ステップで、かぐら霧ノ塔・雁が峰

一週間週末スキーを空けた。16日の日曜日、天気予報が好転したので、西吾妻山に行こうと思ったが、写真を見るとかなり密林を登らなくてはならないような気がして、かぐらスキー場から霧ノ塔・雁が峰を経てゴンドラ下のコースに出るルートに切り替えた。久しぶりのかぐらバックカントリー、しかもまた単独。

今回はステップソールで極力シールを使わずに歩くつもり。結果、気温が上がってザラメになったので機動力を発揮して3時間弱で終わってしまった。やはりこのコースは雪質と天候に恵まれれば、ノーシールでステップソール(ウロコ板)の方が行動が敏速になる。

朝5時20分ころに自宅を出る。もう明るい時間だ。順調に首都高・外環・関越を走って、8時ころかぐらスキー場のみつまた駐車場にたどり着いた。山から戻ってきたら駐車場は料金所あたりまで埋まっていたので、それなりに客が来ているが、下山コースの方までいっぱいになってるわけではない。

リフト券を久しぶりに買う。いろいろと乗り継がないと山頂近くまで行かれないので、一日券(4,700円)を買う。半日券でも行かれそうだが、13時を回ると一日券との差額を払わなければならないのでリスクが高い。しかしリフト券は高いよね。

かぐらゴンドラは少し太い板だとラックに入らないし、177cmのG3finderだと中に持ち込んでもつかえてしまう。ぜひスキーラックの形状を工夫してもらいたいものだが、機械力で1800m以上まで連れていってもらっているので文句は言えないか?

9時20分ころ、ゲレンデからのゲート前で登山届を提出し、自動のビーコンチェックを通過してゲート外に出る。ゲート部分だけはスキーを脱がないとウロコ板では登れない斜度だった。多くの人がこれから登ろうとしているが、みなシール装着に時間がかかっている。私だけウロコ板なのでそのままスタスタ歩き始めた。G3finderのウロコの効きはたいへんよろしい。最初はシール登行の人々と同じような斜度でも無理なく登れた。最初の1984mピーク手前までで約30分。きれいな雪面だったので標高差50mほど滑ってみた。雪は素直で、テレマークターンが決まる。これはいいぞ。

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定番の苗場山

そのままうねった尾根筋を滑り、1920mピークで10時20分。その後「三角」の急斜面は直登せず、右から巻いた。ATスキーでVoileの極太ウロコ板を履いて登っている人がいたが、シールで登っていた。一言二言言葉を交わしたが、私がノーシールでここまで来たことに驚いていた。ご本人は「まだウロコ慣れしていない」のでシールをつけていると言っていたが、拇指球で曲がらないブーツとtechビンディングでウロコは効くのだろうか?

「三角」を巻いたらそのまま休憩なしで霧ノ塔まで。山頂で11時。時間に余裕が出てきたので、「三角」から尾根を一本滑れば良かった。北東側のピークに滑り込む前に少しだけ滑ってから登った。

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ハイライトへ

さて、ここからハイライトである。ここまでで他の人々を何人か抜かしてしまったようで、滑り出しはこの日の2・3番手くらいだったようだ。悪雪だと苦しむが、どうやら今日はきれいにターンさせてもらえそうだ。気持ちよくターンして、ちょっと寄り道して1886mピーク手前まで。黒岩の平の北側の斜面も滑りやすかった。浅い沢で一休みして、尾根を巻いて雁が峰へ。右手は大きなクラックが何本も見えている。雁が峰へはわずかに登るが、ここもウロコ板だとストレスフリー。雁が峰山頂には、前夜テント泊したらしい集団が10名ほど。みなtechビンディングのATスキーだ。

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せっかくのシュプールがよく見えない
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雁が峰と巨大なクラック

12時に雁が峰山頂を後にする。最初の緩斜面ではウロコが邪魔してスピードが出ない。「檜屋敷」まではそれでも滑りやすかったが、最後の急斜面は雪が重くて難儀した。アルペンターンでやり過ごすが、滑った後からナットウ雪崩が起こるので真下に向かって滑れず、トラバース気味に高度を下げた。

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ゴンドラ下の連絡コースに出たのは12時20分。あとはスピードが乗らないウロコ板でタラタラと降るだけ。最後のリフトも13時前に乗れたので、結果半日券を買っていれば1,200円ほどお得だったのだが、これは仕方ない。最後にかぐら名物「下山コース」に入ろうとしたが、まだ午後も浅くオープンしていないようなので待ちきれずみつまたロープウェイで下山。チケット売り場で下山報告をして終了。

帰りも関越の渋滞が発生する直前に通り抜けられたようだ。近所で給油して、車を片づけ、ウィンターワイパーをようやく取り換えて帰宅しても16時台だった。車のスタッドレスタイヤを夏タイヤに履き替えるか、このまま夏もスタッドレスを使って秋に新しいスタッドレスにするか、悩ましいところだ。

三岩岳・行きはよいよい帰りは・・

満を持して南会津の三岩岳に単独で登り、滑った。登りは標高差1200mをよく登ったと自分で思うが、降りはクラスト&生コン雪でほとんど何もさせてもらえなかった。徒労感の大きい山行であった。

天気予報を眺めつつ、4月2日の日曜日が"The Day"だと思った。もし登りがサクサク行って時間に余裕があれば窓明山まで周遊してくるとよいのだが、単独であの雪庇近くの稜線を歩くのは危険だ。稜線伝いに歩く必要のないルートも想定してはいるのだが、何にしても単独はまずい。三岩岳の往復にして、それでも余力があるなら翌日窓明山だけにしたからアプローチしてもいい。3日夕方には雨または雪の予報で、自分の体力と判断力がしっかりしていれば滞在を一日伸ばしてもいいと思えた。結果は三岩岳山頂往復だけで終わってしまったのだが・・

