5月に読んだ本

今月もメチャクチャな乱読。

・芹沢一也 ほか著「日本思想という病」(光文社 シノドス・リーディングズ)


これは大変面白かった。シノドス・リーディングズはこれで3冊すべて読んだが、いずれもはずれがなかった。中島岳志の講演と、高田理惠子の講演がなかなか良い。

・戸井十月 著「植木等伝 わかっちゃいるけどやめられない」(小学館文庫)

新聞書評につられて購入。クレージーキャッツやその他の和製ジャズバンドの創成期が生き生きと描かれている。

・立石博高・篠原琢編「国民国家と市民 包摂と排除の諸相」(山川出版社)


・マイク・モラスキー著「戦後日本のジャズ文化 映画・文学・アングラ」(青土社)

同じ著者の本を3冊立て続けに読んでみた。新聞書評に「ジャズ文化論」が掲載されていたのが刺激となった。マイク・モラスキーは日本の大学でも教鞭をとる日本文化論の研究者であるが、著作はすべて英語からの翻訳ではなく、日本語で書かれている。沖縄とジャズと映画と文学を縦横無尽にめぐるところが新鮮だった。実は私はジャズ喫茶なるものに入った記憶はないのだが、モラスキー氏がいうジャズ喫茶の位置づけは大変ユニークで面白い。お勧めである。


「その言葉、異議あり! 笑える日米文化批評集」(中公新書ラクレ)


「ジャズ喫茶論 戦後の日本文化を歩く」(筑摩書店)


・堀江則雄 著「ユーラシア胎動 ロシア・中国・中央アジア」(岩波新書)

ユーラシア大陸の大国、ロシアと中国と、そこにに接する中央アジア国家の連携について書かれている。日本はこの方面の外交でもずいぶん立ち後れていることがわかる。

・岡本哲志 著「港町のかたち その形成と変容」(法政大学出版局)

古代から形成されてきた港町について、地図入りで丁寧に説明されている。特に瀬戸内海沿岸の港町が取り上げられており、あまり馴染みがない港町は多い(しかし鞆の浦には行ったことがある)が、特に太古は海面が現在より数メートル上昇しており、いにしえの民が好んで港町にした地形には共通点がある。風が大敵だった港町では、港に前島が付属していることが条件だったのだ。