2016年10月に読んだ本から

レビューを書くのが面倒くさいが、読書の秋だし、久々に再開してみるか・・
もっと多くの本を読んではいるが、中でも印象に残った本のみを掲載することにする。

・二宮 敦人 「最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常」(新潮社)
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言われてみれば、芸術系大学の中で東京芸大だけが美術と音楽が同居する大学だ。ここに集う変人学生たちはとても面白い。

・内澤 旬子 著「漂うままに島に着き」(朝日新聞出版)
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屠畜紀行や癌など、自分自身で体験・実行したことをまとめてきた著者が、ついに東京を捨てて小豆島へ生活基盤を移すことになった。その顛末記。東京はオリンピック関連のニュースで大騒ぎ。いっそ返上した方がいいのでは?と思う。そういう点で東京に対する思いは私も著者と同じだ。しかし、地方に行っても仕事の面で潰しが利かないからなあ・・


・加藤 陽子 著「戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗」(朝日出版社)
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「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」と同じ形式をとった続編。はっとさせられることが多かった。トピックが少し飛び飛びになっていて、少々わかりにくいところも。

・角幡 唯介 著「漂流」(新潮社)
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著者は極地探検などを自身でしながらルポを書いている、とのことだが、私は過去に著者の本を読んだことがなく、この本が初の出会いだった。漂流物には目がないので手が出て購入に至ったが、海のことを題材に書くのは始めてのようだ。著者が追っているのは人生で2度漂流し、2度目の漂流からは生還していない伊良部島佐良浜の漁師の木村実。追跡の過程で宮古島に近い伊良部島の漁業史を描いたり、自身のマグロ漁船体験を書いたり、グァムやフィリピンで木村と交錯した人物にインタビューしている。追跡している本人があまり痕跡を残さずに2度の遭難から生還していないのだから、周辺から攻めていくほかないのである。非常に圧巻で、読みごたえがあった。著者の他のルポもぜひ読んでみたくなった。

上記の本はすべて弊社図書館に寄贈したか、関心のありそうな人に進呈してしまった。