山猫インドア備忘録

普段はぼんやりしている男の備忘録です

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2018年6・7月に読んだ本

・桜井万里子・本村凌二「集中講義!ギリシア・ローマ」(ちくま新書)
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正確に言うと、かなり前に読んでいたが掲載を忘れていた本。
ギリシア史とローマ史の専門家の対談。

・白井聡「国体論 菊と星条旗」(集英社新書)
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これはかなりの力作。最近読んだ新書の中では出色。「永続敗戦論」をさらに明快にした論考は素晴らしい。それにしても、自分たちの言い分とは異なる意見を受け容れられず、何も考えないまま「反日的」などと言い募る連中(現首相を初めとして)のほとんどがこの本の中で展開されている、屈折した卑屈な対米追従の「国体」をまつりあげているのが情けない。

・岡田善秋「日本の秘境」(ヤマケイ文庫)
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自分が生まれる数年前の日本各地の「秘境」の様子。筆者は雑誌「旅」の編集長。
筆者が歩いた場所の多くで、もっと奥まで道路が開通し便利にはなったのだが、一方で奥地に入るバスなどは廃止されてしまい、登山口まで公共交通機関で赴くことは難しい。


・小松久男・荒川正晴・岡洋樹編「中央ユーラシア史研究入門」(山川出版社)
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歴史研究の第一歩のために必要な学会の動向や研究の到達点を示した本。事典的に使える。扱っている地理的範囲が広く、スキタイから始まって東西トルキスタン、モンゴル高原、中国東北部の遼や金などが載っている。後半3分の1くらいが参考文献目録。

・岡啓輔「バベる!自力でビルを建てる男」(筑摩書房)
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13年ほど前から港区三田でビルが建築中である。ビルの名は「蟻鱒鳶ル」。表紙の写真を見てもユニークな建築物だ。7月28日時点でまだ読了していない。
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2018年4・5月に読んだ本

4月、5月とも、なかなか読書が進まなかった。ここに出していない本を含めて3冊くらい平行して読んでいたり、小出しに読んでいたので理解も深まらないのを反省。通勤途中の電車ではなかなか本が開けるようなスペースはなく、もっぱらラジオクラウドの再生に終始していたのも読書が進まない一因だろう。

・本村 凌二著「教養としてのローマ史の読み方」(PHP研究所)

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ローマ史研究家による。非常にわかりやすく、高校生の大学受験用参考書にしてもよい。私はオールドスタイルの勉強しかしてこなかったので、こういう教養書を読むことが最終的には受験にも役立つと思ってきた。効率とテクニックばかりを追求する受験勉強は大嫌いだ。この本を読めば、ローマという社会が何によって駆動されてきたのかがわかる。

・岡地 稔著「あだ名で読む中世史」(八坂書房)
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こういう本は出あった時に買っておかないと後で手に入れようと思っても苦労する。
中世ヨーロッパには面白いあだ名をもつ王がたくさん出現する。「禿頭王」とか「短躯王」などがそれだ。
そこを期待して読んだが、むしろカール・マルテルのマルテルだとか、王朝名とされるカロリングなどについて掘り下げてあった。現代日本は名前のバリエーションがやたらとあるので、あまりバリエーションがない時代や地域について想像が及ばないかもしれない。


・石川 薫、小浜 裕久著「『未解』のアフリカ」(勁草書房)
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二人の共著になっているが、ほとんどの部分は石川氏が書いている。あまり理解が深まらないアフリカに対する視線を修正するにはいい本だろう。読んでいて少し誤植が気になった。
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2018年3月に読んだ本

・西部 邁著「保守の遺言」(平凡社新書)
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最近、亡くなった人の本を手にすることが多くなった気がする。
しかし西部の文章は読みにくい。教養が深いことはわかるが、読みにくく理解しづらい文章を書くのは受け容れにくい。


・酒井 啓子著「9.11後の現代史」(講談社現代新書)
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新刊だが、電子版が出ていたので電子版で読んだ。「現代史」とあるが、地域は中東に限定されている。非常に分かりにくい中東現代史を読み解くにはベースになる本ではないだろうか。ただし、予備知識はあっても慎重に読まないと理解が深まらない。

・半藤 一利著「歴史に『何を』学ぶのか」(ちくまプリマー新書)
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これまた比較的新しいが、電子版で購入して読んだ。中学生にもわかりやすい平易な文章で書かれている。「歴史探偵」と自称する著者による、現代への警鐘もあり、含意に富む。

・吉岡 斉著「新版 原子力の社会史」(朝日選書)
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これまた先日亡くなった著者の本。
TBSラジオで原子力関連ニュースを発信する崎山記者(学生時代の崎山氏を知っている)が勧めていたので購入。日本の原子力政策や原発そのものの歴史を知る上では欠かせない。

