乗鞍岳でラストスキー

平日の連休ができたので、恒例の乗鞍でスキー板を納めることにした。
数年ぶりに位ヶ原山荘に宿泊することにした。が、二日目には元同僚の通夜に参列することにしたので、午前中までしか山には滞在できない。初日にいいところへ行って滑ることにしよう。相棒はいつもの吐月工房氏。

ということで、前日深夜に乗鞍高原入り。中央道の集中工事でだいぶ時間を食ってしまった。朝起きてみたら、桜が満開に近い状態で咲いていた。東京の開花からは1ヶ月半遅れ。ようやく乗鞍にも春が来たようだ。

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観光センター駐車場から

バスは第1便で上がった。登山客とスキー客でほぼ満席だが、1台しか出していないので位ヶ原山荘から皆が散ると大きな山体の中で人口密度は下がる。不要な宿泊グッズを山荘に置かせてもらって、軽い荷でハイクアップ。「屋根板」から位ヶ原に上がって、朝日岳や剣が峰方面に向かう人々を尻目に我々は高天ヶ原から大日岳をめざす。こちら穴場なのである。まず高天ヶ原と剣が峰の稜線に出て、剣が峰と大日岳の間の沢を詰める。若干雪が腐れているがシールで鞍部まで登れた。そこからわずか標高差40mくらいを登るのだが、シールは使えず、ツボ足だと岩と腐れ雪と氷のミックスでやや危険だ。この日もお昼過ぎだというのにエビノシッポが岩に張り付いていた。

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大日岳まであと少し

さて、大日岳は3015m。剣が峰の喧騒とは隔絶されている上に、てっぺんからスキーを履いて南東面に滑れる。雪の状態はいまひとつだったが、広々として実にいい斜面である。2700mくらいまで滑降して、高天ヶ原のすぐ南側の沢を詰め、高天ヶ原と剣が峰の鞍部に乗り、ゆるい沢を滑って位ヶ原に戻る。高天ヶ原の雪渓は今後の研究対象だ。もっと雪が残っている時期なら、うまくすれば尾根通しで東大ヒュッテ滑れるはず。スキーを脱いで稜線に乗ったら気づかずライチョウを驚かせてしまった。

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南東斜面
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まずは御嶽をバックに昼食
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高天ヶ原から位ヶ原へ。一定のゆるい斜度が続く

位ヶ原でツアーコースを降りる人々を見送り、我々は富士見岳を巻いている道路まで登り、未除雪の道路から山荘をめざして滑る。富士見岳東面は人があまり入っていない割には雪質はよく、ザラメ化して締まっている。しかも位ヶ原以南よりも雪が多い。剣が峰や大日岳、高天ヶ原は過去に来たときと比べ若干雪が少ないのだが、富士見岳東面、特に位ヶ原山荘のすぐ上の「屋根板」は驚くほど多いのである。後で同宿の方に聞いたら、朝日岳は雪が腐っていて登りにくく滑りにくかったらしい。我々の選択は正しかった。

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富士見岳を巻く道路から滑り降りた
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この日一番いい雪質だった

この日の宿泊客は我々以外に3人。静かでゆったりした夜が送れた。消灯前に外に出てみたら、満天の星が煌めいていた。

翌日、前日よりもさらに天気がいい。他の方が出発するので、我々も午前中勝負で出かけた。ツアーコースを降りるのはゲレンデ下部の雪がひどいので止めたから、今回は初めてバスで下山することにした。11時のバスに乗れて遊べるところは鶴ヶ沢だ。県道乗鞍岳線の最高標高地点まで登り1時間ほど。板をデポして大黒岳に歩いて登って槍・穂高・笠・常念山脈方面や、中央アルプス、南アルプス、八ケ岳を遠望する。ここに来て最高の眺望を目の当たりにするだけでも価値がある。しかし、岐阜県側から観光客も来ているので、大黒岳から直接滑るのは次回以降に譲り、素直に鶴ヶ沢をまず途中まで滑って再び登り返し、最後に鶴ヶ沢を下まできっちり滑った。午前中で雪も締まっていて最高のターンが描けた。

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スカ晴れである
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ラストに鶴ヶ沢を滑る
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お世話になった。たまには別に季節にも寄りたい

バスの出発まで位ヶ原山荘でコーヒーを飲めるくらい余裕があり、ゆったりと三本滝まで降りる。たまにはこういう下山もいいかも?リニューアルした「湯けむり館」で汗を流し、付設のレストランで食事をして仕上がった。あとは毛穴から硫黄臭をさせつつのんびりと中央道を東京に向かい、途中で喪服に着替え、渋滞を避けて川崎の葬祭場に向かった。硫黄臭はなかなか取れないんだよね・・