に描いている。その中で、最も重かった事件は元日本代表松田直樹の突然死であった。松田の山雅加入、その死、メモリアルゲームまでをドキュメントの通奏低音にしつつ描き出している。
松本に縁のある私は、今期J2に昇格した後の松本山雅を密かに応援している俄サポーターなのだが、松本という街に縁がなくても、松本山雅に関心がなくても、それなりに楽しめるのではないだろうか?


・十返舎 一九 著「東海道中膝栗毛(上・下)」(岩波文庫)
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うってかわって、古文に挑戦。しかし恐るるに足らず、ほとんど口語であり、記述のクセに慣れれば現代文を読むのと同じように読める。駄洒落、ドタバタ劇、洒落の聞いた狂歌のオンパレードで飽きない。
弥次郎兵衛と喜多八は衆道で結びついた、というのは初めて知った。そのくせ、旅先で2人が時間差で夜這い、勘違いして弥次郎兵衛が喜多八に濃厚なキスをしまくると、罵詈雑言を浴びせるのは面白い。その上、夜這いをかけた相手が娘ではなく老婆だったというオチ。
面白くて下巻まで読み進めたが、京・大坂の見学あたりから、読み終えるのが惜しくて通勤電車の中でだけもっぱら読むようになった。
読みながら、尾籠な話が多いけれど、中学生の古文教育はここから始めた方がよほど面白くできるのではないかと門外漢の勝手に思った。
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