会津・舟鼻峠〜新鳥居峠〜駒止峠

台風19号が近づいているが、関東地方は12日の日曜日いっぱいは大丈夫そうだ。連休なので本当はもう少し計画的に泊まりを伴うサイクリングなどしたかったけれど、もともと行き当たりばったりな性格な上に、台風まで来たのでは前々から計画していなかった方がよかったかもしれない。

土曜日の午後から選ぶべきコースについていろいろと悩むが、やはり10月を迎え、行くなら紅葉を愛でつつ峠を上る方がいいだろうし、これから雪が降ってしまうと来年の初夏まで行かれない場所が今行くべき場所だろう。ということで会津にする。コースは、
会津のサイクリングコースをウェブ上に紹介してくださっている方から拝借。会津鉄道の会津田島駅を起点に昭和村と南会津町の北部をぐるっと周遊するルート。基本的には3ケタ国道400号、401号、289号に沿うが、できるかぎり旧道の峠を抜ける。

ルート上にある舟鼻峠・新鳥居峠・駒止峠を全て走れば、獲得標高は1540mになる。が、実際には舟鼻峠の旧道は走れず、舟鼻トンネルを通過したので70mほど少ない。会津は昨年秋に会津高原尾瀬口駅から会津田島をかすめて大内宿を経て会津若松に下って以来である。

アプローチはいつものように北千住から東武線で。6時31分発の最初の区間快速(あの、輪行向きでないクロスシート)に乗るのがベストだが、連休で相当混んでいることが予想されたのと、自宅から北千住駅で列車に乗るまでの時間的余裕が欲しかったので敢えて7時21分発の区間快速に乗ることにした。入線の数分前にホームに着いたらすでに10人前後の列ができていたので少し焦る。が、ドア横の2人掛けシートに座ることができ、乗客の中には春日部あたりで降りる人もいた(そのかわり春日部からはハイキングの団体が乗り込んでくるが)のでラッキーだった。下今市で後ろ2両、鬼怒川温泉でまた後ろ2両を切り離し、野岩鉄道に乗り入れていく。車内で新藤原から会津田島までの乗車券(1690円。北千住〜会津田島間の半額以上!)を購入させられた。乗り込んだ時の磁気カードでは現地で精算ができないらしい。磁気カードは帰りに東武線の駅で精算するように言われる。東武はポスターでに会津への旅行を宣伝しているのに、乗り入れている会津鉄道で磁気カードの処理ができないとは知らなかった。できたら改善して欲しい。

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会津田島駅前にて

会津田島到着は10時40分。関東平野は曇っていたが、会津は快晴だ。時間がもったいなく感じる。自転車の組み立てをすばやくして、10時55分には走り始めた。交通量が少ない北側の山に沿った道を使って国道400号に出、あとはゆるい坂を登って行く。右手に昨年走った林道と山が見える。田島ダムが近づくと直線的で斜度のある上り坂に疲れてくる。1本目の短いトンネルを抜けたのちに左手に旧峠道への入り口が出てくるが、ガードレールで閉鎖されている。それでもと思って少し入ってみるものの、すぐにゲートがあって進入禁止だ。ゲートの向こうは荒れているし、あきらめやすい状況でよかった。国道に戻ってフロントライトをハンドルエンドのステーに装着し、高野トンネルに進入する。トンネルも長さ1.5kmもあるととても怖い。

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高野地区

トンネルを出て、昨年通った戸赤に向かう県道との分岐を過ぎ、標高を上げていく。平均的には5%程度だが、ところどころ10%くらいの斜度もあってなかなかキツイ。ヘアピンカーブを抜けると舟鼻峠に至る分岐があるのだが、ここもロープが張ってあって「入山禁止」とある。山菜・キノコの盗掘が多いんだろう。舟鼻峠のピークはあきらめ、舟鼻トンネル(これまた怖い)で昭和村に入る。
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400号線をのぼる
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舟鼻峠近く

7〜8%の急な下りを3km程下り、国道から別れて川沿いの道を下っていく。この道は斜度も緩く、川に絡んでいることもあってとても気持ちがいい。思わず鼻歌や独り言が出てしまうほどの、最近のベストロードだった。川の淵が見えるところで、田島で買ったおにぎりを食べることにした。12時10分ほど。

