2月に読んだ本

・堤未果著「ルポ 貧困大国アメリカ2」(岩波新書)


「貧困大国アメリカ1」の方は読んでいないのだが、何となく手に取って借りてきた。読んでみたら衝撃的なアメリカの国内事情が目白押しで、かなりインパクトのある本だった。今月の一押し。
特に冒頭の、州財政の悪化に伴う州立大学の急速な学費値上げと学生のローン地獄に関してはうすら寒いものを感じた。いずれアメリカの後追いで日本の大学もこうなっていくのではないかという悪い予感がする。かつてアメリカの州立大学は学費無料だったのに、この本に書かれている現実は凄まじい。

・野田知祐著「ダムはいらない! 新・日本の川を旅する」(小学館)

久しぶりに野田さんの本を読んだ。河川行政に対する野田さんの舌鋒は相変わらず厳しい。私は川をカヤックで下ることは滅多にしないので詳しいことはわからないが、相当ひどくなっているようだ。購入本だが弊社図書館に寄贈。

・竹沢尚一郎著「社会とは何か システムからプロセスへ」(中公新書)

社会って何でしょうね?この本を読んでも今一つ明快な解答はない。17世紀の社会思想については新たな発見があったが、それ以外は読み込みが不足したのかあまり理解が深まらなかった。これも購入本だが弊社図書館に寄贈。

・島田裕巳著「教養としての日本宗教事件史」(河出ブックス)


著者はかつてオウム真理教関連で擁護論を展開したとしてバッシングを受けた宗教学者。古代からの宗教事件史を扱っていくのだが、特に最澄と空海の関係性についての記述が面白かった。読み進めていくと新宗教に関する記述が増えてくるのだが、著者のフィールドワークはヤマギシズムで、入会までして内部調査を行ったという。学生の時友人にそのシンパがいたけれど、いまのヤマギシズムはどうなっているんだろう?

・高橋敏著「清水次郎長 幕末維新と博徒の世界」(岩波新書)

言わずとしれた清水の大親分、清水次郎長についての歴史研究。通勤電車内で読んでいたのであまりしっかり頭に入らなかった。子分の大政、小政、石松などは知っているが、石松は博徒同士の衝突で落命しているとは知らなかったし、大政には教養があって次郎長の参謀役だったことも知らなかった。維新以後の次郎長の凋落ぶりも読んでいて悲しいが、博徒が畳の上で死んだこと自体も驚きではある。

ということで、2月も支離滅裂な読書であった。