12月に読んだ本から

・冲方 丁 著「光圀伝」(角川書店・電子書籍版)
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10月に読んだ、「天地明察」に続いて電子書籍の光圀伝にチャレンジ。
リアル書籍なら750ページある大作である。電子書籍版でも3冊分。
毎日の通勤時間中にもっぱら読んでいたのだが、なかなか進まない。物語が比較的平板で、読み進めるときのワクワク感が一向に現れてこない。なんだか義務的に読み進めるようになってしまった。
ようやく月末に読了。


・早野 透 著「田中角栄」(中公新書)
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リアル書籍としては、新聞社の政治記者が書き上げた、かの田中角栄の評伝である。
こちらは面白くて比較的早く読み終わった。首相になるまでの角栄の半生が特に面白い。

角栄が首相だったときには私は小学生だったが、佐藤栄作のころから歴代の首相については記憶がある。
自分の父親が、角栄には肩入れしていたことを思い出す。学歴エリートとは正反対の角栄は、70年代までの地方庶民のシンボルでもあった。彼の日本列島改造論は、この本の中では挫折したと記されているが、その後40年近くたって、ことインフラ整備に関しては角栄がめざしたものにかなり近づいているのではないか?もちろん、それによって地方が活性化すると見越した角栄の見通しは甘かったといわざるを得ないが・・

やっと江戸スポ12.30

昨シーズン以来本当に久しぶりのアイススケート。ホームリンクである江戸川区スポーツランドの改修が長引き、12月23日が例年に比べ2ヶ月半遅れのオープンであった。リンクは、透明なアクリル板フェンスやリンクの腰板が新しくなっていたけれど、実はリンク下のパイプ類がかなり老朽化していたようだ。

天気は雨、インドア遊びにはうってつけの天気である。が、もう冬休みなので家族連れでごった返しているに違いない。それでもと思って女房を連れて出かけた。案の定、11時台の混雑は凄まじかった。

3人で手を繋ぎながら滑走する少年少女、逆走する子供など、予測のつかない滑走者をすり抜けながら前進滑走で体を暖める。
最初、右アウトエッジに乗れていなかったが、慣れてくるにつれてインもアウトも乗れるようになってきた。左右のワンフットスケーティングもそれなりに。12時を回ると少し空間もできたので、フォアからバックのトランジション、カーブでのクロッシングなどを交えて滑る。

混雑した中をバックスケーティングで巧みにすり抜けながら滑るホッケー靴オジサンには舌を巻いた。
女房に少しホッケー靴でのトランジションなどを教えたりするが、フィギュア靴でもホッケー靴でもスピード靴でもそれなりに滑ってしまう女房にも感心した。

13時近くにそれなりに汗をかいて終了。時間制の駐車場の料金が4分遅れで100円上がってしまったのには悔しい思いをする。

また来年、子供たちが引けたら来よう。

11月に読んだ本から

・五味 康祐 著「如月剣士」(上・下)・「柳生天狗党」(上・下)(電子書籍版・徳間文庫)

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電子書籍のレビューは初めて。とにかく、五味の本が読みたくてiPad miniを買い、電子書籍を購入したといっても過言ではない。絶版本がもっと読めるようなビジネスモデルが現れて欲しいものだ。

ともにhontoという、首都圏にある大型書店などがつくっているウェブストアで買い求める。1冊は600円弱。古本で集めるよりもおそらく安いだろうし、汚れなどもないのでありがたい。途中で読むのを止めても次にビューアーを立ち上げたときにそのページが表示されるし、しおりもつけられる。

で、内容だが、先月の「薄桜記」と同じく隻腕の剣士(高田左近と檜垣冴之介)が登場するところが興味深い。2作とも、である。相当五味康祐はこの隻腕剣士が好みだったに相違ない。
両作とも、「陰謀」がテーマであり、初めはまったくその陰謀の筋書きが見えてこない。謎なまま読み進めていくと徐々にその輪郭がおぼろげに見えてくる。登場人物も実在の人物、架空の人物が入り乱れ、場面の転換や登場人物の移動が多く、人物相関図を頭に描きながら読み進めていくうち、読者が心情を寄せる登場人物が定まっていく寸法になっている。エンタテインメントとしてはレベルが高く、「柳生武藝帳」が未完なのに対してちゃんとストーリーが完結している。

未完の「柳生武藝帳」よりもこちらの方が五味の最高傑作、という人もいるのはわかる気がする(私個人はいまだ「柳生武藝帳」の方が好き)。ただ、読み進めると時々頭をひねりたくなるような展開やディテールの疑問が湧く。「柳生天狗党」のラストはダークサイドのドン・柳生の冷酷非情を浮き彫りにするが、ちょっと話が飛びすぎな感じがするし、刀を置いて入らなければならない吉原で派手な刃傷沙汰が起こるのもどうかと思う。

「柳生武藝帳」のための助走と見ればいいかもしれない。

・光森 忠勝 著「カリスマサイクリスト 鳴嶋英雄の自転車の楽しみ方」(電子書籍版・朝日新聞出版)
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最近刊なので、電子書籍版でも1100円した。「なるしまフレンド」というのは東京でも有名なロード中心のサイクルショップで、そこのオーナーが鳴嶋英雄である。ショップが先なのかサイクリングクラブが先なのか、ショップがクラブを支える手段と読めるが、両輪として成り立っているようだ。毎年八ケ岳までクラブ員を引き連れてツーリングが催されるらしい。なかなかタフなツーリングである。

この月は、電子書籍が読めるのが嬉しくて、無料の青空文庫(著作権切れの古典をボランティア精神でアップロードしている)にアクセスし、永井荷風の短編なども読んでみた。有名な「濹東綺譚」も読んでみたが、なるほど「奇譚」であった。