バックカントリー

志賀高原・池めぐりコースをステップソールで

翌朝、脚が重い。しかし天候のコンディションは最高レベルだ。
朝食を済ませ、8時20分山の駅発横手山スキー場前(陽坂)行き無料シャトルバスに乗る。道具立てはG3FINDR86とT2eco、シナノのバックカントリー用ストック。
T2は本当に久しぶりに履いた。NTN規格のターミネーターXに比べて0.5cm小さめなのでタイト。さっそく左足にしびれを感じたのでバスの中ではバックルをフルオープンにしておいた。

この日のレポートをはじめてYAMAPにアップロードしてみた。YAMAPのアプリ自体このツアーの直前になって使い始めたYAMAP初心者だが、
そちらを参考にしてもらう方がはやい。写真の多くはそちらにアップロードされていてコースの中のどの地点でのものかもわかるので、ここで手作業で同じことをしなくてもいいだろう。かわりに、スライドショーを作成してアップしておく(2分、500MB弱。ちょっと重いかな?)

9時、横手山スキー場第2リフト脇からスタート。レースがあるのか、アナウンスがやたらうるさい。まずはゲレンデを滑り、最近は動いていなさそうな第5シングルリフトの少し下から登山道に分け入る。池めぐりコースの出口から入っていく。夏歩くとそこまで登山道が広い感じはしないが、何となく軽トラ1台分くらいの幅のトレイルに雪が乗っかって延びており、ルートファインディングの必要性などほとんど感じずに緩く登って行く。レースのアナウンスがだんだん遠のいて静寂になっていく。
10時ちょい前、草津峠下の分岐で少しルートを外れ、登りやすそうな斜面を選んで登っていった。夜冷えたのだろう、日陰は雪が硬く、日なたはウロコがよく効く。久しぶりのステップソールスキーだが、スキーの置き方に失敗してつんのめったりすることなく、グングン登っていかれる。標高2041mの鉢山には10時26分着。今日の最高地点だ。鉢山の火口湖まで行ってみようかと少し思ったが、林間から見える底は結構深く見えて行くのを止めた。
ここから四十八池へ下っていく。等高線の間隔が比較的広いところを選んで1950mの鞍部までテレマークターンで下り(なかなかそういうコンディションには恵まれないものだ)、ほぼ夏道に沿って四十八池まで降っていく。日陰で雪が硬く、地形的にはV字沢状地形になっていて、わずかに見えるスキートレースはひたすら横滑りをしているので同じように硬い雪面で横滑りした。1箇所ノドのような場所があり、岩と倒木が塞いでいたのでそこだけスキーを外して歩いて降りた。ノドを過ぎればトイレとあずまやが見え、わずかな距離。四十八池は単なる雪原になっていた。
大沼池方面が見えればラッキーと思って志賀山神社のある裏志賀山方面に登って行くが、山頂まで行くことはできないので標高1900mあたりで遠望してみる。しかし見えないので赤石山を写真に残して折り返す。元池の南岸をかすめ、樹林帯の中を歩いて四十八池から鉢山の北麓を巻いてくる登山道と合流(11時25分)。渋池まで行ってお昼にしよう。
登山道は雪が切れている場所が3か所ほどあったが脇の雪を拾っていけばスキーを脱ぐ必要はない。渋池で11時40分、日陰で昼食休憩。昼食は自宅から持ってきたレーズン入りスポンジケーキ。魔法瓶に入れた紅茶と流し込む。
旧前山スキー場の迂回コースを滑って(夏山リフト沿いはすでに雪なし)12時に池めぐりコースの入口に出た。最後に不意なことから転倒。こんなところでコケるとは!
横手山のボトムのレストハウスまでスキーを履いたまま移動して脱ぎ、道路を渡って熊の湯スキー場の入口へ。100mほどスキーを担いだが、じきに雪が出てスキーを履き、角間川を渡る橋の手前道路に雪がないのでまたスキーを脱いだ。橋を渡ってから再びスキーを履き、熊の湯ゲレンデの下から向かって一番右の斜面に取りつく。旗門が設置されていたのでその邪魔にならないようにジグザグに登って行くと雪が剥げた部分があり、その近辺を利用して登った。一般客が少なくてよかった。
ここから旧笠岳スキー場に繋がるのだが、旧笠岳スキー場も閉鎖されてリフトはない。熊の湯スキー場との境界のロープ脇から進入し、植林が進められている旧笠岳スキー場の中斜面をテレマークで。今日はステップソールなのにきれいにターンが決まる。ボトムは水芭蕉公園になっており、木製ベンチがしつらえてあったのでそこで座って休憩。12時30分。この先は、笠越林道でバス通りまで出てスキーを担いで木戸池方面へ向かう。除雪されていない笠越林道の向かいには広い土地があって、地形図には建物が点在しているように描かれているが、現在は全くの空き地。林道終点まで滑り、角間川を橋で渡って国道をかすめ、幸の湯、石の湯方面に向かう道路沿いの雪を拾いつつスキーで歩く。スキーを担いだまま舗装道路を歩くのはつまらないので悪あがきともいえるが・・石の湯ホテルから小さな尾根を巻いて木戸池ホテルまで出られれば言うことなし。
幸の湯前で切り通しがあって雪がなくなる。またここからしばらくスキーを担ぐ。この日は営業していなかった石の湯ホテルの駐車場脇から尾根を巻いて木戸池ホテル方面に戻り、小川を渡って(踏み抜かないようにスキーを履いて)木戸池ホテル脇に出た。旧木戸池スキー場の小山は雪がなさそうなので角間川側から小山を巻く。ここにも雪がなく、スキーを100mほど担ぐ。今日は何度スキーを担いだことか。
小山の裏に出たら雪が出てスキーを履くが、孫と老夫婦がソリで遊んでいるのに出くわす。一言二言言葉を交し、スキーで池めぐりコースを歩いてきたことを話した。国道の車を横目に田の原湿原を横断して、小さな丘に取りつく。ここも雪が消えた場所があり、スキーを手に持って歩くが階段状のところが非常に歩きにくく息が上がった。13時40分、ようやく小山の山頂(13/20の標識)でスキーを履く。これでスキーを脱ぐのは最後にしたい。
夏道とはここでわかれ、道路を渡って三角池方面へは向かわずになるべく開けた林間を探して道路の左側を進む。等高線の間隔が広いところがあり、わずかに沢状地形をこなせば蓮池スキー場の廃止された第2リフト上(丸池・サンバレーにも近い)に出られそうだ。広めの場所に出たら無雪期でも歩道がない湿原に出た。半分くらいは雪解けしている。この湿原を通過してスキーヤーズライトに進路をとれば丸池スキー場のゲレンデに出る。丸池スキー場はすでにシーズンオフ。薄く残った雪は柔らかそうで、テレマークターンを決めて宿の裏手に出た。14時過ぎにコンプリート。
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池めぐりコースから田の原湿原まで
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笠越から蓮池まで

歩き・滑りの総距離は13.4km、上り473m、下り793m。充実したステップソールソロツアーだった。しかし標高の高い志賀高原でも雪がない。今後雪を求めるとしたら立山か火打周辺か鳥海山か、バスが通るようになってからの乗鞍か。もう1回くらい雪と戯れたいなあ・・

帰路、坊平から下で雪を被った北信五岳を正面に見ながら運転。天狗原山・金山は真っ白だ。

かぐら・悪雪まつり&仕事山行・高水三山

ようやく山でのバックカントリースキーが今シーズン初めてできた。
久しぶりのハイクアップ&滑降は、かぐらスキー場から霧の塔・雁ヶ峰コース。悪雪に苦しめられたが、何とか下山してきた。翌日は仕事山行で青梅の高水三山を巡ってきたが、朝の怠さが残るままに登山し、好天にも恵まれてさわやかに下山してきた。帰宅後、更なる筋肉痛に悶えていることは言うまでもない。

4月5日  この日の滑走動画はこちら
吐月工房氏と日程を合わせ、バイクツーリングかバックカントリースキーか悩んだ揚げ句、かぐらスキー場から何度も経験のあるルートを選択。前日が悪天候だったので、標高2000mでは雪が降ったかもしれない。
早朝に首都高から東北道・圏央道・関越道と乗り継ぐが、雨上がりで雲が垂れ込めてはいるものの、はるか遠い山並みが見える。首都高中央環状線上で、意外な方向に真っ白な稜線が長く続いていて、なかなか同定ができなかったが、最終的には南アルプスだと確信できた。北岳から農鳥岳まで真っ白で、雪化粧し直した富士山も山頂は隠れているものの大きな山体を見せている。北西の方角には真っ白な浅間山、日光連山から赤城・榛名が見えて、その奥には谷川連峰も見える。ここまで遠望ができる日は珍しい。

8時30分ころ吐月工房氏と合流して、かぐらスキー場へ。準備してリフト券を購入、一日券はシニアでも高いのがこのスキー場の特徴なので、JAF割引(500円引き)や共済割引(なんと1500円引き!)を使う。しかし乗り物はロープウェイとゴンドラ1回ずつ、リフトが2回、ツアーコースからゲレンデに戻ってからリフト1回しか乗らないので割高。
10時30分ころにゲレンデトップに着いて、11時ころKG1ゲート(ビーコンチェック後に通れるゲート)からゲレンデ外へ出て歩き出す。いい天気になってきた。中尾根の頭まではいくつかのパーティが歩いていて、ピークに人影が多く見える。大多数は中尾根の北側を滑っているようだが、我々はその先の稜線の「三角」を経由し、さらに霧の塔まで登ったり降ったりを繰り返していく。

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第5ロマンスリフトから霧の塔までのルート(赤:登り、青:降り)


KG1ゲート前にて

今回の私の道具立ては、たまたま車にブラストラック・ブレイザーとそれに対応するシールが積んであったので、テレマークではなくヒールフィックスのピンテックブーツ(スカルパ・マエストラーレ)とマーカー・キングピンビンディングである。ウォークモードでは爪先の両脇しか止まっていないので、ハイクアップの際は非常に軽く脚が出る。NTNビンディングのテレマークより足送りは軽く感じた。しかし、稜線アップダウンのわずかな降りをシール装着のままヒールフリーで滑ろうとすると、爪先だけで止まっている故にとても怖い。雪質の問題もあるだろうが、アップダウンがあるコースではテレマークに分があるように思う。微妙な登りができ、シール装着のまま滑ることも難しくない(慣れの問題だろうか?)。

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苗場山と鳥甲山
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奥右手に火打・妙高、左奥に白馬岳(本当によく見え、写真加工はサイズ変更とアンシャープマスクのみ)

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「三角」を前に準備する
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「三角」の斜面を前に躊躇しているうちにスプリットボーダーがすたすた登って行く

「三角」の手前の鞍部で休憩を取る。するとスプリットボードの単独男性が休憩の脇を抜けていった。この人、メチャクチャ登りが速い。その後出発時も一緒だった男女の山スキーヤーが来て、スプリットの人の速さに舌を巻いていた。「三角」の急斜面は男女山スキーヤーと協力して登り、雪がザラメ化していたので途中からトラバースして巻き上がった。ここで男女山スキーヤーは「黒岩丿平」方面へ滑るという。我々は誰も今日歩いていない霧の塔へ。ここでカカトを固定してシール滑降したらどうなるか実験。結果は、安定して滑れるが、止まった後のわずかな登りがカカト固定していると辛い。面倒でもこまめに滑降モードとウォークモードを切り替えないと快適とは言えないようだ。だけど、ブーツを装着したままモード切り替えは土踏まずの下のレバーを前後に倒して切り替える必要があるので、かなり難しい。

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霧の塔到着。この後はあまりお見せできず・・

12時30分、行動食を食べて滑降開始。最初はまあまあいいザラメだったが、標高1850mあたりからの広い疎林に入るとストップ雪が出てきて滑りが不安定になる。吐月工房氏は激しく転倒している。「黒岩丿平」との間の沢まで滑るところは、いつもより手前で滑り降りてしまったが、同じ向きを向いている斜面はどこも雪質は同じなのでいい滑りができるはずもない。私はカカト固定なので何とかコケずに滑れたが、恥ずかしくて人に見せられる滑りではない。

雪質が良くてザラメが締まっていればシール無しでもトラバースできる場所だが、念のためシールを装着して尾根に乗って雁が峰へ。どちらにせよ、雁が峰へのわずかな登りはステップソールでも履いていないと難しい。
雁が峰から梅屋敷のピークを巻いて最後の急斜面へ。明瞭な稜線上はよかったが、少し平坦になるとストップ雪がいくつもワナをかけていて、見事に引っかかって大転倒。カカト固定しているのに五体投地。ザラメがディープすぎて起き上がるのに苦労した。吐月工房氏もT4で悪戦苦闘。悪態をつきながら滑ることになるが、最後の急斜面ではスキーカットで納豆雪崩があちこちで発生して足元をすくわれそうになる。何とか納豆雪崩に巻き込まれずに高度を下げることに成功したが、吐月工房氏はスキーを抜いでツボ足で急斜面を降った。ヒザまで埋まる深さだが、こちらの方が安全で良かったとのこと。

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自分の影を撮影してみる

すでに15時近くになっていたので、最後の緩斜面はスキー装着で何とか連絡コースに滑り込む。スキー場に連絡を入れて、あとはコースを下るのみ。だが、コースもコースでザラメ雪が重く、滑りにくい。駐車場にたどり着いたのは15時30分。16時に私は駐車場を後にして三国峠を越えて月夜野から高速に乗った。この夜、オンライン会議が20時からあったためである。オンライン会議なんてまともに参加するつもりもなく、音声だけ流して翌日の登山のパッキングをする。両日に共通しているものは入れ替えないといけない。

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霧の塔〜雁が峰経由でかぐらスキー場連絡コースまで(雁が峰手前で若干登りあり)

4月6日
朝の通勤電車で何本か乗り継いで青梅線の軍畑まで。9時10分着。若者9人と合流して高水三山の周回をする。いつものごとく若者は無茶苦茶なオーバーペースで舗装路から登山道に入るので、今回はついに変調を来した若者が一人。休憩させて水分を取らせ、呼吸をしっかりさせてなだめながら登らせる。そのうち体調も戻ってきて普通に歩けるようになった。標高700m台の高水山、岩茸石山、惣岳山をめぐる。岩茸石山が最高峰で800m弱。頂上からうっすら雪を載せた雲取山が見えた。
今回の山行での写真はなし。
下山完了は14時45分。すぐに電車があって、順調に帰宅できたが、車内の若者たちはもう春の装いだ。
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軍畑駅から御嶽駅への周回コース

禁断の果てに

累積降雪量がピークになったと思われる。高畑スキー場の積雪量は例年なら超えない2mをついに超えた。
こちらは正月明けから自粛禁足状態だった。もう限界、雪を見ないと禁断症状が出る。

個人的に日月火3連休+土曜を年休として4連休とし、うち2日間を極力他者と接触しない条件で久しぶりに出かけることにした。
初日の22日はスキー登山者がほぼいないと見られる高原山の八方ヶ原でのスキーハイキング。吐月工房氏が同行して遊んでくれた。

8時30分ころ「道の駅やいた」集合、そこから約40分で「山の駅たかはら」へ。標高1000m少しの駐車場周辺の雪はわずか。
9時40分出発。登山口には10cm程度の雪があり、歩き始めからステップソール板を履いたまま歩き始められた。今回の道具立てはG3finder86とブーツは久しぶりのT4。一日履いてみたらブーツはやや小さかった。自分の足が大きくなったのか?ロングのスキーハイキングだとこのT4ではキツイかもしれない。
いつもできてしまう足のマメ対策として、素肌にEzeefitアンクルブーツUltrathinを初採用。靴下もマメ防止からWRIGHTSOCK ADVENTURE にした。それ以外は肌に潤滑ムースなどを塗ることもしなかった。結果はまずまず。右足の内側くるぶし下に小さなマメができたが軽傷だ。マメができるかできないかも、靴の履き方に左右されるような気がする。6時間ほど履いて歩いたが、ブーツをT2にしてもう少しアップダウンや斜登高が続くシチュエーションで試してみたい。

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G3finder86T4(ノーマルインナー仕様)

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:EzeefitアンクルブーツUltrathin 右:WRIGHTSOCK ADVENTURE

最初がやや急で、歩き始めにキックターンを繰り返さなくてはならず、しかも樹間が狭いのでコース取りが難しい。
一段登ったところで吐月工房氏がザックにくくり付けたヘルメットを落としたという。引き返して探そうと提案したが、時間のロスと登り返しの面倒くささもあって帰りに探すことにして先に進んだ。こういう場所ではヘルメットは降りで木の枝にぶつかる可能性を考えると必要に思われるが、実際は面倒で、ステップソールにヘルメットはあまり似合わないように思え、持っていかないことが多い。ヘルメットが必要な場合でも、登りの間はなるべくザックの中に入れることにしている。
雪が薄いのでスコップは持たないし、もちろんビーコンやプローブは重りになるだけ。

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歩いた行程でもっとも条件の良い雪原

それにしても密林が続く。小間々駐車場あたりはツツジの名所なのでツツジの枝がとてもうるさく、視界が利かない。花の時期は別として、特に見栄えのする森でもない。要するに面白くも何ともない林間を歩いて、11時30分ころ大間々駐車場のベンチに到着。大休止。大間々駐車場に山の方からスノーモービルが2台ほど下りてきた。歩いているときから爆音が響いていたが、こんなに雪が薄い場所にも入り込んでいるとは驚きだ。アスファルトや石が出ている場所ではどこかが傷つくと想像されるのだが・・

その後、林道をしばらく歩き、登山道の少し下を歩いて12時過ぎに標高1420m地点にたどり着いた。ここで尾根上の登山道と合流。斜度が出てきたので、スキーではキックターンをする必要が出てきたが、密林度合いがさらに増してきた上に巨岩が増えてきたのでこれ以上無理をしても苦労が多すぎる。登山道脇にスキーをデポして、視界のいいところまでブーツで登る。八海山神社の少し下でブーツ歩きも中止、本日の最高点を1453mとした。登った標高差は400mに過ぎないがスキーで濃い林間を歩くのはルート取りに頭を使うし面白い。

下りも密林の中で斜滑降とボーゲンの繰り返しだが、密なので枝を払ったり、木に抱きついたりの繰り返しで全く不快である。よくこんな所へスキーで来たと自分でも思う。雪上ハイキングに来た人が数人いたが、我々はよほどの変人と見たのではないか。

大間々駐車場からは道路上の雪を拾って小間々駐車場まで滑り(
動画あり。ここだけは少し快適)、そこからまだ林間に入ってヘルメットを探すが、白いヘルメットは発見できなかった。斜面を転がり落ちて閉鎖中の路上にあるのではないかと思って探してみたが発見できなかった。残念。
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無事下山
八方ヶ原スキーハイキングトラック
赤:登り 青:下り

翌日は平日で空いたはずの高畑スキー場へ。吐月工房氏と二人で4時間と少ししっかりと練習した。午後になるとプライベートゲレンデ状態になるが、気温も上がって緩斜面ではストップ雪となり、つんのめりぎみで大変滑りにくい。こういうときはスキーのソールを雪面にべったり付けず、エッジに乗る時間を増やす。連続ターンでひざの返しを意識してソールをフラットに置かない滑りを心がけるが、緩斜面では突如現れる「カッパ」=ストップ雪でバランスをとるのが難しい。
ゲレンデからは大戸沢岳から三岩岳、窓明山の連山が最高に美しいが、雪面が午後になるとテカテカしてきて春の様相を呈してきた。スキー場からの帰路に窓明の湯に立ち寄ったが、三岩岳登山口にちょうど下山してきたスキーヤー複数名が片づけをしていた。今年は雪が多くて急な登り口でも苦労が減るかもしれないな・・
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ゲレンデ中腹の休憩所近くから

別宅に戻ってスキー2セットにお手軽ホットワクシングをし、早い夕食を食べてからコイン洗車場で洗車して帰路についた。もう暗いので4号線と294号線利用で谷和原まで。

会津・日帰り山スキー三連戦

人がいないところで山スキーをやっているのが一番コロナウィルスから遠いのではないかと思う。
少雪のシーズン、例年よりもスケジュールを前倒ししないと山の雪はドンドン消えていく。
不要不急の外出中に雪山で遊ぶというのは少し気が引けるところではあるが、人間はずっと部屋の中に篭っていることはできない。ということで、別宅ベースで会津へ出かけた。

3月12日 王博士山バックカントリースキー(単独。標高約1300mまで)
2020-03-12

昨年の3月末の王博士山でのスキーがよかったので、再び訪れることにした。国道401号線博士峠の冬季閉鎖ゲートまでは別宅から1.5時間ほど。昨年とは違い、前日に降ったらしい新雪がゲート前にあり、平日なので当然スキー目当てに来た人はいない。そもそも、この山を目的に来る人は少ない。いいブナ林が広がっているのに。

今シーズン初スキー登山なので準備にやや時間がかかり、10時出発。標高850mから道路に積もった薄い雪をシールを装着したK2ピナクル95で踏んでいく。ストックの石突きがアスファルトに当たるのが気に入らない。昨年と同じ尾根から本格的に登り始めるが、案じた通りヤブが濃い。ただでさえ狭い尾根だが、立ち上がった小枝を避けていると登る余地がない。次第に尾根が細くなり、右は小雪庇、左はヤブ、という細尾根に入り込んでしまった。少し引き返して尾根の左斜面から巻き上がるような登りを2度ほど繰り返した。
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細尾根に密集し迷路のよう

さらに天候が好転しない。予報は晴れなのだが、登り始めからどんより曇り、雪も舞っている。一向に晴れ間が見えてこないし、標高1200mあたりからはアイスバーンと新雪のミックス状態になった。シールが効きにくくなり、密なヤブも相変わらず。

12時に標高1300m手前まで来てもう一頑張りで王博士手前の1356mピークに達するところだったが、いいかげんヤブとの戦いに飽き、雪面のややこしさにもこの先の滑降時の面倒くささが読めた。一人だし、別に無理することもないので、シールを剥がして早々に滑り始める。滑っても薮をかき分けるスキーは全然楽しくない。昨年と同じ別の尾根を滑って、除雪が行われていない道路に出て、切り通し部分を避けてつづら折れの国道を串刺しにするように下り、最後はまた新雪の薄く積もった道路を慎重に下った。出発点のゲートまで板を外さずに何とか降りてきたが、一度側溝を踏み抜いてしまう失態をおかした。スキーなので下山は早く、2時間かけて登った標高差を多分30分くらいで降りてきてしまった。頻繁に現在地確認を行ったはずだが・・
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自撮りは奥ゆかしく
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無事下山。登りトレースの雪が解けてアスファルトが見えていた

帰路、昭和村の
昭和温泉しらかば荘に立ち寄り、午後早い時間から温泉を独占(500円)

3月13日 舟鼻山スキーハイキング(単独。ステップソールにて)
2020-03-13

翌日は少し軽くステップソールのハイキングにしようと思い、また昭和村の入り口にある舟鼻山へむかった。舟鼻トンネルをくぐった先にある旧道の入り口に車をつけ、そこから9時30分、ステップソールで歩き始める。舗装された旧道は斜登行しているが、陽射しが当たる場所は路面が露出している。履いたばかりのスキーを脱がねばならない場所が2ヶ所ほど。
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雪が途切れる

それでも舟鼻峠まで来ると、吹きだまりで2m弱の雪があった。今回は薮が濃い場所は避けてひたすら林道を登り詰めていく。登っている途中からかかと脇にマメができそうになってくる(その後両足カカト内側にピーナッツ大のマメできた)。T2だとTXよりもマメができやすいようだ。T2の方が1サイズ小さく幅もタイトである。マメの原因は、不整地を歩くことによってスキーとブーツが左右に傾くことではないかとにらんでいる。現在の対策は、危うい部分にキネシオテープとダクトテープを貼ることだが、十分な効果を出せていない(ストッキング状の靴下も、滑りをよくするジェルも十分ではない)。
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ステップソールは必需品

林道を登り詰めて11時に山頂部の平坦な場所に出た。このまま御前が峰まで行く時間はあるが、どうせヤブ漕ぎになるから行くのを止め、舟鼻山のフラットな山頂部とブナ林を愛でながらぐるっと一周。一昨年、広大な雪原だった所は雪が薄くて笹が出ていた。山頂で軽く昼食を摂って、林道で下山にかかる。
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賞味期限ギリギリ

一昨年は急斜面を横滑りしたが、今年は駐車ポイントまでダイレクトに滑り込めるだけの雪の量がない。だからヤブ漕ぎストレスのない林道を降りるのだが、やっぱり林道だけではつまらなすぎてヤブの薄そうな小尾根に突っ込んでみた。何とか滑り降りることはできたが、あとは素直に林道で下る。雪の途切れた、枯れ葉の積もった場所はスキーを外さず階段下降したが、それも最終的には雪は途切れアスファルトに阻まれた。

無事下山し、帰路は下郷町の
弥五島温泉に立ち寄って汗を流し(330円)、甲子トンネルを抜けて白河へ。
夕方、電車で女房が合流、夜、吐月工房ご夫妻が合流。翌土曜日は全国的に荒れ模様だそうだ。

3月14日 雨・雪で会津観光(大内宿・鶴ヶ城・会津塗)
一日中雨か雪。とても寒く、観光にして正解だった。

3月15日 グランデコスキー場から西大巓、南西尾根滑降(メンバー吐月工房氏)
2020-03-15

熟慮の結果、高速道路にてグランデコスキー場へ遠征。吐月工房氏と二人で11回綴りの回数券(5000円)を買って、リフトを乗り継いでゲレンデトップを10時40分出発し、西大巓山頂までハイクアップ。トレースがついていて。スキーだけでなくスノーシューの登山者も多い。シラビソ、コメツガの針葉樹林をかき分けながら登る。アイスバーンの上に新雪がうっすら乗っている状態。
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少し晴れ間が・・
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山頂に古いツアー標識
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会津盆地全景。米沢盆地も見えた。

約1時間30分で山頂に着くが、東斜面はほかのスキーヤーの話によれば薄い新雪の下のアイスバーン滑降になるそうで、面白くはなさそう。革靴の吐月工房氏にとっては厳しい。その上吐月工房氏の革靴ビンソンのソールがかかとから部分的に外れるアクシデント。私が持っていたダクトテープで仮補修して、ケーブルビンディングのヒールレバーをかける場所をずらして難を避ける。登った針葉樹林帯を下りゲレンデにダイレクトに戻ろうかと思ったが、アルペンの技術で滑れるというので南西尾根を滑ることに。割とトレースが鮮明で、少し下るとアイスバーンも消えて滑りやすくなる。密な林間を細かいターンでこなして、最終的には出たかった林道の橋にドンピシャで出た。これは嬉しかった。一番難しいのは最下部で小沢が割れているところ。

一方、吐月工房氏は災難が続いた。ブーツのトラブルに加えて車のキー紛失の勘違いはご愛嬌だったが、奥様がゲレンデで後ろから滑ってきたボーダーに当たられてケガをしたのは冗談では済まされなかった。

ぶつかった男性ボーダーは、ゴンドラ降り場のパトロール詰所まで報告に行ったのは当然の行為として、その後被害者やパトロールに名前や住所、電話番号を告げることもなく、事故現場をパトロールに一任して現場から逃走した。
こいつ最低のマナーである!中年のクソ野郎、当て逃げ野郎だ!
パトロールも混乱していたのか、このボーダーの身柄を確保しておくことができなかった。
相手にケガをさせたことは重大であり、すぐにケガの軽重が判断できないとしても、パトロールの調査には協力すべきであり、最後まで怪我人に付き添うべきだ。それが最低限誠意を見せるということのはずだ。自分の滑りの楽しみを優先してけが人を捨て置くなんざ、
最低である。ボードやる資格なし!
一緒に滑っていたうちの女房ですら動転し、後になってああすれば良かったのかと反省している。怪我をさせた本人も動転していたとは思うが、事後になっても自ら名乗り出るべきだ。

グランデコには幸いに軽い処置ができる診療所があり、そこまでパトロールに付き添われてゴンドラで下山し診療が受けられた。

ゲレンデでのアクシデントは大人だったらきちんと最後まで責任を背負って行動すべきである。責任ある行動、誠意を見せることができないスキーヤー・ボーダーはゲレンデに来るべからず!

