カワサキW800の試乗・レンタル

大型自動二輪免許が手に入ったので、まずはお金をかけずバイクに乗る。一番はディーラーでの「試乗」だ。

カワサキW800シリーズ(ほとんどこれ以外に関心がない)にターゲットを絞りこみ、都内と千葉県の各店舗で2日間にわたって試乗を手配した。今どきはwebで申し込み手続し、折り返しディーラーからメールや電話が来て日時を確定させる方式だ。結局、W800streetを足立区のディーラーで、caféを同日に松戸と練馬のディーラーで試乗できた。caféの試乗日(3月最終土曜)は国道6号で激しい渋滞があったために2軒のハシゴで丸一日費やしてしまった。
道路が混んでいて、存分に走れるわけではなかったが、共通する空冷バーチカルツイン773ccのエンジンフィールを味わうことはできた。排気音も含め非常にいいエンジンだ。単気筒エンジンのバイクを所有して乗る機会が今まで多かった(4気筒エンジンは今まで一台だけ)が、ツインエンジンの独特さは味わいがある。

W800シリーズは4種あり、無印スタンダード、アップハンドルのstreet、前傾姿勢になるスワローハンドルのcafé、そして最後発のメグロK3となる。
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W800スタンダード

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W800street

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W800café(いずれもカワサキモーターサイクルHPより)

メグロは全く関心がないし試乗車は全くないので除外。無印スタンダードが最も興味あるバイクだがこれも試乗車は都内になく、よってstreetとcaféの試乗となった。結論は、どちらも狙いのツーリング用途には少し合わない。早く無印スタンダードに乗りたい(試乗に松戸へ行ったついでに流山にW800スタンダードの中古があると知ってわざわざそこまでおもむいて跨がったのは収穫だった)。

そうなるともう一択である。乗車時間が短い試乗を遠いディーラーに行ってすることは断念し、料金は高いが一日乗りまくれるレンタル(丸一日で1万7000円ほど)に切り替えて無印スタンダードに乗ることにする。
善は急げ、でレンタル819お台場店にW800スタンダードの8時間レンタルを申し込む。3月30日の予約がとれた。惜しむらくは店舗開店が11時と遅いことだ。もっと朝早くから借りられたらいいのに・・

レンタル当日、11時開店直前にレンタル819お台場店に到着し、手続きをして11時15分ころW800スタンダードに乗り始める。お台場から国道357で東京港をくぐり(昔は湾岸道路は13号地で行き止まりだったなあ。画期的トンネルで、首都高よりもスムーズに抜けられた)大井南ICから首都高湾岸線に乗る。バイクで高速を走ること自体が久しぶりだが、ETCで料金所を通過するのは初めてだ。昔のように小銭を料金所で出さずに済むのはありがたい。川崎浮島からこれまた久しぶりにアクアラインに進入。高速道路での風圧は結構なものなので、最初は時速80kmでそろそろと、慣れてきたら90〜100kmまで出してみるが、それ以上は無理。風圧に耐えられない。せめてメーターバイザーくらいあるといいのにな。

館山道で富津竹岡まで。二輪だと軽自動車と同料金で、近々半額になるらしいから財布に優しい。アクアライン、連絡道、館山道いずれも3ケタ料金だった。竹岡で内房の国道を南下して磯料理を食べようと思っていたが、目当ての店は休みで、そのまま金谷に行って食事どころを物色したところ、結構沢山の観光客が来ていて、大きな食堂は待たされそう。駐車場の反対側の小さな金谷食堂に入ったら、アジフライ定食が比較的早く出てきた。アジフライ2枚半がメインの定食で1,300円。結構いい値段だが、美味しかった。


竹岡にて(ボディカラーは黒く見えるがダークグリーン)

昼食後も国道127号を南下して、富浦から海沿いの県道に入って北条海岸沿いの道路を南下、そのまま洲崎方面へ。お台場でトイレに寄ってきたのになぜか頻尿気味。波左間あたりの公衆トイレに立ち寄る。洲崎灯台を右手に見て、そのまま通過して平砂浦方面へ。交通量がぐっと減って非常に走りやすくなった。快走して国道410号と合流、野島崎灯台方面へ。再び尿意をもよおしてRVパーク南房総白浜のトイレに立ち寄る。

