映画「ブルージャイアント」

先日、「読んだ本」でブルージャイアントの映画を見たことを記した。
もう一度観賞したい気持ちが強くなり、2度目を観に行った。1回目は新宿歌舞伎町、2回目は日本橋。いずれも平日午前中の大スクリーン、DolbyAtmosで。新宿ではお尻から振動が伝わってきたのだが、日本橋ではそこまでの振動はなかったが音響はよかった。
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2回目になると落ち着いて細部にこだわることができそうだったが、話の進行とサントラ盤の音楽の順番が同じで、冒頭のコルトレーンの名曲「impressions」からのめり込んだ。
この「impressions」、劇中主人公の宮本大が隅田川のほとりで一人演奏している時にもソロインプロビゼーションとして出てくる。残念ながら後者はサントラ盤には収録されていないが、個人的にはソロの方が好きだ。また、カツシカジャズフェスティバルで演奏する「first note」と最後に演奏される同曲ではしっかりバージョンが異なることもわかった(同じバージョンではドッチラケになってしまうので当然だが・・)。

映像に東京のあちこちが描かれ、特に隅田川やスカイツリーが出てくるところが東京下町在住民としては嬉しい。前半に出てくる永代橋は毎日の通勤ルート上にある。葛西臨海公園や晴海埠頭公園がでてくるところを見ると、主人公の宮本大と同級生の玉田が住んでいるところはおそらく江東区だろう。玉田は大学生(早稲田大学)だから中央区にはなかなか住めないはず。ちなみに、仙台での出身高校は「青葉二高」だが、早稲田大学に進学できる進学校としては仙台二高がモデルに違いない。

主人公が夜の屋外練習場として探し当てた場所は永代橋と清洲橋の間にある隅田川大橋(首都高と一般道の二重構造)のたもとだということは映画、原作漫画ともに推測できる。だが原作漫画のコマをよーく見ると、実は岸沿いの水の中と橋の下に大きな石が配置されていて川面の高さが足下に近いところだとわかる。この川べりは足下より水面がだいぶ下にある隅田川ではなく、旧中川の河川敷に酷似している。隅田川の岸辺をリアルに描くと主人公と川が遠くなってしまうので、旧中川の写真を参考にして混ぜたのではないかと思われる。ただし、旧中川にはフェンスがない。

演奏中の、歪めたり輝いたり抽象化されたり、情熱のほとばしりやこれでもかというカット割りが好きだ。大音量で音楽に浸っていると、中盤くらいから自然に涙が出てきてしまう。これは1度目も2度目も同じ。今回も感動して日本橋コレドを後にした。ちょうどお昼休みになった時間帯で、あちこちにキッチンカーや弁当売りの軽自動車が出ていて、オフィスから昼食のために出てくる社会人の多さにうろたえた。平日の日本橋ってこんな感じなんだなと思いつつ、隅田川まで歩いて両国駅まで行こうと江戸通り沿いを歩いたが、そういえば江戸通りはそのままダイレクトに浅草橋駅前を北上するのだった。