さらに下っていくと、大芦のしっとりした集落が見えてくる。ここで本日唯一のサイクリストとすれ違う。大芦集落にはこじゃれた「ファーマーズカフェ」があったけれど、さっきおにぎりを食べてしまったし、バイク乗りが集団で休憩中だったので通過。するとすぐに新鳥居峠への上りが始まった。

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大芦の集落
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集落の中を通っていく

最初は8%前後のあごが出る坂で、私の嫌いな直線的な道路。カーブを抜けてひたすら向こうまでだらだら坂が続いているのを見ると嫌気が差してくる。その後平坦になったり若干下ったりして、最後にまた強烈なつづら折れの上りが来る。駒止湿原に裏から到達する道の標識があったが、おそらく途中からダートになるはずだ。今回はパス。

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峠の途中で湧き水発見、補給する(12時45分)
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右のカーブをのぼって行く。左には駒止湿原への道(おそらく途中からダート?)

新鳥居峠のピーク(842m)には13時10分に到着。写真を撮って下る。標高800m以上の山では紅葉が進んでいて、午後の光を浴びてきれいだ。

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わかりにくいが、ヘアピンカーブの連続
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峠ピークから振り返る
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新鳥居峠は約830m。大芦集落から200m強の標高差だが、数値以上に厳しい

401号線を下りきったところに南郷スキー場がある。向かい側のホテルは雪がないとかなり風景から浮いている。ここから国道289号になり、交通量が増す。標高は500mで、会津田島駅よりも50mほど低い。集落の中の旧道をなるべく走るようにするのだが、本当は伊奈川の対岸の道路を走った方が平和なようだ。しばらくして、「きらら289」という道の駅兼立ちより温泉施設に到着。これから駒止峠を登る前に、休憩をしておく。田島で買ったコーラのペットボトルを飲み干し、少し行動食を食べるが、ドライブの車やツーリングライダーが皆ここで止まるので、なんだか落ち着かない。そそくさと走り始めてしまった。13時50分。

5kmほど、交通量の多い国道を上って行く。平均4%程度。旧道への分岐で小休止してのぼりにかかる。平均斜度は7〜8%らしいが、ヘアピンカーブの切り方が優しくない。カーブ部分でグッとのぼる感じがするので、特に斜度のキツイ左カーブは右にはみ出て回っていく。時々車やオフロードバイクが追い抜いたり対向したりするので気が抜けない。しかも今日最後の一番キツイ上りで、隙あらば止まりたい。バイクはともかく、車が来る音がすると脇によって停止して若干休憩する。そうこうしながらのぼって行くと、紅葉がきれいなエリアに入ってきた。時間は14時台に入り、頂上を15時前に抜けられれば、16時発の乗り換えの無い区間快速に乗れそうだ、などという考えが頭をよぎる。標高1137mの頂上には標識なく、山側にお地蔵さんか馬頭観音が祀られていただけだった。写真も撮らず、かつてあった「峠の茶屋」の跡をちゃんと見ることもなく、駒止湿原入り口の分岐に向かって下り始めてしまった。こうなったらもう一度のぼり返す気力は湧いてこない。寒いのでジャケットを着るが、それ以外は止まることなく峠を下りきる。最初はヘアピンカーブも多いのだが、かなりスピードも出してしまった。

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駒止峠手前の紅葉(14時55分)
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七ヶ岳方面が遠くに見える絶景の下り坂
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下りきったところに美しい木がすっくと立っていた

15時20分、再び国道に出て、あとは集落内の旧道を使いながら30km平均で田島を目指す。15時40分、駅に戻ってきた。ツーリングの時間は5時間。周辺探索もできず、喫茶店でくつろぐこともなく、自転車を輪行袋に入れて切符を買ったら発車まであと数分。台風の予報に反して13日も午前中は曇りベースで天気は持つので、どこかに泊まってのんびりしてもいいのだが、この電車に乗れてしまった以上は帰った方がいいかも。だが、行きは3時間20分だった移動時間が、帰りの区間快速だとほぼ4時間である。この列車が栃木あたりまでずっと各駅停車だということが大きいが、列車輪行移動に7時間20分、ツーリングの正味5時間弱って、ちょっと本末転倒な気がする。帰りの電車では腰が痛くなった。

8時、北千住駅の猥雑な街で再び自転車を組み立て、一気に自宅まで戻った。北千住駅での自転車組み立てから自宅着まで30分以内で済んだのは最短記録である。会津田島からのツーリング距離は71km、自宅と北千住駅の往復で14km。