輪行・渡良瀬遊水池から

連休の日曜日、風がおさまることを期待して女房と輪行サイクリングに行った。北風がまだ残っていそうなので、行きは輪行、渡良瀬遊水池から南下して自宅へ帰ってくる追い風便乗サイクリングだ。

女房は現在、ロードバイクをオーダー中だが、秋にはでき上がるという言葉は虚しいままで、まだ10年以上乗り続けたクロスバイク(スペシャライズド・シラス)で初の輪行だ。

8時すぎに自宅を出て、いつもの輪行開始地点、北千住駅へ。先日と同様に東口の入り口で自転車をバラし、9時21分の東武日光・会津田島行きに乗ろうとする。南会津まで行った先日はキップを買ったが、今回は東武線内の板倉東洋大前までなので磁気カードで改札をくぐれる。しかし、目的の列車には10分以上前から列車待ちの列ができていて、かなり混みそう。急遽計画を変更して急行館林行きが入線して空いていたので乗ってしまう。

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背の低い人は横型輪行バッグの方が使いやすい

東武線の路線図も頭にちゃんと入っていないのに空いている列車に飛び乗ってしまったので、どこかで乗り換えなければ。結局、越谷と南栗橋で2回乗り換えて板倉東洋大前へ向かった。幸い、乗り換えた列車がいずれも空いていて、他の乗客の邪魔になることはなかったし、直通なら50分弱で着くところを少々オーバーしただけで事無きを得た。南栗橋の駅では、私たちの輪行バッグを目にした80歳のおじいさんが声をかけてきて少し話をした。聞けば、元ロードレーサーだそう。競輪選手をめざしたが体質的に向いていなかったためロードに転向、私たちが生まれた頃に東京〜名古屋まで400kmを一日で走ったそうだ。そのためなのか、おじいさんはとても足腰がしっかりしているようで、年齢よりもはるかに若く見えた。来週はさいたまクリテリウムがあってすごい選手が来るから見に行けたら行った方がいいとのお言葉。ツールを走った選手が来日するイベントをご存知とは、このおじいさんの言っている事はハッタリではない。

板倉東洋大前に11時前に着いて、無駄に広く人がいない駅前で自転車を組み立て、11時20分ころ走り始める。すぐに渡良瀬遊水池で、ほぼ1周して道の駅きたかわべでお昼にした。女房は見渡す限りの遊水池が気に入ったようだが、かなり風が強い。北東から吹いてくる風だ。

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渡良瀬サイクリングロード
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女房頑張る。北関東の山並みが見える
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利根川にかかる新幹線の鉄橋

13時ころ道の駅を後にして、5月連休に一人で北上した時の逆コース、渡良瀬サイクリングロードから利根川サイクリングロードへ向かった。やや斜め後ろからの強風だが、対向してくるサイクリストの表情を見ると一様に歯を食いしばっているので、こちらは天国である。利根川左岸から右岸へ新利根川大橋では渡らず、もう一つ下流の境大橋で渡って、関宿城で大休止。その後は江戸川サイクリングロード左岸をひたすら南下。時々女房と離れてしまうので待ちを入れ、休憩を挟みつつ、三郷橋で右岸に渡って17時の日暮れ直前に柴又まで帰ってきた。最後の休憩に帝釈天前の団子屋で行動食を補給して、暗くなった葛飾区を横断、初めて真っ暗な中荒川中土手を走った。

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関宿城
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筑波山。スマホのカメラでズームしたらブレるし画質悪い

18時自宅着、総距離93km。平均スピードは19.9kmだった。

翌日、かなり年季が入って剥げかかっているバーテープを新しく巻いた。茶色から赤に変更。最初は引っ張り方が甘く、テープのロゴがちゃんと見えない向きに張ってしまった。もう半分を2人がかりでやったらきれいにいった。出来不出来がわかりやすく、見た目が悪いので最初に巻いた方も修正して巻き直した。厄介なのは、古いバーテープの接着剤がハンドルにかなり残ってしまうことで、これをそぎ落とすのに大半の時間を要した。次回からはもう少しうまく交換したいし、あまり長い間交換しないとよろしくないみたいなので、気分転換に時々替えてみよう。