かぐら・霧ノ塔・雁ヶ峰

昨年4月後半にかぐらスキー場から霧ノ塔・雁ヶ峰コースを女房と滑ろうと思ったが雪が少なく中尾根の滑降に切り替えたことがあった(こちらの記事)。女房連れで今回はそのリベンジ。今年は4月に気温が低かったのでたっぷり雪が残っているだろう。それは湯沢インターを降りてかぐらに向かっていく国道脇の雪の量からもわかった。

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今回のルート
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今回のデータ

9時過ぎにかぐらみつまたステーションに駐車して、リフト券を購入。いつも一日券を通常価格で買って高いことをぼやくが、今回は加入している共済の割引券に氏名を記入して購入した。なんとシニア一日券が2,700円!どうして今までこの手段を取らなかったんだろう?通常料金より1,500円も安いではないか。

激混みのロープウェイに乗り、みつまたのリフトからゴンドラ、さらにかぐらエリアでリフト2本に乗ってゲレンデトップ1,850mへ。所定の用紙に書き入れた計画書を提出、今回は制限なく行かれそうだ。ビーコンチェックのゲートをくぐり、シールをつけて10時20分に歩き出す。今回はステップソールのG3findr86ではなく、女房のK2talkbackにあわせてこちらもノーマル板のK2wayback88で歩いた。
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中尾根の頭から苗場山

中尾根の頭まで30分(11時少し前)、小休憩してシールを装着したままで霧ノ塔方面に尾根を上り下りしていく。久しぶりにこのコースに来たが、竹竿とロープと蛍光ピンクリボンが張ってあり、ルートは明瞭だが、かえって竹竿とロープで滑る範囲が制限されてしまう。

三角を前にした鞍部で11時30分、昼食としてアンパンを食べる。三角のピークで12時、シールをつけたまま霧ノ塔で12時20分。

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今シーズンのバックカントリーは初

12時30分、滑走開始。最初は尾根を滑り、1930mのピークから一挙に北東の尾根方面へ。後続の人たちは早々に黒岩の平との間の沢へ降りていくが、こちらはいつものように尾根をたどって1800mから沢へ。雪は最初からやや重く、テレマークターンよりもアルペンターンの方が決まりやすい。釜川源頭の沢状地形で13時。右上方面へトラバースしながら雁ヶ峰に繋がる尾根に乗り上げる。ここでも、釜川を下り過ぎているボーダーを見かけた。ここでも蛍光ピンクリボンが頻繁に枝に巻かれているので、ルートは大変見分けやすい。

雁ヶ峰直下の標高差30〜40mほどは、シールをつける面倒さが先立ってツボ足で。しかしシールをつけた女房と大して時間は変わらなかった。先行していたステップソールの人は早々に滑り始めたようで、雁ヶ峰山頂に立ったら姿が見えなかった。釜川を下っていったボードはどうなったんだろうか?そのうち後続の5〜6人が続いてきたので、先に滑らせてもらう。
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雁ヶ峰から滑ってきたルートを振り返る

雁ヶ峰から下、ゴンドラ下のかぐら・みつまたの連絡ルートへ出る標高1500mから1300mあたりの急斜面滑降がこのルートの肝だ。脚に疲れが来ている上に雪が重くてそこかしこで納豆雪崩が発生する疎林帯の滑降だ。ケガをしかねない場所なので、先行して安全なところで女房が斜滑降キックターンで降りてくるのをウォッチ。なんとかアクシデントなく滑り降りてきて、あとは5mおきについている蛍光ピンクリボンに従えば、ピステンがある程度まで入ってきてくれている箇所に合流。無事に下山ができた。

しかしこのコース、視界さえあれば、スキー場管理下に限りなく近いサイドカントリーコースになってしまった感がある。スカッと晴れはしなかったが、日曜日の割に入山者の数が少ないような気がした。ゴンドラ脇からリフト1本乗ってみつまたエリアのゲレンデの汚れた雪を滑り、もう私の好きな下山コースは閉鎖されているので素直にロープウェイで下山。スキー場に下山報告電話を入れて終了。

今回の動画(約3分10秒)

帰路、混みそうな街道の湯ではなくて湯おり沢の市街地の駒子の湯に立ち寄って汗を流す。露天風呂はないが入湯料は街道の湯より100円安い500円で、湯はオーバーフローしている(その割には飲湯はできないそうだ)。地元の人が多くて、しかもまだ混みあう直前でよかった。

関越道は藤岡の先で事故も発生、その先も渋滞していたので、北関東道に乗って東北道周りにするが、岩舟から加須までこちらも渋滞とのことなので、太田桐生インターでいったん降りて館林インターまで走った。何も考えずに館林で乗ってしまったが、東北道もその先事故渋滞しており、足首が疲れた。国道122号でもっと南下して圏央道白岡菖蒲まで行けばよかった。

うーん、今度の連休はどうするべきか、悩みは深い。
もともと前半の28・29日までは仕事がかかっていたので出る気はなかったが、ぽっかり仕事がなくなってしまった。ということで4月28日から5月6日まで9連休。今さら遠出を計画しても、行った先でも人のいないところで車中泊するしかないような状況だろう。だとしたら自転車で渋滞のない遊びをするか、東北の北の方などへ遠出はせず、信越・会津あたりで濁すか・・・。今年は世間様と全く同じカレンダーというのがちょっと残念。
実は連休後半に天気がよければ、インフィールド企画の金山・天狗原山でのベースキャンプスキーツアーが、いちばん車での移動が省略され、人混みに入らなくていいんだが・・もう4日間連続でスキー登山する体力に自信がないんだよ・・

志賀〜野沢ルート にトライ(序盤敗退)

焼額山から野沢温泉スキー場トップの毛無山まで、20km余りに及ぶクラシックルート がある。これをワンデイ・ステップソールで踏破してみようと思い、それほど数多くはないウェブ上の記録を参考にしてチャレンジした。4月2日あたりから強い寒気が流れ込み、40cmほど新雪が降るという季節外れのコンディションで、雪が止んだ4日は快晴だが雪が深くて重いというステップツアーには最悪の条件になり、結果序盤で撤退した。到達したのは竜王山の肩まで。まだ正午前ではあったが、2時間近くかかってここまでしか来れなかったことからその後の行程での悪戦苦闘が容易に予想され、ビバーク装備も不徹底であり、その覚悟も不十分だったので早期に判断した。

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早朝の信濃吉田駅ホームから長野方面

【行程】
長野電鉄信濃吉田駅としなの鉄道北長野駅の中間にある駐車場に車を入れ、テレマークブーツを履きザックを背負いスキーを持って信濃吉田駅(6時24分発)から湯田中への始発列車に乗っていく。信州中野で乗り換えて7時33分着。40分に志賀高原行きのバスが出るのは確認済みだったが、行き先が熊の湯・硯川になっていた。奥志賀高原まで行くバスだと思い込んでいたのだが、ダイヤが4月になって変わったようだ。しかもそのバスの乗車賃を勘違いして、夏季と同じ1100円を支払ってしまった(本来なら志賀高原山の駅までの770円で済む)。焦りが成した結果である。志賀高原山の駅で運転手さんから時間帯によって無料化するカラクリを聞いて失敗したと思った。乗り換えバスを待とうと思ったら、乗ってきたバスが熊の湯から折り返して奥志賀高原に向かうというので、そのままバスに乗り続け、降りる予定もない熊の湯まで行ってしまった。この熊の湯往復で時間を30分ほどロスした(3月中ならなら8時40分台着、今回は9時15分前後着)。

もう4月になって下部のサンバレーも丸池も蓮池も営業終了してしまったようだが、前日まで降っていた新雪がたっぷりだ。ノートラックの面ツルバーンがもったいない。オープンしているジャイアントや高天ヶ原、一ノ瀬もスキー客は少ないがやはり新雪でハイシーズンの様相だ。

9時15分、焼額山スキー場のプリンスホテル南館前で下車し、急いでゴンドラ1回券を購入し、標高2000mに一気に上がる。素晴らしいコンディションと景色が広がっているが、今日はゲレンデを離れて北上していく予定だ。出発は9時32分。

がしかし、雪が深すぎた。標高約2000mの山頂直下ではシラビソの密林滑走になるが、バフバフでステップソールにはそぐわない。ルートも確認しづらい。やや緩斜面になってから方向を確認して進むが、すぐに見つかると思った赤布や樹林帯の切り欠きが見つからず、少し不安になる。1箇所、ロープが張られ赤布がやたらに目立つ箇所があったが、クラシックルート の古びた標識も見つからない。よほど通常ルートではない場所ばかり歩いていたのだろう。しかも、少し標高が下がりカンバの林が増えてきて日光が差すようになった場所は猛烈に雪が重くなってきた。ただでさえスキーが沈み、スキーを持ち上げると雪の重みでズッシリ脚に負担が来る。竜王の肩に乗り上げるわずかな斜面をステップでジグを切って登るのも辛くなってきて、20歩30歩で息を整えて現在地をGPSで確認するようになる。ついにシールを装着することにした。シールはピンチの時だけ使おうと思っていたのに。シールはグリップするが、抵抗が大きく軽快ではない。
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スキーは沈み込み、雪が締まってきて激重!
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ようやく見つけたロープと赤布(ここだけやたらにあった)

結局、竜王スキー場のリフトトップ近くまで来て、ようやく志賀〜野沢ルートの古びた標識を見つけることができた。しかしもう時間は11時を回っている。新雪がなくてザラメであれば、1時間かからずにここまで来れるはずなのだが、2時間近くかかってしまった。バスのダイヤ変更がなく、雪質がステップソール向きで順調に歩ければ、カヤの平に12時台には到達できると妄想してきたのだが、現実は理想とは大きくかけ離れた。
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やっと出会えたツアー標識(なぜかすぐ近くにもう一枚)

【逡巡】
こんな調子で歩いていると、剣沢ダムまで標高を下げていくのに相当時間がかかりそうで、竜王の肩から剣沢ダムまで降りてしまうとエスケープするのは難しい。その後のルート上にある高標山まで標高差200mを重い雪をラッセルしながら登り、カヤの平まで滑り降りないと、清水平林道を使って木島平村へ下山するのも困難になる。こんな調子だとどう頑張ってもカヤの平で今日は夕暮れだ。

ツェルトとロープ、細引きは持ち合わせているが、真昼からビバークを前提とした行動をしたくはない。ビバークするなら途中いい斜面で遊びまくり、カヤの平よりも先に進むことができて、なおかつ毛無山に日没までに近づけない時なら仕方ないと考えていたが、進みが遅くてビバークすることは想定していなかった。「八甲田山死の彷徨」と同じではないか。持ち合わせの道具をフル活用してツェルトを張ることは想像していたので可能だろう。しかしスポーツマンブランケットは持参したがシュラフは持っていない。ダウンなど防寒着もザックに入る余地がなかった(ザックはターギー45)。

事前から大型ザックを背負い、途中1泊する計画でしっかりしたテントやマットを持ってきたのならまだ頑張るが、惨めなフォーストビバークはしたくない。軟弱と言われればそれまでだが、そうまでしてこのコンディションで先に進む意志も失せた。こんな私が野沢温泉にたどり着くなど笑止千万であろう。焼額山に戻るか、エスケープして竜王スキー場に下るかどちらかになる。結局、4月になり、平日は営業をやめている竜王スキー場に出て、事情を話してゲレンデを使わせてもらい下ることにした。小丸山コースで下山することも考えたが、地形図は持ち合わせず、小丸山コースに入るには複数人が必要で、竜王スキー場の許可をもらうことが必要なので、何かあった場合にゲレンデに迷惑がかかる。

【下山】
ゲレンデのあちこちで出会うスタッフに挨拶をしてその都度事情を説明し、許可をもらって何とか下山してきた(管理区域内で営業していないゲレンデなので、上から下まで滑って降りたわけではない)。ゲレンデのボトムではスキー場の偉い人にも下山させていただいたことにお礼を述べてスキー場を離れた。

あとはタクシー(湯田中駅まで3700円程)、長野電鉄で車を回収。電車の待ち時間に駅裏の温泉施設(楓の湯)に立ち寄れたのはよかった。
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小田急ロマンスカーが長電特急車両
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須坂駅で特急から乗り換える。こんなところに旧成田エクスプレスが!

【反省】
全く計画通りに行かなかった単独ツアーだった。今回の途中断念という判断は、悔しいが当日のコンディションと自分の実力では間違ってはいなかったと思う。降雪40センチという焼額山スキー場が発信した情報をちょっと軽く考えていた。また、自分にとって乗り越えられる条件なのかどうなのかは実際に来てみないとわからないのだから仕方ないが、断念したのが昼時で視界も良かったのだから、焼額山へ登り返した方が最善手だったのかもしれない。結果、竜王スキー場のスタッフに迷惑をかけてしまった。

長野に戻る列車の中で、真っ白な北信五岳や関田山脈を眺めながら悔しさと情けなさが倍増した。

信濃吉田駅・北長野駅の中間に車をデポするアイディアは以下の記録から拝借した。3月中の記録なのでバスの到着時間が30分は早い。なお、この方の山行歴は凄すぎる。同じ山行などできるはずもない。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1083004.html

ステップソールもしくはBCクロカンを使いシールレス・単独でこのルートを完歩した記録として、以下のものがある。
http://bcxc.jp/201404/article_2.html
この方は今年3月にも志賀〜野沢ルートをカヤの平1泊で歩かれている。まだ詳細がアップされていないが記事が楽しみである。細身のクロカンで踏破してしまうのはすごい。

http://www5e.biglobe.ne.jp/~bunayama/0804nz00.htm
HP管理人のやまかわさんによる竜王〜野沢の単独・ワンデイ踏破。竜王を9時台後半に出発している。帰りの車回収はタクシー。16時前に野沢のゲレンデボトムに到着している。スピーディ。
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歩いたトラックデータ(たったの2.5kmしか歩いていない)

今回の動画は、わずかしか撮れていない上、ゴンドラ内の風景とシラビソ林で彷徨っている画像のみであるが、一応アップしてみた。1分20秒。

福島・昭和村の王博士

奥会津の昭和村と柳津町、会津美里町の町村境に、博士山(1481m)という山がある。西側の琵琶首という集落の外れからアプローチするらしいが、下部は尾根が細く難儀しそうであまり行く気が湧かなかった。博士山の南に冬季閉鎖される国道401号線の博士峠があり、博士峠と博士山ピークの中間に1455mのピークがある。地形図では博士山から南にのびる稜線中の名無し1ピークということになるが、近隣では王博士(小博士山)と言われているらしい。尾根も博士山よりは広く、等高線の混み具合もいい感じで、博士山よりも取っつきやすそうだ。ウェブ上にある滑走記録をいくつか見て、3月末がチャンスだと思っていた。最終週の週末の天気が不安定なので、その直前の晴れ間を縫って行ってみることにした。

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道路とトラックが合致していない(赤=登り 青=滑り)

29日の朝5時30分に出発。順調に東北道を北上し、いつもの西那須野塩原インターから南会津町へ下道を走る。気温は1〜3度くらいで、もう路面に雪や氷はない。高畑スキー場へ行く時に使う352号線檜枝岐方面には行かず、会津田島方面に右折して田島の町をかすめ、舟鼻山に接近し、峠を越えて昭和村に入る。さすがに舟鼻トンネルの前後は雪が多くなる。峠道を降りきったところで国道401号線に乗り換えて山を一つ越え、小野川集落に至る。そのまま401号線を博士峠方面に向かい、トンネル工事現場を過ぎて標高850mにある冬季閉鎖ゲート前に駐車。9時過ぎ。宇都宮ナンバーの車が1台停まっていて、どうやらスキーヤーのようだ。

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除雪も済んでいる標高850mのゲート(帰路に撮影)

準備して9時45分出発。携帯の圏外なので、あらかじめ「道の駅たじま」でウェブ利用の登山届は出しておいた。ココヘリのスイッチを入れるクリップを家に置いてきたため見つからず、車の中から精密ドライバーをやっと見つけてスイッチを入れる。


尾根に乗る

最初は除雪済みの道路をスキーを担いで歩く。無理矢理雪の上をスキーで歩くよりも早そうな気がしたから。直線的な道路をたどり、沢を橋で渡ったところからシール登行を開始。つづら折れの道路をショートカットして、1138mに伸びていく尾根に取りつく。10時過ぎ。宇都宮ナンバーの方が先行者としてトレースを付けてくれていて、トレースを拝借した。尾根はあまり広くはなく、1138mの下はちょっと急になっていたので下から見て左側から巻き気味に登った。ほぼ11時。すると尾根がだんだん緩くなってきて、順調に1356mに達する。11時40分。なんだか風景が鍋倉山の山頂近くにそっくりだ。あとはゆっくりと残り100mの標高差を詰めれば王博士のピークに12時到着。北に会津盆地と磐梯山、安達太良の山並みが見え、20日の西大巓とは逆方向の眺めになる。


鍋倉山を彷彿とさせる斜面とブナ林
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山頂に着いた。細長い王博士ピークから博士山本峰方面
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これは東方面。遠くに見えるのは那須北方の山々だろうか?
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北方面に広がる会津盆地と磐梯山、安達太良山系

あまり途中で休憩を取らなかったので、12時も回ったので、パンをかじって昼食とする。家で淹れてきた紅茶をすすってパンを胃に流し込む。しばらくしたら、ゲート前に駐車した宇都宮ナンバーの方が西斜面の方からハイクアップしてきた。聞けば、博士山には行かず西斜面を1300mまで滑って登り返してきたという。まずトレースのお礼を伝えておく。こちらはこのピークから南西方向の広い尾根を1290mあたりまで滑って、1356m方向へ登り返して登ってきた尾根を滑走し、途中1200mから南に伸びる尾根を滑るつもりなので、南側の尾根を歩いたことがあるかどうか情報を頂く。幸い、かつて登りに使ったことがあるようだ。どうやら滑れそう。

ということで、宇都宮ナンバーの方よりひと足早く南西斜面に滑り込む。12時35分。広い尾根でブナ林なので快適に滑れた。昨夜少しだけ降ったようなので雪質はこの季節にしては上出来だが、午後になって片栗粉状態になり、やや重くなってきている。1300mまで滑ってシールを貼って登り返す。王博士山頂には行かず、右にトラバース気味に登って1370mあたりに出た。13時15分。シールを外して、しばらく宇都宮ナンバー氏のトレースを追うようにして滑る。登ってくる時にマークしておいた標高1200mからスキーヤーズレフトに向かい、南にのびる尾根を滑る。思ったほど急ではなく、快適に滑れた。13時30分過ぎ、道路が見えてきた(本当にスキーだとあっという間だ)ので、スキーヤーズライト方向に転進して道路脇の雪壁の上を滑るが、一か所道路の山側を切り通してある個所があって通れず、スキーを脱いで道路を歩かざるを得なかった。再び左カーブのところ(登りで尾根に登り始めたところ)から道路右脇の斜面に入り、登ってきた尾根の末端をクリア。すると宇都宮ナンバー氏と思われるトレースがあった。しばらく利用させてもらったら、登った時にシールを貼った橋で道路に降りず、その上で上手いことスノーブリッジを使って対岸に渡っていたので、橋のところでスキーを脱がずに済んだ。そのまま道路の右脇をゆるゆる滑っていったら、ゲートのところまで滑り降りることができた。14時ちょい前。

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どうしても一か所道路に降りなければならなかった(ここからは登りにも使えそう)

無事下山できた。宇都宮ナンバー氏がちょうど片づけ終わって出るところだったので少し会話を交わす。どうやら、20日の日も同じく西大巓南西尾根を滑っていたようだ。あの日の先行トレースも彼のものだったのかも?

ゆっくり方付けして、400号線に戻り、昭和村役場の方へ足を伸ばして昭和温泉・しらかば荘の温泉に立ち寄る。500円で源泉掛け流し。建物もきれいで、露天風呂もあり、午後早い時間なので独占できた。

帰りも結局同じ道をたどって19時過ぎに自宅着。首都高おりていつのもGSへ給油に行くのが面倒になって蓮田で満タンにするが、いつものところよりリッター20円も高くて失敗した。400号線の舟鼻峠中腹で砂利道を走ったので田島の南で洗車したが水洗い300円と安かった。

王博士は3月末が旬で賞味期間は短い。天気予報が芳しくないので4月上旬ならゲートも開いて楽に登れるかも?

王博士登行と滑降の動画(約3分30秒)
最近はチェストハーネスでなく、ショルダーストラップを挟むクリップマウントを使って撮影しているが、カメラが容易に回転してしまい、地面と水平に撮影できないのが悩み。今回も滑っている動画が傾いている。

王博士のトラックデータ
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西大巓・南西尾根滑走

半月以上もスキーに乗れていなかったので、仕事の合間を縫って日帰りで吾妻連峰の西大巓に行ってきた。

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登行&滑降ルート(不動沢まで。滑降で標高がおかしく表示されていたので、赤と青が交互に表示されている。下りながらもピークを12個も踏んだことになってしまった。データを提示しても意味がなく、割愛する)

朝5時30分発、グランデコ スキー場に9時過ぎに到着。着替えて支度をして、リフト券は1回券を3枚購入し、登山届をポストに投函し、9時45分リフトに乗る。ゴンドラは動いていないのでリフトを3本乗り継いで第3クワッド降り場からシールを装着して登行にかかる。10時15分出発。すぐにシラビソなどの密林に入って斜面もやや急でうねったものになる。

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密林斜面

すぐ先を単独で歩いている女性がいて、付かず離れず、会話などかわしながら登った。関西から単独で福島県まで車を運転してきて、安達太良山、箕輪山にスキーで登ってきたそうだ。失礼ながら私よりも年上と見たが、足取りもしっかりしていて登るスピードもそれなりに速い。聞けば登山・フリークライミングをやっていて、50歳からスキーを始めたとのこと。そのガッツに脱帽である。

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磐梯山を振り返る
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西吾妻山が見えた

西大巓山頂手前の偽ピークを巻いて、山頂に到着。11時45分。すこし霞んではいるが、素晴らしい展望。南東に安達太良山系、南西に磐梯山と会津盆地、西に飯豊連峰が際立って白く鎮座。北西に朝日連峰から月山、北東に蔵王連峰、近くに西吾妻山。少し休憩して上記の女性Mさんと会話して、12時過ぎに誰も滑っていない東側のオープンバーンを中ほどまで滑ってみる。急斜面だが、雪質は悪くなく5〜6ターンして偽ピーク直下までトラバースし、シールを付けて登り返した。

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東斜面の我がシュプール。右の立ち木まで

ゴンドラが動かなかったために時間切れで西吾妻山を諦めた、重いカメラを持ったつぼ足ご夫婦は来た道をひきかえしていった。Mさんも西吾妻までのピストンの予定だったようだが、私が滑ろうとする南西尾根について行きたいというので一緒に滑ることにした。

12時45分滑降開始。偽ピークの西側に少しオープンバーンがあったが南向きなので雪は悪く快適ではなかった。これが終わるとひたすらシラビソなどの視界の効かない密林になり、スキーヤーズライトへ針路をとりながら高度を下げていく。ほとんど横滑りやボーゲンになり、快適な滑降とはいえない。Mさんを待ちつつ、頻繁にジオグラフィカで現在地を確認して広い尾根に乗れるようにルートを取る。何度も現在地確認が必要だった。GPSなしにはルートミスしそう。1700mで13時、1500mで13時25分。ゆっくり滑ってもスキーでの下りは速い。

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滑ってきたコースが密林の中にあるはず

標高1500mくらいからブナ林になり、遠くが見えるようになる。しかし高度でいうと滑降の後半部になっていて、斜度も緩い。この山は豪快な滑走を求める山ではないようだ。1400m以下になると少し斜度が増すのだが、50mほど降ったらトラバースする登山道に出た。13時30分。その下のやや急な斜面はブナの若木の密林なので、登山道をトラバースして1291mの尾根の東側に出て、やや疎林になる沢沿いを滑る。小沢がいくつか出てきてスノーブリッジを越えるが、場所によってはホールが空いているので低速で慎重に。不動沢を越える橋のところへ出たかったが、その上流で不動沢のスノーブリッジを越えたので、不動沢左岸を滑って橋のところへ出た。13時53分。あとは林道を歩いてゲレンデに出て終了。14時15分。上り標高差が400mほどと少なく、下り標高差が800mほどあるスキー向きのコースだが、ほとんど密林の中でのオリエンテーリングのようなコースであった。
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不動沢にかかる橋

この日の動画(約3分20秒)

ステップソールで魚沼スカイライン縦走

新潟県のムイカリゾートから上越国際スキー場まで、2つのゲレンデトップを繋ぎ、雪で埋もれた魚沼スカイラインをステップソールスキーで縦走してきた。今回は一方通行のスキー行になるので、クルマでは行かず、新幹線と上越線を使う。まさに旅らしくなった。

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クルマで行くと出発地に停めた車両を回収せざるを得ず、また帰路の関越道渋滞が厄介だ。行きは始発の上越新幹線に指定席の余裕がわずかにあったが、帰りの越後湯沢からの新幹線は軒並み指定席が埋まっている。新幹線に乗り換えるなら、余席のある便のグリーン指定を買うか、自由席の熾烈な争いに加わるか、それとも上野まで70分くらいだから立っていくか・・でも14:53上越国際スキー場前発の各駅列車に終点の水上まで乗っていけば、接続よく高崎で乗り換えて上野までたどり着ける。これしかないと思って計画を進めた。結果、渋滞知らずで19時過ぎには帰宅できた。

列車でスキーに行くのは本当に久しぶりだ。下山後にクルマ回収地まで公共交通機関を使うことはあるが、自宅からスキーとザックを担ぎブーツ袋を抱えて列車に乗って行くのは遥か昔、妙高バックカントリースクールの春の至仏山ツアー(記念すべき初ツアー)や初めてプライベートで知人3人と根子岳に行った時以来かもしれない。大荷物を抱えて移動するのはカヤックの旅で慣れてはいたし、カヤックに比べればはるかに機動性もある。

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地味な色のスキーケースとブーツバッグ。派手な色のザック

ただし、列車での移動は事前に準備をしておかなくてはならない。クルマのように自分の都合に合わせて好きな時に出て行くことができない。これが面倒くさい。さらに待ち時間を無為に潰すのがイヤなので、実際に移動する時間と待ち時間が拮抗する飛行機は大嫌いなのである。

2日前に往きの新幹線の空席をネットで確認してビックリ。待ち時間最短で六日町駅まで行かれる新幹線はすでに指定席が売り切れている。その前後もすべて×(私が週末の新幹線事情を単に知らないだけ?)。結局、出発時刻を50分近く繰り上げて始発の上越新幹線「とき301号」の指定席を取る。輪行と同じで、車両最後尾の席だとスキーを背もたれの後ろに立て掛けられるが、そこは埋まっていたので車両最前列の2人席窓側を取る。結果的にはスキーを窓側に斜めに立て掛けられ、埋まっているはずの隣席も越後湯沢まで空席で快適だった。1日前、復路の乗車券のみ購入する。都区内まで3,600円あまり。これで寝坊さえしなければ往復ともに大丈夫だ。相棒のG3FINDR86はモンベルのポケッタブルスキーケースにストックとともに収納し、テレマークブーツとアウターパンツはカラファテのブーツ袋へ、BC用ザックのターギー45に登山関係の道具や食糧・飲料を入れていく。もしもの寒さに備えてレザーグローブを2双持っていったが、結局気温が高くてフリースのインナーグローブだけでコトは済んだ。フーディニの軽いアウタージャケットもザックから出さなかった。ビーコンやゾンデ棒など、基本林道歩きの単独行では不要な物も持っていかなくてよかった(単独でもビーコンを持っていくのはもしもの時、捜索上役立つかもしれないから、と考えているが今回は不必要だった)。ヘルメットは置いていった。ザック内の荷物が多くなった結果、現地でスキーブーツを履いてアプローチシューズをザックにしまうのにザック内部の余裕がなかった。しかしツェルトやファーストエイドキットは外せないし、アウタージャケットも非常時のビバークなどを考えると置いていけない。

さて24日は朝5時15分に自宅を出て、両肩に荷物を背負っていく。上野駅で待ち時間20分、越後湯沢駅で待ち時間30分。当初の予定と同じ8時過ぎの長岡行き各駅停車に乗って六日町駅へ。帰りに列車に乗る予定の上越国際スキー場駅で大勢が下車していった。六日町駅東口では八海山スキー場行きのバスが停車していたが、20分待って(この間にトイレでスキーパンツに履き替える)ムイカリゾート行きの送迎マイクロバスに乗り、9時ころ到着。リフト券売り場に列ができていたので、ゆっくり目に準備して(というか、ブーツを履いた後の脱いだアプローチシューズの収納に手間取る)いるうちに列が短くなり、これ幸いと1回券2枚購入。登山届も窓口で受け取って頂く。

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越後湯沢駅にて在来線に乗り換える(車掌さんがりりしくて美人でした)

2本のリフトに乗り、9:40ゲレンデトップへ。雪上車がつくった桝形山山頂へのハイクアップルートをたどって山頂直下へ。10時、縦走開始。未圧雪のスカイラインへ進入する。はじめは下り基調だが、尾根が狭くて道路幅しか通れるところがなく、尾根の向きによって雪の積もり方がいやらしいところが数か所ある。道路上は幅3mくらいのうねった雪面(うねりの高低差が30cm〜80cm)で、右側は40度以上の急斜面、左側も急斜面で雪庇あり、という条件でステップソールで歩くにはそれなりのテクニックが必要だ。ムリに直進せず、雪面にうまくあわせて、しかも北側のクラスト雪を蹴り込んで足場を作らないと危険な場面もあった。稜線を切り通している場所では上から雪庇が落ちてくる危険性も感じた(雪どけ水がポタポタ落ちているので怖い)。

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桝形山方面を振り返る(単独スキーヤーとすれ違った直後)

675mポイント近くだと思うが、向こうから単独スキーヤーが歩いてきた。すれ違い時に声をかけたら、地元の人で集落(おそらくスキートレースから八箇集落だろう)から歩いて登ってきたという。「ここいらはおれたちの庭みたいなもんだ」「今日は運動不足だからこうして歩いてきた」「帰りは同じ道で帰るか、スキー場に降りて仲間に迎えに来てもらう」などと言っていた。日曜日の午前中に運動不足だからとスキーを履いてハイクアップしてくる、なんていうのは最高の贅沢でうらやましい。こちらが、上越国際スキー場まで歩く予定だというと、「楽々だぁ」とのお返事。こんなマイナーな(でもかつての「山スキールート図集」に掲載されているクラシックなコースではある)コースで人に会うとは・・ちょっと嬉しくなる。

八箇方面へ下る林道との分岐で小休憩。11:00。このあたりからスカイラインの両脇が広くなり、谷もやや浅めになってくる。緩く下っていくと左手に樽山が見え、スカイラインの左手1段上に護国観音が置かれた場所があるようだ。スノーシュー、スキートレースが多くなってくる。右手は杉林だが、斜面が緩くなり、疎林になっている部分もあるので、そのまま標高差130mほど滑り込んでみた。明るくて良い斜面なのだが、中盤に大きなギャップがあり、勢いが付いたまま滑っていくことは危険だった。結局低速でギャップを見極めて滑り、560mあたりでシールを貼って登り返した。滑り5分、登り30分。シールをつけたままで護国観音まで登り、屋根で覆われた護国観音前で日光を避けながらシールを外して小休止。12:15。日差しが強くて日陰でないとまぶしく、液晶画面も見えにくい。

もう目の前が栃窪峠だ。12:30。道路は左手がシャトー塩沢スキー場(稜線上から営業しているのかどうかわからず。スキー客も見つけられず)の上の栃窪集落、右手は十日町方面だが塩ノ又集落。私は直進してスカイラインをたどる。稜線は広く、進行方向左手も右手も緩い尾根が延びていて少し遊びたくなるが、ステップソールでは板が走らなくて面白くないだろう。それにしても、今日は朝からずっと八海山から巻機山まで越後の白い山々がくっきり見える。右手の遠方には妙高・火打も確認できた。スカイラインを少し外れて緩く滑ったり登ったりしていたら、リフトが見えてきた。

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素晴らしい山並み

13:20、ゲレンデに入る。ゲレンデの雪はシャバシャバの重い雪。ボーダーが多いスキー場だ。頼むから人の目の前で5mおきにコケるのは止めてくれ。ステップソールでは緩斜面でスピードが落ちてしまい、とてもつまらない。何とか重い雪をアルペンターンでこなし、13:40に駅の目の前にあるアネックスに到着。13時台の列車が出た直後で、待ち時間が1時間以上あるので、ゆっくり着替えてスキーを乾かし身支度をする。ムイカリゾートに下山を連絡し、スマホから出した登山計画の下山報告も済ませる。それでも列車到着の30分前には無人の殺風景なホームに立ってしまう。列車時刻が近づくにつれて乗客が集まり、乗車する。幸い、座席は確保できた。

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上越国際スキー場前駅上り線ホームから八海山方面

水上まで春のような残雪の中を進んだ。土合から谷川岳に行っていた登山者が乗車してきた。みな一様にグレゴリーのバルトロシリーズなど大型ザックを抱えているが、テント泊は谷川岳近辺ではできないはずだから、やはり寒さ対策グッズがザックの中身を占めているのだろう。しかしあんなにバルトロシリーズが売れていたとは知らなかった。水上まで50分、水上から高崎まで1時間、高崎から湘南新宿ラインで上野まで2時間弱。3本の列車とも座席を確保でき、進むにつれてスキーやブーツ袋は場違いな荷物になっていくが、お尻が痛くなるほど座っていられた。19時過ぎ、無事自宅到着。渋滞知らずで快適なスキーハイキングであった。

この日の動画(iMovieで制作、2分40秒、約400MB)

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ゲレンデ部分を除いたデータ

ステップソールで母成峠〜船明神山(福島)

ステップソール(G3 FINDR XCD86)を今シーズン初めて履いて緩い尾根を登ってきた。場所は福島県郡山市と猪苗代町の境界にある、母成峠から安達太良山のすぐ西にある船明神山につながる尾根。
母成峠は磐梯熱海温泉と沼尻スキー場を結ぶ県道の峠で、標高は970mほど。

一日晴れの予報だったが、午前中から雲が厚く雪が降り、風が強い状況の中、単独で登ったので、3時間ほど登って標高1330mほどで止めてトレースをたどって戻ってきた。結果だけ見るとしょぼいスキーハイキングだったが、自分なりには楽しいものだった。

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スキートレース。赤(登り)と青(滑り)が完全に重なっている

朝5時30分に自宅を出て、東北道で磐梯熱海インターまで。県道を母成峠にのぼって行くと、標高800mあたりから路面が白くなったが、路肩の積雪量は20cmほどで心もとない。

母成峠のわずかな除雪空間を利用させてもらう。ライブカメラに写る場所で、車上荒し対策も兼ねて敢えて目立つところに停めた(もちろん、荷物は荷室に隠しておく)。車のすぐ背後に閉鎖された旧道があり、そこからステップソールで歩き始めたのが9時20分過ぎ。すぐにピンクテープが右手に見えたので、道を外れて尾根に登って行くが、地形図通り最初は急斜面で、シールなしのステップカットだけではさんざんキックターンをしなくてはならない。何とか急な場所をクリアして、最初からシール貼ればよかったと反省する(反省遅すぎ)。次に少し急な場所が出てきたらシールを貼ることにする。