ここからは安房グリーンラインで北上したかったのだが、分岐を見つけられずそのまま千倉まで国道410号を走り、線路沿いの県道で九重まで。九重から安房グリーンラインに乗り、道なりに北上して長挟街道へ。いったん鴨川方面に右折して、すぐに金束から県道88号線で峠越え。道路幅はかなり細くなって、ふた昔前の房総半島の標準的な道路が残っていた。国道456号に乗り換えて、狩野山の東側から県道92号線で北上、16時になったので時間に余裕を持ってバイクを返却すべく、君津インターから館山道に乗った。アクアラインには乗らず、館山道、東関東道、首都高を乗り継いで戻る。途中市原SAでトイレ休憩とナビでの到着時間計測。すでに16時30分で、いつもの穴川渋滞があるのでお台場まで2時間かかるらしい。
蘇我あたりから渋滞が始まり、少しすり抜けてみるが、覆面パトカーが赤灯を点滅させて走っていたのでその目の前からおとなしく走ることにした。ゆっくり流れているし、2速半クラで足はつかずに走れる。

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内陸北上中


W800スタンダードはハンドルの高さがちょうどよく、エストレヤよりも若干低くてハンドル幅が広い感じ。一番体にしっくり来るポジションだ。高速での時速100kmまでの加速は申し分なく、一般道ではもちろん時速60kmに達する時間は早くてトルク感のある加速が楽しめる。シフトチェンジをサボっても気持ちよく走れるのがツーリング向き。エストレヤよりは確実に重く210kgはあるが、取り回しは重くないしUターンも楽だ。ただし、借り物なので立ちゴケしないようにおっかなびっくり扱ってしまったところはある。飛ばし屋さんには物足りないかもしれないが、私としては申し分のないマシンだということがわかった。欲しい!

お台場でレインボーブリッジを渡ってしまう間違いをしたが、無事18時30分に返却完了。お店のお兄さんに「ご購入検討されていますか?」と聞かれ、首肯したら、「お金出してでも所有する価値のあるバイクですよ」と言われてしまった。

バイク免許の幅を拡大

年始からの緊急事態宣言をある程度真面目に受け入れていたので、遠出が憚られた。本来は感染リスクが最も低い活動であるバックカントリースキーもずっと自粛していた。そうこうしているうちに月日は過ぎていく。

なんだかもったいないので、1月末に近くの自動車教習所の門をたたいた。大型自動二輪免許を取得したいと思ったのだ。

今からちょうど30年前、試験場で一発試験による「限定解除」しか400ccオーバーのバイクに乗れなかった頃、鮫洲試験場で3回か4回ほどチャレンジしたことがある。練馬にあった「都民自動車教習所」に入所してひと夏大型二輪の練習をみっちりやった上でのトライだった。しかし試験場では完走させてもらえず、走り出してまもなく「検定中止」となることが重なった。「検定中止」の理由もちゃんと教えてくれなかったような気がする。頻繁に試験を受けることは許されておらず、ある程度間隔を置いて受検予約をしなくてはならず、その間の時間がもったいなくなった。すでに就職して3年ほど経っていたし家族も増えて、平日をこのために空けることが難しくなったこともあきらめた理由だった。

「限定解除」の制度が生みだされたこと、「落とすための検定」として「限定解除」を導入し、大きな意味もなく受検者を不合格にしてきたこと、受検機会が限られていたことなどを当時は恨んでいた(この試験の合格率は非常に低かった)。当時の「限定解除」について面白おかしく書かれた
こちらのページを参照あれ。

仮に「限定解除」ができたとしても、当時の日本国内の販売ルートでは750ccが上限だったし、オフロードバイクに好んで乗っていた自分にとっては、オンロードバイクの750ccのラインナップ(この時代の名車が揃っている)の中にどうしても乗りたいあこがれのバイクがあったわけではなく、逆輸入のホンダXR600(要するに大陸の砂漠地帯でラリーに用いられるバイク)に乗ってみたかっただけだった。もちろん、当時は今流行の「アドベンチャータイプ」なんぞはないし、輸入車もハーレーやBMW以外は販売チャネルがかなり限定されていた。

その後5年ほどして、自動二輪の免許制度は大型自動二輪免許が教習所で取得できるようになった(ハーレーなどからの外圧による「規制緩和」の一つ)のだが、最初は教習所も少なめ。さらに3年ほどしてからやむを得ない理由でバイクから降りたので、大型自動二輪免許は不要のものになった。