南会津・輪行サイクリング

9月末、ようやくサイクリング向きの気候になってきた。輪行ツーリングで遠くへ行きたくて、佐渡一周を第一候補にしていたが、連休がない仕事なので、弾丸ツアーになってしまう。佐渡一周には島内で二日、移動にもう一日は欲しい。そこで、第二候補の会津へ行くことにした。

まず往路の輪行は北千住から東武線を使って野岩鉄道の会津高原尾瀬口へ行く。朝6時30分か7時20分発の電車なら、乗り換えなしで直行できる。朝5時起きして北千住駅まで7kmほど自走し、6時チョイ前から駅前で輪行準備。ここで列車の発車時刻を10分早く勘違いして焦り、準備完了したのが6時21分。実際はまだ10分ほどあったのに、もう出発してしまったものと勘違いしてもたもたしているうちに実際の発車時刻になってしまったようだ。券売機前に行くと輪行バッグを抱えた人が改札を抜けるところだったが、あまり疑問を抱かなかった。特急に乗ればどこかで追い抜くだろうからと特急指定券を1,400円出して買ってしまう。これがまた二重の勘違い。買った特急券は「けごん1号」7時40分発のもの。それを6時台の列車と思い込んでいた。特急券を買ったところで、先発した直通快速列車に追いつくことはできなかったのだ。特急ホームに入る改札で駅員さんから上記のことを指摘されてようやく気づく。起きてからここまでまったく頭が働いていない。北千住までの最短ルートも間違えたし・・・

結局、親切な駅員さんの提案で特急券を払い戻し、7時20分発の快速に乗る。指定券を買った「けごん1号」はこの快速に下今市で追いつく列車だった・・・出かける前に第一候補の早い列車と第二候補の遅い列車の時刻を正確に把握していなかったのが最大の原因だ。要するに、一本目の快速にどうしても乗る、という早起きの覚悟が不十分だった。それでも約50分遅れで10時20分に会津高原尾瀬口駅に降り立つ。
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会津高原尾瀬口駅前

まず、駅舎の外で自転車を組み立てる。外したフェンダーやハンドルの取り付けが面倒だが、ブレーキケーブルまで外すフォーク抜き輪行よりは格段に楽。なぜハンドルを外しているかというと、フロントフェンダーがある分、フォークを直立させ、ハンドルを外さないと輪行袋に入らないのだ。その後駅内の食堂で蕎麦を食べ、11時ちょうどに出発。最初はスキーの時にたびたび走る道で、勝手知ったるゆるい降り基調。快走ルートである。追い風も手伝ってアベレージ30kmは軽く出る。会津田島方面に向かいつつ、途中で阿賀川対岸の交通量少ない道路に乗り換え、会津田島の西側の運動公園や病院がある永田交差点に出た。

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会津田島近く

ここからは国道400号線を緩く登る。すぐに右手の立屋沢集落に入り、林道の看板から右手の坂へ入っていく。今日最初の峠越え、赤土峠に入る。林道なので車通りは全く無いが、坂はきつめ。最初の坂から降りて押すのはイヤなので、頑張って峠を越えた。標高差は約300m弱、峠到着は12時10分。峠の降りは快走して、県道346号線で土鑼入沢沿いに走る。ここも快走ルートで、時速40km近くは出る。ところどころに小さな集落があり、馬頭観音が祀られ、谷が開けてくると稲刈り作業中の田んぼも開けてきた。普段都会ばかりを走っているが、時にこういう長閑な県道を走るのはとても気分がいい。こういうルートを走るために今の自転車をつくったのだから。

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赤土峠
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戸石集落はずれの馬頭観音(こういう石仏が道路端に多い)
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いい感じの川と集落

標高500mあたりまで降ってから、再び中山峠へ北上する。道路沿いに歩道である旧下野街道への入り口があるが、登りカーブのところに清水がわき出ているところ(長寿の水)があり、水分を補給する。冷たい水でリフレッシュして、息も絶え絶えに峠の頂上へゆっくり登っていく。赤土峠もそうだったが、登りは情けなくなるほど息が上がるし、足腰にもきつく、スピードも10km未満だ。それでもやっと峠を越え、もう降り一方だろうと思ったらアップダウンがつづくだけで全く楽にならない。道の左手に大ケヤキがあったので思わず自転車を停めて写真を撮る。13時。700m近くの峠頂上は越えているのに、また760m近くまで登ることになる。「峠」という言葉にだまされた感じ。やっと少し降りになったと思ったらすぐに大内宿だ。