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歩き始めは除雪されていない旧道

防火帯のような切り欠きが事前に見たGoogleマップでも確認できたので、そこを歩くことにするが、薮が成長していて歩きにくい。夏道としては廃道寸前だそうだが、雪があれば何とか歩ける。どうやら最近スキーで登った人がいるようで、トレースがあちこちで見られ、ピンクテープとともに道を見失うことはほぼない。

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標高1210mあたりにこんな古びた標識が・・

ときどき思い出したように強く雪が降り、風も強い。雪が軽いので風で新雪が竜巻状に吹き上がっている。もともと雪が硬くなる森林限界以上へは行くつもりはなかったし、雪が少な過ぎたり歩きにくければさっさと車に戻って沼尻スキー場へ行くということも考えていた。予報以上に荒れた天気なので、お昼くらいまで登って適当なところで引き返すつもりになっていった。ここはマイナーなルートで他に人の気配が全くなく、それを求めてきたのにだんだん寂しくなってくる。1100mあたりで少し急になったのでシールを貼る。こうなれば薮をかき分ける以外は登ることに専念できる。1200mあたりから等高線の間隔が広くなり、ステップソール向きの尾根になるが、カラマツ林も混んでいるし、防火帯のような切り欠きは枝があちこちに当たるし、どうにも面白くない。1300mで右手の小さな沢を渡って右寄りの尾根へ登ったほうが夏道通りでよいように見えたが、市町境の上を歩いたようだ。

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1300mあたりにりっぱなツインブナがあった。この先で夏道は右手へ

このまま1350mから1400mにかけて急斜面が待っているし、雪・風もあんまりよくならないようなので、1330mで登るのを止めてシールを外し滑走に移った。ちょうど12時30分でゆっくり3時間登った。滑走は早いが、薮の枝を障害物として払いのけながら滑らなければならない。それでも約1時間弱で車に戻った。最後の急斜面がクラストしていて厄介だったし、狭い樹間の中でラインを選択しなくてはならず、雪が悪いと曲がりにくく、一度は細い木に抱きつく始末。なんとか無事滑り降りてきた。

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今日の相棒

峠は携帯の電波が圏外だったので、磐梯熱海駅まで降りて登山届の電子申請で下山届けを出し、家に連絡を入れた。登り始めにも急斜面を登りきったら電波が通じたので登山届けを出した。前もって出しておかないと現地に着いてからではちょっと遅い。

磐梯熱海温泉の元湯で入浴(300円)、行動食しか食べていなく腹が減ったので国道近くで「味噌屋」のラーメンを食べる。そのまま磐越道〜東北道で帰路につき、18時過ぎに帰宅。

母成峠から尾根を登り滑る動画(約2分、300MB)

来週末は電車で中越地方へ行ってステップソールでワンウェイのスキーハイキングをしたいと思っている。

豪雪の上越・菱ヶ岳ツアー

世間は2月9日〜11日にかけて3連休ということで、関越道方面の激しい渋滞が予想される。本当は東北道方面でステップソールを使って安全な山へ行こうと思っていたのだが、どこの山域を想定しても東北道方面では静かなステップソール向きのルートが自分では思いつかない。メジャーどころになるか、過去に行ったことがあるルートになるか、二択になってしまう。もっと発想を自由にして研究しないと新規開拓は難しい。

なんだか一人で彷徨うのも寂しくなってきて、知人が参加するインフィールドの菱ヶ岳ツアーに急遽参加することにして、仕事が終わった土曜日夕方から上越方面に向かった。しかしこの土曜日は東京で朝から降雪があり、夕方までに高速道路が閉鎖になる可能性もあった。幸い、積雪は大したことなく、順調に走ることができた。

高速料金が安くなるウィンターパスを直前に申し込んで、首都高→東北道→圏央道→関越道と乗り継いでいく。最近定番になりつつあるルートだが、ボーッとしていると鶴ケ島JCTで乗り過ごしてしまう。意識してまちがえないように関越道に乗って、六日町インターまで。六日町から国道253号線を使って十日町を経由して松代(まつだい)の道の駅まで行って仮眠するつもりである。しかし六日町インターから前の車に続いて253号の旧道へ入ってしまい、ムイカリゾートスキー場で旧道が冬季閉鎖になっていることに気づく。戻ってぐるっと回って、新道を見つけて十日町方面へ。魚沼丘陵を貫く新道は部分的に供用されている自動車専用道で、最短で行かれるのだが人里から離れているので暗くて積雪もあるので慎重に運転する。22時近くになって松代の道の駅に到着。ほくほく線の駅が併設され、コンビニもあってとても便利だ。標高は低いが気温は低く、分厚いシュラフにくるまっても寒かった。

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道の駅 まつだいふるさと会館(左奥が駅改札)

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それなりに降った

明けて10日の日曜日、ゆっくり準備して集合場所のキューピッドバレイスキー場に向かう。虫川大杉駅から長野県境に向かっていくが、昨年3月にステップソールで単独行をして以来となる。ずっと雪は降り続き、スキー場に近づくにつれ斜度も出てくるので先週の志賀高原でのことが思い出され、慎重に運転する。8時15分に駐車場に着いたら、駐車場は満杯だった。ツアーが終わって戻ってきたら温泉施設の前の駐車場まで一杯だったから、相当多くの客が押し寄せていたようだ。

センターハウスでガイドの中野さんたちを待ち、9時に合流。早朝に東京を出発したU氏が若干遅れたが、ゲスト6名が揃い、装備チェックしてゴンドラへ。10時からハイクアップ開始して、まずは県境稜線へ。新雪が深いので1時間かけて稜線に上がり、菱ヶ岳山頂南部の平坦地へ滑り降りるが、最初急斜面なのにスキーが落ちていかないし、深さでスピードが出ない。少し緩斜面になるとストップしてしまう。

最初暑くてシェルのピットジップを開けたのだが、シェルの下に着ていた化繊綿のインナーをスライダーが噛んでしまい、インナーの布を裂いてしまった。柔らかい衣類を着たままジッパーを開閉するのは危険だ、ということを今さらながらに学習する。こんなに降雪がひどくなくて寒くなければ、違う衣類を着てきたはずなのだが・・

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サブリーダーS氏

11時30分ころから再び菱ヶ岳山頂に向かい、ほぼ12時に山頂部到着。稜線や山頂は風が強くて、シールを剥がしたらまずは移動する。ここも雪が深過ぎてスピードが乗らない。ほぼ脚の入れ替えだけ。これでは雪に埋もれた国道沿いに良い斜面を探して下っていくのも困難なので、ゲレンデに出やすい場所として最初に登ってきた稜線へ登り返して滑ることになった。残念だが、雨のように雪が間断なく降り続き、ヘルメットの上にも数センチ雪が積もるようでは身動きが取れない。

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ブナの木と一体化する

約1時間かけて最初に登った稜線に登り返し、登ってきたライン沿いにある程度滑り降りてからもう一度登ったラインを使って登り返し、尾根沿いに滑り降りてほぼ14時30分にゴンドラ降り場へ戻る。ゲレンデを下っていくが、視界が良くなく、コース脇の新雪に少し入ったら足を取られて前転してしまった。ゲレンデ外では一度もコケなかったのにゲレンデでコケてしまうという失態。起き上がるのも大変な雪深さで、ゲレンデ外でコケたら相当体力を消耗したなと思う。15時、ボトム到着。結局、トレースをみるとゴンドラ降り場から大きくUの字を描くように菱ヶ岳山頂を往復したことになる。ゲレンデは家族連れなどで大変にぎわっていた。

ゲレンデ併設の「ゆきだるま温泉」(600円)に入って身体を温めるが、風呂もゲレンデ並に混んでいた。どうせ関越道は激しく渋滞する時間に差しかかっているので、253号線で六日町方面に戻りながら松代の道の駅で休憩、六日町インターで関越に乗ってから塩沢石打SAで夕食&休憩。高速に乗ると六日町あたりからゲレンデのナイター照明がまぶしい。石打丸山と舞子リゾートのナイター照明が高速の左右に見える。ナイタースキーなんてずいぶんやってないぞ。でもあまり滑っている人はそう多くなさそうだ。塩沢石打SAで9時近くまで時間を潰したが、水上から赤城あたりまでの長い渋滞が解消しない。しかたないので水上インター手前の下牧PAで仮眠する。2時間くらい寝れば解消するだろうと思って寝て起きたら翌日の3時近くになっていた。もちろん、渋滞は解消し、狭いPAに停めた車もほとんどいなくなった。順調に早朝の高速を南下して、東京に近づいたらまた雪が降ってきた。

菱ヶ岳ツアーの動画(iMovieで作成、約2分30秒、380MB)
今回、動画は2つのソフトで作成してみた。ソフト・アプリには一長一短があるが、一本だけ残した。

GW・乗鞍岳スキー

残雪が少ない。鳥海山は例外として、どこに行っても雪が例年より少ない。
このままでは、雪が少ないまたは急速に減る・面白さ半減・仕事忙しくなる・天気の巡り合わせが不明、といった要素からどんどん雪が豊富な山から遠ざかってしまう。
GWは3〜5日が仕事で、6日は通常の日曜日である。7日でもよかったが、天気が悪い。6日に決行である。行き先は、そう遠くへ行かれないので例年の乗鞍岳。もうこれでスキーシーズンはおしまいになろう。今回は単独で出かけた。

5日夜に首都高渋滞が収まるのを待って東京を出発。中央道の上り線渋滞が激しいが、それを尻目に下り線は快適なものである。途中で帽子を忘れたことに気づく。あらかじめ家で書いた乗鞍岳入山届も忘れてきてしまった。念入りに準備しないと、仕事が終わってすぐの出発で、しかも行くか行かぬか逡巡した後だと忘れ物がひどくなる。忘れないようにスキー関連グッズは一箇所に集中してあるのに、春になってから必要なキャップはそこに入れそびれていた。入山届は位ヶ原山荘で書くとして、帽子はあればコンビニで買い求めてから上がりたい。何軒か立ち寄ったが帽子は皆無。あきらめて乗鞍観光センター駐車場に23時過ぎに到着し、寝る。シュラフも夏用化繊シュラフで大丈夫だった。
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5月の風物詩、乗鞍剣が峰・高天ケ原と桜

6日朝、観光センターに駐車している車の台数が割とあるので、この上の三本滝駐車場が満杯になっていないか不安になる。実際行ってみるとアスファルト部分にまだ4〜5台ほどの余地があり、未舗装部分にはかなりの余裕があったので杞憂であった。

バスチケット(1,250円)を買い求め、三本滝8:45発の第1便に乗る。前日は降雪で1便、2便が運休になったのに比べれば大変ラッキー。しかしバスは全部で5台となり、各車満車状態だ。

位ヶ原山荘前で風がややあり、山頂方面が心配されるが、9:20山荘を後にする。多くのスキーヤー・ボーダー・登山客と同じく屋根板を登って位ヶ原に出て、肩の小屋下から朝日岳と蚕玉岳の鞍部を目指して登る。シール登行だけで乗鞍山頂近くまで登ってきたのは久しぶりになる。もし硬かったらスキーアイゼンやアイゼン装着のツボ足になる(そんなグッズは持っていないか、重いので持っていかない)が、今年は運がいい。それにしても、みな一様に同じ場所を目指すのは気持ちが悪い。砂糖に群がるアリのように見えてしまうが、私もその一人に過ぎない。
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位ヶ原に出た
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シュカブラ
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鞍部に登りきって振り返ると槍・穂高・常念・笠ケ岳などが一望

剣が峰山頂直下の鞍部で11:40。12時から滑降に移ればよいと考えていたので、ほんとにひっさしぶりに剣が峰山頂まで歩いて登ろうかと一瞬考えたが、まだ滑っている人はごく少なくシュプールでラインが乱されていないので、無駄なエネルギーは使わずに滑降に移ることにした。ツボ足で雪渓を降ろうとしている集団もいたので、あれが穴ぼこだらけにしないうちに、というヨコシマな考えもあってシールオフ。結局滑り出しは12時ジャストで、最初は急斜面だが落ちていくと一昨日降った雪が重く、確実に太ももの筋肉に負担がくるので一気には滑れない。それでも8分で道路まで滑り降りてしまった。
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剣ケ峰山頂は指呼の距離だが行かなかった
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山頂の代わりにこちらへまっすぐ下まで落ちて行きます

行動食を口に入れて再びシール装着、道路沿いに歩きトイレ脇を通って「すべり台」に登る。道路から標高差200mほど。息が荒くなるし、南風も強い。ザラメ雪が風で吹き飛ばされてくる。登りきって13時ちょい過ぎ。スキーヤーズレフトのハイマツが雪の上にすべて出ているので、2650mの道路まで回り込んで富士見沢の中下部を滑降し、そのままトラバース気味に標高2480m鶴ヶ沢左岸の小尾根まで。相変わらず雪は重く、テレマークターンは脚に負荷がかかり過ぎる。アルペンターンでも数ターンすると太ももに疲労がたまる。
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富士見沢を見上げる

最後の登りとして、鶴ヶ沢を登る。富士見沢から高度を落とし過ぎたので標高差200mちょいを直登する。登り始めが13:40で、バスの発車時刻は15:24なので、14:30に道路最高地点から滑れば下りきっても時間の余裕がある。スキーは登りは遅めだが下りが速いのだ。ゆっくり登ればいいや、と思っていたが、14時を回ると周辺に誰もスキーヤーがいない。みな賞味期限直前(もうゲレンデ上の急斜面の雪付きが終わりに近いらしい)のツアーコースを降りてしまったのか?

14:25に道路最高地点に到着してシールを剥がし、14:35に滑降開始、位ヶ原山荘到着は14:53。コーヒーを頼んでも余裕でバスに乗れる。乗鞍高原方面への最終便バスは5台も待機していたが、三本滝行きの専用バスは10人ちょっとしか乗らなかった。2台は空車状態。この時期、どれだけの客がバスを利用するか読みにくいのでアルピコバスも大変だ。この最終便でインフィールドの中野さんご一行と出会う。おそらく、彼らは人が少ないエリアを堪能したに違いない。

私も、累積標高差1000mほどは登った(データで1215mとあるのは、最高地点の山頂直下から標高が高めになってしまい、さらに鶴ヶ沢を登っているにも関わらず一度降ったことになっているせい。序盤と終盤だけは標高が正確だが鶴ヶ沢途中までは標高がおかしい)。昨年の4時間程度の行動よりはよほど充実した乗鞍岳であった。おそらくこれで今シーズンのスキーは終了である。

K2Pinnacle95を手に入れて、どんな雪質・斜度でもまず怖い思いをせず、無駄な転倒なく滑降できるようになった。ゲレンデスキーについては、安比高原や志賀高原のようなメジャーなスキー場をめぐることもした(その分、ホームゲレンデの回数は少なかった)。バックカントリーに関しては、単独入山が多くなっていて危険性を排除する努力がより必要だ。信越トレイル(キューピットバレイ〜森宮野原駅)の単独行と、鳥海山北面滑降は特に印象深く、忘れられない山行になった。

来シーズンはどうするか?ケガなく細々と続けていきたい。
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鶴ヶ沢を登っている時に下降(青い線)になってしまっている。ここで山頂直下からおかしかった標高が修正されている。そのため部分的に標高データが200mほど高くなっている。
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累積標高差は1050m程度のはず。最高標高が山頂より140mも高く、下りの最大斜度は明らかにおかしい。
ま、一応の目安だから不正確でも行動中は深刻ではなく、目くじらは立てない。

GW東北・鳥海山北面スキー

5月1日 晴れ 鳥海山北面滑降
朝7時に食事をとって、そそくさと宿を後にする。平日なのでそこまで駐車場は混まないだろうという予測はしているが、祓川第一駐車場に車を停めたい。幸いなことに駐車場が満車になっていることはなかった。フォレスタ鳥海からの30分ほどの道のりの最中、道路の両側に数mの雪壁がそびえていた。1000m前後の標高で、立山や乗鞍に匹敵するくらいの高さの雪壁が見られるのは稀だろう。
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帰路撮影

8時10分、駐車場から祓川ヒュッテの前に出てスキーで歩き始める。すでに遠くの斜面に大人数がへばりついているのがわかる。視界がよければずっと七高山山頂を見つめながら登るルートは、目標物との距離に心が折れそうになる可能性があるが、ゆっくりでも歩を進めれば山頂が少しずつ近づいてくる。ずっとポールが立てられているから少しくらい視界が悪くなっても安心ではある。
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祓川ヒュッテ手前から歩き始める

竜ヶ原湿原を歩くと最初のやや急な斜面である。夏は沢があるが、すべてフラットな雪斜面になっている。急な段を乗り越えながら女房を待ち、短い休憩を入れ、10時近くなって七ツ釜避難小屋近くに至る。避難小屋は半分くらい雪の上に出ていた。猿倉口方面からのポールがここで合流する。女房の状態はまあまあなので、励まして30分に一回くらい休憩を入れつつ、舎利坂の急斜面に取りつく。こちらも足のマメの状態が芳しくないのでゆっくり登るが、女房との距離は少しずつ離れるので、山頂で待つことにして12時30分に七高山山頂到着。15分遅れくらいで女房が到着。よくがんばった。標高差1000mのシール登行はきっと自信につながるに違いない。
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舎利坂に近づいてきた
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振り返ると下は絶景

風は強めだが、体から体温が奪われるほどではないので、女房の回復を待ちつつ13時20分まで大休止。山頂にいたスキーヤー、ボーダーの多くは滑り降りてしまったようだ。稜線上をスキーを担いで行者岳方面に向かう人もいるし、千蛇谷方面に滑っていきそうな人も直下に見える。新山に登っている人もいるが、スキーヤー・ボーダーではなさそうだ。
山頂で休憩する人が少なくなったからといって目の前で立ち小便をするのは罰当たりだ。せめて少し滑り降りてブッシュの陰でしろよ!女房は疲れていて視野が狭まり気付かなかったようだが、目の前でモロに見えてしまうから止めて欲しい(どこかの誰かさん!)。

13時20分、女房が一番緩いと思われるラインを滑ってから、ダイレクトに落ちていくラインで滑る。斜度30度弱だろうか。ザラメなので気持ちよくターンができるが、落石も見えたりして気は抜けない。女房と合流して、標高1950mあたりから登ってきたルートと絡んで滑る。クラックが目立つようになり、スキーを取られないように気をつかう。13時45分ころ、七ツ釜避難小屋近くまで滑ってきた。ここまで滑れば20分しか経っていない。
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滑りやすい!
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山頂をバックに

天気もいいし、女房もほぼ転倒なしにここまで滑ってきているので、お互い慎重にポールを絡めながら滑って、女房は祓川駐車場へ、私は猿倉口へと下山することにした。ずっと緩斜面で山頂直下に比べれば面白みはないが、滑走標高差が200mほど増すことになる。夏道を迂回するように経っているポールを横目に見ながら面白そうなラインを見つけようとしたが、全般的に緩斜面でいまひとつ。そのままドンドン滑ってしまい、標高1000mの猿倉駐車場にほぼ14時着。1時間30分、標高差1200mの大滑降だった。荷物整理してスキーの汚れを雪で落とし、スキーパンツとブーツを脱いでタイツ1枚で寝転がって女房が車で降りてくるのを待つ。30分ほど待って女房と合流した。
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いつものごとくゆっくりペース

フォレスタ鳥海で風呂に入り、再び鳥海町〜院内を経て、13号線で山形県の新庄に向かう。無料供用の自動車専用道路を使ったりして寒河江のホテルに18時30分着。道中、山形県も田んぼに手が入っていないことに気付く。宮城県はやはり暖かいのか?さすがに山形県はさくらんぼの木が花を付けて満開状態になっているのが印象的。
鳥海山登頂と滑降の達成感に溢れて興奮気味だが、とても疲れた。翌日2日は曇りから雨になる予報だ。鳥海山の豪快な滑降の後、途中までリフトを使い、雨の振り出しを気にしてちょっとだけハイクアップして滑るのは落差が大き過ぎる。視界もよくなさそうだ。月山は月山で別の楽しみを研究しよう。女房の疲れもさることながら、自分の足のマメもきつい。

月山は次回持ち越し。山形県内で少し観光してゆっくり帰ることに方針は決まった。

5月2日 曇り後雨 帰路
だるさが残る朝だが、いつものように早起きしてしまう。ゆっくり宿を出て、後ろ髪を引かれつつも、月山を遠めにも見られない天気では早々に諦めるのが賢明と考えて月山方面には向かわず山形市内へ。霞城の駐車場に車を停めて、霞城の櫓、お堀の中を走る山形新幹線、最上義光歴史館、山形美術館(ルオー展)を見学。ルオーの絵の展示点数が多く、飽きるくらい見た。
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城の堀を通る線路って珍しいのでは?
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御用画家ダヴィッドのナポレオンよいしょ絵と全く同じポーズの最上さん

11時台に山形市を離れ、米沢から大峠を通って喜多方へ。西吾妻方面や飯豊方面の雪が見えたが、鳥海のような圧倒的な雪の量はなく、わずかな残雪といった感じ。喜多方から飯豊連峰を振り返ると豊富に感じるが、例年ならもっと真っ白ではないだろうか。14時ころ喜多方でラーメンを食べて、さらに一般道で南下、会津若松から会津西街道121号線で走り慣れた会津田島を経て栃木県へ。ついでにそのまま日光まで南下し、日光宇都宮道路に乗る。佐野藤岡インターあたりから渋滞が伸びているので、大谷PAで仮眠、19時30分に再出発して帰宅した。東京も小雨が降っていた。

いやー、実に充実したGWのスキー行脚だった。もう今シーズンはこれで終わりにしてもよい、と思っているが、乗鞍行きたいよ病が発症するかもしれない。

GW東北・栗駒山スキー

例年GWの連休は仕事が入ってしまうのだが、今年は3〜5日に仕事がまとまった。しかも平日の1、2日に仕事がなく、29日から4日間連続で休みが取れた。GW前半は天気が持ちそうだということで、思い切って東北へ足を伸ばすことにした。

当初は一人で北上しようと思ったが、かぐらBCで復調の兆しある女房も行きたいとのことで二人で行脚することに。車中泊はさすがにキツイだろうと思い、栗原市築館、鳥海山麓、寒河江に宿を取った。取れたことすらラッキーだったかもしれない。ターゲットの雪山は、栗駒山(30日)・鳥海山北面(1日)・月山(2日)である。天気と疲労と充足感で月山はカットしたが、GWになっても早春の気配が濃厚な東北の山麓地帯を味わって無事ケガなく帰ってきた。以下、旅行記である。

4月29日 移動日
渋滞を避けて昼過ぎに出発。まだ東北道の事故渋滞が残っていたので、早々と浦和で高速を降りて新4号バイパスで北上し、矢板から東北道に乗った。関東北部は気温30度近くまで上昇して暑く、田植えが終わっている田んぼも多い。福島県中通り、宮城県を北上しても季節が逆戻りした印象は薄く、宮城県でも田んぼに水を入れた場所が目立つ。長者原SAで夕食を食べて、栗原市築館の小さなビジネスホテルに投宿。質素だが清潔感のあるホテルだった。

4月30日 晴れ 栗駒山BC
7時にホテルで出た朝食は、すべて自分のところで調理しているようで、業務用の食材をほとんど使わず手作りされたもので好感が持てた。いわかがみ平までは車で約1時間かかり、直下のゲートが開くのが9時なので、のんびり8時にホテルを出発。曇りがちで栗駒山を遠望することはできないが、かなり長距離(40km弱)を走って栗駒山に近づく。雪はまあまああるように見える。8時45分にゲート通過。すでにゲートは空いていて、いわかがみ平の駐車場に着いたら登山やスキー・ボードの人がハイクアップし始めるところだった。
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登り始め

われわれも9時20分ころ歩き始める。はじめレストハウスの左方に向かって登り始めたが、ブッシュが行く手を阻んでいそうなので右手に行き先を変え、小さな沢状地形の中へ入り込んでブッシュを避けた。トラックログもそこから始まっている。沢を右手に見ながら緩い斜面をハイクアップし、沢のヘリを歩かなければならないところではスキーを外したが、女房のペースと自分の足にマメができない程度のゆっくりペースで11時30分に山頂直下到着。スキーをデポしなくてはならない山頂はパスして、一人で東斜面を標高差100mほど滑ってみる。東斜面は開けていて気持ちがいい。登り返して12時20分。
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山頂へ直登

南側の急斜面にも雪が残っていて、そちらを滑った人もいてそそられたが、メインは明日の鳥海なので自重する。栗駒はだいぶ雪が解けてしまっているので、3月末か4月初め、道路の開通を待たずに下から一日かけて楽しんだ方が賢明に感じた。今年特有のことなのかもしれないが、この日はスキー・ボードよりもツボ足登山者の方が圧倒的に多かった。かなり軽装備の登山者も見かけた。

12時30分、女房と滑り始める。東斜面からつながっている沢状の雪原はほとんど滑られていないようなので、沢の源頭部に出てどこかで雪を繋いでトラバースして沢のヘリに上がればいいだろう。登りでスキーを外した箇所ではまたスキーを外し、ブッシュの中の緩斜面タラタラ滑りで13時20分に駐車場帰着。午後になると駐車場には雪を見に来た一般観光客が多くなっていた。
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雪はまあまあキレイ

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下部になるとさすがに汚れが・・

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トラックとデータ(登りの最大斜度がどうもおかしい)
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スキーを脱いでからのドライブが今日は長い。いわかがみ平からまた延々と南東に降り、国道457号線から47号線、鳴子温泉から108号線に乗って栗駒山塊を東→南→西と回り込み、オニコウベスキー場の東を通って鬼首トンネルを抜けて秋田県に入る。左の神室山地は険しくて残雪が見えるがとても急だ。

湯沢市の院内あたりはまだ雪どけ直後といった感じで、枝垂れ桜が美しく、道端にはスイセンが咲いている。早春に逆戻りだ。秋田ではまだ田んぼに全く手が入っていない。108号線で鳥海町に降り、600kmほど走ったので給油して、フォレスタ鳥海に投宿。鳥海山の祓川へ一番近い猿倉温泉の宿で、建物も立派なリゾートホテルだ。ホテルで登山届も提出できる。
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夕方、美しい鳥海山の懐へ

明日は鳥海山にチャレンジ。予報通り曇りから晴れになるのか?

かぐら雁ヶ峰コース改め中尾根

週末の混雑を避け、平日月曜日にかぐらスキー場へ向かった。今回は女房連れでライトなシール登行を交えるつもりで、最初は吾妻スカイラインで浄土平近辺から東吾妻山、前大巓、蓬莱山あたりへ行こうと考えていた。しかし距離が長く日帰りが大変だということや、土曜日の仕事が長くなって土曜夜に移動ができないことなどから却下。かぐらのバックカントリー(雁ヶ峰コース)に切り替えた。駐車場と山が混雑する日曜日を避けて月曜日の日帰りとした。

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30分頃駐車場に到着する。駐車場中程のトイレ・売店あたりまで駐車されている。そそくさと準備して高い一日リフト券を購入する。ついに私も数日前からかぐらスキー場でシニア券を買い求められる年齢になってしまった。もちろん迷わず500円安いシニアチケットで。

ロープウェイに乗ってみつまたエリアのリフトに乗ってみると雪面がとても汚い上に雪の量が例年になく少ない。ゴンドラに乗って雁ヶ峰から降ってくるコースの下部を注視して見たが、ツリーホールが異様に大きく、積雪量がかなり少ないようだ。最後は藪漕ぎ覚悟かと思いつつゲレンデトップへ。

平日の第5ロマンスリフトはスカスカで、週末のような殺気が感じられなくてよろしい。リフトを降りたところで計画書を提出しようとしたら、ホワイトボードに「雁ヶ峰コースNG」とある。スタッフのお兄さんに聞いてみたら、下部は雪が少ないし沢には大きな穴が空いているのでスキー場からNGが出ているという。まだ4月なのに、雪が豊富なことで有名なかぐらスキー場ですら例年以上に雪解けが進んでしまったようだ。

仕方ないので、お兄さんには霧の塔から戻ってくると言ったものの、とりあえず神楽ヶ峰近くの稜線に登り、中尾根を滑ってゲレンデに戻ることにした。何せ同行の女房は新しい板で最初のシール登行、ずいぶん前に行った鍋倉山以来、スキーで山に登ることもしていない。体力目一杯の行動は慎まないと。

順調に稜線まで30分ほどで登り、少し休憩してからノーシール・ステップソールの私は登ってきた斜面を少し滑り、平坦な場所から沢の源頭にトラバースし、中尾根の頭に登り返す。女房が後ろからついてくるのが見えたので、一度斜面を滑って雪の状態を確かめ、再び中尾根の頭に登り返す。若干滑りにくい雪だ。
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苗場山をバックに
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G3finder86とK2talkback82

中尾根の頭でまた長く休憩して、だんだん風も出てきたので下山にかかる。12時30分。中尾根の滑降は快適だったが、女房は結構何度もこけていた。立ち上がるのにエネルギーを消耗し、尾根の下部に降りてきたら結構疲れているようだった。50分ほどかけてゴンドラの山頂駅に着いた。女房の右足が調子が悪いようなので、まっすぐゲレンデ内を滑って降りた。ゴンドラ沿いの緩斜面ではステップソールが引っかかってスケーティングが必須。女房はこの緩斜面でさらにダメージを足に被ったよう。
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中尾根の小さなオープンバーンで
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ゲレンデではこいのぼりが泳いでいた

ロープウェイで駐車場に降りたら14時を回っていた。リフト券を買った時についてきた場内1000円券で軽食を食べて、帰路についた。

こんな状態ではどこに行っても雪が足りずに苦労しそうだ。GWにあと1回か2回行けたらそれで今シーズンは終了だろう。連休始めに東北に行って、最後に連休明けに乗鞍に行きたいが・・

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地図
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データ

近そうで遠い重倉山

3月25日(日)晴れ インフィールド・重倉山ツアー

宿泊先の目の前の道の駅で7:30集合。昨年の粟立山に参加した2名のメンバーが共に参加、全体で7名のゲスト参加となった。ガイドも含めてテレマーク3名、ATスキー5名、スプリットボード1名の混成部隊で、西野谷集落の外れの標高265m地点を8時出発。

林道に沿って重倉川を詰めていく。重倉川は支流も含めてスノーブリッジがなく、帰りは苦労させられそうだ。林道が重倉川から離れて高度を上げて行く折れ曲がりポイントまで来ても対岸に渡れないため、そのまま林道を登っていく。林道は距離がある割に高度が稼げない。昨日長距離を歩いた脚のダメージが徐々に出てくる。足のマメもダクトテープを貼ってワセリン状のジェルを塗り込んで対策はしてきたが、脱げないブーツの中で悪化していっていることは明らかである。
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林道から

550mで林道から離れて尾根に取りつき、922mピークと869mピークの中間に出る。922ピークでシールを外して北面を滑るが、雪面が硬くてターン時にずらしながら滑るしかない。標高800mの沢で再びシール装着、重倉山山頂まで標高差200m弱を登る。これが辛かった!
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奥に大毛無山、手前に粟立山とその北方の稜線
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今日はノーマルスキーで
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922mピークにて
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硬い北斜面を滑る

山頂で13:20。実に標高差800m弱を5時間かけて登った。疲労蓄積だけでなく、日差しの強さもダメージを大きくした。
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山頂でくつろぐ

13:35から滑降開始。雪庇は大きくないが、無雪期ならガケになっている斜面を滑る。南東面で雪が重く、テレマークターンは試みてもうまくいかず、2コケしたのでアルペンターンで滑る。NTNなのでアルペンターンは山でもお得意だ。594mの尾根突端までは20分で滑ってしまう。
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山頂直下のいい斜面
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いい感じで滑ってこれた
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昨年粟立山に登ったお二人。共にATスキーでとても上手