前日の1日夜に南会津の道の駅「番屋」まで行く。高畑スキー場への道中なので通い慣れた道だ。もう路面の凍結もないだろう。道の駅で車中泊して、翌日5時40分に目覚め、準備して登山口に向かう。しかし途中で再びもよおしてきて、営業最終日の高畑スキー場のセカンドハウスのトイレをお借りする。ゲレンデに入ってないのに緊急事態で申し訳ない。

登山口の路側帯にはすでに6台くらいの車が止まっていて、準備を始めていた。みな同じ集団のようだ。集団に遅れた3人が私より少し先に歩き始めている。7時30分過ぎに私も歩き始め、夏道の国体コースの尾根を登り始めた。とにかくこの山は最初が急で尾根が細い。先行する3人のうちの女性がスキー操作に手間取っていて、一人の男性にサポートしてもらっている。あまり慣れていないのか?ルートが選べる場所で抜かせてもらった。どうやらこの2人も、少し先行した1人も、そのまた先に登っている6〜7名も、同じパーティのようだ。どうしてバラバラになるんだろう?

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樹間から三つ岩が見える
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だいぶ尾根が広がってきた

細い尾根をクリアして、980mほどの鞍部に来た。沢の方から登ってきてここで合流するトレースがあった。帰りはこの沢を滑ってもいいかと思いつつ、さらに高度を上げる。1309mの広いピークは巻いて、沢道との合流点で9時45分。一息入れて、ここから標高差400m一本調子で上がっていく尾根を登って行く。幸い、先行者のトレースがあってコース取りは楽だ。しかしヒイコラ言って11時10分ころそれまでのキツイ尾根をクリア。メロウな斜面がここから始まる。

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標高差400m尾根の半分まで来た
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だいぶ近づいてきた

11時40分ころ、避難小屋のあるべき場所に到達するが、すべて雪の下なのか、建物の陰も形もない。尾根の上部あたりから風も吹いてきているので、身体が冷えないようにさらに登る。雪面にはシュカブラが見られ、滑るにはあまりよろしくない状況だ。次第に斜面は緩くなるのだが、結構長く感じる。先行していた6〜7名がめいめいに滑り降りてくる。滑っているところを見てもバラバラで、1つのパーティのようには見えない。

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窓明山方面の尾根にデカイ雪庇が・・
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山頂直下の半モンスター

12時30分に見覚えのある三岩岳山頂にたどり着き、夏道のない2070mの最高地点に足を伸ばし、12時40分に到着。会津駒や燧ヶ岳、日光白根もよく見える。若干風があるので体温を奪われる。早々にパンをかじり、シールを剥がして滑降準備を整え、13時に滑降開始。

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会津駒方面

滑り始めてすぐに、これは手ごわいと感じた。クラスト・シュカブラによる段差、テレマークターンはかろうじてできる程度で、先のことを考えると安全にスピードを殺して滑るほかない。最初の急な尾根で抜かせてもらった3人のうち男性2名とすれ違う。あれ、女性は?と尋ねたら下の方で登っているという。ちょっとなーと思いつつ、出会ったらそこで待っていてくれと伝言を頼まれる。こちららからも、質問として980mからスキーヤーズレフトの沢を下ったことがあるか聞いてみたが、やはり危ないので降ったことはないとのこと。私も単独で午後の腐れ雪の表層雪崩に巻き込まれる危険は避けたいので、素直に尾根筋で降ることにした。

1人取り残された女性は避難小屋のあたりにいるだろうかと思ったが姿はみえず、1699mから標高差400mの尾根を滑り始めたら出くわした。周辺に木がなく風を遮れないので、シールを剥がしてもう少し高度を下げたところで待っていたらどうですかとアドバイスし、彼女がスキーを履くまでとどまっていたが、その女性が作業中ずっとしゃべっているのでだんだん聞くのも億劫になり、準備ができて樹林帯まで降りたところで先行させてもらった。しかしおしゃべりのおかげで彼らがどういうパーティかわかった。要するに福島のバックカントリースキーの団体なのだが、混成部隊になるらしい。力量の差も大きいので同じ山に行っても行動がバラバラになるようだ。それなら10人ものパーティを組まなくてもいいのに。

1309mピークを高まわりして細い尾根に入り込んだらあとは苦行となった。よくいえば総合力が試される細尾根だが、実態はめちゃくちゃ重い生コン雪でターンができる幅もなく、ワンステップターン・ツーステップターン・斜滑降・キックターン・横滑りなどを駆使して下降した。最後に沢状地形に入り込んだがここもクラックが多く、安全に降るのは難しい。14時50分、ようやく道路に出た。太もも、腰、ヒザの負担が大きかった。

うーん、長くあこがれた三岩岳を昨年初夏に下見をし、こうして春山にもスキーで登れたのだが、正直言って尾根筋を滑ってくるコースはスキー向きではないと感じた。本当は沢に入り込んで豪快な滑降ができればいいのだが、沢の両側の尾根が急なうえに、単独ではリスクが高すぎる。

汗みどろのウェアを車中で取り換え、例によって湯ノ花温泉に向かい、200円で生き返る。東北道に乗ったら大きな事故渋滞が発生していて、岩舟JCTから先渋滞を抜けるのに2時間以上かかるという。上河内SAで夕飯を食べながら作戦変更し、北関東道を水戸方面に走って途中で新4号バイパスに乗ることにした。新4号はいつもより交通量が多かったが、2時間渋滞に巻き込まれるよりはおそらく速く、草加から安行方面に折れて首都高で帰宅した。

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赤=登り、青=降り