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八幡の大ケヤキと自転車

大内宿が近づくと、観光客でごった返していることが一目でわかる。日曜日だし、大河ドラマの影響もあるのだろう、駐車場への誘導員が立っている。以前(もう20年ほど前)来た時は春先だったこともあるし、平日だったせいか大規模な駐車場など記憶にないし、大内宿の家並み保存地区もそこまで観光地化されていなかったハズなのだが・・こんな状態ではゆったりお昼も食べられないので、証拠写真を撮って「べったら餅」と甘酒を流し込んでそそくさと後にする。13時30分。
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大内宿は大賑わい

また登り。しかし今日最後の登りだ。800mの大内ダムまであえぎながら登り、ダム湖の西側へ入る。13時50分。ダム湖に面しているのでここだけは平坦。会津若松をめざす自動車はダム湖の東側を走るので、交通量も皆無。ダム湖の北側に、地形図だと登山道になっているが、市野峠がある。これも林道で、ダム湖から峠まで標高差は100mほどしかないが、軽トラ四駆でないと登れないようなコンクリ舗装の急坂になる。さすがにもう体力的にも精神的にも峠を越えることはできず、自転車を押した(ネット情報でも皆押している)。急坂なだけに、押し歩いても峠頂上まではそんなに時間はかからない。峠到着14時。
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大内ダム湖
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市野峠

ここからは標高差600mくらいの降りだ。路面はアスファルトになったが、道幅は狭く、落葉や小さな落石があるので慎重に降る。かなりの急勾配で、絶対に逆から登りたくはない道。ブレーキレバーからは手が放せず、指のつけ根がいたくなるほど。止まってみるとリムがチンチンに熱くなっていた。きついカーブも少なくなって市野沢に沿った緩い降りになったあたりで地蔵清水発見。冷たい水をボトルに入れ替え、少し行動食を食べて降りを仕上げる。最奥の市野集落にはわずかな民家しか見当たらないが、イサベラ・バードは明治11年の6月ににここに泊まったそうだ。市野峠はイサベラ・バードが通った道とされている。市野集落14時30分。
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地蔵清水(こういう場所はぜひ停まりたい)
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市野集落のはずれの馬頭観音

集落が出てくればこっちのものだ。トラブっても何とかなりそうな気がする。谷も開けてきて、暗かった峠道とは事情が変わってくる。快走ルートになり、標高300mを割り込むと会津盆地の広さがわかる。県道330号線から県道128号線に乗り、東方向に見える会津若松の町を目指すが、今度は向かい風が強くて閉口した。会津磐梯山が遠くに見えている。全くのあてずっぽう走りで15時過ぎに会津若松駅にたどり着いた。
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会津盆地から磐梯山

輪行準備のため自転車をバラし、作業完了後にJRのきっぷを買う。郡山までは普通列車、そこから上のまでは新幹線。望み薄だったがなんとか車両最後部の席を確保して、16時21分の列車に乗る。猪苗代湖は車窓から見えないが、磐梯山はよく見える。約1時間で郡山につき、30分の乗り換え待ちの後に新幹線に乗り換えた。そこからは暴力的な早さで19時20分上野着、駅前で本日2回目の自転車組み立てをして、スカイツリーのふもとの浅草通りを一直線に帰ってきた。
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車窓からの磐梯山

自宅から北千住まで約7km、会津高原尾瀬口から会津若松駅まで約75km、上野から自宅まで約7km。平均時速は登りのトロさを降りでカバーして19km、最高速は50km、サイクリング所要時間は4時間チョイ。海でも山でもそうだが、単独だとどうしても急いでしまう。泊まりがけでもう少しのんびり走りたいものだ。

コースプロフィールは会津田島からほぼ同じコースを走破されている方がいますので、そちらのページを探して参考にして下さい。あるいは雑誌「シクロツーリストvol.7 東北特集」も参考になります。