そこから重倉川の左岸に下降していくが、沢沿いに降りてから林道の屈曲点までのわずかな距離の中にさまざまなトラップが潜んでいた。狭くて急なクライムダウンポイント2箇所、飛び石づたいの沢横断2箇所、急斜面のトラバース、スキーを外してのツボ足登行など、合計で1時間以上格闘した。
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沢の出合で川を渡る。SLが岩を投げ込んで足場を作ってくれた
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こんな感じで場所を選ばないと川を渡れない

その後は登りで使った林道をタラタラと滑り降りるだけ。15:45着。
コマーシャルツアーなのでトラックのある地形図は表示しない。データのみ掲載する。
かなりヘビーなツアーだったことがわかる。
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足のマメのダメージも大きく、もう十分滑ったので、日曜日の高速割引を使って帰ることにした。月曜日も時間的な余裕はあるが、足のケガをこれ以上ひどくしたくない。道の駅あらいで大相撲千秋楽を聞いて、ご褒美に回転寿司を食べ、関越道の渋滞はPAで寝てやり過ごすことにして帰路につき、甘楽PAで2時間ほど睡眠。22時30分頃起きたら渋滞は解消していた。練馬から外環には乗らず、新目白通り、靖国通りを経て帰宅。日付が変わっていた。

信越トレイル・ステップソール縦走

3月24日(土)晴れ 信越トレイル・ステップソール縦走

朝7時45分、ほくほく線の虫川大杉駅に駐車し、あわてて最後の準備をして8時ジャストのシャトルバスに乗る。他に地元の小学生レーサーが二人。20分ほどでスキー場に着き、9時のゴンドラ稼働開始まで待機。登山届はパトロールに提出するつもりだったが、パトロールの人が不在で、チケット売り場でゴンドラ1回券(1,000円)を購入する際に事情を説明して受け取っていただく。

ゴンドラは予定通り9時過ぎに動き出し、さっそく山頂停留所駅(965m)へ。ロープの一角に警告の看板があり、そこがエリア外への出口になるようだ。シールをあらかじめ貼ったスキーを履いてロープ外に出ようとしたら、おじさん二人に声をかけられた。ルートを簡単に説明したら、シールというものを見るのが始めてのようで、説明した。しかし今回、シールは最初の登りでしか使わない予定だ。あとはアップダウンの回数が多過ぎていちいちシールなど脱着していられない。G3ファインダーのウロコの登坂力で機動的に歩くつもり。出発は9:20。
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ゲレンデからの出口右手に雪崩デブリ。真ん中の小尾根を登る

平坦な場所がロープ外にもあるが、菱ヶ岳の崖が迫っていて雪崩のデブリもあるので一般客が近づける場所ではないようだ。デブリを避けて小さな尾根の上から登ったつもりだったが、トラックデータを見ると尾根と尾根の間の小さな沢を登ったようだ。稜線に上がったのが9:50、標高1100m。シールのままで1150mのピークに登る。10:10、シールを剥がして滑降に移ろうとするが、思ったより急斜面だ。標高差80m程度だが、最初からコケていたのでは先が思いやられるし、自分一人しか頼れないので、コケないよう慎重にターンして1075mまで。雪質はいいようだ。黄砂もないし、昨日までの雨が霧氷になったりわずかな積雪になっていたようで、雪面はキレイ。
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美しい雪面と霧氷が着いた木々
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黒姫・天狗原&金山・妙高・火打。手前に伸びているのが関田山脈
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最初に滑った斜面

ここからはステップソールのウロコを効かせて歩く。県境の稜線ピークではなく、若干長野県よりのピーク直下をトラバース気味に歩いていく。1131mピークの直下で10:40。右手下方に無木立の湿原が見えた。湿原に向かって滑り、そのまま沢状地形を歩いて野々海池へ。池の上の一番長いところを一直線に歩く。時間は11時前後で、ここまでの距離は3.5kmほど。野々海池を渡りきったところにキャンプ場の施設があり、その近くの日陰で休憩。行動食を摂取。バウムクーヘンやらワッフルやらドライトマトやナッツなど、普段はあまり食べないものばかりで、水がないとノドを通りにくい。暑くなることを見越して水分はハイドレーション・チュウチュウ仕様にしてあるのと、別立てでスポーツドリンクのペットボトル500mlの合計1.5リットルを担いだ。日が高くなってきて池の真ん中では日差しを遮れないので、水分を欲する。暖かい飲み物はこの天候だと要らない。
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野々海池を横断

休憩後、三方岳に向かって緩やかな斜面を登る。三方岳手前の1140mピークのブナ美林を静かに歩いていたら、案の定甲高いエンジン音が聞こえてきた。関田山脈名物のスノーモービル(スノーバイクも数台見かけた)軍団だ。一台ずつバラバラにやってくるので三方岳山頂直下まで何台もすれ違った。彼らはすれ違いざまに会釈はするのだが、トレースを見ると相当な急斜面をフルスロットルで駆け上がるのでその爆音が轟いて興ざめになる。2ストロークだから余計うるさい。まあ、あちらも一人でスキーで歩いているヤツがいるとは思ってもいないだろうし、他人に迷惑をかけないようにこのエリアに入ってきたのだろうから、常識は踏まえた方なのかもしれない。それに、彼らの爆音で冬眠から目覚めた熊などは現れないだろう。
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三方岳を通過。稜線のギャップは大きい

三方岳はピークを踏まず、12時に通過。天水山までに小ピークが3つあるが、滑りやすいところはすべてモービルのトレースが刻まれていた。仕方ないが、迷うことはない。ピークはなるべく巻くが、鞍部までの斜面は予想以上に急で、鞍部の尾根の右手(長野県側)は沢で左手(新潟県側)はガケになっているところもあり、ルート取りに気を遣う。そんなこんなで天水山山頂に12:50分着。ここは新潟県側の斜面がなかなかよろしい上に県境の尾根は地形図からの想像以上に滑りにくそうなので、モービルのトレースを見ながら新潟県側にいったん滑り、トラバースして鞍部に出る。1043mピークの手前の鞍部で13:00、そろそろ疲れが出てきた。目の前の斜面を登る気力が薄れてくる。うまく下山できれば14:20森宮野原駅発の飯山線に乗れるかも、という淡い期待も出てくる。こういう皮算用がよくない。
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天水山から津南方面が見える
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尾根通しで滑ると間違ったピークに行ってしまう

1043mピークから尾根を滑って967mピークに向かわなければならないところ、その手前の枝尾根の末端に行ってしまう。GPSで確認して修正。尾根が広がり、下り基調になるのでルートファインディングを頻繁にしないと危険だ。広がった尾根をあまり右手に寄らないように滑る。左に寄り過ぎると無印良品のキャンプ場が見える。尾根が延びているが、駅は遠のいてしまう。幸い、杉や広葉樹は疎林で視界はいい。標高750mあたりで作業道と交錯しながら標高を下げる。杉林が密林になってきて、その下にあるはずのため池は上から見渡せない。慎重に高度を下げて、ため池脇の作業道に出た。これでもう安心。下の三角形のため池から道路幅が広がるが、そこまで除雪は進んでいた。14時だ。道路を歩いていたのでは遅くなるし、雪壁のある道路を横断することも難しい。降っていく道路の左側の雪を拾いながら下降してくのが賢明かと思い、県境を出入りしながら一箇所だけスキーを脱いだものの、滑り降りた限界が地図上トラックのゴール地点。頑張れば下の学校裏手まで滑れたかもしれないが、標高360mまで滑れたので十分だ。関田山脈の長野県側は標高が高い分、雪が比較的残っているのではないか?
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ため池で振り返る

すでに14:15。列車に乗るのは無理。舗装路面で荷物をすべて下ろして休憩。森宮野原駅で上下線の列車がすれ違う時に鳴らした警笛が聞こえた。のんびり舗装路を神社まで歩き、国道117号線に出て森宮野原駅にたどり着く。14:45だった。
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国道から駅(スキーの右の楕円形の無雪の土地にホーム)を見る
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駅についたが時間が中途半端

さて、虫川大杉駅までどうやって公共交通機関を使ってたどり着くか?14:20の後の飯山線は16:54で、実に2時間以上待ち時間がある。そんなに待てない。次善の策として、15:10発のバスで越後湯沢駅まで出て、そこからほくほく線に乗って行くという手がある。いかにも無駄な遠回りで料金も2,000円以上と、列車のみの乗り継ぎに比べ倍額になってしまうが、こちらの方が50分早く着く。
ということで、バスを待つ間、電子登山届け「コンパス」の下山届を出して女房に下山を知らせたり、キューピットバレイに電話で下山報告をしたり、予定変更で単独行で入山するとメールした吐月工房氏にメールしたりと各方面に連絡をしてバスに乗り込んだ。

好天に恵まれ、雪質も良く、キューピットバレイの営業終了直前というタイミングをつかまえて行動開始を早くしたために、ほとんどピンチなくコンプリートできた。一方、全行程12km強で、対策はしていたもののやはり足の内側くるぶし下にマメができた。体力が続かないこともあるが、これができてしまうとそう何日も連続してスキーで山に登る気力が失せる。

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信越トレイルデータ。登りは少なく下りが多め、しかしスピードは遅い
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信越skier春の雪調査(計画とアプローチ)

3月になって急に気温が上昇し、すっかり春めいてきた。個人的にはもう少し長く冬であって欲しいのだが、春には春前期のマゾヒスティックな悪雪滑降という楽しみ?もある。

少し前から練っていた個人的計画に、信越トレイルのステップソールスキー縦走があった。まだ歩いたことのない最東部の野々海池や三方岳・天水山を経て森宮野原まで降りるルートだ。ワンウェイの行ったきり縦走なので、単独では難しいと思っていたが、上越市の菱ヶ岳山麓にあるキューピットバレイスキー場の送迎シャトルバスとゴンドラを有効に活用すれば、車2台は必要なく、飯山線とほくほく線を使って車を回収できそうなことがわかった。

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未踏の地だし、やはり一人では心細いなあと思いつつ、インフィールドの中野さんにルートの現実性を打診してみたら、リクエストツアーとして取り上げてくれた。私の計画に加えて、前日長野県側の鍋倉高原からキューピットバレイまで抜けるルートも浮上し、二日間のステップソールスキーの旅(22日はキューピットバレイのコテージ泊の計画)に昇格した。他の参加者が2名見つかったものの、現実にはそう上手くは行かず、22日、23日ともに雨で中止となった。晴れていたとしても、キューピットバレイのゴンドラが動いていたかどうかは不明である。

上記の計画に加えて25日の日曜日にインフィールドの矢代山地・重倉山ツアーにも申し込んだため、23日と24日の宿泊先も確保した。24日が晴れならば、一人で当初の計画のルートを歩くつもりだ。

ステップソールツアーが中止になったのだが、23日夜の宿泊先は確保しているので、23日午後に東京を出て宿泊先に向かった。上信越道を使うとずっと高速に乗ることになるが、平日で料金も高いので関越で塩沢石打まで行き、国道353号線で清津峡を経由するルートを取った。もう路面に雪はない。

十日町と津南の間で国道117号線に合流してから、森宮野原駅までは10km強なので往復してみることにした。その後国道353号線、253号線でほくほく線の虫川大杉駅に向かい、翌日の駐車スペースを確認して直江津経由で宿泊先のビジネスホテルに向かった。翌日は行動を早くすれば虫川大杉駅8時発のシャトルバス第1便に乗れそうだ。
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森宮野原駅前で昭和20年、この天辺までの積雪があった

信越トレイル単独行の記事と重倉山ツアー参加の記事は別立てとする。

極寒の黒姫山

18日、インフィールドのツアーに参加。
前夜に現地に近いところで車中泊する予定で出かけるが、日本海側は豪雪予報なので松代か小布施のPAで車中泊した方がよさそうだ。案の定、八風山トンネルを越えたところから路面に雪が積もっていた。外気温はマイナス7度くらい。スピードを殺して松代PAに23時にたどり着き、目張りをして就寝。しかし目張りを窓ガラスに貼り付ける吸盤が機能せず、すぐにはがれてしまって厄介。さらに朝方寒すぎて目覚める。先が思いやられる。松代では朝から蕎麦を食って無理矢理元気を出して出発。

最初の集合場所は黒姫高原スキー場だったが、いったん別の場所で集合して判断することになった。参加者は6名。みな一度は一緒にツアーに参加した人たちだ。

結局、当初の予定通り黒姫山に登ることになった。始動が遅れていたので駐車場もいつもより離れた場所で、しかもスキーこどもの日でファミリーが多い。リフトを2本乗らなければならないが、1回券が1枚600円でクワッドリフトはさして長くもないのに1回券を2枚出さないと乗せてもらえない。ゲレンデトップまで1,800円もかかると考えると高い。チケットも長細い紙なので無くしやすく、検札のおじさんの前で2枚渡したつもりで残りのチケットをまさぐったらポケット内に無く、焦った。
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閉鎖されたコースの急斜面をジグを切って登る
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休憩する場所も斜面の途中

さて、標高1,200mで準備し、先行するパーティのあとを追って登行開始。すでに10時20分過ぎで、2,000mの稜線にたどり着くには3時間以上かかるはずだ。雪も深いし山頂部は風も強いはずなので、1,830mあたりまで登って滑降に移る。気温はマイナス10度くらいで、停まると寒い。シェルを脱ぐことはなかったが、内部で汗が冷えてくる。張り流しのシールはよく滑走面に張り付いていてくれたが、どうしても外す時に雪がまとわりつき、折りたたむと嵩張って袋の中にうまく収納できず、袋に入れることは諦めた。
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晴れ間も見えたりするのだが、上空の雲の流れは速い

隣の尾根にトラバースして滑降。新雪の割には抵抗の強い雪で、テレマークターンを試みてバランスがうまくとれないと板が刺さったりして難儀する。コケると起き上がるのに体力を消耗する。アルペンターンでこなせばコケずに済むことはわかってはいるが、せっかくのツアーだし、単独とはちがって仲間もいるのでコケながらもチャレンジしたつもり。

1,350mあたりで再度シールを貼ってスキーヤーズライトの尾根に上がる。2度目以降のシール装着の時にきちんと滑走面にシールが張り付くかどうかが一番の問題なのだが、まだシールが真新しいので張り付いてくれた。しかし尾根に上がってシールを剥がす時には、滑走面とシールの糊面の間に雪が入り込んで、シールエンドに貼ることにしているプラスチックの板は外したシールに貼り付かず、当然シール付属のメッシュも貼り付かない。やむなく当てただけで畳んで収納する。もっと気温が高ければこうはならないかもしれないが、いずれにせよ複数回のシール脱着には水分は大敵だ。

900mでゲレンデに出て緩斜面を下る。結構脚の筋肉には負担がかかった。週明けはゾンビ化するだろう。
道の駅「しなの」でゆっくり着替えてトイレにも寄って、上信越道に乗る。週末の東北道とちがって交通量が多く、上里SA近くでの事故渋滞があり、甘楽PAで少し長く休憩。関越との合流地点あたりの渋滞は意外と早く抜けられ、その後は比較的順調に東京に戻れた。

給油・洗車の際に女子スピードスケート500mが中継されていて気が気ではなかった。
以下、トラックログのデータのみ。地図はコマーシャルツアー参加なので掲載しない。
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筑波山と山王峠

世間では3連休ということだが、土曜日は仕事、11日も仕事で若人たちと筑波山、ようやく12日にスキーでちょっとした山へ。帰りに渋滞に巻き込まれたくないので、早々に帰宅してしまった。

11日 筑波山登山(晴れ。気温高め)
7時45分発の筑波エクスプレス区間快速に乗る予定だったが、若人の一人が遅刻、もう一人は連絡が取れないとのことで8時発の快速に乗った。いいかげん、遅刻や無断欠席は止めて欲しい。今回は「筑波あるキップ」なるものを秋葉原から3,300円で購入した。TXと往復のバスが一枚のキップで乗れるというお得キップだ。

筑波山神社脇から登り始め、いったんつつじヶ丘までトラバースぎみに登り(迎場コース)、女体山まで急登を登った(おたつ石コース)。この日は暖かく、汗だくだ。若人たちはアタックザックだとやけに勢いがよくてガンガン登ってしまうので、つつじヶ丘までは間隔をおいて付いていった。その後の急登になると他の登山客も増えて勝手なペースでは登れなくなるので、列の最後尾で何とか登れた。

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女体山山頂から

山頂近くなると先日の雪がアイス化して残っており、登山道はグチャグチャ、滑りやすくなる。こういう時は軽アイゼンよりもチェーンスパイクの方が利きそうだ。何人か履いている人も見かけた。私も土曜日の仕事帰りに御徒町の登山洋品店を覗いたが、サイズに合うスパイクがなかったので購入しなかったが、見つけたら購入に踏み切りたい。
男体山にも一応登り、御幸ヶ原コースを下る。ケーブルカーに沿った道で、傾斜がきつい。ここも上部は残雪とアイスと泥であり、かなり滑る。私も一回お手付きをし、アイスに足を取られて一度しりもちをついた。やれやれ。

TXつくば駅で若人たちと別れ、駅前のサザコーヒーに立ち寄ってみた。茨城では有名なコーヒーショップだ。美味しかったので、「筑波ブレンド」なるものを購入してしまった。

12日 山王峠スキー(曇り。気温氷点下)
連休最終日の残り一日、家で仕事するのは嫌だったので土曜日に前倒して仕事しておいた。連休最終日で午後からは渋滞が発生するので、関越方面、中央道方面は避ける。東北道も南会津まで行くと帰りが辛い。日光まで行って光徳牧場から山王峠までのコースを登ることにした。もう3年連続で山王峠には登っているが、今回はステップソールではなく、ピナクル95用のシールを先日買ったので、NTNビンディングでの登行を試してみる。標高差300m程度の山王峠では「牛刀を以て鳥を割く」のに等しいが、今日は実験ということで。

出発は6時。光徳牧場着が9時。いろは坂のある国道120号には雪はなかったが、国道から外れると見事にアイスバーンだ。到着直前、進行方向右のアストリアホテルから出てきた乗用車のタイヤがロックして滑っていた。外気温はマイナス8度。

準備して9時30分ころ登り始める。昨年と同様に学習院大学の保養施設近くから高度を上げて行く。前日気温が上がったせいで、雪がクラストしていてちょっと難儀する。しかしシール登行はステップソールで刻むよりも楽で、NTNはつま先から足が上がるので、拍子抜けするくらい軽い。板の重さを補ってあまりある。
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そのままスタスタ休憩もなしに11時に山王峠に着いた。ときどき強風が吹く中、あんパンとカップラーメンで行動食とする。寒いのでカップラーメンのスープがすぐに冷えてきてしまう。
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お約束の写真

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寒くて味わうどころではない!

滑降は、まず林道に出て途中からカラマツ林を滑り、右にトラバースして登ってきた斜面近くを学習院大学の保養施設の上まで滑り、左にトラバースして終了。この日のクラスト雪ではテレマークターンはできない。休憩なしで20分で下山してしまった。まだ12時だ。

着替えて帰路につく。いろは坂に雪がなくてありがたい。そのまま往路と同じルートで15時帰宅。
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来週はコマーシャルツアーに参加するかな?
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乗鞍岳・4時間のラストスキー

今年も乗鞍岳でラストスキーとなった。乗鞍岳でスキーシーズンを〆るのは20年くらい前から何度も経験しているが、その間にアルピコバスが春山バスを定期的に運行するようになったり、バックカントリースキーヤーやボーダーが数多く訪れるようになったり、外国人を含む観光客がバスを利用して雪を見に来たりと、大きな変化があった。初めて乗鞍岳を滑った時は、乗鞍高原のペンションオーナーに頼み込んで一緒に登ってもらい、春山バスもきちんとした形で動いていなかった。だからスキーで登って滑った後は登山道をスキーブーツで歩いて降り、とても疲れた記憶だけがかすかにある。山中では除雪の重機の音がするだけで、誰にも会わなかった。

追憶はそのぐらいにしておこう。本当は14日の晴天を狙って登りたかったのだが、当日にどうしても外せない用事ができて、乗鞍は指呼の距離である松本平にいながら、快晴の空を恨めしく思っていた。用事を済ませてから乗鞍高原に移動し、この日は温泉つき民宿に泊まった。翌日のバスの第1便は昨年よりも1時間遅く、朝の時間に余裕ができる。宿泊先で乗鞍大雪渓webを見たら、14日は晴天のため第1便バスが6台にもなったという。15日の好天はあまり期待できないが、前日のような混雑はなかろう。

乗鞍のスキー場を通る県道を走りながら、昨日と違って乗鞍岳が雲で見えず、雲の流れもずいぶん速いことがわかった。三本滝駐車場でバスを待つ間、雨雲が上空を駆け抜けるように過ぎて行くのが気になる。

翌日の第1便は1台。席にも余裕があった。スキーヤーが半分、登山がわずか、残りが観光客といったところか。ゲートを過ぎると車窓に雨粒が見える。満足なラストスキーにならないかも?という不安がよぎる。バスは9時過ぎに位ヶ原山荘に到着し、あらかじめ書き込んできた入山計画書を提出して、9時20分ころには出発した。

計画では鶴ヶ沢を登って滑り、屋根板から「すべり台」に登って富士見沢を滑り、余裕があったら大雪渓方面に転進しようと思っていた。先行する2名の方が鶴ヶ沢を登り始めたので私もそれに従って高度を稼ぐ。先行者の姿がガスに隠れることもしばしば。地形はわかっているけどホワイトアウトはイヤだなと思いながら、明瞭な沢状地形が左前方に見えたので、先行者のトレースは追わず沢の中を登る。若干だが風が遮られる。2600mあたりからは源頭部になるので吹きっさらし。登り始めから小雨も降っていたが、ついに霰に変わった。
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鶴ヶ沢を登り始める
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見えない
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むこうに岐阜県の標識

道路最高地点までたどりついたのが10時30分。視界は20m程度か。ただし、滑る沢の下方は視界が広がる。どこにも風を遮れる場所は見当たらないが、ちょっとした岩陰でシールを剥がし、すぐに滑降。登ってきた沢状地形に入り、2500mでスキーヤーズライトの小尾根方面にトラバースし、屋根板方面へ。2450mでシールを貼り、アップルデニッシュを頬張り、屋根板を最小限の登行でクリアし、大雪渓避難小屋と冬季閉鎖中のトイレ方面に向かう。

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下方は視界があるのが幸い

屋根板を越えた所から南西風が強くなる。あわよくば肩の小屋か、その上までは行きたかったが、登っている人を周囲に見つけることができず、朝日岳・剣が峰方面は2700mくらいから上が完全にガスっているので、不安が強くなる。11時40分、避難小屋近くでこれ以上肩の小屋方面に登ることはあきらめ、きびすを返して「すべり台」に向かう。除雪前の道路を歩いて、「すべり台」に取りつき、時々耐風姿勢をとりながら2800mまで登りきる。12時30分前に到着。晴天だと暑くて休みたくなるが、この天気では休んでいられない。例年よりも高度による酸素不足と苦しさを感じないのは、休んで息を整えるほど余裕がないということなのか?普通に2000m台前半の山を登っているような感じで、息が上がることがない。

岐阜県側の登山道を摩利支天方面に向かう人を一人見かけた。「すべり台」の下方に2〜3名、位ヶ原からツアーコース方面に向かったと思しき人が2名ほど。
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避難小屋とトイレ(風強く山頂部は見えず)

岩場を乗り越えて富士見沢の一番上からドロップしようと思っていたが、風の中プラブーツで岩場を歩きたくないし、富士見沢源頭の雪の上でシールを剥がしたりスキーを履いたりするスペースが覗き込んだ限りでは見当たらないので、「すべり台」でシールを剥がし、アンパンを頬張り、ペットボトル紅茶で流し込んで12時30分に滑降開始。一度コケたが50mほど滑った所にハイマツの切れ目があり、富士見沢に入り込めそうなのでそこから富士見沢にドロップ。沢の中を登っている人が上にも下にも数名見られた。

気持ちよくターンして、スキーヤーズレフトの沢状地形を2540mまで滑り、ここで12時37分。滑るのは早い。もう大雪渓・剣が峰方面の強風を浴びたくないし、富士見沢は風裏になっていて視界も開け快適だが、これから天候が良くなるのかどうかもあやしい。しかもメインディッシュの斜面は滑ってしまった。バスは午後に2便あるが、15時30分の第4便までは時間を持て余しそうだ。13時30分の第3便に乗って下ることに決めた。ツアーコースでの下山はゲレンデで雪がないので最初から選択肢に入れなかった。

残りあと1時間弱、ちょっとだけ登って最後の滑降をすることにして、12時55分、標高2600mをメドに登行を止めるつもりで登り始める。目標時間ピッタリに目的の標高に達したので、もう少し登れそうな斜面の余地はあったものの、シールを剥がして滑る。位ヶ原山荘は目の前なのだが、これが意外と長くて雪質のせいもあって太ももにくる。13時03分、道路に出て終了。やっぱりスキーで滑るのはあっという間だ。立った4時間の行動に過ぎなかったが、充実はしていた。満足。

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終了後に屋根板と富士見沢を見上げる
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また来ます

まだ30分余裕があるので、位ヶ原山荘でコーヒーを飲み、バスで下山。三本滝でツアーコースを滑りかもしかゲレンデを歩いて降りてきたガイドとゲスト二人と再会した。
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バス車窓から
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三本滝の下のカーブから。少し状況はよくなった気もする

昨晩泊まった宿で硫黄泉に浸かり、硫黄臭を身体から発しながら帰路についた。時間も早いのと、中央道集中工事が始まったのでルートに逡巡したが、結局松本から長野道・中央道で八王子JCTまで、その後は2時間以上かかるという大渋滞を圏央道で迂回して関越〜外環〜首都高。自宅着が20時。平日は高速代が高い・・

今シーズンは単独で雪山に入った回数が例年になく多かった。単独の雪山は確かにリスクが高い。自分の能力を過小評価しつつ登る山を選び、山中で選択肢があるときには安全な方を選択することが大事だろうと思う。その一方で、単独で歩いたおかげでできた発見も多かった。友人と楽しく会話しながら登ることもいいのだが、縛られずに自由に行動を選択できることは単独行の醍醐味だろう。ただ、それで山の中で動けなくなることは絶対に避けなければならない。来シーズンも、次のシーズンも、ケガなく無事まっとうできることが中高年のバックカントリースキーの獲得最大目標だと思うのであるが、これから果たしてできるのか、ただエラそうなことを書いているだけに過ぎないではないか、とそしられぬようにしたい。

高畑でコケて痛めた右肩、早く治ってくれ・・

今回のルート(直線的な軌跡が滑降)
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ステップで、尾瀬沼

過去に何度か登っている燧ヶ岳に行こうと思い、案をめぐらせた。連休前半はたいてい福島県檜枝岐側の七入〜御池までの車道が開かない。昨年はめずらしく4月中に御池まで車で上がることができたが、今年は雪が多めで例年通りとなろう。ならば、群馬県片品村側の大清水からアプローチしてみよう。尾瀬沼ヒュッテで1泊し、長英新道から登ってナデッ窪を滑るというのはどうだろう。

ということで、地形図やネット上でのツアー記録を見て出したルートが、
初日
大清水〜三平峠〜早稲沢滑降〜尾瀬沼ヒュッテ〜檜高山〜小淵沢田代〜大江湿原〜尾瀬沼ヒュッテ(泊)
二日目
尾瀬沼ヒュッテ〜長英新道〜ミノブチ岳〜ナデッ窪〜沼尻〜小沼〜大清水平〜三平峠〜大清水
というものだった。

予定していた30日は晴れの予報だが、その前後日は大気の状態不安定で午後雨か、晴れ後雨の予報。
これは入山日の30日に行きたいところへ行くしかないとナデッ窪滑降を前倒ししたのだが・・・

現地での結果は、30日は快晴で暑かったが尾瀬沼ヒュッテで11時を回り、高い気温と南風、南面の急斜面滑降になるナデッ窪滑降は断念。沼と大江湿原をフラフラして、大江山の西面に疎林を見つけ、そこで登り降りして遊んだのみ。1日は朝から雨で、スゴスゴと退散した。なかなか計画通りには行かないものだ。

29日、片品村の「さわやかトイレ」前で車中泊。片品村は桜の満開をいま迎えている。朝6時過ぎに大清水へ向かう。やけに交通量が多いと思ったら、みな28日に開通した戸倉〜鳩待峠方面か、丸沼スキー場へ向かう車だったようだ。朝7時前に戸倉の駐車場は満車。至仏山は平日を狙って行くべきだ。

対して大清水は祝日前に入山した車で狭い第1駐車場は満車だったが、第2駐車場はガラガラ。7時10分にゲートを通過して歩き始める。ゲート先ですぐに雪になり、ステップソールのG3finderで歩き始める。雪面が汚れていて、凹凸も大きく、朝はやや硬いのでやや歩きにくい。8時30分に一ノ瀬を過ぎ、沢を渡って三平峠方面への夏道を歩く。木道などは全く出ておらず、すべて雪の下だが、枝が出ていたり狭い場所で急だったりでステップ板ではちょっと歩きにくく、板を脱いでブーツで歩いたりした。途中標高1590mあたりで尾根を巻いて夏道の西側から三平峠手前で合流した。尾根を巻くところがやや難しかった。一応、シール無しで三平峠までたどり着いた。

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すぐに雪の道になった
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雪に埋もれたままの一ノ瀬休憩所

10時45分、三平峠から尾瀬沼に向かって滑り、尾瀬沼の沿岸を歩いてヒュッテの方へ向かう。まだ沼は雪が多くて、多少水の青い色が透けている場所もあるが上を歩ける。ヒュッテ近くで11時30分を回っている。すれ違ったスキーヤーから情報を仕入れてみたが、今から長英新道を登ってナデッ窪を滑るのはちょっと厳しい。浅湖(あざみ)湿原あたりでお昼のアンパンを食べながら結論を出した。

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雪に覆われた尾瀬沼と燧ヶ岳(正面の大きな沢状地形がナデッ窪)

一人なので諦めるのはたやすい。もう一度ヒュッテに引き返して檜高山の鞍部へ登り、小淵沢田代から大江湿原へ降ろうかと思っていたが、檜高山はすぐ目の前に見えていて、けっこう樹間が狭いので、大江湿原から逆ルートで上がることにした。長細い大江湿原を一人歩き、大江山を左手に見ながら沢を詰め始める。しかし針葉樹の濃い林間で、沢から湿原に乗り上げても面白くなさそう。大江山の西面には疎林の雪面が見え、登って滑ったら楽しそうだ。いままでの計画はすっ飛び、ここで遊ぶことにする。40分ほど登って滑って、13時を回ったのでヒュッテに向かう。

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疎林を登ったところからの燧ヶ岳
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遠くに至仏山が見える

とにかく日差しが強くて暑い。ヒュッテ前でアルバイトのお兄さんとしばらく話して、チェックイン。閑な午後が始まった。負け惜しみっぽいが、山小屋でマッタリ午後を過ごすのも悪くはない。だが、BSのデータ放送では明日は朝9時から雨の予報だ。なんだかここに泊まらず、大清水へ戻った方がいいような気もして、地団駄を踏む。一体何をしに山中一泊したんだろう?滑ったのは三平峠から尾瀬沼までと大江山で遊んだだけ。

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ヒュッテのウッドデッキもほとんど雪に覆われている

この日の宿泊は私以外に7名のみ。単独のスキーヤーのおじさんは私より年齢は上に見えるが、朝6時に大清水を発ってナデッ窪を登り滑ってきたとのこと。二人組のスキーヤーは七入から沼山峠まで自転車でスキーを担ぎ上げ、29日の荒天を避けて30日に一日かけてナデッ窪を滑ってきたとのこと。彼らのスケジュールがベストに思われた。あとは4人組の登山者。

15時30分からめちゃくちゃ熱い風呂に入ってしまい、ゆでダコ状態で17時の食事を待ち、夕食が済んでから日が沈むのを見て布団に潜り込んだ。携帯もつながらないし、やることは皆無。

朝5時に隣の単独スキーヤーが準備して出て行くのを見届けた。彼は朝食を弁当にしてもらっていた。雨が降る前に出て行ったのはさすがだ。私は6時から朝食を食べ、15分くらいで歩き始めたのだが、すでに予定前倒しで小雨が降ってきた。尾瀬沼山荘近くで6時35分。そのまま三平峠まで20分。シールの付け外しなしで行動できるのはこういう時にありがたい。来た道と同じようなコース取りで標高1590mで夏道に戻り、その後は横滑りを駆使して降る。沢の近くではちょっと面倒くさいところもあったが、何とかクリアし、一ノ瀬休憩所で7時20分。あとは林道を降るだけ。前日に比べ雪の量は確実に減っていた。それにしても1月のゲレンデ転倒以来肩の痛みが引かない。普段右手で滑りの悪い場所へ文字をたくさん書くのが仕事の一部なので、 治りが遅い。ザックを背負っていても痛い時がある。こりゃー、かなり影響の多い転倒だった・・
ボーッと考え事をしながら滑っていたら、7時45分に大清水のゲートに着いてしまった。なんと帰りは1時間30分。群馬県側に降りてきたら若干降り出しが遅くなったのか、雨が止むこともあり、片づけが捗った。今回の独り歩きでG3finderのソールが傷ついた。あちこちに落石が見られるルートを通ったので仕方ないが、買ったばかりの板だけにショック。
駐車料金二日分1,000円をポストに投函し、帰路につく。

東京に向かって南下しているのに行く先々で雨が降ってくる。片品村は桜が満開で、老神温泉から赤城山の東側に入ると桜吹雪だ。雪のある風景から時間を短縮して初夏に向かうようなドライブだった。大間々から50号線と県道を使って館林インターから東北道で東京へ。高速上でも雨が降ってくる。東京に到着したら、やはり雨が降ってきた。

あともう一回、遅くとも15日までの間に、乗鞍岳でシーズンを終了としたい。天気がよくて思い残すことのないターンができればそれで満足である。

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ステップで、かぐら霧ノ塔・雁が峰

一週間週末スキーを空けた。16日の日曜日、天気予報が好転したので、西吾妻山に行こうと思ったが、写真を見るとかなり密林を登らなくてはならないような気がして、かぐらスキー場から霧ノ塔・雁が峰を経てゴンドラ下のコースに出るルートに切り替えた。久しぶりのかぐらバックカントリー、しかもまた単独。

今回はステップソールで極力シールを使わずに歩くつもり。結果、気温が上がってザラメになったので機動力を発揮して3時間弱で終わってしまった。やはりこのコースは雪質と天候に恵まれれば、ノーシールでステップソール(ウロコ板)の方が行動が敏速になる。

朝5時20分ころに自宅を出る。もう明るい時間だ。順調に首都高・外環・関越を走って、8時ころかぐらスキー場のみつまた駐車場にたどり着いた。山から戻ってきたら駐車場は料金所あたりまで埋まっていたので、それなりに客が来ているが、下山コースの方までいっぱいになってるわけではない。

リフト券を久しぶりに買う。いろいろと乗り継がないと山頂近くまで行かれないので、一日券(4,700円)を買う。半日券でも行かれそうだが、13時を回ると一日券との差額を払わなければならないのでリスクが高い。しかしリフト券は高いよね。

かぐらゴンドラは少し太い板だとラックに入らないし、177cmのG3finderだと中に持ち込んでもつかえてしまう。ぜひスキーラックの形状を工夫してもらいたいものだが、機械力で1800m以上まで連れていってもらっているので文句は言えないか?

