仕事山行 秋田駒・八幡平・裏岩手縦走

夏の仕事山行は秋田駒、秋田焼山〜八幡平〜裏岩手縦走路〜岩手山となった。
「なった」というか、リーダーにかなりの示唆をしてこのルートに絞り込んだ、といった方が正しい。
最近は自分でルートを探し出す能力も低下しつつあるようだ。最初は岩手山に登り裏岩手縦走路を八幡平まで辿ってから盛岡・田沢湖経由で秋田駒に行く、などと言っていたが、盛岡〜田沢湖間のJR各駅停車が極めて少ないので計画に無理があるとつっ返したりしているうちに、私が考えていた、上記の順番で歩くルートに落ち着いた。
しかも今回、珍しく新幹線を使って田沢湖駅まで直行したが、団体割引券の手配を私がすることになり、旅行業者に10日ほど前に慌てて頼み込んだ。人数が欠けると面倒なので、かなり厳格に人数確定をやらざるを得なかったが、確定した後から別の便で合流したいなどという我がまま勝手な発想の若者がいて閉口した。当然、言い分を聞いて団体から外したりはしない。

東京駅に早朝集合して新幹線に乗り込み田沢湖駅に着くまでは緊張感が抜けなかった。

7月21日、田沢湖駅から乳頭温泉休暇村のキャンプ場に向かい、2泊でテントを設営する。休暇村本館から2kmも離れている上に、管理者がほとんど来ず、オートキャンプサイトも日曜日にはほとんどカラの状態で、だだっ広いキャンプ場のはじっこで生活した。2日目に探索してみるとコインシャワーを発見し、利用した。温泉が豊富な山域だが、結局入湯したのは松川温泉だけであった。

7月22日、キャンプ場から徒歩で笹森山を経由して秋田駒に登った。笹森山までの登山道は半ヤブ漕ぎ状態で下草払いが行われていない。2時間以上格闘して笹森山と湯森山の縦走路に出た。あとは八合目小屋まで降り、一般的なハイキングルートで男女岳に登った。山頂では近くに岩手山・八幡平・焼山・森吉山が見え、遠くに岩木山や八甲田も見えるくらいだったが、男岳を諦めて横岳経由で下山している時にスコールにやられた。登りでエネルギーを消費したので帰りは八合目小屋からバスで下山。ちょっと軟弱な登山から始まった。翌日未明、かなり激しく雨が降り、濡れたままのテントを片づけるのが億劫であった。
20190721_222618438
登山道途中から乳頭山と笊森山
20190721_233539650
ニッコウキスゲ
20190721_234656430
八合目小屋へ下る
20190722_013932792
男女岳山頂から阿弥陀池を見下ろす
20190722_021321809
ハクサンボウフウ
20190722_022955487
コマクサ
20190722_023034012
秋田駒をバックにコマクサ