コロナの影響で、昨年初夏から18年ぶりにリターンして250ccのカワサキ・エストレヤに毎日乗っている。都内の道路で通勤に使うにはこれ以上ふさわしいバイクはないと思う。アンダーパワーだが、美しく磨き甲斐があり、燃費も都内でリッター28km。

だが郊外をツーリングするにはもう少しパワーが欲しくなってくるし、遠距離ツーリングではパワーに余裕を持って高速道路も使ってみたい。大型バイクの多くは趣味性の高いモデルが多く、ほとんど興味が湧かないが、エストレヤの親分のようなW800と、各社の650ccノンカウルバイク(CB650、XSR700、SV650)には興味を持った。実用域でのバランスがとれていそうで、下道(県道・市町村道・舗装林道レベルまで)を安全に楽しく走り、高速道路での移動でも余裕がありそうだ。だんだん乗ってみたい気持ちが強くなってきて、ついに教習所の門をたたいてしまった。

1月末から3月にかけては教習所が最も混む時期ではあるが、早い申し込みの方が早く終わる可能性が高い。相談すると、2月は実技教習ができないが、3月初旬から半ばにかけて集中的に教習を受け、検定を受けるプログラムをあらかじめ組んでくれた(あらかじめ全教習予定を組むには若干の金額上乗せが必要)。普通自動二輪免許所持者の大型自動二輪免許取得の最短教習時間は12時間(学科はなし)。2時間連続の教習日も3日ほどある。3月はそれなりに忙しいが自由裁量の時間も増えるので、このスケジュールなら何とかこなせる。こればっかりは仕事の予定よりも教習の予定を優先し、仕事による直前キャンセルをしないようにして、3月を迎えた。

始めてみるとバイクの教習は実に楽しい。普段乗れない大型バイク(例に漏れず最近の教習車はホンダNC750)のパワーと強力なトルクを味わえるし、今どきの教習車は車重が軽く昔の400cc並に扱いやすい。初めの方では緊張して肩と腕に力が入ってしまって操作がぎこちなく、自分でもスラロームや一本橋、クランク走行などがうまくいかなかったが、最後の方ではある教官からそれを指摘されてずいぶん楽になった。絶対に失敗しない、という確信が持てるほどまで追い込んだわけではなくて検定も不安だらけだったが、12時間で見極めをもらい、検定日には何とか合格できた。あっけなく、教習をもう受けられないことが寂しくもあった。

コツは、自分の練習を信じ、上半身の力を抜いて「普段通りの走りに近づける」ことと、「課題の持ちタイムは気にしない」「失敗しても何とかなる」の3つだ。これらは教官から複数回言われることだ。私は「限定解除」のひどい印象が強すぎたので、「検定は落ちるもの」という原初イメージがなかなかぬぐえなかった。しかし実際の教習所での卒業検定は昔の「限定解除」に比べるとかなりまともで、ちゃんと実力を確認してもらえるものだ。

検定合格して肩の荷が下りた。トラウマも払拭できた。
4月に誕生日が来るので誕生日後に試験場に行って免許を書き換えようと最初は思っていたが、有効期限の長期化は二の次になり、検定翌日に試験場に行ってしまった。バイクの運転ではヘルメット&眼鏡がどうにも面倒で、「眼鏡等」の運転条件を外したかったこともある。試験場での手続きはあっけなく、そこまで混んでいなかったので1時間程度で終わった。

ただ、「更新」ではなく「併記」なので「更新」のように旧免許証に穴を空けて返還されず、新免許証の引換え券にそのまま貼られた旧免許証が召し上げられて返却されなかったのが腑に落ちない。旧免許証の期限がまだ3年ほど残っていることが最大の理由だとは思うが、個人情報てんこ盛りの免許証を本人の意向なしに穴も空けず試験場が引き取るのはおかしいのではないか?
少なくとも、本人の目の前で穴を空けるくらいのことはして欲しい。

新しい免許証はサイズがクレジットカードサイズに小さくなり、期限も西暦で書かれるようになった。前回の免許は、平成が30年で終了することが確定していたのに「平成35年まで有効」と書かれていて実に不愉快だった。

免許ゲット!これからしばらく試乗やレンタルで体験の幅を広げるつもり。