9時20分ころ、ゲレンデからのゲート前で登山届を提出し、自動のビーコンチェックを通過してゲート外に出る。ゲート部分だけはスキーを脱がないとウロコ板では登れない斜度だった。多くの人がこれから登ろうとしているが、みなシール装着に時間がかかっている。私だけウロコ板なのでそのままスタスタ歩き始めた。G3finderのウロコの効きはたいへんよろしい。最初はシール登行の人々と同じような斜度でも無理なく登れた。最初の1984mピーク手前までで約30分。きれいな雪面だったので標高差50mほど滑ってみた。雪は素直で、テレマークターンが決まる。これはいいぞ。

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定番の苗場山

そのままうねった尾根筋を滑り、1920mピークで10時20分。その後「三角」の急斜面は直登せず、右から巻いた。ATスキーでVoileの極太ウロコ板を履いて登っている人がいたが、シールで登っていた。一言二言言葉を交わしたが、私がノーシールでここまで来たことに驚いていた。ご本人は「まだウロコ慣れしていない」のでシールをつけていると言っていたが、拇指球で曲がらないブーツとtechビンディングでウロコは効くのだろうか?

「三角」を巻いたらそのまま休憩なしで霧ノ塔まで。山頂で11時。時間に余裕が出てきたので、「三角」から尾根を一本滑れば良かった。北東側のピークに滑り込む前に少しだけ滑ってから登った。

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ハイライトへ

さて、ここからハイライトである。ここまでで他の人々を何人か抜かしてしまったようで、滑り出しはこの日の2・3番手くらいだったようだ。悪雪だと苦しむが、どうやら今日はきれいにターンさせてもらえそうだ。気持ちよくターンして、ちょっと寄り道して1886mピーク手前まで。黒岩の平の北側の斜面も滑りやすかった。浅い沢で一休みして、尾根を巻いて雁が峰へ。右手は大きなクラックが何本も見えている。雁が峰へはわずかに登るが、ここもウロコ板だとストレスフリー。雁が峰山頂には、前夜テント泊したらしい集団が10名ほど。みなtechビンディングのATスキーだ。

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せっかくのシュプールがよく見えない
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雁が峰と巨大なクラック

12時に雁が峰山頂を後にする。最初の緩斜面ではウロコが邪魔してスピードが出ない。「檜屋敷」まではそれでも滑りやすかったが、最後の急斜面は雪が重くて難儀した。アルペンターンでやり過ごすが、滑った後からナットウ雪崩が起こるので真下に向かって滑れず、トラバース気味に高度を下げた。

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ゴンドラ下の連絡コースに出たのは12時20分。あとはスピードが乗らないウロコ板でタラタラと降るだけ。最後のリフトも13時前に乗れたので、結果半日券を買っていれば1,200円ほどお得だったのだが、これは仕方ない。最後にかぐら名物「下山コース」に入ろうとしたが、まだ午後も浅くオープンしていないようなので待ちきれずみつまたロープウェイで下山。チケット売り場で下山報告をして終了。

帰りも関越の渋滞が発生する直前に通り抜けられたようだ。近所で給油して、車を片づけ、ウィンターワイパーをようやく取り換えて帰宅しても16時台だった。車のスタッドレスタイヤを夏タイヤに履き替えるか、このまま夏もスタッドレスを使って秋に新しいスタッドレスにするか、悩ましいところだ。

三岩岳・行きはよいよい帰りは・・

満を持して南会津の三岩岳に単独で登り、滑った。登りは標高差1200mをよく登ったと自分で思うが、降りはクラスト&生コン雪でほとんど何もさせてもらえなかった。徒労感の大きい山行であった。

天気予報を眺めつつ、4月2日の日曜日が"The Day"だと思った。もし登りがサクサク行って時間に余裕があれば窓明山まで周遊してくるとよいのだが、単独であの雪庇近くの稜線を歩くのは危険だ。稜線伝いに歩く必要のないルートも想定してはいるのだが、何にしても単独はまずい。三岩岳の往復にして、それでも余力があるなら翌日窓明山だけにしたからアプローチしてもいい。3日夕方には雨または雪の予報で、自分の体力と判断力がしっかりしていれば滞在を一日伸ばしてもいいと思えた。結果は三岩岳山頂往復だけで終わってしまったのだが・・

前日の1日夜に南会津の道の駅「番屋」まで行く。高畑スキー場への道中なので通い慣れた道だ。もう路面の凍結もないだろう。道の駅で車中泊して、翌日5時40分に目覚め、準備して登山口に向かう。しかし途中で再びもよおしてきて、営業最終日の高畑スキー場のセカンドハウスのトイレをお借りする。ゲレンデに入ってないのに緊急事態で申し訳ない。

登山口の路側帯にはすでに6台くらいの車が止まっていて、準備を始めていた。みな同じ集団のようだ。集団に遅れた3人が私より少し先に歩き始めている。7時30分過ぎに私も歩き始め、夏道の国体コースの尾根を登り始めた。とにかくこの山は最初が急で尾根が細い。先行する3人のうちの女性がスキー操作に手間取っていて、一人の男性にサポートしてもらっている。あまり慣れていないのか?ルートが選べる場所で抜かせてもらった。どうやらこの2人も、少し先行した1人も、そのまた先に登っている6〜7名も、同じパーティのようだ。どうしてバラバラになるんだろう?

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樹間から三つ岩が見える
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だいぶ尾根が広がってきた

細い尾根をクリアして、980mほどの鞍部に来た。沢の方から登ってきてここで合流するトレースがあった。帰りはこの沢を滑ってもいいかと思いつつ、さらに高度を上げる。1309mの広いピークは巻いて、沢道との合流点で9時45分。一息入れて、ここから標高差400m一本調子で上がっていく尾根を登って行く。幸い、先行者のトレースがあってコース取りは楽だ。しかしヒイコラ言って11時10分ころそれまでのキツイ尾根をクリア。メロウな斜面がここから始まる。

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標高差400m尾根の半分まで来た
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だいぶ近づいてきた

11時40分ころ、避難小屋のあるべき場所に到達するが、すべて雪の下なのか、建物の陰も形もない。尾根の上部あたりから風も吹いてきているので、身体が冷えないようにさらに登る。雪面にはシュカブラが見られ、滑るにはあまりよろしくない状況だ。次第に斜面は緩くなるのだが、結構長く感じる。先行していた6〜7名がめいめいに滑り降りてくる。滑っているところを見てもバラバラで、1つのパーティのようには見えない。

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窓明山方面の尾根にデカイ雪庇が・・
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山頂直下の半モンスター

12時30分に見覚えのある三岩岳山頂にたどり着き、夏道のない2070mの最高地点に足を伸ばし、12時40分に到着。会津駒や燧ヶ岳、日光白根もよく見える。若干風があるので体温を奪われる。早々にパンをかじり、シールを剥がして滑降準備を整え、13時に滑降開始。

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会津駒方面

滑り始めてすぐに、これは手ごわいと感じた。クラスト・シュカブラによる段差、テレマークターンはかろうじてできる程度で、先のことを考えると安全にスピードを殺して滑るほかない。最初の急な尾根で抜かせてもらった3人のうち男性2名とすれ違う。あれ、女性は?と尋ねたら下の方で登っているという。ちょっとなーと思いつつ、出会ったらそこで待っていてくれと伝言を頼まれる。こちららからも、質問として980mからスキーヤーズレフトの沢を下ったことがあるか聞いてみたが、やはり危ないので降ったことはないとのこと。私も単独で午後の腐れ雪の表層雪崩に巻き込まれる危険は避けたいので、素直に尾根筋で降ることにした。

1人取り残された女性は避難小屋のあたりにいるだろうかと思ったが姿はみえず、1699mから標高差400mの尾根を滑り始めたら出くわした。周辺に木がなく風を遮れないので、シールを剥がしてもう少し高度を下げたところで待っていたらどうですかとアドバイスし、彼女がスキーを履くまでとどまっていたが、その女性が作業中ずっとしゃべっているのでだんだん聞くのも億劫になり、準備ができて樹林帯まで降りたところで先行させてもらった。しかしおしゃべりのおかげで彼らがどういうパーティかわかった。要するに福島のバックカントリースキーの団体なのだが、混成部隊になるらしい。力量の差も大きいので同じ山に行っても行動がバラバラになるようだ。それなら10人ものパーティを組まなくてもいいのに。

1309mピークを高まわりして細い尾根に入り込んだらあとは苦行となった。よくいえば総合力が試される細尾根だが、実態はめちゃくちゃ重い生コン雪でターンができる幅もなく、ワンステップターン・ツーステップターン・斜滑降・キックターン・横滑りなどを駆使して下降した。最後に沢状地形に入り込んだがここもクラックが多く、安全に降るのは難しい。14時50分、ようやく道路に出た。太もも、腰、ヒザの負担が大きかった。

うーん、長くあこがれた三岩岳を昨年初夏に下見をし、こうして春山にもスキーで登れたのだが、正直言って尾根筋を滑ってくるコースはスキー向きではないと感じた。本当は沢に入り込んで豪快な滑降ができればいいのだが、沢の両側の尾根が急なうえに、単独ではリスクが高すぎる。

汗みどろのウェアを車中で取り換え、例によって湯ノ花温泉に向かい、200円で生き返る。東北道に乗ったら大きな事故渋滞が発生していて、岩舟JCTから先渋滞を抜けるのに2時間以上かかるという。上河内SAで夕飯を食べながら作戦変更し、北関東道を水戸方面に走って途中で新4号バイパスに乗ることにした。新4号はいつもより交通量が多かったが、2時間渋滞に巻き込まれるよりはおそらく速く、草加から安行方面に折れて首都高で帰宅した。

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赤=登り、青=降り

粟立山&菱ヶ岳

インフィールドのツアーに参加した。26日は妙高市新井の西方に見える粟立山、27日は上越市安塚区の関田山脈北側にあるキューピッドバレイスキー場近くにある菱ヶ岳。粟立山は春山の悪雪、菱ヶ岳は季節外れのパウダーだった。

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25日夕方の妙高山

25日夕方に現地入りして道の駅あらいの場内にあるビジネスホテルに連泊した。朝の集合は道の駅なので至近距離だ。インフィールドの中野さんがやってきて、ガイド1名、ゲスト3名で粟立山のふもと集落、西野谷からシールをつけて8時過ぎに歩き始める。最初は林道に沿って歩き、林道から外れて万内川に沿って登り、9時30分ころ標高500mあたりから尾根に取りつく。まだまだ朝早くて雪面が凍っているのに上から滑ってくるスキーヤー、ボーダーが3〜4パーティ。日の出ころから登り始めたようだが、滑っていて面白い時間帯なのだろうか?

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万内川沿いに登り始める
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急な尾根を登った

急斜面の尾根を登って行くと、次第にかかとにマメができる兆候が感じられる。私以外のゲスト2名は山スキーなので急斜面の登行は速い。マメを作らないように、ここはペースを若干落としてでも小股で登行するしかないので、先行する3名とは少し距離をとってついていく。こんな調子では行きたいと思っている三岩岳に登ることは厳しい。粟立山は標高差1000m弱だが、三岩岳は標高差が1200mもある。三岩岳から窓明山を経由するなら山中1泊しないといけない。一人で登るなら、天候を見極めて朝早く登り始め、シールの付け外しが最少になる三岩岳山頂往復しかないか・・

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先行してもらい、マイペースで
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南側に大毛無山が見える
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ようやく粟立山山頂を越えた

11時近くになって標高900mくらいで再び林道に出て、標高1000mくらいで林道から離れて粟立山の山頂に南南東から詰め上がる。12時10分に粟立山山頂着。山頂にはスキートレースはなく、午前中に滑っていた人たちはみな途中からドロップしたようだ。もうひとつ北の小ピークに登り、12時45分ころに北東の沢にドロップ。重くなった雪が斜面に落ちて4番目に滑っているとデブリの中を滑る感じであまり気分は良くないが、そこそこアルペンターンでこなせる雪だ。標高1000m近くまで滑ってから、シールをつけてわずかに登り、さらに北東に延びる流浜谷源頭部を滑る。ここも気持ちがいい。標高800mくらいまで滑り降りて、右岸には岩崖しかないが、ピンポイントで崖のない場所から尾根を越えると登ってきた急な尾根を越えることになり、そのままトラバースして林道の標高900mあたりと出合い、その後は林道北側の広い尾根を滑降する。ここまで来るとスキーのトレースが至るところにある。

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重い割には滑れる雪だった

標高が下がるにつれて重い雪となり、長く滑ると太ももに強い負荷がかかる。万内川沿いの林道に降りたのが14時40分ころ、あとは滑らない雪をまっすぐ滑り降りて、ほぼ15時に終了。

解散した後も宿がすぐ目と鼻の先なので楽だ。汗を流して、ホテルの並びのラーメン&定食屋で夕飯を食べ、早めに就寝。真夜中に起き出してATPテニスマイアミ大会の中継を観る。ストレートで終わるかと思いきや、フルセットにもつれ込んでいるうちに寝落ちしてしまった。

27日は朝から雨。というか、前夜から降り続いていた。標高が高くなれば雪になるはずで、この日の山はかなり移動してキューピッドバレイスキー場から菱ヶ岳となった。新井からスキー場までの移動に約1時間。昔は細い3ケタ国道しかなかったが、一部無料供用されている上沼自動車道を使った。移動中、そしてスキー場の駐車場でも雨だ。

初めてこのスキー場に来たが、標高が低い割には積雪量は豊富で、しかも標高差500mを稼ぐゴンドラがある。この日のゲストはテレマーク3名、山スキー1名で、昔なじみのMさんも来ていた。

2017-03-27-12.25
どんよりとした空に雪が降る
2017-03-27-14.22
いいブナ林だ

9時に動き始めたゴンドラを降りると案の定雪だ。視界もあまり良くない。出発は9時40分。まずシールをつけて信越県境まで登り、いったん西側のブナ林を標高差150mほど滑走。菱ヶ岳の南面から山頂に登る。前日と違って初心者がいるのでゆっくり登ってくれてありがたい。山頂に11時45分着。視界は悪く、風も冷たいのでシールを剥がして再び南面を滑走し、途中から火炎石に向かって閉鎖された国道に出る。この国道がくせ者で、右手が崖になっている斜面をトラバースしなくてはならない。慎重に一人一人距離をとって移動し、850m付近で国道から離れて西側のボウルを750mまで滑降。ここの雪が良かったので、登り返して2度目を滑る。

2017-03-27-12.26
寒い!

750mで北に向かってトラバースし、国道に出たところで再び西側に広い緩斜面が広がっている。ただし、地形図を見ると最初が崖で、雪面に長大なクラックが入っているようだ。気持ちよく滑っていたらクラックのことを忘れかけ、クラックを飛び越えてしりもちをついてしまった。もっと大きなクラックだったら危なかった。

2017-03-27-14.57
かなり降った場所の国道
2017-03-27-15.33
埋もれる標識
2017-03-27-15.34
スキー場が近づいてきた

堰堤そばの道路からもう一度トラバースして国道の屈曲部分に出るとスキー場と駐車場が見える場所に出た。ただし、除雪のための事前堀りがあったようで、スキーを脱がずに国道を横切るのはテクニカルだった。あとは駐車場に出るだけだが、最後の最後に除雪のデブリ跡をクリアする必要があった。16時過ぎに駐車場着。菱ヶ岳をぐるっと一周してくるルートだったが、雪質がこの季節にあっては非常に良く、滑走を堪能できた。

しかし菱ヶ岳と同日、那須連峰の麓のスキー場では異常な積雪があって栃木県の山岳部高校生が雪崩に巻き込まれて多数が負傷し、引率教員含め8名もが命を落とした。那須一帯で一度に30cm以上の積雪があること自体が極めて稀なことだと思うのだが、登山中止は賢明な判断だったとはいえ、なぜビーコンも持たせずにラッセル訓練などしたのか、まずは高校生であっても、ビーコンの扱い講習から始めるべきだったのではないのか。傍から見ている者は事後から何とでも言えるが、あまりに高校生たちがかわいそうだ。私も少年たちとともに山に登る仕事山行が恒例だが、たまたま幸運に恵まれているに過ぎない。責任感を持って当たっているつもりではあるが、事故は絶対に起こしたくない。

舟鼻山・雪原歩きと急斜面滑降

先週の記事の最後にウィッシュリストとして挙げておいた、会津の舟鼻山へ行った。
舟鼻山は南会津町・下郷町・昭和村の町村境界にある、1200mほどの山で、国道400号の舟鼻トンネルの昭和村側出口が出発点になる。山の形状は山頂部が平坦なテーブルトップマウンテンで、山頂部が高層湿原の苗場山とは違い、ブナ林におおわれている。計画では山頂部から伸びる尾根を歩き、御前ヶ岳を往復するつもりでいたが、新雪歩きによる時間切れで次回持ち越しとした。

朝5時30分過ぎに自宅を出て、高畑スキー場へ向かうルートで南会津町まで。352号線で檜枝岐方面へは向かわず、会津田島の西側を経て400号線で北上。トンネルを越えるうちに雪深くなってきた。舟鼻トンネルを潜って昭和村に出るすぐ右側に除雪されたスペースがあるはずなのだが、まだ雪に埋もれていて入れない。そのままゆっくり進んで旧道との分岐の道路反対側にわずかなスペースを見つけたのでそこへ駐車。まだ車は一台も停まっていなかったが、すぐに会津ナンバーの車が来て、会津若松から来たという山スキーのおじさんが舟鼻山へ向かうというので、少し会話した。登行のルート取り、注意すべき箇所などを教えて頂く。結局、この日舟鼻山に入ったのは我々2人だけだった。

準備は会津のおじさんの方が早く、古いキャンバー板とジルブレッタ金具、普通のスキーブーツで先行して行った。私も準備が出来て9時20分に出発。まず道路脇の雪上に出て、スキーを履き、旧道を進む。最初の左カーブでおじさんのトレースが道路の右に逸れていっていたので、後を追わせてもらった。トンネルと旧道の間の緩い尾根を登って行くのだが、おじさんのトレースはシール登行で直線的。私はウロコ板finder86なので、斜登行が多くなる。新雪なのでスキーがずれ、ウロコの効きがあまりよくない。

舟鼻峠で休憩中のおじさんとまた出会い、ここからは林道をショートカットして舟鼻山の急な北斜面に向かう尾根を登って行く。相変わらずおじさんはシールなので直線的に先行していくが、私は斜登行&キックターン。つづら折れの林道に乗り上げる直前が急で、ウロコ板では厳しかった。

何とか舟鼻山北斜面のつづら折れ林道に乗って、そこからは林道沿いに歩いていかれる。時々右の斜面を見ていたら、植生が薄い部分が目に付き、林道の上方から一度滑ってみたくなる。ウロコ板だし、そういう遊びを交えないと面白くないよな、と思った。最初の右急カーブを曲がらず、直進して東北東方面に伸びる尾根の上でおじさんと休憩する。おじさんの言葉が早口の会津弁なので聞き取りにくいが、単独山スキーヤー同士、会津の山について少し語ることができた。尾根からは田島の町並みが遠望できる。

再び林道に戻り、より雪深くなって雪が吹きだまり、林道らしくなくなった場所を先に登って行く。おじさんはどうやら山頂までは行かないようで、シールをつけたまま下山していった。その姿を見送ってから、アウターを着て下の林道にドロップイン。後で確かめたら標高差は30〜40mに過ぎず、4ターンほどしたに過ぎないが、北面のパウダーを味わうことができた。下の林道からはアウターを脱いでザックに括り付けるだけで歩き始められる。ウロコ板の機動力はすばらしい。

2017-03-12-11.07
ほんのわずかだけど楽しんだ

その後も下の林道へ滑り降りられるポイントのあたりをつけつつ歩いていく。しかし左側の崖からの落雪にも気をつけなければいけない。若干際どい部分が1ヵ所あったが、そこを抜けて左にカーブすると急になだらかになり山頂部に到達する。今までとは違い、嬉しくなるくらいなだらかだ。

2017-03-12-11.43
動物の足跡を追って山頂部に出た
2017-03-12-11.44
新雪が板にくっつく

林道から外れて林の中を歩いてみたり、岬のような突端まで行ってみるが、新雪におおわれてどこもきれいで、ここにテントでも張って一泊したら楽しいだろうと思う。どこを歩いても動物の足跡しか見当たらない。フラフラしている間にもう12時を回っている。北西方向に伸びる尾根の最高点で周囲の雪山を木の枝の向こうに眺めながら調理パンの昼食を摂る。尾瀬方面の雪山、那須方面の雪山、北側の博士山の裏には飯豊連峰も見えたが、初めて見る方向からなので多くは山座同定ができない。

2017-03-12-12.21
右上に博士山、その左に飯豊が見えるのだが・・

このころから御前ヶ岳までの道のりが結構あることに気付く(いまごろ遅い!)。御前ヶ岳の山頂と歩くべき尾根は見えてはいるのだが、ここまで油を売りながら3時間もかかっている(ザラメ雪ならもっと時間短縮できただろう)。とりあえず丸い1203mピークの手前まで行ってみるが、ここで13時を回ったので御前ヶ岳を諦める。次回にして、舟鼻山のフラットな雪面をもっとしっかり歩いてみよう。

2017-03-12-12.52

ということで地形図上で「舟鼻山」の文字がある1226mのピークと、1230mのポイントを探しつつ歩き、最後は1204mピークから駐車した場所へ急な尾根を滑降することに決めた。後から地形図を見たら、1226mの南西側にもう少しだけ高い1230mの線が描かれていて、さらにその先に1229mの三角点がある。ここも踏んでおけばよかった。

1226mに近づくと、それまでの広葉樹林から広場のような場所に出た。晴天なので、目安になる物体がなくて不安になるような場所ではない(ガスっていると目印がなくて往生するだろう)。広大な雪原に一人トレースをつけていくのが嬉しくなってしまうような場所だが、ここはゴルフ場でも田んぼでも畑でもなく、山頂だというところがすごい。何度も振り返って自分のトレースを写真に収めた。

2017-03-12-13.02
うおー、視界が開けた!
2017-03-12-13.08
雪原を一人歩く
2017-03-12-13.14

2017-03-12-13.13
すばらしい!向こうはおそらく那須連山。二岐山がその左に見えた

雪原を歩いていくと、1230mのポイントは全く特徴のない場所だった。ここから林道に戻り、1204mの表記のある尾根に入っていく。尾根の突端に立つと、北斜面の尾根は急過ぎて下が見えない。かなり急だ。恐る恐る滑り込んだが、わりと木が混んでいて、しかも風のおかげか、雪面が1mくらいの段差の連続になっているので思い切った滑りはできない。少し西方向に尾根を回り込むとクラスト気味になる。登ってきた林道の途中においしそうな雪面の場所があったのだが、降り始めてしまったからもう後の祭りだ。尾根の前半、1100mまでは雪の段差でコケないように斜滑降とキックターンを交え、シュテム操作で慎重に高度を下げるしかなかった。トラックを見るとやや北西方向に振り過ぎてしまったようだ。その後は尾根も広がって雪の状態も少しよくなり、会心のテレマークターンなどはできないが、無難にこなして滑り降りることができた。安心なのは道路がすぐそばで、ある程度下に降りれば道路を右手に見ながら滑れるということだ。道路脇の雪を最後は歩いて、14時過ぎに駐車ポイントに戻ることができた。一応、単独でのスキーハイクは無事終了した。下山のルートは一考の余地ありだが、舟鼻山はとてもいい山だった。また来たい。

2017-03-12-14.14
駐車ポイントから

その後は下郷町まで県道でショートカットして、弥五島温泉・郷の湯で汗を流す。シャンプーも石鹸もなく湯に浸かるだけだが330円とリーズナブル。帰路は往路と同じルートは取らず、国道289号で甲子トンネルを越えて白河インターから東北道に乗る。3月半ばになったので、冬の間渋滞知らずだった東北道も岩舟JCTから先は渋滞だ。関越道と違って下道の代替路線が4号バイパスくらいしか思いつかず、その4号バイパスと東北道は宇都宮以南で距離が離れてしまうので、我慢して東北道の渋滞につきあう。ノロノロ運転はそんなに長くはなく、家の近所で給油・洗車を済ませても20時に帰宅できた。

hunahanayama_map
歩行・滑走距離合計7km、獲得標高差570m(山頂部で意外とアップダウンがあった)
山頂部では反時計回りに歩いている

野沢温泉スキー場〜馬曲温泉

1年ぶりのインフィールドツアーに参加した。野沢温泉スキー場のゲレンデトップ、毛無山から尾根沿いに木島平村の馬曲温泉を目指す旅系のツアーである。このツアーに参加するのは記憶と記録に間違いがなければ2005年以来2度目になるが、前回とは北入谷の北側の尾根を滑った。今回は大きく南下して赤ダレ谷に沿って最後は林道と棚田を滑り最奥の家屋まで出るという、よりロングなコース(移動距離はGPSによれば約10km)となった。

野沢温泉は遠いので、前夜発で千曲川沿いの道の駅で車中泊。集合は8時30分柄沢駐車場なのでゆっくり目だ。8時すぎに準備が整ってリフト券売り場の前で待っていたら、ゲスト6名とガイドの中野さん、サブの瀬下さんが揃った。リフト、ゴンドラ、リフトを乗り継いで、少しだけコース脇を歩いて登り、毛無山の中継アンテナ塔へ。野沢温泉スキー場は外国からの客が多く、ゲレンデ内の放送も英語のものがあった。またゴンドラ待ちの列がどんどん解消していくのはゴンドラが板持ち込みの立ち乗り式だからだろう。

ゲレンデはカチカチだが、やまびこゲレンデまで上がると木金に降ったパウダーが残っていた。天気は快晴でやや暑い。

2017-03-05-10.06
毛無山山頂から裏へ

まずは少し降ってシールをつけ、尾根沿いに歩き、よさそうな北斜面を一本滑る。雪が軽くて最高の雪質。先週のクラスト雪と比較すると天国で、ここで止めてもいいくらい、と思ってしまう。シールをつけてドロップポイントを越えて1633mピークに登り、そこから南面を滑降。やや雪が重いが、まあまあだ。緩斜面になって樹間も広くなり、奥志賀林道まで滑り降りる。ここでほぼ12時。

2017-03-05-10.56
最高にいい雪質だった

2017-03-05-12.12
道路標識近くまで雪がある

シールを再びつけて林道沿いに少し歩き、林道が緩く北東側にカーブするあたりから右側の斜面に取りつき、尾根に乗って1649mピークに到達。ここから馬曲温泉に向かって滑っていく。14時少し前。下降の尾根は少しだけ南側に伸びているので、最初に右手に見える枝尾根に入り、再び北斜面に滑り込む。ここもやや重だが動作をゆっくりすればターンが決まる。あまりにも雪の状況がいいので嬉しくなってしまう。左手の枝尾根が明瞭でなくなるころ、スキーヤーズレフトにコースをとって夏道とクロスし、しばらく下降すると林道が現れる。ショートカット気味に下降していくと赤ダレ谷を渡る橋に出合い、橋を渡って沢の右岸に出て、あとは林道沿いに直滑降していけば馬曲集落最奥の家屋に出る。ところが林道の右側が急斜面で崩れる可能性があり、また林道上にストップ雪がまばらにあって安心はできない状況。ガイドの中野さんがスキートップが引っかかって久しぶりに大転倒するところを見た。最奥家屋ではスキーを外すが、そこから下は棚田があり、そこはスキーを着けて滑り込めた。スキートップが段差で引っかからないように注意して滑らなければならない。
2017-03-05-13.43
1649mピークあたりから見た鳥甲山方面

2017-03-05-14.12
最後のいい斜面を滑り降りる中野師匠。いつもながら参考になる滑り

15時30分、舗装された道路に出て終了。野沢温泉に車の回収に向かった中野さんたちを待つ間、馬曲温泉につかった。ここは山スキーをする前から立ち寄ったことがあるが、日曜夕方ということもあるのか、駐車場が満車状態になっているのを見たのは始めてだ。確か10年前もここまで多くはなかったのではないか。内風呂と露天風呂が500円で入れるが、今回は汗まみれだし、脱ぎ散らかすものも多かったので内風呂だけに入った。いい泉質だと思うのだが、惜しむらくは循環であること。