7月23日、朝4時30分起きで朝食を軽く摂ってテント撤収、アルパこまくさまで約3km歩いて移動。田沢湖往きの始発バスが7時13分アルパこまくさ発なのだ。何とかバスに乗って、田沢湖駅で15分待ちで玉川温泉行きバスに乗る。1,400円、2時間をかけて玉川温泉に移動し、10時に玉川温泉の噴気孔とあちこちで寝そべる湯治客を見ながら秋田焼山に登る。これも登山口からすぐに半ヤブ漕ぎになる。しかもコンクリート階段が結構続いている。昔は玉川温泉から登られていたのかもしれないが、現在は後生掛温泉の方からの登山道の方が明瞭だ。頂上直下で激しい雨に降られ、レインコートを上下とも着る。焼山の山頂部はかなり神秘的だった。避難小屋も新しくて快適そうだが、水場がなく小屋の規模も小さい。毛せん峠を経由して後生掛温泉に下山できたのは17時。コースタイムの倍近くかかったのは、いちばん弱いメンバーに歩調を合わせたり、しょっちゅうほどける靴ひもの結び直しなどに時間がかかったから。
いいかげん靴ひもくらい結び方を覚えて欲しい。全般的に小中学生が靴ひもを毎日結んで出かけるような生活をしていないからこういうことになるのだろう。球技の部活なんかやっていれば毎日靴ひもと付き合わなければならないはずだが。一日中歩いてもほどけない結び方できないものだろうか。最近では動画サイトでも靴ひもの画期的な縛り方は見られるのに、肝心な動画を見ずしてどうでもいい動画ばかり見ている。この日、スライドする登山者は皆無だった。
レインコートを着っ放しだったので蒸れて上半身はグッショリ、下半身も異臭を放っていた。
後生掛温泉を横目に裏からキャンプ場に行こうとしたら途中で橋が落ちていて迂回せざるを得なかった。ビジターセンターの女性職員やたまたまノルディックウォーキングをしていた女性に案内されて大沼キャンプ場へ。もう夕方でひっそりしていたが、ソロのおじさんキャンパーが一人、車中泊と思しき男性が一人いた。
客が少ないので、管理棟のすぐ下のオートキャンプサイト2区画が4,000円となり、14人で使用したので一人頭280円程度で済んでしまった。センターハウスの部屋も使えて便利。ただし熊対策として食糧管理などは厳重だった。濡れたテントは到着が遅かったために完全乾燥できず。

20190723_004904568
玉川温泉から
20190723_041408186
大きな矢印型の池は硫黄分濃度が濃く、シューシューと噴気孔の音がする

7月24日、後生掛温泉から八幡平への登山路を歩く。秋田県側のアスピーテラインはバスが週末しか通らず、平日なので交通量もまばら。後生掛温泉の噴気孔を横目に硫黄臭を嗅ぎつつ、大深温泉へのトレイルを歩く。焼山登山道に比べはるかに歩きやすい。大深温泉でいったんアスピーテラインに出て、まもなく登山道に入る。最初は急登だが、だんだん緩くなってくる。しかし火山特有の大岩が露出した登山道は、都会っ子にとってはかなりバランスを要求されるらしく、足取りが急に鈍くなった。彼ら若者の苦手は、急下降と岩場である。さらにスコールがあり、慌ててレインウェアを着る。
レインコート内が蒸れ蒸れになってズボンやシャツがグッショリ濡れるころ、八幡平山頂に到着。ガスっているし山頂のイメージとはかけ離れる場所なので感慨はない。しかし秋田駒の男女岳の山頂と20mほどしか標高は変わらない。
この日は計画を変更して大深山荘まで脚を伸ばさず(大深山荘の収容人数がネック)、八幡平山頂の陵雲荘で宿泊。ハイカーの方がトイレに立ち寄るのだが、幸いなことに宿泊者は現れず、ゆったり使えた。濡れたフライシート、グラウンドシートなども干すことができた。しかし14人で避難小屋に入るとさすがに暑い。夜は寝苦しかった。
20190723_221233968
似たような光景だが後生掛温泉から
20190724_061229116
八幡平の八幡沼と陵雲荘
20190724_063327766
木道沿いにワタスゲがおびただしい

7月25日、大深山荘で待っている同僚とバトンタッチして松川温泉に下山する。朝5時30分に陵雲荘を出てレストハウスの水道で水補給して裏岩手縦走路に入る。何年か前に女房と二人で歩いた時は天気が最高だったので、あまり面白くはない。大深山荘に10時台にたどり着き、11時20分に同僚に託して下山。ニッコウキスゲがとてもきれいだった。
20190724_212614020
ガスの八幡平を後にする
20190724_234149599
これは?高山植物の名前が覚えられない・・

12時45分に松川温泉へ下山できた。松川荘で昼食を食べ、別の宿で風呂に入って体を清めた。硫黄臭がする湯温の高い風呂で、体に硫黄臭がまとわりついた。14時45分発の長大な路線バスで盛岡駅まで移動し、17時台の新幹線で帰宅。
肉体的にも疲れがあって、加齢を感じるが、精神的に若人の付添は疲れる。
しばらく縦走やりたくない気分。