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2018年1〜2月に読んだ本

・星野 智幸著「のこった もう、相撲ファンを引退しない」(ころから)
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新聞書評を見て購入。九州場所からずっと飽きもせず同じ話題を繰り返すテレビ報道に辟易していたので、読後スッキリした。相撲にかこつけて外国人排斥をするのはいかにも程度が低く(程度の低さを本人たちはわかっていない)、しかも日本人力士に対するあの異様な応援(垂れ幕やしこ名の入ったタオルを掲げての応援)は何なのだ?後ろの座席にいると土俵が見えやしない。

・早川 タダノリ著「『ニッポンスゴイ』のディストピア 戦時下自画自賛の系譜」(青弓社)
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昨今は本当に『日本スゴイ』が連発されていて辟易する。ウィンタースポーツは子供のころから好きだし、自分でスキーもスケートも経験しているからテレビ観戦するのが習慣となっていて、日本人選手がメダルを取れば嬉しいのは山々だが、その他にもフィーチャーして欲しい種目とか、外国人選手はいっぱいいる。日本人選手がメダルを取ると繰り返し同じシーンを見させられるのは苦痛だ。そんな空気が蔓延するとどうなるか?戦前の日本礼賛スローガンは今見返すと噴飯物だが、今やそうのんきなことも言ってられないのではないか。

・小林 哲夫著「神童は大人になってどうなったのか」(太田出版)
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「神童」と呼ばれていても大人になればタダの人だ。特定の分野で才能が他の人より少しあって目立つに過ぎない。神童が万能ではない。神童と呼ばれた過去にすがって生きる元神童ほど見苦しいものはない。

・伊藤 薫著「八甲田山消された真実」(山と渓谷社)
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映画の「八甲田山」を観たのは中学生だったか。原作の新田次郎「八甲田山死の彷徨」は読んだか読んでいないか?とにかく八甲田山に対するマイナスイメージが膨らんでしまった映画だった。酸ケ湯などの豪雪が今でも報道される八甲田山系。
映画では、青森第5連隊と弘前第31連隊の2連隊が雪中行軍で結果的に競い、少数精鋭の31連隊を率いる高倉健が無事生還し、200名の大部隊となった5連隊の実質的指揮者である北王路欣也たちは雪の中で低体温症などで斃れていくという単純明快な映画だった。日露戦争前夜の実際のできごとを下敷きにした新田次郎のフィクションが原作であり、この事件の反省からまもなくスキーが導入されることになる、ということは知っていた。「神は我々を見放した」というセリフが有名になった。
この映画を観たり、新田次郎の原作を読んだ人はおそらく八甲田山遭難事件のイメージを固着させていたと思う。この本の著者は元自衛官で、実際に八甲田山での冬季訓練を何度も経験したことがあり、原資料にあたって事件を再構築した。ドキュメント、こちらが真実である。読んでみると、八甲田山遭難事件のイメージが180度変わる。日本の軍隊は明治半ばの時点で既に隠蔽体質、横暴な態度を身に付けていたのだ。これは天災ではなく、無能な上官による大規模な人災である。
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2017年12月に読んだ本

・遠藤 正敬著「戸籍と無戸籍 『日本人』の輪郭」(人文書院)
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ラジオ番組に出演していた著者のトークを聞いて購入。学術書ともいえる重厚な研究であった。
近代の戸籍は壬申戸籍から始まるが、まもなく戸籍の本来の意味は失われていった。現在、本籍地とはどの程度の意味があるものなのか?
子どもが警備員のアルバイトをする際に、戸籍謄本の提出が必要とされてやむなく遠隔地から発行してもらった。しかしこの本を読んで考えてみれば、そんな大げさな書類を提出させることは社員差別に無頓着な会社であることを宣言しているようなもので(つまり日本国籍を有しないと雇用されないということ)、CMでも派手な会社宣伝を行っている大手警備会社のくせに、とんでもないブラック企業だったことがわかる。
戸籍の代わりに住民票があり、こちらの方が現在は意味が大きい。しかしさらにさまざまな番号(その時その時の国家の都合で多重に番号を割り当てられている)で我々は管理されていて、ほとんど戸籍は無意味だ。しかも無戸籍の人が多数存在し、生活上不都合を被っているのは理不尽である。


・岩鼻 通明著「出羽三山 山岳信仰の歴史を歩く」(岩波新書)
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夏に月山に登り、ずいぶん前に湯殿山神社のご神体を拝んだが、出羽三山の山岳信仰に興味を持ったため、購入し東北のスキー場行脚の最中に読んだ。山岳信仰って、なぜかわからないが魅かれるものがある。この本を読むと、自分で修行をしようとまでは思わないが、出羽三山に残されたさまざまな登山口から実際に登ってその文化を体験してみたいと思わせる。
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