風呂から上がってマッタリしてから野沢温泉スキー場に戻り、自分の車で帰路に着く。どうせ関越道は激しく渋滞しているはずなので、前夜お世話になった道の駅で少し休み、佐久平PAで夕食を食べてまた少し後部ベッドで横になって腰を伸ばし、20時過ぎに再出発。ゆっくり走行車線を走っているうちに渋滞は次第に解消に向かい、1箇所だけ残っていた高坂SAあたりの渋滞もさほど速度を落とすことなく通過し、あとはスムーズに東京へ。給油をして23時に無事帰宅。しばらくあの滑りの感覚がリフレインしそうだが、これから悪雪の時期になってくるからそうそう美味しい思いだけ味わえるわけではない。

今月後半から少しだけ自由になる予定だ。行きたいところはたくさんある。北東北は遠いけど、福島県で滑りたい山がいくつかある。再び南会津へ行って高畑スキー場からいつも見ている標高差1300mの三岩岳や、ウロコ板でテーブルトップの舟鼻山へ行ってみたい。吾妻連峰にも行ったことがない。またウロコ板といえば関田山脈。人気の鍋倉を外して、もう少し北の稜線を歩きたい。とりあえずインフィールドの粟立山は仮予約しておいたけど・・

湯の丸・池の平湿原

ウロコ板で手軽に遊べる場所をを調べて、湯の丸高原に行った。

5時30分に自宅を出て、久しぶりに関越・上信越道を走る。日曜日でも関越道はスキーに向かう車が多く、東北道とはずいぶん違う。上信越道に入ると交通量も減ってきた。ややほっとして小諸インターから湯の丸高原スキー場に向かう。先週武甲山山頂で見た浅間山が美しい。

8時過ぎに第6駐車場に到着して仕度をし、30Lのザックを背負ってリフト券を1回分買い、標高1910mのゲレンデトップから少し下って高峰林道から9時15分に歩き始める。今回のスキー板はFINDR86 XCD。積雪量の少ないこのエリアに不釣り合いなウロコ太板だが、細板と比べて歩きに支障はないし、ウロコがよく効くのでこの程度ならばシールは不要だろう。何より今シーズン買ったこの板を存分に使いたい。

2017-02-26-10.00
FINDR86 XCD。ウロコがよく効く。その分、スピードは出ない。

2061mのポイントまでは林道上を歩く。スノーシューの足跡が多い中、わずかにスキーのトレースも見られ、ウロコの跡も発見できる。たぶん、前日の土曜日に入った人のトレースだろう。林道沿いは針葉樹が濃くてとても滑れる感じはないが、1ヵ所右手に池の平湿原の外輪山から滑れそうな場所があった。帰りにここを滑ろうと思う。

2017-02-26-09.59
人工物があって山に入っている感覚は薄らぐ

1時間弱歩くと峠に着く。2061mの峠近辺には冬季閉鎖されている小屋と夏季駐車場がある。その先に東屋があって、そこから右手に登って行く。池の平湿原は三方ヶ峰の噴火口で、その外輪山に沿って登るのである。こちらもスノーシューのトレースやスキー板のトレースがあって明瞭。最初のピーク(村境の丘)は外輪山の内側を巻き、「雷の丘」と「雲上の丘」のあいだあたりに来ると夏はササ原になるだろうオープンバーンがある。とりあえず「雲上の丘」まで行って(10時30分ころ)、仕込んできたフランスパンを少しかじり、周辺を眺めてから1本目を滑る。

2017-02-26-10.40
池の平湿原と浅間山(山上に多めに出ているのはおもに水蒸気だろうか)

登る時からわかっちゃあいたが、ひどいクラスト。まともなターンができないので、シュテムターンで減速してターンを刻むしかない。日が当たり始めているのに緩む気配はなく、ほぼそのままの雪質で湿原近くまで滑り降りる。標高差は約100m。バックカントリースキーの醍醐味はほとんど味わえない。でも、ウロコ板で来ている意味はここから。シールの脱着なしに再び東屋まで登り、2回目にチャレンジ。湿原の回りを歩く2人連れと、東屋近くで10人ほどの子供を含む集団に出会うが、スキーの人はいなかった。

2度目は手前の「雷の丘」近くで少し早いカップラーメンランチを摂り、そこからまっすぐ滑り降りようと思った。しかし1回目に輪をかけた強烈なクラスト雪で、スキーヤーズライトに逃げて1回目とほぼ同じコースになった。後から軌跡を見たら、2回ともほとんど同じコースを滑っている。

2017-02-26-12.03
シーフードヌードルと池の平湿原

最初は4回くらい滑れるかと思ったが、こんなクラスト雪では楽しめない。今回は偵察ということで、もっとコンディションのいい時に再訪しよう。三方ヶ峰の小諸側には斜度が緩めの尾根が伸びていて、こちらから登るのも南岸低気圧通過直後には面白そうだ。

ということで、早々に尻尾を巻いて退散することにしたが、もう一度「村境の丘」あたりまで登って、林道に向けて疎林帯を見つけて滑ることにする。最初はカラマツの枝がジャマでうるさいが、スキーヤーズレフトに回り込んだら疎林部分を見つけた。ウロコ板お得意の斜登行して、滑る。ここも激しくクラストしていてスリル満点だ。斜登行を終えてからボトムの林道まで標高差50m。数字にするとつまらない雪遊びに思えてしまうが、クラストの上に質のいい雪が乗っていれば雄叫びになるはず。今日は4時間も遊ばせてもらった。移動距離約7km、累積登行標高差530m。

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タラタラと林道を降り、ゲレンデに出たら、雪面が硬過ぎて今まで以上に恐ろしい思いをした。山から下りてきた後のゲレンデでテレマークターンなどするつもりはハナからないのだが、アルペンターン時にウロコ部分のエッジが効かず、アイスバーン上で横に流れるのである。カルフ10thマウンテンでも滑り出しの違和感はここにあった。ウロコ板で硬いゲレンデを滑る時はもっと真剣に身体を倒し込んでエッジに体重をかける意識を持たないとコケる。

ということで、リフト待ちの列ができていたが、回数券をあらためて買い求めて列の最後尾につく気力はすでになく、そのまま車に直行。14時にスキー場を後にする。浅間サンラインで軽井沢まで抜けてから高速に乗ろうと一瞬思ったが、まだ時間が早いからすぐに高速乗れば関越渋滞に巻き込まれずに済む、と思い直して小諸から高速に乗ったら、これが凶と出た。佐久平から登って八風山トンネル手前でピタ止まり。トンネル内で事故があって佐久平から碓氷軽井沢まで通行止めになってしまった。もう事故処理が終わって開通するまで待つしかない。待たされたのは1時間30分。サイドブレーキ引いてエンジン止めてラジオ聞きながらひたすら待つ。こんなふうになるなら下道走ればよかったなと後悔。ピタ止まりが1時間を過ぎると各車から人が降りてトイレを探しに行くようだ。私も少し尿意を感じるが、一人なので車を離れている間に動き始めたら迷惑だから我慢する。数台前のツアーバスから女性が2人後方に向かって歩いていった後、車列が動き始めた。ツアーバスは路側帯で止まり女性客を待つ模様。それを過ぎてノロノロトンネルに進入したら、大型バスが走行車線に止まっていた。側壁に接触する事故だったらしい。

その後激混みになる横川SAは避け、トイレは甘楽PAで寄る。どうやら関越道も複数個所で渋滞が始まっている模様なので、本荘児玉で降りて17号、125号、122号をつないで白岡菖蒲から東北道に乗って19時過ぎに帰宅。ふぇー、腰が疲れた。やっぱり冬は東北道方面がいいわ。3月には1度か2度インフィールドのツアーに参加しようかと考えているけれど、集団に合わせて北信・上越方面へ移動(夜移動して車中泊、帰路ピークをはずす)するのがとても億劫になってきた。

南会津方面で単独でも危険のない場所で少し歩いて少し登るので満足するか、悩みどころだ。

ウロコ板で日光山王峠

2月初めにかけて忙しくなってしまうので、今回の週末スキーは近場で軽くハイクアップして滑ることにした。場所は昨年にも行った日光山王峠。東京を朝6時30分に出ても9時過ぎには日光アストリアホテル前の駐車場にたどり着ける。

9:30から歩き始める。最初は除雪された道路を少し歩き、道路脇でスキーを履いてFINDR86 XCDのウロコを効かせて歩き始めた。今回は昨年と違って雪がどこにもあり、峠山頂までできる限りスキーを履いて登りたいので、なるべく等高線の間隔が開いている斜面を求めて学習院大学の保養施設がある西側から斜面にとりついた。

2017-01-29-10.30
ここは木も細くて雪面もきれい

緩い斜面だが雪がクラストしていて、ウロコが効きにくく、横滑りしてしまうので難儀した。しばらく登ると斜度が少し増し、スノーシューのトレースがある夏道と合流したので、むりやり斜登行&キックターンを繰り返してもロスが大きいかと思い、斜度がある部分だけスキーを外してスノーシューの後を追った。

すぐに斜度が緩んできたので再びスキーを履く。樹間が広いところでは快適に斜登行&キックターンで登っていかれるが、それほど長くはない。暗い針葉樹林になり、雪面に折れた枝が散乱していて歩きにくくなったが、もう標高差はわずかになってきた。峠の頂上をまっすぐ目指して登りきり、11:20に峠到着。標高差は300mほどしかないが、ゆっくり登ったので汗こそかいたが足にマメはできず、快適に登ってこれたと思う。

2017-01-29-11.23
峠頂上目の前
2017-01-29-11.28
FINDR86 XCDのウロコは効きがいい

板を外して標識に立て掛け、写真を撮っていたらスノーシューの親子連れが峠に到着した。夏道のスノーシューの跡は彼らだったのだろう。彼らは山王帽子岳に登ると言っていた。彼らが去った後、前日スーパーで買った調理パンを食べ、山専ボトルに入れてきたお湯でカップラーメンを作って食べ、昼食とした。

2017-01-29-11.38
天気は晴れ、風がなくて快適だったが熱いカップラーメンは最高だ

ほぼ12:00、滑走に入った。最初は林間の薮がうるさいので林道を降り、右手にカラマツ林が見えたら右手に入る。カラマツ林の見通しはいいのだが、雪がまだクラストしていて滑りにくい。センター86mmのFINDR86 XCDはクラスト雪でもそれなりに滑れてしまう。

1650mくらいでさらに右手に進路をとって登ってきたルートの近くに出たが、1600mくらいで左手に進路をとりすぎ、右手に沢が出てきてしまった。幸い、沢の窪みは横移動すれば回避できるので、ウロコ板の強みで若干登りつつトラバースし、事無きを得た。そこからやや快適な斜面になったが、すぐに学習院大学の保養施設の敷地だ。敷地に踏み込まないよう、左手に進路をとってゆるゆる進んでいくと、平坦になってもう終了である。滑りは30分しかかかっていない。

駐車場でゆっくり片づけと着替えを済ませ、帰路についた。今回、スマホでトラックデータを取りながら登ったが、電波が終始入るので機内モードにはせず、また一人で寂しいのでネットラジオなど聴きながら登ったら当然ながらバッテリーの減りが著しかった。余計なことをせず、機内モードで登るべきだった。

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赤:登り 青:滑り

メイストームと乗鞍岳

連休中はものすごい風が吹いた。これでは山での遭難も多発する。
少雪だったスキーシーズンを3年ぶりの乗鞍岳で〆ることにして、登山者・スキーヤーが比較的少ない5日、6日に決行することにした。今回は単独ではなくて吐月工房氏が相方である。13年春に乗鞍に行ったときも吐月工房氏が相方だった。乗鞍ではもう何度も位ヶ原山荘でご厄介になっているが、つねに相方は吐月工房氏で、最も信頼が置けるパートナーである。

2016-05-06-10.47

今シーズンは2人ともあまりスキー登山ができていないこともあって、まったりのんびりを主眼として5日の最終便バスで位ヶ原山荘へ上がり、夕方少しだけ遊んでメインの行動は6日とした。これが正解だった。絶妙のタイミングでスキーを楽しみ、その直後に雨となった。

私は5日8時30分に出発、中央道の上り線渋滞を横目に順調に11時に塩尻北インターを降り、我がソウルフードを食べて乗鞍高原に向かった。松本平は晴れて暑いくらいだが、ひどい南風で畑の土ぼこりで舞い上がり空気が茶色い。しかも北アルプスの上には厚い雲がかかっている。

13時少し前に待ち合わせ場所の三本滝駐車場で吐月工房氏と落ち合うが、標高約1800mの三本滝駐車場はさすがに寒い。風の強さに不安を感じながら、ゆっくり仕度してバスを待った。バス最終便に乗る人はこの天候と連休最終日という条件では少ない。他の乗客は30分程度位ヶ原山荘まわりを散策して再び下る観光客(外国人も若干名)だった。

2016-05-05-16.48
5日夕方、人気のなくなった山荘前(風が冷たい!)

位ヶ原山荘に余計な荷物を置かせてもらい、シールなどだけを持って小一時間遊びに出かけてみる。2350mの標高がある位ヶ原山荘から見える範囲にはさすがに雪があり、乗鞍岳の斜面には例年と同じくらい雪が付いているようにも見える。富士見沢と鶴ヶ沢の間のゆるい尾根上を登ってみたが、下部は例年になく薮が出ているように見えるし、何しろ雪が硬くパックされている。標高2530mくらいまで登ってハイクアップを終了とした。シールを剥がして滑降に移っても、雪の状態が悪くてまともなターンもさせてもらえない。革靴の吐月工房氏はハンディがある分、私よりも苦労していた。

2016-05-05-15.49
硬い斜面を登る

山荘まで降りて、雲がなくなった稜線を恨めしげに眺めるしかなかった。

2016-05-05-16.52
左から主峰剣ケ峰・蚕玉岳・朝日岳
2016-05-05-15.48
夕暮れの富士見岳

山荘の宿泊客はほとんどアイゼン装着の登山目的の方々だ。特に興味を引いたのが若い女性と初老(実は私らと同じくらいかな)の男性の2人。若い女性があまりにも山小屋に似つかわしくなく、天然な感じがあふれ返っている。少し会話したら、山に登ること自体がこれで2度目、春の乗鞍岳しか登ったことがないそうで、昨年の写真を嬉しそうに見せてくれたが、山荘の談話室にあったマンガの「岳」を今回初めて読んでハマってしまったらしい。通常は「岳」の映画を観て、次ぎにマンガを読んで、同性のお友達と都会の近くの低山をファッションにこだわって歩くのが山ガールだと思うのだが、すべてが逆から始まっているのが不思議だ。

標高2350mの贅沢な夕食を頂き、夜空の星を寒風吹きすさぶ中で一瞬だけ見た。

翌朝は冷え込む予報、しかも天候は晴れから雨へと転じていく。早く出たいところではあるが、アイスバーンを登る道具は確信犯的に持ってきていないし、朝食も一番遅くに頼んでおいた。しかしやることもなくなるので8時前には登行開始。予報に反して朝の気温は高めだったので、歩いているうちに雪が緩んでくれればラッキーだ。

屋根板を登り、位ヶ原から除雪前の県道沿いのトイレまで歩いていたら、摩利支天直下の急斜面をトラバースしていた二人組の後ろの人が30mくらい滑落するのを見てしまった。「とまれとまれ!」と叫びながら祈っているうちに大怪我なく止まったが、精神的にダメージが大きいようで横ばいでないとトラバースができなくなっているのを見た。ケガがなくて幸いだったが、パートナーがすぐに助けに行かないのも見てしまったので、何だか後味の悪いものを見てしまった。何であんな急斜面を歩くのだろう。スキーヤーたちが辿ってくるコースであれば絶対に滑落なんて起こらないはずなのに。

ちなみに、前夜少し話をした女性もあとで聞いたらもっと滑落したらしい。幸いケガなく、パートナーもすぐに助けに行き、本人もいっそ下まで滑り降りようとしてわざと滑り降りたところもあるらしいのだが、下に岩などがある危険な場所でなくてよかったと思う。それにしても天真爛漫なこの女性、恐るべし。

登山者はめいめい硬い雪面を歩いているようだが、我々軟弱臆病スキーヤーの限界は標高2800mあたりだった。もう肩の小屋より上は硬くて、テレマークスキーで滑っても面白くない。朝日岳と蚕玉岳の間の沢の中間点手前でシールを外し、沢に滑り込む。最初はクラストで慎重に、少し高度を下げたら快適な雪の状態に変わったので、ここからは天国に転じた。気持ちよくターンを描いてトイレ上を横切り、道路沿いに尾根を巻いて通称「すべり台」を登る。さすがにこっちはスキーヤー天国で、10名ほどがシール登行している。県境の稜線2790mまで登って、大休止の後すべり台を途中まで滑降、2650mほどで左手の道路と合流して、富士見沢へと滑り込む。2550mまで滑り降りた。

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まだ槍・穂高が見えるが雲の色が・・
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「すべり台」を登るスキーヤー
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富士見岳から剣が峰方面。かなり空模様が怪しくなってきた

最後は道路最高地点を目指してシール登行し、鶴ヶ沢を滑る。11時45分に2700mの県境道路最高地点にたどり着いたら、だいぶ黒っぽい雲が西から迫ってきた。鶴ヶ沢をほとんどノンストップで滑り降りて、林間を辿って位ヶ原山荘上の県道に降り立つ。これで今シーズンは終了。もう悔いはない。

山荘でコーヒーを頂き、13時30分のバスで下山する頃には、雨が本降りとなっていた。あらためて絶妙のタイミングで無事下山できたことを噛みしめた。

今シーズンのスキーは残念ながら少雪に泣かされた。せっかく買った会津高原高畑スキー場の9,800円シーズン券だが、スキー場全面オープンが1月中旬にずれ込み、やっとこさ元を取ったような回数しか行かれず、ゲレンデパウダーも1回のみ。2月上旬はインフルエンザでダウンし、病み上がりで参加した高谷池ヒュッテ泊のツアーは季節外れの雨で大谷ヒュッテに変更、横滑り大特訓ツアーとなった。3月は消えゆく雪に焦ってステップソールでの歩きに切り替えたが、これはもう少し探求したいところだ。4月の単独燧ヶ岳も雪が少なかった。まあそれでもこの乗鞍岳で全て取り戻してお釣りが来た。乗鞍大雪渓のウェブでは、我々が下山した翌日も荒天が続いたとレポートされている。

「安全第一」「命あっての物種」。細々と、でもケガなく長く続けて行きたいものである。
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今回のトラック。内側のループが5日、外側が6日。

少雪の燧ヶ岳巡礼

少雪だった上に雪解けも早そう。バックカントリー適地へのアクセス道路の除雪が例年になく早く、焦りを感じる。この調子だと、立山とか鳥海とか乗鞍でないと5月連休で滑れなくなるだろう。関東から近い至仏山では雪がないために滑走エリアがかなり限定されている。

まとまった時間を取って北海道・北東北方面にでも行かれればもう少しマシなのだろうけど、そのような条件はなく、結局関東近県への日帰りか1泊で出かけるしかない。私が「信越スキーヤー」(最近では信州よりも会津の方がよく出かけるが)から抜け出られないのは仕方がない。今回も福島県檜枝岐村から燧ヶ岳に単独で行くことにした。

檜枝岐村の七入から御池までの除雪も4月半ばに完了したらしい。今までの経験だと連休前半で開くか開かないかで、開通しても屈曲路部分で雪が崩れて通れないこともあったはず。冬に通った会津高原高畑スキー場までの時間はかなり正確に読めるので、そこから30分ほどプラスすれば御池まで上がれるだろう。土曜日夜にATPテニスバルセロナ大会の準決勝を観戦して、早寝して日曜4時に起きて出発すれば8時台にはたどり着けるはず。

檜枝岐村手前まで雪山も見えず、会津駒への登山口にも雪は見えない。七入からの屈曲路で路肩に雪が出てくるが、薄い。路面に雪解け水も少ないが、その分沢水は非常に豊富。御池(約1500m)には8時20分ころに到着。準備して、ほぼ9時に歩き始める。どうせ単独だし、この冬もあまりシール登行をしなかったし、のんびり登って途中でやめて降りてきてもいいくらいの軟弱さで広沢田代(1800m弱)への急登にとりつく。先行するグループのトレースを使わせて頂く。広沢田代に出ると直射日光が強く、日焼け止めを塗り直すがあまり効果はなさそう。

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今回の装備

出発するときに今回の新兵器、スマホアプリの「geographica」を立ち上げてきたが、トラックログを取っていなかった。広沢田代手前からログをとり始める。このアプリはなかなかスグレモノだ。今まで、アプリ版「山と高原地図」を使ってみたが、地図1枚につき料金がかかる。「geographica」があればハンディGPSが不要になる、とは言えないが(ハンディGPSの方が精度が高いだろう)、その補助にはなる。しかも、ログを取り始めてデフォルトにしておいたら高度を上げるごとに音で知らせてくれる(ありがたいような迷惑なような?)。もちろん、電子デバイスだから紙の地形図とコンパスは絶対必要。

もう一つの新兵器がグレゴリーのターギー45。旧ロゴの赤がネットで安かったのでつい買ってしまった。容量が大きいだけに、30Lのドイターフリーライダーよりも大ざっぱに荷物を入れられる。日帰りだったら滑走用のジャケットやヘルメットも中に入れられてスッキリ。ただし、スコップやゾンデ棒を入れるスロットが大きい分背中から離れるので厳冬期は重く感じるかも?

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熊沢田代

熊沢田代(約1950m)へは左(南)を巻いた方がいいに決まっているのだが、先行のグループを追っていたら右方向に向かってジグを切っていたので、たまには右から登って見るかと思ってついていったら熊沢田代手前のピークまで登ってしまった。湿原レベルまで少し降ることに。やはり左(南)側から巻いた方が雪もつながっているし楽だ。

森林限界近くになると沢の部分が深くえぐれているのに気付く。こんなにえぐれていたっけ?それは森林限界を抜けても同様で、過去の経験よりも沢状地形が複数本出ていて、沢はえぐれているし沢と沢のの間にグリーンベルトができていて、適当なところで横切らないといけない。2回ほどスキーを履いたまま横切るが、ちょうど夏道の8合目標識が目に付いた。昨年夏に登ったときは雪渓が残っていたなあ。

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燧ヶ岳の肩から檜枝岐方面

徐々に足首くるぶし下にマメができそうな気配になってきたので、あえて小刻みにゆっくり登る。テレマークを20年やっていても、バックカントリーのシール登行でのマメから抜け出ることができない。オリーブオイルを塗ったり、ストッキングを下にはいたり、足まめケアの絆創膏やガムテープを貼ったりしてきたが、決定打がない。革ブーツからプラブーツに替えたときはマメができなくて快適だと思ったが、長く登っているとできた。ノーマルインナーよりも今使っているサーモインナーの方ができやすいような気がする。歩き始めて1時間でできる最悪のときもある。割とグループで人のペースに合わせているときにできやすいのかなと思う。ちなみに今回は普通の布ガムテープを長めに切って貼り、ストッキング風のインナーソックスを履いてきたが、左足だけに小さめなマメができていた。2月の大谷ヒュッテに比べれば軽傷の部類か?ともかく、もう体力的には下り坂だし、ATスキービンディングにかなり近づいてしまったピボット式のテレマークビンディングではないので、登りは自分のペースでゆっくり登るのがマメ防止には一番な気がする。

じわじわ登っているうちに12時30分、燧ヶ岳(俎グラ)の肩に到着。スキーを置いて山頂に登り、周囲の風景を楽しむ。尾瀬沼は氷が解けているように見え、至仏山はムジナ沢側にほとんど雪がない。平ヶ岳だけが真っ白という感じ。

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柴安グラと遠景に至仏山
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平ヶ岳
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山頂の祠
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尾瀬沼は解けているように見えた

肩に戻って行動食を食べて休憩。今回の行動食は柏餅5個。他にも持ってはいるが、生ものの柏餅を1個づつ登りで食べてきた。残りの柏餅を全て胃袋に押し込み、13時に滑走開始。直下の沢をまっすぐに気持ちよく滑ってしまうとグリーンベルトを越えられなくなるので、熊沢田代方面を見ながらスキーヤーズレフトへのトラバースをしながら滑走する。ザラメ雪でテレマークターンはできるが、条件のいいところに限ってツボ足登山のツボが無数にある斜面で、先行滑走者が落としたスノーボールもあって気は抜けない。今まで燧ヶ岳で滑った中ではアドレナリンが一番でない滑りだった。森林限界に入って熊沢田代から南側に回り込む。湿原の上のフラットな雪面がストップ雪で脚の筋肉を浪費した。

さて、ここからは自分としては初めてトライするコースで降りる。東ノ田代、メラッパシ田代経由で県道まで滑り降りるつもりだ。単独なので絶対にトラブルは起こしたくない。いきなり東ノ田代には降りず、熊沢田代の御池側ピークから伸びる尾根に乗って滑り、メラッパシ田代の北側をかすめるように急斜面を横滑りを交えつつ降りて、沢沿いに左岸を滑った。上部で沢音が聞こえていたので、下では割れているかもと思ってコース取りをいつもより慎重に考え、頻繁に現在地確認をして降りたが、県道まで沢が割れているところはなかった。13時50分、県道に降り立って滑走終了。県道をトボトボ、ヨレヨレしながら歩いて御池駐車場まで。滑りは正味1時間かからない、というのがちょっと悲しい。かといって途中で登り返すのはイヤだけど・・

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県道に無事降り立った

檜枝岐で燧の湯に入って汗を流し、その近くで盛り蕎麦大盛を食べて帰路についた。渋滞を避けて上河内SAで仮眠して無事帰宅。

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檜枝岐の裁ち蕎麦は旨い

連休でも燧ヶ岳は滑走はできると思うが、楽しめる条件はもうあまりない。連休は仕事なので例年のごとく遠征はできず、最終日から翌日の平日にかけて乗鞍へ行ってラストスキーにするつもり。

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スマホで取ったトラックログを地形図に落とした。登山途中からログ取りしている

ステップソールで日光山王峠

2月末でようやくゲレンデ滑走日数が10日になった。2月末の日曜日に吐月工房氏ご夫妻とかたしなスキー場で滑ったが、ところどころ地面も露出しているような状態で、シーズン再末期の様相、しかも暖かい。

先日の妙高・南地獄谷も雪が少なかったし、ゲレンデも痛々しい状態では、スキー納めも例年よりかなり早くならざるを得ないだろう。長いアルバイトの末の山岳滑降は望めず、ゲレンデも再末期状態というなら、ここは雪が少なくても斜度がゆるくてもそれなりに楽しめるステップソールでゆるゆる遊ぶに限る。これなら多少地面が露出していようが、薮が若干うるさかろうが、それはそれとして受容できる。

ということで、3月最初の日曜日は雪があるのか疑心暗鬼ながら奥日光へ行くことにした。激(しい)渋(滞)のある関越道方面はイヤだ。

朝家を出たのは7時。いつもに比べてかなり遅いが、近いからいいのだ。でも東北道も車の数は多めで、中禅寺湖に出たら路線バスの後ろにつかねばならず、到着は9時半頃になってしまった。もっと来ているかと思いきや、クロスカントリーコース利用者の駐車場には他に自前のクロカンスキーを用意してこれから出発しようとする人の1台のみ。周囲の雪は少ない。道路はもちろん、戦場ケ原の草も顔を出していて、積雪量は10cmくらい、標高1400mのここ光徳で20cmくらいか。

準備をして、10時15分に歩き出す。ステップソールスキーはカルフ10thマウンテン、ブーツはスカルパT4。ビンディングはちょっと不安のあるテレブルドッグという一昔前の装備。まずはクロカンコースを歩き始める。雪も汚れているし、クロカン用トラックもないのであまり罪悪感無く歩ける。しかしすぐに飽きるので、林道の閉鎖ゲートから西側にトラバースして夏道に近いところを目指す。笹がたくさん出ているが、雪さえつながっていれば問題ないし、人が歩いていないところを歩く方が楽しい。一本沢を越えて尾根に乗って、夏道らしきトレイルを発見、登山道が棚のようになって雪がつながっているので最初は歩きやすかった。しかし、つづら折れを登って行くと雪が途切れ、スキーを外さないと歩けない。何度かスキーのつけ外しを繰り返す。こういうときステップインのテレブルドッグは手間がかからなくて楽だ。ただ、ビンディングの破損がネット上では報告されていて、こういうときに破損に至るのは困る。

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久々の板とブーツ

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登山道の斜度が少し急になってノーシールでは辛くなる頃、林道のカーブミラーが接近してきた。あとは林道をショートカットして峠頂上に至るだけだ。好き勝手にキックターンを交えて頂上に着いたのが11時30分過ぎ。ちょうど5人組のスノーシューでのおじさんハイキング組とすれ違った。彼らと同じく林道のすぐ脇の本当の峠頂上の広めの場所に陣取って昼食とする。



今回の昼食はカップラーメン。一応ガスも持ってきたのだが、「山専ボトル」の中に朝入れてきたお湯がまだ熱そうだったのでそれを使って食べた。やはり山頂で食べるラーメンは最高である。

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ぜいたく

帰りは峠直下のカラマツ林に入ってみたが雪質が生コン・クラストだったので早々に諦め、林道をタラタラと降る。峠でスノーモービルの爆音を聞いてしまったので彼らに追い抜かれないように。しかしスピードが出なくてストレスがたまる。再びクロカンコースに出て、まだ12時台だからもう少し歩いてみようと思ったが、やっぱりすぐに飽きてしまって、アストリアホテルの裏手に出て終了とした。ホテルのクロカンレンタルはこの時期になっても客が来ているようで、コース上ではほとんど見かけないが親子連れが歩き始めるところだった。

入浴料1,000円と破格に高いホテルの温泉大浴場だが、若干コースも歩かせてもらったのでお布施と思って入浴、硫黄臭のする日光湯本温泉を楽しんでゲル化し、帰路についた。往路と同じく日光宇都宮道路〜東北道ではあまりに芸がないので、慎重にいろは坂を下ってから足尾方面に向かい、足尾から県道15号線で鹿沼に抜ける粕尾峠を抜けた。一昨年日足トンネルの上を通っている旧道細尾峠と併せて自転車で登った峠だ。春先のせいか、路面は悪くて砂利が浮いていて、つづら折れ満載の峠だが、一台だけロードバイクで登っている人がいた。何だか車で峠を登ると斜度が自転車以上に急に感じられ、よくもまあこんな峠を人力で登ったものだと自分のことながらに感心した。

栃木インターから東北道に乗って18時に帰宅。東京は予報にない雨だった。
ライト級とは言え遊んできたのに、その夜はデビスカップのマレーvs錦織戦を朝3時まで観てしまった。惜しかった・・

2月のスキー

2月上旬にひっさしぶりにインフルエンザに罹ってしまった。土曜日の午後に悪寒がして、日曜日は寝込み、月曜日に診察に行ったら見事に罹っていた。土日はもちろん、祝日も雪を見ずに無為に過ごした。

祝日明けから仕事に復帰したが、その週末は暖かくて関東はおろか山沿いでも雨の予報。雪が降るという月曜日にどうしてもスキーがしたくて日帰りで会津高原高畑へ行った。しかし、雪はたいして降らず、圧雪車のつくったコーデュロイ模様のガリガリのアイスバーンだ。ターンするたびに足裏にバイブレーションを感じる。長く練習しても面白くないので午前中で上がった。

インフルエンザによる体力の低下を危惧しながら、翌週末のインフィールドツアー「厳冬期の高谷池ヒュッテツアー」に参加するべく、金曜の午後に妙高に向かった。最初は車中泊の予定だったが、年末お世話になっている「宿なごみ荘」にご厄介になった。持っていこうと思っている水やお湯の確保もこれでできる。

