11月に読んだ本から

・開沼博 著「『フクシマ』論 原子力ムラはなぜ生まれたのか」(青土社)
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東大院生の学術論文。新聞などで話題にされている。
論文なので、全体の3分の1くらいは研究の方法論などに当てられていて、取っ付きにくいが、丁寧に読んでいると理解できるし、本論や考察にも関わってくる。
この本がユニークのは、「原子力ムラ」という言葉が、原発を受け入れた福島県の町村にも用いられていることだ。メディアで取り上げられる「原子力ムラ」とは原発推進の電力会社、御用学者などに用いるのが普通だが、原発が存在する町村も構造的に原発を受け入れざるを得なくなった歴史と雇用事情があることから筆者が用いた用語である。最初はとても違和感がある。読み進めていくとそれなりにこの用語を原発立地町村に用いることにも少し納得する。