今回の装備は、厚手シュラフ(圧縮してもザックの3分の1くらいスペースを食う)、マット(避難小屋に布団がありマットは使用せず)、支給された1日目晩飯と2日目朝飯など、行動食2食分、非常食、防寒着(上下化繊の中綿ウェア)、防寒小物(腹巻き、ビーニーなど)、小屋内で履くネオプレン製オーバーソックス(ホムセンで数百円のもの。テントシューズを持ってきた人が多かったが、そのまま長靴は履けるし十分だった)、コッヘル、武器、ガスカートリッジ小、ガスヘッド、ヘッドランプとLEDランタン(後者はスマホ充電器にもなる。アマゾンで購入)、グローブ2双(結局厚手のものはほとんど使用せず)、スコップ・ゾンデ棒・ビーコン(私のものは相当古い)、雨に備えてザックカバー、スキーシール、カメラ(よせばいいのに大きいミラーレスを持っていってしまった)、水2.5リッター(重かったが美味しい水が飲めた)、350mlの魔法瓶、携帯トイレ、地図・コンパス、携帯電話、財布、お肌ケア用品やシールワックスなどなどを50リッターのグレゴリー・ズールーというこれまた古いザックに押し込んでいった。カメラやシールは取り出しやすいようにと8リットルのウエストバッグに入れてザックに巻き付けたりしたが、重量配分がおかしくなるので結局中に突っ込んだ。やはりザックは1つの方がよい。このズールーというザックはショルダーベルトの形状があまりよろしくない。50〜60リッターのスキーにも使えるザックが欲しい。また、ヘルメットはザックにネットで括りつけられるように工夫していったが、ずっと雪が降っていたこともあり、かさばるのでハイクアップ時も被っていた。

ツアー当日の土曜日午後から雨の予報。夜半に雪に変わるとかなり降って高谷池から帰ってこれない可能性がある、とのことで大谷ヒュッテ宿泊に変更になった。大谷ヒュッテは南地獄谷にある無人避難小屋で、内部は快適、トイレも使えるのでいいのだが、滑るコースは何度も行っているし、小屋自体に宿泊するのも2度目だから新鮮味はない。登る前は、これで携帯トイレを使わなくて済む、と安堵していたのだが・・・・

土曜日の朝、杉ノ原スキー場からゴンドラとリフトを乗り継いで標高1,850mのゲレンデトップに出て、シールを装着。ゲストは8名、ガイドとお手伝いが3名の計11名でハイクアップ。雪がちらついて南風が強い。最初の沢には雪が少なく、のっけから大変な思いをする。皆さんテレマークの方はO1などハイクアップモードが着いているビンディングで、そのモードのないO2ビンディングは私だけ。ATスキーの方はみなTECHビンディング。斜登行のキックターン時にその違いが出てしまう。インフルエンザによる体力低下、ノドの渇き、シールが効かない雪などの影響もあって、登りのスピードが追いつかない。結局、しんがりで三田原山山頂に着き、これからのことが思いやられる。

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これからハイクアップ

まず南地獄谷へと外輪山の内側にドロップイン。今まで何度か外輪山の内側へ滑り込む。ここは過去何度もパウダーでいい思いばかりしてきたが、今回はクラスト雪だ。沢状地形に入ったらスラフは流れるし、横転も数回した。ゲストの一人が中腹でコケて逆さになり、片方の板が雪に埋もれて自力ではい出せないのを見かねて傍まで寄ってスキーを掘り出してあげた。谷底に何とか降りて振り返ってみたらテレマーク組は皆同時にコケている状態だ。皆さん結構上手い人なのに、どうしたことだ・・

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同時にやっつけられた・・(南地獄谷源頭部)

その後、妙高山の裾を斜登行することなく、南地獄谷に沿って滑り降りた。だんだん滑りづらくなってきて、しかも急斜面。右手は谷で左手は崖。滑るスペースは狭い。横滑りでクラスト・アイスバーン化した斜面を降りていくが、ゲストの一人が谷川に数メートル滑落(幸い無事だったが)した後は皆に緊張感が走り、大谷ヒュッテを目の前にしての横滑りはとても厳しかった。

大谷ヒュッテに着いたのは午後もまだ浅い時間帯。雪の状態が悪過ぎて誰も荷物を置いて滑りに行こうとはせず、小屋ライフに突入、夕ご飯のずっと前から雪を溶かしてはつまみを温め、各自持ってきた酒を飲むという状態に。標高1,800mの避難小屋で人には言えない阿鼻叫喚のヨッパライの世界が午後8時過ぎまで続き、ネジがとれてしまった人も現れたので就寝。夕方からは予報通り激しい雨が屋根をたたいていた。

明けて日曜日、降っているのは雪には変わったが大した量になっていない。雪が積もるまで待ちながら、それでも11時近くになって出発。最終的に前山の滝沢尾根を滑ってAKAKANに出るため、光善寺池近くまでハイクアップ。前日よりは少し登れるようになった気がするのだが、感覚として両足カカトにマメができている気がする。天狗堂あたりまで登り、これでシールのご厄介にはならないで済むと思ったが、滑り始めがまた薮の濃い急斜面で横滑りオンパレード。少し開けたところに出たら、なんと北地獄谷に嵌まりそうなところだった。ガイド中野君の指示で再度シール装着、横滑りをした斜面をはい上がる。最後はスキーを外してツボ足で登り、やっと正しいルートから滝沢尾根に滑り込んだ。尾根へのトラバースはまだよかったが、滝沢尾根のクラスト雪にも泣きが入った。テレマークターンはおろか、アルペンターンもろくにできず、ボーゲン&斜滑降&キックターンばかりだ。全員全く何もさせてもらえない雪にため息をつきながら、尾根の末端に何とかたどり着き、ゲレンデに出た。ゲレンデの雪は硬くて硫安を蒔いていると思われ、ここでも荷が重いのでテレマークターンはほとんどせず、アルペンターンで滑り降りた。下山15時30分。皆疲労の色が隠せない。

ツアー後にもう一泊させてもらおうと思っていたのだが、山で悪戦苦闘した翌日にゲレンデで練習する気にはならず、なごみ荘でお風呂をいただいて帰路についた。あんなに天気が悪かったのに関越道の渋滞がなかなか解消せず、甘楽PAでエース号寝台で少し横になって、結局北関東道と東北道で帰宅した。

ともかく足腰がだるい。カカトのマメもいつものツアーのお約束。でもやはり病み上がりのツアーは日帰りにすべきだったか?

関田山脈・黒倉山

飯山の鍋倉山の北の黒倉山に登って新潟県側に滑るインフィールドのデイツアーに参加した。

前日の土曜日夜に飯山の道の駅までたどり着いて車中泊。よく眠れた。
日曜日の朝は盆地の底に霧がわいている状況。温井集落に8時過ぎに到着し、ガイドの中野さんたちを待つ。参加者は4名、うち私も含めテレマーク3名、山スキー1名で9時に登行開始。

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霧が晴れてきた
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小屋
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下界が見えてきた

森太郎谷のの北尾根を登り、とりあえず鍋倉山頂を目指す。途中で飯山高校のクロカン部の練習が小屋の辺りで行われていた。当然ながらみな上手い。3時間近くかかってたどり着いた広い山頂には、久しぶりの晴天で多くのスキーヤー・ボーダーが休んでいた。しかし、みな鍋倉山頂の往復のようで、黒倉山に向かい始めると誰もいなくなった。

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関田山脈の山並みはステップソール向き

まず鍋倉山と黒倉山の間の谷に滑り込む。フィルムクラストで雪がしまっていて滑りやすい。シールをつけて黒倉山山頂に登り、山頂から北の急な斜面に滑り込む。日本海まで見える視界のよさだが、急斜面はところどころ雪が割れていてコース取りが難しい。急斜面を降りると斜度がほど良く雪も割れていないバーンが現れ、気持ちよくターンする。

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急斜面終了でホッとする

杉林が出てくるころ、左にトラバースして林道に降り、雪で覆われた田んぼが見えてくる。そこでまっすぐ柄山集落へ降りるのではなく、700m弱の無名ピークに登り返す。その北面がいい斜面なのだが、この日は雪が割れていて一苦労した。スキーをいったん外して木の枝につかまって雪が割れたところをクリアするなどテクニカルな要素があった。

その後は柄山集落の上のハイエースデポ地まで滑って終了。温井まで送ってもらい、路上駐車が消えて閑散とした我が車で着替え、片づけ。最後に温井集落を後にした。もう戸狩温泉もスキー場終了とともに営業はしておらず、中野市の長嶺温泉で軽く汗を流して高速に乗った。関越の渋滞は一時30kmにも及んでいたが夕飯を食べたり給油したりしているうちに解消に向かったが、遊び心で圏央道を桶川方面に向かってみる。まだ圏央道は東北道とは連結していなくて、下道をしばらく走って首都高の副都心線に再び乗って帰宅した。

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夕暮れの温井集落と鍋倉山

今シーズンもバックカントリーに向かう回数は少なくてまだこれで2回目に過ぎず、シール登行が以前のようにいかない。帰りの長時間運転も含めて翌日に疲労が相当残る。歳も取ってきたのでだんだん辛くはなるが、やはりスキーは最高だ。

その後

もう3月だ。早い、早すぎる。1月半ばからほったらかしだった。

その後は、1月下旬に次男を連れて1泊で高畑スキー場、2月初旬の平日に単独で高畑スキー場に練習に行った。コンディションはどちらも良かった。帰路には定番と化した湯ノ花温泉弘法の湯に立ち寄ってから道の駅でリンゴを買って帰った。もうずいぶん練習したなと思って、祝日にインフィールドの黒姫山に参加した。今シーズン初のバックカントリーで、白馬からMさんが来ていた。彼女と会うのも2シーズンぶりで、インフィールドの五地蔵山以来だった。申し合わせてないのに申し合わせたように参加者として出会うのは驚くけど、それだけ世間が狭いということか。

それにしても、もう昔ツアーで一緒に滑った人で会うのはMさんぐらいになってしまった・・

黒姫山は東尾根を滑ったが、やはり滑り出しは慎重になるので、しばらく滑り降りてから滑り出しの時もっとこうすれば良かったななどと反省してしまう。下に行けば雪も重くなって満足の行くターンもできなくなってくる。ま、安全に滑れればターンの質は二の次。写真はあるけど、面倒くさいので載せないかな?

黒姫山以後、終末に用事が入ってしまい、スキーには行かれないまま短い2月が終わり、すでに3月、東京では花粉が舞い、20度近くまで気温が上がる日が出てくると、雪が恋しくなる。

2月22日には神奈川県愛川町の仏果山から経ヶ岳まで歩いたが、数日前に降って踏み固められ氷となった部分が山頂下に見られた。若人の歩き方は後ろから見ていて危なっかしく、ハラハラすることも多い。若人の山歩きに対する技術や知識が年々薄くなっていることを危惧する。最近は若人と夏に北アルプスや南アルプスを長く歩くことも少なくなってきてしまったし、いま突然それを復活させるのはとても怖い。
こちらも筋肉痛が結構たいへんだったんだけどね。

乗鞍岳でラストスキー

平日の連休ができたので、恒例の乗鞍でスキー板を納めることにした。
数年ぶりに位ヶ原山荘に宿泊することにした。が、二日目には元同僚の通夜に参列することにしたので、午前中までしか山には滞在できない。初日にいいところへ行って滑ることにしよう。相棒はいつもの吐月工房氏。

ということで、前日深夜に乗鞍高原入り。中央道の集中工事でだいぶ時間を食ってしまった。朝起きてみたら、桜が満開に近い状態で咲いていた。東京の開花からは1ヶ月半遅れ。ようやく乗鞍にも春が来たようだ。

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観光センター駐車場から

バスは第1便で上がった。登山客とスキー客でほぼ満席だが、1台しか出していないので位ヶ原山荘から皆が散ると大きな山体の中で人口密度は下がる。不要な宿泊グッズを山荘に置かせてもらって、軽い荷でハイクアップ。「屋根板」から位ヶ原に上がって、朝日岳や剣が峰方面に向かう人々を尻目に我々は高天ヶ原から大日岳をめざす。こちら穴場なのである。まず高天ヶ原と剣が峰の稜線に出て、剣が峰と大日岳の間の沢を詰める。若干雪が腐れているがシールで鞍部まで登れた。そこからわずか標高差40mくらいを登るのだが、シールは使えず、ツボ足だと岩と腐れ雪と氷のミックスでやや危険だ。この日もお昼過ぎだというのにエビノシッポが岩に張り付いていた。

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大日岳まであと少し

さて、大日岳は3015m。剣が峰の喧騒とは隔絶されている上に、てっぺんからスキーを履いて南東面に滑れる。雪の状態はいまひとつだったが、広々として実にいい斜面である。2700mくらいまで滑降して、高天ヶ原のすぐ南側の沢を詰め、高天ヶ原と剣が峰の鞍部に乗り、ゆるい沢を滑って位ヶ原に戻る。高天ヶ原の雪渓は今後の研究対象だ。もっと雪が残っている時期なら、うまくすれば尾根通しで東大ヒュッテ滑れるはず。スキーを脱いで稜線に乗ったら気づかずライチョウを驚かせてしまった。

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南東斜面
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まずは御嶽をバックに昼食
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高天ヶ原から位ヶ原へ。一定のゆるい斜度が続く

位ヶ原でツアーコースを降りる人々を見送り、我々は富士見岳を巻いている道路まで登り、未除雪の道路から山荘をめざして滑る。富士見岳東面は人があまり入っていない割には雪質はよく、ザラメ化して締まっている。しかも位ヶ原以南よりも雪が多い。剣が峰や大日岳、高天ヶ原は過去に来たときと比べ若干雪が少ないのだが、富士見岳東面、特に位ヶ原山荘のすぐ上の「屋根板」は驚くほど多いのである。後で同宿の方に聞いたら、朝日岳は雪が腐っていて登りにくく滑りにくかったらしい。我々の選択は正しかった。

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富士見岳を巻く道路から滑り降りた
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この日一番いい雪質だった

この日の宿泊客は我々以外に3人。静かでゆったりした夜が送れた。消灯前に外に出てみたら、満天の星が煌めいていた。

翌日、前日よりもさらに天気がいい。他の方が出発するので、我々も午前中勝負で出かけた。ツアーコースを降りるのはゲレンデ下部の雪がひどいので止めたから、今回は初めてバスで下山することにした。11時のバスに乗れて遊べるところは鶴ヶ沢だ。県道乗鞍岳線の最高標高地点まで登り1時間ほど。板をデポして大黒岳に歩いて登って槍・穂高・笠・常念山脈方面や、中央アルプス、南アルプス、八ケ岳を遠望する。ここに来て最高の眺望を目の当たりにするだけでも価値がある。しかし、岐阜県側から観光客も来ているので、大黒岳から直接滑るのは次回以降に譲り、素直に鶴ヶ沢をまず途中まで滑って再び登り返し、最後に鶴ヶ沢を下まできっちり滑った。午前中で雪も締まっていて最高のターンが描けた。

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スカ晴れである
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ラストに鶴ヶ沢を滑る
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お世話になった。たまには別に季節にも寄りたい

バスの出発まで位ヶ原山荘でコーヒーを飲めるくらい余裕があり、ゆったりと三本滝まで降りる。たまにはこういう下山もいいかも?リニューアルした「湯けむり館」で汗を流し、付設のレストランで食事をして仕上がった。あとは毛穴から硫黄臭をさせつつのんびりと中央道を東京に向かい、途中で喪服に着替え、渋滞を避けて川崎の葬祭場に向かった。硫黄臭はなかなか取れないんだよね・・

恒例・かぐら雁ヶ峰

4月14日、毎年通っているかぐら雁ヶ峰コースへ吐月工房氏ご夫妻、葛飾のU氏と4人で行った。
前の週から日曜日の天候が晴れ後雨、しかも南風強しということで危ぶまれたが、直近になって日中は晴れが続くことが判明し、goである。ただ、土曜日のスキー場の混み具合がハンパじゃなく、日曜日の混雑も想定されたため、念のため集合時間を1時間繰り上げた。危惧は幸いにして外れ、8時過ぎから登行ができ、結果的に午後早い時間に下山ができた。ただし、ヘリスキーが行われていてノートラックとはいえなかった。

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登る

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苗場山

数日前に降った新雪で雪面が非常にきれいである。が、この時期の新雪はすぐに腐り、ストップ雪になって足もとを掬われた。黒岩ノ平の緩斜面で思いっきり前転して右のビンディングが外れ、スキーのテールが刺さってブーツの一番下のバックルも外れた。ゴーグルも外れてあられもない格好となり、左肩も痛打した。幸い怪我はなかったものの、修復に時間がかかった。

シュプールがないから突っ込める雪ではなく、むしろ先行するヘリスキー軍団のシュプールを追いかけた方が一定のスピードで滑れて快適なくらいだ。

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ヘリ

滑り始めるときにはどこかで登り返して少し遊ぼうなどと考えていたが、ストップ雪で足元取られないように格闘する間に登り返す気力は失った。そのまま腐れ雪を滑り、最後の最後にヘリスキー軍団に追いついて終了。ゲレンデの緩斜面は硫安がまかれていて全く異なる条件だった。

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シュプール豊富

ゲレンデ駐車場で吐月工房氏たちと別れ、温泉にも入らずそそくさと帰路についた。関越の渋滞が発生しドンドン延びていくのに恐れをなして北関東道・東北道経由に切りかえたが、東北道で若干の渋滞に出会ったのみで18時前に帰着できた。こんなに早い時間に帰宅できたのは初めて。栃木や群馬の新緑がとてもきれいだった。

次はGWに行かれるか行かれないか?どこに行っても人が多いGWは出かける気力を振り絞るのが一苦労だ。あとは5月半ばの平日を利用して位ヶ原山荘泊乗鞍岳滑走で今シーズンのスキーは終了かな?

テクニカルツアー・戸隠五地蔵山

春分の日、インフィールドのワンデイツアーに今シーズン初めて参加。
登ったことのない山に行きたいと思い、戸隠の五地蔵山ツアーにした。
過去に何度か行った佐渡山の南南西の山で、高妻・乙妻への登山ルート上のピーク(標高1998m)だ。
地形図で見ると、どこを登るにしても急で、しかも尾根が細い。戸隠大橋から標高差900m。
かなり厳しめのワンデイツアーになりそうだ。

朝の集合が早いので、前日夜出発で道の駅「しなの」で車中泊。暖かい夜だった。
信濃町のチェーン着脱所でインフィールド車と合流し、戸隠大橋へ。参加者は6名になったようだ。
その参加者に今は白馬に住むMアネゴがいた。また1年ぶりの再会だ。

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Mアネゴの準備

さて、8時30分ころ出発して、牧場を西方面へ。小沢がすでに割れていて、スノーブリッジは1ヶ所しかなかった。暖かい上にもともと積雪量がないので雪解けが早く、見える五地蔵山上部にもクラックや全層雪崩の跡が見える。この状況を遠目で見ただけでスキーツアーの対象にすることを断念しそうな山だ。おそらく、新雪が降ったら雪崩の確率がかなり高そう。

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五地蔵山を仰ぎ見る

東に向かって爪のように伸びる3本の尾根のまん中を登行する。尾根が細くて下部では雪も消えている。キックターンで刻んでシール登行できればまだいいほうで、尾根上の雪がなく、スキーを脱いで土と落葉と雪(いまにも崩れそうな雪庇あり)のミックス帯を歩くのは難儀。午前中は風なく暑い。

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スキーを背負う。ジャケットの処理もスキーに巻くとはユニーク

1550mほどで一度緩やかなボウル上の地形のリップに乗るが、ここまでで約半分。その後さらに地形図では夏道の印のある尾根を詰め、13時近くになって山頂に着いた。お一人、シール登行がうまくいかなくて後ろに滑ってしまう方もいたが、他は難なくたどり着いた。薮を漕ぐような登りをしたり、枝をつかんで体を持ち上げたり、雪庇スレスレを歩いたりしなければならず、かなりスリリングでテクニカル、スキー登行に慣れた人でないと難しい。
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猿が目の前を悠々と
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最後の急登

ドロップは北東方面へ。相当雪が悪く、ストップ雪とザラメとクラストが入り交じっている上、強風で枝があちこちに落ちている状態だ。あんまりいい斜面とも思えず、テレマークターンもほとんどせず(できず)、安全に降ることに専念せざるを得ない。アルペンターンができるだけまだマシか?それにしても重くて疲れる雪だ。

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黒姫山(右)と佐渡山(左)を見ながら滑る

1540m付近の沢まで滑り降りて、東に向かってシール登行。こちらは難しいところもなく、左手に明瞭な1678mピークを見て1652mの台地に登る。シールを外して、ボウル上地形を滑り、標高差10mをシールなしで登る。ここでテレマークの機動力が発揮できる。ATスキーではちょっと辛く、ボードでは歩かなくては無理。最後に登った尾根の北側の沢を滑って牧場に出て終了。

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隈棚がいたるところに・・・

雪の悪さは一級品で、非常に疲れる雪質だった。しかし充実感はたっぷり。
新しいT2エコで初登りしたが、かかと内側にマメができた。つぶれるほどではなかったが、やはり汗でしめった靴下とインナーブーツの擦れが激しいようだ。メンバーの中に足の痛みを訴える人がいたが、それも登行がハードだったのが一つの要因だろうか。

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戻ってきた。五地蔵山、ありがとう

解散した16時過ぎからポツポツと雨が降ってきた。信濃町から高速に乗って、渋滞を避けて北関東道・東北道を経由する。東北道にも見られた渋滞が近づくにつれ見る見る解消し、ほとんど渋滞らしい渋滞に遭遇せず21時過ぎに帰着。

降雪直後の平日・かぐら中尾根

吐月工房氏を誘って平日のかぐらスキー場へ行った。
前日50〜60cmの降雪があったらしく、いたるところパウダーである。

すでに第五ロマンスリフトは動いていたが、登行するパーティはなし。しばし相談ののち、シールをつけて一番乗りすることになった。

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ところが、かなり雪が柔らかくてのっけからひざレベルのラッセルである。途中で単独のお兄さんが追いついてきて、3人で交替してラッセル登行することになった。このお兄さん、ぶっといロッカースキーにテックビンディング、ダイナフィットのブーツである。より深くなったひざ上のラッセルも、ものともせず登っていく。すぐ後ろを歩いていても、センター80mmの我がワールドピステではさらに雪に潜ってしまう。革靴ビンソン&細身のベクターグライドの吐月工房氏もかなり潜るので、交替はしたものの、沢の源頭近くからはお兄さんのラッセルに頼るところが大きくなってしまった。

後ろをふり返ると、我々のトレースを利用してかなりの数のボーダーがスノーシューで登ってくる。ずるいぞ。

スプリットボードの2名が中尾根上のピーク直下で代わってくれた。ピークでシールを外しても若干の登り返しがあるのでまだシールを外せない。中尾根の北の沢上地形を滑るらしいスプリットボードと分かれ、スキー3人組は中尾根まで到達。すでに11時20分であり、登りに1時間以上かかってしまった。ラッセルのおかげで右ひざが痛い。

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中尾根ピーク

ロッカースキーのお兄さんに先行してもらい、我々はその後から、尾根に忠実に滑る。最初は木立もなく、スキーも沈まずに顔にスプレーがかかるくらい快適だが、針葉樹が現れる尾根中腹では降りラッセルに限りなく近づく。軽いとはいえ雪は完全にひざ上、もう大汗である。吐月工房氏は革靴なのでさらに苦労しているようだ。何とか尾根の下部にたどり着き、最後は尾根から沢を越えてメインゲレンデ下部に出た。12時チョイ過ぎ。

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ここまではよかった・・

和田小屋で昼食をゆっくりとって、メインゲレンデを3本ほど、みつまたエリアのファミリーゲレンデを何度も練習して、15時過ぎに終了。脚に来てしまって、おまけに右ひざも痛いし、厳しかった・・

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ゴンドラ乗り場にレルヒさんがいました


帰路は三国峠を越えて裏道を走って渋川伊香保から高速に乗った。

恒例・かぐら霧ノ塔から雁ヶ峰

吐月工房氏たちと恒例のかぐらスキー場周辺の稜線歩きをしてきた。
前日の雨(標高の高いところは雪)のため、今回はステップソールではなく通常の板で。

P4150118雲海が・・

P4150120登る

ドピーカンの中、第5ロマンスリフトで1830mまで機械力を使って上がる。9時20分ころ出発し、いくつかの小ピークを越えて霧ノ塔に到着したのが11時過ぎ。紫外線が強過ぎて、庇のついた帽子も忘れてしまったので、おおきめの手ぬぐいを頭に巻き、その上からヘルメットを被って日差しを遮る。キャディさんのように。日焼け止めはたっぷり塗ったが、暑い。

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雪が多い!苗場山
P4150128稜線を辿る

P4150135後方に平標

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霧ノ塔から滑るコースを俯瞰
P4150140イケイケ

P4150144夫婦2ショット

P4150155第2ステージのバーン

P4150165吐月工房氏

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これ以後は生コン雪に苦しめられ、お見せできるような写真ではありません・・

さて、この時期にしてはよさげな新雪なので、黒岩の平への斜面を一気に滑り、わずかに登り返して再び沢へ滑り降りるところまではテレマークターンをさせてくれる雪質だった。

その後シールを装着してゆっくり目に雁ヶ峰まで登る。そこから先は高度を下げるごとにネトネトの生コン雪に変質。最後の急斜面をスキーでカットしたら、前日の雨をたっぷり吸い込んだ表面の雪がドッと流れていった。結構な量が雪崩れていく上、スピードも速いので、上から雪面をカットされると危ない。居合わせた別のパーティのスキーヤーとも話しあって一人づつ滑る。おおかたの雪は落としたので、事無きを得たが、後からきたボーダーもデブリの多さに驚いていた。

P4150172ケガなく下山

ケガなく無事ゲレンデに降り立ち、吐月工房氏と私で掉尾を飾る「下山コース」へ突入。
実は私、「下山コース」マニアである。特にかぐらの下山コースはつづら折れがつづき、好きなのだが、さすがに4月とあって雪面が割れていて、ショートカットができなかった。かなり脚には来ていたがここも一気に滑って終了。ロープウェイよりも早く到着した。

トップからゲレンデまで標高差が1000m、下山コースも入れれば1400mの大滑走であった。
このコースはゲレンデに近いが、バックカントリーらしさを堪能でき、ステップソールのテレマークスキーにはうってつけのコースである。

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駐車場を出る時は関越渋滞が軽かったが、関越トンネルを越えて南下するうちに渋滞が激しくなってきた。迷わず北関東道・東北道をめざすが、こちらもかなりの渋滞だそうだ。北関東道を途中で降りて国道122号線を利用して岩槻まで南下し、そこから高速で8時前に無事帰宅。

ステップツアー改め佐渡山へ

春のうららかな日差しの中、関田山脈の稜線をステップソールスキーで歩く予定が、寒波の影響で行き先が戸隠の佐渡山に変わった。

まったく今年はいつまでたっても春がこない。関東はようやく春が来たが、雪の降る信越県境山岳地帯はまだ2月末か3月初めのような降雪がある。雪が降って視界が悪ければステップソールの機動力を十全に生かせないし、ロングツアーを敢行しても真っ白な中をひたすら歩くだけになってしまう。しかも標高の低い関田山脈では雨の可能性大。ということで、転戦である。

朝8時30分、戸隠大橋を歩き始める。私の定宿・道の駅「しなの」では早朝雨、次第にみぞれから雪。標高1150mほどの戸隠大橋は当然雪がガンガン降っている。気温は真冬より高いので、ウェアに付着した雪は水玉になっていく。平日なのに先行トレースあり。林道を進み、佐渡山山頂に突き上げる長い尾根に乗ってひたすら登行。今回はインフィールドの中野君と、ものすごく久しぶりにパーティを組むことになった「黒アネゴ」こといまは白馬の在住のMさん。

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ブナ林の尾根を登って行くと、枝から落ちた雪が首に落ちて冷たい思いをすること数回。山頂までの標高差は700mなのだが、平坦な林道が長い上、尾根も緩やかで長いので山頂まで3時間30分かかった。山頂着ちょうど12時。

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4月とは思えない・・

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もうすぐ山頂

若干視界が開けたので、山頂から東側のやや急な小尾根に向かってドロップイン。最初は雪庇もあっていやらしいが、雪が新しいのでターンは比較的容易。気持ちよく1550mのボトムまで滑り降りる。Mさん、毎日ちょっとずつ滑っているとのことだが、その分板のメンテナンスが不十分で、粘っこい雪がスキーのソールにへばりつく。やはりワクシングは大切である。

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雪庇がいやらしい

その後、シールをつけて佐渡山から東南東に伸びる尾根に登り返し、1738mピークへ。

ここからは黒姫山との鞍部、大ダルミへ滑り降りてもいいのだが、南側の尾根を試しに滑ってみることに。しかし樹間の広い場所を選んでいたら、南の尾根ではなく東南方向へ滑ってしまった。1450mで沢から一時的にシールをつけて対岸に登り、あとは登山道沿いに林道へ。標高が低くてトレースに乗ってもスキーが滑らない雪を滑りきって、15時終了。

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数年ぶりに一緒に滑ったMさん、かなり上達してました

ステップツアーできなくて残念だが、今年の状況ならまだ大丈夫だろう。リベンジしたいなぁ・・

鍋倉山・夫婦バックカントリー

平日の晴天を狙って、女房と2人で鍋倉山へ出かけた。最近、体力作りに励んでジョギングをしている女房が以前から山へスキーに行きたい、と言っていたので、数少ないチャンスを逃したくなかった。

早朝出発で朝9時過ぎに温井集落に到着。平日にしてはたくさん車が並んでいるのに驚く。ほとんどが地元ナンバー。9時45分に準備完了して最終除雪地点からシール登行を始める。天気予報通り、とても暖かい晴天だ。今朝刻まれたトレースがあるので、拝借して順調に歩く。ザラメ化しつつある雪質で、滑りは重そうだ。30分ほどで田茂木池のある台地の小屋に到達し、そのまま尾根に乗る。
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出発

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目印になる小屋

鍋倉山の東に伸びる尾根は南北に2本あり、そのどちらからも登れるが、先行トレースが北側尾根を選択していたのでそこを使わせてもらった。過去には南側の尾根からと、北側尾根のさらに北の平地から1000mあたりで尾根に乗っかるルートで登ったことがあるが、最初から北側尾根を登るのは初めてかも知れない。標高800mあたりの尾根末端は急で、歩ける場所も狭いが、まもなく広くなり、1000m近くではやや平坦になる。ここまで1時間。
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尾根取り付きは急で狭い

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しだいに尾根は広くなり、斜度も緩くなる

休憩を取って、ブナの巨木に絡みながら深いボウル状の谷を左手に見つつ、1150mまでさらに1時間。ボウル状の沢が終了し、南側の尾根が近くに見えてくる。ブナの巨木はどれも立派で、どれが「森姫」なのかも判別がつかない。

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ブナ巨木のひとつ

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巨木の谷の上に出ると、関田山脈の緩斜面と越後山脈が見える

最終休憩の後は、樹氷を見つつ頂上まで直登。12時20分ころ1288mの山頂着。女房連れで3時間切ったのは速かった。山頂はやや風が強いが、景色は最高で、360度の山岳パノラマである。特に山頂で初めて見える妙高・火打が美しい。日本海もうっすら。

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まもなくピーク

先行していた夫婦とお互いに記念写真を撮って、先行夫婦は黒倉山との間の沢に向かった。風が冷たいので長居はできず、我々も12時45分に滑降開始。登って来た尾根を途中まで滑り、薮が薄い部分を狙って北斜面を滑るつもりである。

が、雪が重い。上部はクラスト気味で、降っても、昨日の新雪の下に重いネバネバ雪があってスキーの方向づけが思うようには行かない。尾根も狭い部分があるので、慎重にアルペンターンで降りる。女房がコケたり止まったり息遣いが荒かったり(名誉のためにフォローしておくと、久しぶりの山滑りにしてはいい感じで滑っている)なので、待ちながらである。

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尾根上部

さて、尾根北側の大斜面。ここも急な上に粘っこい雪でテレマークターンを華麗に、というわけには行かない。それどころか滑ったところから雪の塊が大きくなりつつ落ちてくるので、途中で止まると雪塊が上から直撃する可能性があり、ストップできない。急な斜面が3分の2ほど残っているが、一気に滑る。下に行くにつれ状態が良くなってきて、少しだけテレマークターンを交えることができた。

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何とか大斜面をクリア

女房を待つ。こわごわだが、着実に滑ってくる。よしよし。無事800mあたりの「どうまん平」に降りた。後はトラバースしつつ田茂木の小屋を経由して降りるだけだ。調子よく先行して待っていたら、だいぶ遅れて滑ってきた女房が途中で転倒したという。やはり後続者を肉眼で確認できるところで待たないとトラブルの元だ。私の方はというと、今日は無転倒。

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温井集落

下は暑くて汗だくだ。滑降はゆっくりペースだった割には約1時間、13時30分ころには車に戻ってしまった。スキーウェアは暑いので急いで撤収、着替える。その後、戸狩温泉望の湯の浴槽を独占して、帰路につく。暑いし、そのまま高速で帰るのも芸が無く思えて、しばらく下道を走る。いつのまにか菅平を越えて東部湯の丸から高速を使う。年度末で首都圏高速大渋滞であり、渋滞回避のため新しいルートを使うが、結局大宮で軽く夕飯をとって帰宅は21時近くになってしまった。

女房の転倒によるヒザ痛、しばらく癒えそうにない。春の粘っこい雪は怪我のもとである。私は4月5日にまた関田山脈の稜線ステップソールツアーをする予定だが、怪我だけは気をつけたい。

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青:登行 赤:滑走

初めての東谷山

今回は初めての場所、かぐらスキー場と苗場スキー場の間にあって国道17号からアクセスという東谷山(1,554m)へ行ってきた。職場同僚の義兄が主宰のスキーヤーズプレイスのツアーに参加である。お初の場所、お初のメンバーに飛び入り。メンバーはガイド2名のほか、私も含めテレマーク4名(みな私より太板)、スプリットボード1名という計7人。

集合時刻が日曜朝早めなので、土曜日夜に湯沢町へ向かう。いくつか車中泊候補地はあったのだが、どこも現地偵察の結果適さず、最終的にかぐら・みつまたスキー場の田代ステーション前の駐車場にした。土曜日の営業が終わってからの降雪がやや多かったようだ。夜11時ころのの気温はマイナス10度。寒くて寝つきが悪い。しかも、夜明け前から重機の走り回る音に起きてしまい、やや睡眠不足。6時前に起床して、着替え・朝食(コンビニおにぎり)・トイレを済ませ、駐車場が混む前に集合場所にちょっと移動。

皆さんが到着して、いろいろトラブルもあって8時30分ころ登行開始。二居集落からトンネルの上の峠に至り、尾根沿いを登るのかと思いきや、林道と作業道を使って登った。林道なので斜度は緩く、作業道も若干斜度はあるがスムーズに登れる。ただし、先頭のラッセル者は大変だ。南面なので日が昇るにつれ雪が締まってくる上、ひざ下まで潜る。晴天になり、平標、神楽ヶ峰など周囲の山々がきれいに見える。

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休憩を2回入れて、最後に作業道から急な尾根をジグザグに登る。尾根の最後で先頭でラッセルし、緩やかな尾根に出た。ここからは山頂まで200mほど。汗をかいたが気温は低いようで体がすぐに冷えてくる。山頂到着は12時20分。別ルートで登ってきた2パーティくらいが山頂にいた。

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その後も続々とパーティが登ってくる。静かではなくなってくるので、13時近くから滑り始める。最初は急な北西斜面を滑降、雪が軽くていい感じだが、標高は高くない山なのですぐに雪が重く感じられるようになる。斜面が緩くなるときれいなターンもしにくい。後ろ脚が踏めなくて派手な転倒、さらに薮トラップ(穴など)があちこちにあり、久しぶりに片手でおさまらないほどコケた。沢状の地形をボトムまで滑り降り、あとはトレースがしっかりついた林間(トレースに乗るとスピード出すぎ。注意)を滑ると、いきなり国道のヘアピンカーブと廃屋が見える場所に出た。ここから降りることもできそうだが、国道沿いにある橋を渡り、国道の橋を下からくぐって狭い穴をくぐり、さらに国道沿いの雪溜まりを滑って貝掛温泉前に出た。到着14時05分。最後尾を待っている間に、苗場行きの路線バスが通り過ぎていった。

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ひと区間だけ乗る予定のバスはだいたい1時間待ちだが、上り車線に面したバス停が埋もれているので正確な時刻もわからない。リーダーのRyuさんがヒッチハイクして車を回収に行き、バスより少し早く出発地に着いた。ここで解散。

東谷山はアクセスが良くて、今回は晴天ということもあったがルートを間違える危険性も低いと感じた。湯沢近辺では、メジャーな山(神楽ヶ峰近辺・平標・巻機あたり)以外は尾根が狭くて急なところが多いと思っていたが、探せばリフトの機動力に頼らずに登って滑れるところもあるということを認識した。

私は「宿場の湯」で体を暖めて、苗場方向から三国峠を降りた。「スキーこどもの日」だからなのか、降雪後の晴天だったからなのか、それとも苗場でモーグル大会があったからなのか知らないが、国道17号を走っているとストレスを感じるし、関越も激しく渋滞しているということは17号も混むだろうということで、名胡桃から県道36号で渋川に出た。その後、前橋まで南下し、国道50号に乗るが、北関東道を使うと若干遠回り(佐野と栃木の間にジャンクションがある)になるのがイヤで避け、館林まで向かう。館林インターに乗る前に確か洗車場があったよな(塩カルで真っ白なのである)と思いつつ探しあぐね、インターから高速に乗ろうとしたら、「東北道事故渋滞で通過に80分」と出ている。思わず車線を変更してさらに下道を走り続けた。

結局、渋滞箇所より南下したら高速に乗ろうと思ったのだが、渡瀬川を渡り、利根川を越え、埼玉県に入ってしまった。幸手で夕食を食べ、自宅まで30Kmくらいのところで燃料を入れて洗車したら、下道走っても大して変わりはないと思うようになり、結局足立区の千住まで国道4号線で快適に走ってしまった。もうそのまま荒川沿いに南下して、木根川橋を渡れば到着だ。22時、無事到着。

さらっさらパウダー・黒姫山

平日、たまたまスケジュールが合ったのでインフィールドのツアーに参加。

集合時刻が早めなので、前の晩にいつもの道の駅「しなの」で車中泊。12時02分に到着し、高速代は2,850円だった。到着時は降雪がなかったので安眠できるかと思いきや、寝ている間に15cmほど降ったようで、夜明けとともに重機が動いていて目が覚めてしまった。ウトウトしながら6時台に起床、準備をして、8時過ぎに黒姫高原のスキー場へ。中野君に聞くと、妙高はもっと降ったらしい。黒姫も降り続いているが、さほどでもないようだ。降り続く雪の向こうに太陽が見える。

今日は岐阜からのTさん、長野からのIさんと私の3名が参加。ともにテレマークで参加されており、人数が少ないのでメンバーが憶えられ、大人数の週末ツアーよりも雰囲気がいい。

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手前Tさん、後方Iさん

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まっさらな閉鎖コース

上部のリフトの運行を待って、9時30分ころ登行開始。最初の閉鎖されたコースを脇の樹林を絡めながら登る。少し前に気温が上がっているので、新雪の下にクラスト面がある。崩れなければいいが・・
閉鎖されたコースを登りきるのに1時間ちょっとかかった。かつてコースだったところに生えた木が雪の下になっておらず、閉鎖期間に生長したことがわかる。

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立派なブナの下で休憩

標高1,600mを越えて一本調子のやや急な斜面を登って行くと、少し晴れ間が見えてきた。雪も軽いし、メチャクチャ深いわけでもないし、好条件になってきた。

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明るくなってきた!

2,000mちょいの稜線に登りきったのは12時台後半。山頂も見えるほど視界が良くなった。
ここから長大な黒姫山の東尾根を滑る。

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稜線にて(向こうに見えるのが山頂)

最初は針葉樹の感覚が若干狭い急斜面。下のクラストが引っかかるのできれいなターンはできない。しかし、地形図で登山道の表示があるダケカンバやブナの間隔が広い部分になると、底付きもせず、気持ちよくテレマークターンが決まる。お手付き1回、止まった時のシリモチ1回程度(大転倒なし)で尾根を下りきる。滑走時間は1時間に満たないくらいだ。

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ガイド中野さん
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Tさん
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Iさん

900mくらいから斜度が緩くなって、林間をスキー場方面にトラバース。中野君のガイドは今日もドンピシャで、林間にある小沢のブリッジをピンポイントで発見、通過。全くといっていいほど苦労せずにゲレンデに出た。終了は14時。TさんもIさんも気持ちよくターンされていてうまい方々だったので、1時間で滑り降りてしまった。駐車場に置いたクルマには全く積雪なし。到着したら少し降ってきた。

Iさんとアスティ黒姫のお風呂に立ち寄って冷えた体を暖めて終了。早く山から降りられたので時間に余裕があり、宿を取らず帰宅することにした。長野では晴れていたが、東京に近づくにつれ雨から雪へ。何と黒姫よりも東京の方が降りが激しい。職場に忘れ物をしていたので一瞬職場にエース号で立ち寄って、20時過ぎに帰宅。

今シーズン、今まで雪に恵まれすぎである。

パウダー・南地獄谷&妙高杉ノ原

先週に引き続き、インフィールドのツアーに参加。先週は降りすぎでゲレンデ外へ出られなかったが、今回はかなりよさそうだ。とはいえ、土曜日まで降り続いた雪はニュースで伝えられるように処理しきれないほどの量になっている。こんな時に遊ばせていただくのは申し訳ない。

土曜日から日曜日に日付が変わった直後、「道の駅しなの」に到着し、久しぶりの車中泊。後部座席のヒーターをしばらく入れ、窓ガラスを塞ぎ、一番厚手の羽毛シュラフに包まったらエース号の荷室ベッドでバタンキューである。

朝は時間に余裕があったのでのんびりと身支度して、杉ノ原スキー場で待つ。参加者は10名ほどだが、山スキーヤーが多めで、ボーダーも若干名。安曇野市から参加されたDさんご夫妻は、奥様の方と何年かぶりにお会いした。夫婦でツアー参加、うらやましい。

杉ノ原の第三高速リフトが動いたので、標高1,855mまで機械力で上がる。その後は「越後のすべり台」こと三田原山に登るコースだが、降ったばかりの雪が落ち着いていない上、大所帯のツアーなので最短ルートを迂回して1,600mまで下降し、しかるのちに沢を渡って三田原から東南方向に伸びる尾根に登り返した。これで稜線まで標高差700mのハイクアップである。先頭をメンバーで交替しながら登っていくが、先頭でふくらはぎレベルのラッセルすると5分もやると大汗である。
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高妻・乙妻を眺める

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登りで大汗

12時過ぎ、2,300mの外輪山稜線に立つ。シールを剥がして、北側の急斜面にドロップ。かつて雪が降る中を無理押しして滑り込んで、雪崩を誘発したことがある恐ろしい斜面だが、今回は比較的落ち着いていた。ボトムまでの約500mくらいを一人づつ滑るが、雄叫びが自然と出てしまうような爽快感だった。それにしても、山スキーヤーのぶっといロッカースキーやスノーボードのスピードの速いこと。浮力があるとああも違うのか・・

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久しぶりにこの場所から妙高山を見た

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絶叫斜面

しばらく南地獄谷の源頭部を滑り、シールを装着して光善寺池へトラバース気味に登る。雪で埋まった光善寺池でだいたい14時過ぎ。あとは尾根を滑り、天狗堂の小ピークを北側から回り込んだ。ボウル状の斜面はいままでと違ってガスっていて視界が利かない。まとまって滑りながら(10人以上がそれぞれのラインを取るのでコース取りが難しい)、しだいに前山の滝沢尾根にトラバース。ここまでのコース、あとでGPSのトラックデータを見るとドンピシャであった。さすがインフィールドの中野君である。

あとは滝沢尾根を標高1,000mまで滑り、左手の小沢を越えてアカカンのコースへ。何とかスキー場営業時間中にゲレンデ最下部に到着した。いい天気でいい雪質で最高のツアーだった。

この日は杉ノ原の知り合いの民宿に投宿。疲労した筋肉をもみほぐしながらサッカーのオリンピック予選を観戦。日本代表らしさがなく、アウェイ地獄にハマって何とか引き分けるかと思ったのだが・・

翌日、天気は快晴だが、午後からは雲が厚くなり、火曜日にかけて広範囲で雨らしい。午前中勝負ということで杉ノ原スキー場で一人練習。しばらくぶりに杉ノ原スキー場で滑ったが、こんなにリフトが少なかっただろうか?杉ノ原ゾーンは実質ゴンドラのみで最下部のリフトも1本しか動いていない。ゲレンデ上部にはゴンドラに平行するリフトが1本もない。三田原ゾーンも、高速第2と1,855mまで上がる第3リフトしか動いていない。高速第2リフトの下部は杉ノ原ゾーンとの連絡ペアリフトのみ。昔はだだっ広いゲレンデの反対側にはTバーだったかJバーだったかもあったと記憶しているが、既にパークに成り果てている。さすがプリンスというか、無駄でレトロなリフトはすべて撤去している。ただし、平日にも関わらずグルーミングは完璧である。

学生たちが休みなのか、それなりに人は出ているが、さすがに平日はガラガラである。ゴンドラに連続して2回乗ってから三田原ゾーンへ移動し、高速第3、第2を何度か高速で滑ったら疲れてきた。シャルマン火打で教わった基本を思い出しながらひたすら練習した。12時ちょっと前に昼食休憩、その後ゴンドラに1回乗って終了。苗名の湯に立ち寄って13時30分、帰路についた。

走りながら雲が厚くなってくるのがわかり、長野からパラパラ降られる。関越に乗ってからは帰りの洗車が不要なほどの雨が降った。17時帰着。次の連休は家庭の事情があり、出かけないつもり。

乗鞍岳で会心のターン

今シーズンようやく4回目のバックカントリー。今シーズンはすべて日帰りで、しかもちょっと少なかった・・
で、シーズンラストに選んだのは乗鞍岳。今回は土曜日に年休をとり、乗鞍行きでは初めてインフィールドのツアーに一日だけ申し込んだ。一人で広大な乗鞍を滑るには寂しすぎるから・・

金曜夜に自宅を出て鈴蘭の観光センター駐車場で車中泊。到着直前にキツネが車の前を横切り、もう少しではねるところだった。身支度して7時台に三本滝駐車場へ上がったら、すでに駐車場の舗装部分はほぼいっぱい。なんとか駐車場所を確保してインフィールドの中野君たちを待つ。

朝一番のバスは結局4台になった。快晴なのでスキーヤー・ボーダーが大挙して来ている。位が原山荘で管理人の六辻さんに挨拶して出発。バスから吐き出されたスキーヤー・ボーダーがほぼ全員、肩の小屋方面を目指すので、砂糖の山に群がるアリの行列が延々と続いているように見える。皆さんの狙いはまず剣が峰と蚕玉岳鞍部からの最長雪渓か、朝日岳の雪渓であろう。我々の狙いはそのメインルートを外してあまり人の来ないルートを滑ることにある。

すごい人数

剣が峰

今回の板はシャクサン。もう何年も使い込んでいるが、バスへの板の積み込みや最後のツアーコースの汚れ腐れ雪を考えると新しいワールドピステはもったいない。

乗鞍岳に来るといつも悩まされるのが、標高2600m以上での息切れ。歩く距離は短いのだが、バスで一気に登って歩き始める上、標高が高くて酸素が薄いせいか、今までは息が上がっていた。しかし、なぜかこの日は息が切れない。非常に調子がいい。歩きながら思いついたのは、前夜着ということと毎週のスケート。スケートで確実に脚力はアップしているはずであり、心肺機能も少しは上がっているのかもしれない。

蚕玉岳のエビノシッポ

別のアングルから剣が峰

前日雪が降ったので、新雪とザラメが入り交じっている。新雪部分は標高が高くなると固く凍った状態。朝日岳直下で滑落するテレマーカーもおり(これはシール登行があまり上手くない人かもしれぬ)、なるべく柔らかい部分を選んで登った。雪面に小さなエビノシッポが無数に生えており、
まるでマイタケを踏みながら歩いているようだ。

マイタケ雪面

マイタケはこういう感じ

さて、その後のルートはシークレットである。あまり今後多くの人に来てもらいたくはないルートであるが、一本目は風裏のうっすら新雪、初めカリカリ、中から下はチョー快適できれいにテレマークターンが決まる。その後凍った雪面をキックステップで極めたピークからの滑降へ。これは誰も滑っていない、
パリパリ焼きギョーザ羽根のようなフィルムクラストのシャリシャリバーンで、その気になれば標高差400m近く最高のターンを繰り返すことができる。悔いなきよう、しっかり400m滑っておいた。その後シュートを詰め、ラストは2800mから位が原への大滑降。これまた数本のシュプールはあったが全然荒らされていない最高の急斜面。

その1

その2

昼下がりに雲が・・

シュートを登る

山頂にも雲が・・

北アルプス北部を遠望

穂高連峰と槍ケ岳(雲の向う)

最後の斜面

シュプールでギタギタになった位が原に到着したのが午後3時近く。午前中山頂近くに大挙していたスキーヤー・ボーダーたちは下山してしまったようだ。それが証拠に最長雪渓は夕方のゲレンデ状態となっている。ここで山荘に宿泊してもう一日シークレットコースを攻める中野君たちと別れ、一人ツアーコースへ。最後の大斜面を滑っていた頃、ツアーコースの最初の急斜面あたりに救助ヘリがきていた。誰かケガをしてヘリを呼んだに違いない。一人でケガなどしたら目も当てられないので、コブ斜面になった細いツアーコースをアルペンターンで滑っていく。何組ものパーティを抜き去ったが、その中にT.M.Nスキースクールの望月さん御一行がいた。思わず声をかけてしまった。

ツアーコースとゲレンデを繋ぐ最後の急斜面まで何とか滑れはするが、かもしかゲレンデの分岐で雪は途切れた。潔くスキーを脱いで、ゲレンデ下部まで歩いて降りる。最後に少しだけ残った雪をスキーで拾って3時45分終了。三本滝の車は半分以上が消えていた。みんな日帰りなんだな・・

最後に非常にいい雪を滑らせてもらった。バックカントリーの回数は少なかったけれど、今回の乗鞍でかなり挽回できたような気がする。何より、ケガなく無事過ごせたので十分だ。

その後実家に寄って年老いた両親の愚痴話を聞き、日曜午前中に東京に戻った。

ステップソールでかぐら雁ヶ峰・霧ノ塔へ

今シーズンはどうにもバックカントリーへ出るチャンスが少なかった。これでやっと3回目、すべて日帰りである。出られなかった理由はいろいろあるのだが、今回に関しては天気が下り坂、というのが山中一泊のツアーを断念した理由。結局日帰りでかぐらスキー場から雁ヶ峰・霧ノ塔を周遊する例年のコースをステップソールで歩くことにした。ステップの機動力を使って登っては降り、登っては降るコース取りである。

GW最終日とあって、ゲレンデが混む可能性があり、朝7時に現地集合。今月2日の三浦カヤックと同じメンバー、吐月工房氏(フィッシャー・GTSクラウン&ビンソン)と葛飾のU氏(フィッシャー・アウタバウンズクラウン&T4)と私(カルフ・10thマウンテン&T4)の3人。

かぐらメインゲレンデトップで最上部のリフトが動きだす9時を待つ。30分ほど待って、かぐら第5ロマンスリフトが動きだす。いつもはボーダーやスキーヤーがどっと連絡コースに殺到し、バカボーダーに板やストックを踏んづけられ口論になることがある(昨年あった)のだが、今日はこのロマンスリフトが動く最終日だというのに少なめ。しかも皆スキーヤーで、ゲレンデ全体にボーダーが少ない。

ステップで出発

9時20分、ゲレンデトップの1830mからおもむろに歩き始める。シール装着の時間が省け、非常に快適なスタートであるが、最初はステップで登れる限界斜度が体にしみ込んでいないので時々前のめりになる。神楽ヶ峰へつづく緩い尾根の右側から鞍部へトラバース、1984mピークへ斜登行で巻きながら登る頃にはもう強烈な日差しと暑さで汗だくである。先行者は中尾根を滑るという男性と、この日コースの所々で出会うことになるリピーターの山スキーヤーのおじさん。

巨大キッカーが・・

よく喋るおじさんで、聞きもしないのに昨日の状況や連休前半に何も知らないで上がってきたヒトを連れて歩いたことを話してくれた。このあたり、春になると何の装備も持たず、どこを滑ればいいかも知らずに板を担いで登ってくる輩が結構いるので、危うさを感じることが多い。そういう輩には冷たく接したほうがいいと私などは思っているが、このリピーターおじさんはまるでボランティアでガイドをしているかのようなのだ。この日も午後になってコース上で再会した時、明らかに同行者ではないゲレンデスキーの男性を引き連れ、解説をしていた。



ステップソールの我々は小休憩後そのまま稜線を滑り始める。デコボコの多い稜線を降り、小ピークを一つ登りながら巻くと、急な稜線にぶち当たる。しばらく休憩していたらリピーターおじさんが板を担いでツボ足で来たので、先行してもらい、こちらもこの急な稜線をステップで刻むのはやめ、板をザックにくくりつけておじさんが切ったツボ足ステップを拝借して登る。
このピークには『雁ヶ峰』と標識があるのだが、地形図にはそのような記載はなく、雁ヶ峰は黒岩ノ平を挟んだ北東方向の1667mピークに書かれている。初めてここへ来た時からどちらが本物の雁ヶ峰なのか悩んでいたのだが、リピーターおじさんは標識があるところが雁ヶ峰で地形図が間違いだという。これを書きながら考えてみると、『雁ヶ峰』の黄色い標識が付いている木の方向に地形図に書かれた雁ヶ峰がある、ということではないのか、とふと思った。いずれにしても、夏道も稜線に付いている場所なので、湯沢町の名前を冠した標識についてははっきりさせて欲しいものだ。

スキーを担いだ唯一の稜線
実際肉眼で見るともっとキツイです



霧ノ塔までチョッカル。ところどころブレーキがかかる雪なので前転する可能性もあったが、難を切り抜けて霧ノ塔のピークを踏む。リフト降り場からここまで約2時間弱である。リピーターおじさんはここで休憩としているが、我々はやや北東に外れたピークでザックを下ろし、軽く行動食をとる。まだ11時。ここにザックを置いて、黒岩ノ平方向の沢に向かって2回ほど空荷で滑る。登りもシールを貼り返さなくていい上、シール装着時の鈍重さがなくて快適。やはりザラメの季節はステップが最高である。

空荷&軽装で滑る
縦溝があって油断ならない

大汗をかいたところでザックまで戻り大休止とする。周辺を見渡しても、休日でいい天気にも関わらずスキーヤーがほとんどいない。スキー場からの音楽もここまでは聞こえないので、雪山を独占している感が強い。

12時20分くらいに下降に入る。いつもは黒岩ノ平と千倉ノ引上げの間にある明瞭な尾根に乗って途中から沢へ滑り込むのだが、今回はステップの機動力を使って千倉ノ引上げ最上部の1886mピークへ移動し、沢を2本横切る感じで滑って登ることにした。樹間の距離が空いていて気持ちよく滑ることができた。黒岩ノ平の北の沢への滑降で初転倒。雪が重くなり、雪上に落ちている枝が気になり、積雪量が減ってきているので薮も出かかっている。慎重に滑らないと、足元不安定なステップ板では登りよりも滑りの方に気を遣う。リピーターおじさんが若いゲレンデスキーの男性を連れて黒岩ノ平の方から降りてきて、先行する。

地形図上の雁ヶ峰までわずかな登りとなるが、そのままステップ板で登ってきたら、リピーターおじさんの連れの男性が「そのスキーはなぜ登れるんですか?」と問うてきたのでソールのうろこを見せてあげた。普通のゲレンデスキーヤーにとってはスキーのソールに雪面と干渉するものが存在するという発想はまずありえない話だし、山スキーヤーもビンディングの特性(つま先が支点)から決して使えないのがステップソール板である。テレマークスキーヤーの特権なのである。

セッケイカワゲラ発見
なぜかアメンボがいた

ただし、ここから先のやや急斜面・腐れ雪ではかかと固定のフラットソールスキーにかなうはずもない。先行した二人に追いつくはずもなく、ヨタヨタとステップ3人組で降りていく。最後の急斜面は薮が濃くなってきていて、もう次の週には滑れないだろう。ゴンドラ線に平行する連絡コースに降り立ったのが14時過ぎ。最後の最後に板をつけたままで半薮漕ぎとなった。アクセスしやすいコースで、決して達成感のある新規のコースではないが、ステップソールでシールを一切使わずアップダウンを繰り返したために、非常に充実した周回となった。

薮をかき分けフィニッシュ

硫安を蒔いたゲレンデは意外なほど滑り、ヒザが痛くなった。帰りは田代エリアの立ち寄り湯で休憩し、三国峠を越えた。関越渋滞が予測以上に長く、北関東道と国道122号、館林からの東北道で19時30分自宅着。あと一回、乗鞍あたりへ滑りに行きたい気持ちもあるが、もうあがくことはせずカヤックをしたほうがいいのか、ものすごく悩んでいる。

高デッキ・真冬の様相

信濃町の道の駅で起床、連日のスケート疲れが脚に残っている。
インフィールド事務所に8時着。積雪15cmほど。中野君と相談の上、この降り方では矢代山地の粟立山は断念しようということになる。次善の策は黒姫山だが、降雪の中ラッセルで標高差900mを登ることになるし、稜線は2000mだ。これもきつそう。佐渡山は林道歩きが長い上、林道降りでスキーの機動力が生かせない。結局さらに南下して飯綱山に向かうことにした。ツアー同行者は大阪からツアーバスで来られたKさん。

戸隠スキー場のゲレンデトップがもう10時過ぎ。同じく飯綱を目指す山スキー3人組がいた。ゲレンデから鞍部へ滑り降り、飯綱への狭い稜線を前に一本開けた沢を滑る。鞍部へ戻ると先行3人組は飯綱への尾根に乗っているが、スキー登行慣れしていないのか、手間取っていて結局スキーを脱いでツボ足で登り始めた。視界は降雪の割にいいが、新雪が非常に軽くて滑りやすいので、ここでルートを変えて高デッキ方面へ向かうことにした。

ゲレンデのコースのよう

シールをはがし、もう一度同じ沢を滑走、再びシールを付けて高デッキへ。山頂到着は12時を回る頃。ときどき晴れ間が見えてくる。昼食をとってから高デッキ北西斜面を標高1400mくらいまで滑走、樹間の広い斜面を見つけるのがやや難しい。

3月末とは思えない



再びシールを付けて沢を登り、高デッキの西側の1590mピークに登り返す。そこから北西に滑り、林道に出てゲレンデボトムへと戻った。戻ったのはまだ15時前。神社近くのそば屋でソフトクリームを食べてツアー終了。

最新鋭ピステン

そばソフト(食べかけ)

お手軽だがいい雪質の時にいい斜面を見つけられるとこの上なく楽しいエリアだった。

鍋倉山・悪雪祭り

今シーズン初めてのバックカントリーは3月半ばになってしまった。こんなことは久しぶり。

14日日曜日の朝、飯山郊外の道の駅、「花の駅千曲川」で吐月工房氏と合流。温井集落へ。すでに5〜6台の車が停まっている。準備をして、9時に出発。今回の道具立てはシャクサンとT4。ヘアピンカーブのところの小屋を通過して、急斜面を登らずに沢沿いに尾根を2つやり過ごす。標高は850mあたりを維持。

登行開始

トラバース


再び道路と出会うところから大きく巻くようにジグザグ登行で急斜面を歩き尾根上を目指す。北斜面だし、オープンバーンにはシュプールがいっぱいついていて歩きにくいのでなるべく林間を歩くことにしたが、ここがクラストしていて所々本気で足場を作らないとやばいところがあり、ずいぶん難儀した。1100mで尾根上に乗り、休憩。軽く行動食をとる。

クラスト気味

晴れてきた


その後は尾根を直登して12時ちょうどに山頂着。登っている最中からスノーモービルの爆音が辺り一帯に響き渡っていたが、山頂に着いて唖然。スノーモービル4台が山頂まで来ている。それどころか、次々に台数が増えていく。山頂でのんびりしているスキーヤー、登山者はみな迷惑顔。
温井集落の除雪終了地には「スノーモービルはご遠慮ください」と看板があるのだが、彼らは日本語が読めない愚か者のようだ。昨年も関田山脈を縦走した時、関田峠から牧峠までずっとスノーモービルの出来立てほやほやの走行跡があった。おそらくこの一帯も、津南から神楽峰一帯も、スノーモービルの連中にとってはゲレンデになっているのだろう。帰りの高速でもスノーモービルを積んだ車を見かけたので、わざわざ関東方面からもやって来るようだ。しかも、山頂に来た連中は全然悪びれたり遠慮するようなそぶりも見せない。スノーボードを担いで登ってきた単独のお兄さんに「何時間かかるのか」と問いただしている。素直な兄ちゃんは正直に答えていたが、私だったら「知りたかったら自分の足で登ってきてみろ」と言いたいところだ。山頂まで自分の足で登ってきた人たちの中には、スノーシューで大人に混じって嗚咽しながら登ってきた小学生もいる。急斜面の多い鍋倉山に自力で登ってきたのはすごい。それに比べまったく迷惑かつ無神経な話だ。

山頂から妙高・火打


山頂でやつらと不愉快なことになるのも嫌なので、せっかくまわりの山々が一望できる絶好の天気ではあるが、下山開始。最初は比較的いい雪質だったが、まもなくクラスト気味の悪雪になり、900mくらいまでは苦労させられた。その後は重い腐れ雪になってきたが、何とかプラブーツだとアルペンターンでこなせる状態になり、小屋からは踏まれた道路を一気に滑る。13時過ぎに終了。

悪雪との戦い


あまりに天気がいいので、温井集落の近くをステップソールで少し散策してみる。私はカルフ10thマウンテン、吐月工房氏は友人の形見分けのGTSクラウンに履き替える。この鍋倉山登山は友人の供養登山でもあったのだ(無理やりの理由だけど)。彼から頂いたモンベルウェアを山頂まで連れて行ったし、こうしてステップソールの板も活用して供養とした。そろそろステップの季節になってきたことを実感する。そして、テレマークスキーの本来の領分は集落裏の丘や小山を散策することなのだなと思い出す。リフトでゲレンデから山頂に登り詰めてパウダーを滑る、というのは楽しくないわけはないが、楽しみのほんの一部に過ぎない。

ステップは軽快!


ところで、マメができにくいプラブーツのT4で歩いていたにも関わらず、左右両くるぶし下にできた。いつもよりは小振りではあるが、今日はスキーソックスの下にファイントラックのスキンメッシュソックスを履いたにも関わらずできてしまった。このアンダーソックスを履いていたからマメができたのか、それともマメが小振りで済んだのか、また検証してみたい。ともかく、若干滑るが履き心地は良かった。

14時過ぎに温井集落を後にして帰路につく。戸狩スキー場の日帰り温泉は激混みだったので、中野の長嶺温泉に立ち寄り、地元色の濃い風呂で汗を流す。そのまま高速に乗って帰ってもよかったのだが、今日は18時までエムウェーブの無料開放日だ。温泉を出た時点であと残り2時間弱。相撲中継を聞きたいとも思うが、無料エムウェーブは捨てがたいし、もうあと1週間でシーズンを終えるエムウェーブでもう一度滑りたい。須坂長野東インターで高速に乗らず、エムウェーブに到着した時はちょうど17時だった。
もう滑るっきゃないでしょ!このつづきはインドアのエントリへ。

今回のGPSによる軌跡