仕事山行・茨城県大子町で低山縦走

3月の仕事山行は、紆余曲折の結果茨城県大子町での3日間低山ハイクとなった。
この山行計画が浮上してきて初めて知ったのだが、大子町とその周辺市町村の低山地帯に「
北茨城ロングトレイル」という最近流行のロングトレイルが作られている。
将来的には全長320kmというロングルートが完成するそうだが、現在はその一部が歩けるようになっている。およそ八溝山系の竜神峡から奥久慈男体山を経て袋田の滝、最終的には水郡線下野宮駅(茨城県内最北の駅)まで通じるものだ。

今回はこのトレイルのほんの一部を3日間にわたって歩いた。
あいにく2日目の午後から予報通り強い雨となり、雨中の下山を余儀なくされ、3日目は狭く急な岩稜の尾根を縦走するのは困難となって縦走路を横切るような登山に切り替えた。茨城県は関東の一県だが、水戸から水郡線に乗って大子町までたどり着くには特急を使っても3時間はかかってしまう。大子町のすぐ北は福島県、西は栃木県であり、公共交通機関を使っての日帰り山行は困難である。今回は月居温泉白木荘という宿に2泊した。

3月22日
春らしい天気で東京では桜も満開に近づきつつある中、特急「ときわ」を使って水戸駅へ。そこで少年たち16人と合流して水郡線へ。乗客のほとんどは地元高校生だが、彼らも常陸大宮駅前後でほとんどが下車してしまい、袋田駅に到着する頃の車内はだいぶ空いてきた。久慈川沿いに線路は走っていて車窓のほとんどは川が占めている。
袋田駅はログハウスのいい感じの駅舎で、そこから袋田の滝へ向かって車道を歩く。最初に観光地見学から始まった。

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袋田駅
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糸を引くような袋田の滝

袋田の滝は見学料金が300円で、トンネルを使って滝の面前まで出ることができる。もうさすがに氷結はしていない。滝の下のつり橋を渡って対岸の古びた茶屋の前後に月居山への急登が始まり、ここから登る。つり橋側の急な階段は500段近くあるそうで、茶屋の先の登山路から登って行く。1時間も経たずに山頂(404m)に着き、軽く休憩後に宿泊先方面へ下山。里山らしい生活感のあるトレイルをしばらく歩いたら宿に着いた。
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月居山山頂部
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白木荘(見かけで判断してはいけない)

3月23日
当初の予定では袋田駅まで歩いて1駅南下し、上小川駅から奥久慈男体山へ登る予定だった。これだと登る途中で雨に降られる可能性が高い。予報は昼過ぎから降り出し、夜にかけて止むことなくしっかり降るそうだ。
宿の方からのアドバイスでルート変更し、舗装された林道で北東側から男体山(653m)に登ることにした。宿からほとんど交通量のない町道が白木山方面へ延び、常陸太田市の持方という集落を経て竜神峡方面へ向かっている。持方集落に出る手前、白木山と男体山の鞍部から何本か男体山への登山道があり、その一本を使って登ることに。雨が降っても降らなくても舗装林道は距離と時間が稼げる。男体山はある方向には岩稜が連なっていて険しいが、この方面からだと鎖などを使って登る必要がない。里山だけあっていくつも登山道があるのは選択肢が増えてよい。
結局8時に宿を出発して11時30分に山頂着。雨雲がどんどん北上してくるので遠望は効かず、暗い雰囲気。山頂で短時間で食べられるアルファ米を作って食べ(従来品は20分くらいかかるが今回食べたものは水筒から熱湯を注げば3分でできる)、山頂を後にする。下山ルートは男体山の北に延びる稜線を歩き通して宿の近くへ下山するというもの。最初は常陸太田市との市町境を歩き、途中から422mの三角点を目指して北上する。
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男体山山頂から北茨城の丘陵地帯を遠望(今にも降りそう)

12時30分ころから予報通り雨が降り始め、だんだん足下の泥がまとわりつくようになってくる。トラバース道は崩れやすく、あまり歩かれていないようなので尾根通しなのか巻道なのか判然としない部分も出てくる。また、この一帯は表土が2m程度しかないようで、過去の大雨や台風の爪痕として斜面の土とともに根こそぎ大木が倒れている場所に複数回出くわした。大木が倒れた跡には斜面に岩盤が見えたり、土が残っていても急下降を強いられて大変歩きにくい。無名低山歩きの難しさを知らされた。
宿には15時ころたどり着いたが、雨具とザックカバーはグショグショなので、タオルで雨具とザックカバーの水分を拭き取って、ザックカバーを裏返してその中に雨具を入れて建物の中に持ち込むように指示。体が冷えたので温泉はありがたかった。
ここの月居温泉、近所にゴルフ場ができた時に掘り当てたものだそうだが、ゴルフ場はつぶれ、源泉からの40度の湯は今のところこの日帰り温泉兼宿泊施設だけに来ているようだ。この近辺の居住者が維持管理をしているようで、古びた建物で部屋も年季が入ってはいるが快適で、食事の量が多く満足できた。

3月24日
当初の予報よりは上方修正されて雨は上がったが、北茨城ロングトレイルを計画通り下野宮駅まで縦走するのは難しそうだ。新しく作られたばかりのトレイルで、巻道などが整備されていないので20回ほどのアップダウンを強いられるらしい。しかも最高峰の生瀬富士(410m)だけでなく、縦走路には礫岩の狭く急な岩稜があちこちに見られるみたいだ。生瀬富士山頂から袋小路のように数十メートル延びる岩稜は「茨城のジャンダルム」などと言われている。滑ったらアウト。
実際にトレイル整備をしているという人が前日たまたま温泉に立ち寄っていて、トレイルを雨後に歩くのは危険なので止めて欲しいと言われたそうだ(同僚の言)。
そう言われて計画通り強行するのは得策ではないので、次善策を少年たちのリーダーに知恵を授けた。生瀬富士を通る縦走のトレイルを山頂直下の鞍部で横切るような登山道が地形図に書かれているのでそれを辿ってみよう、もし楽に抜けられて時間が余れば、袋田駅西側の鷲ノ巣山(400.4mの三角点)のピストンを加えよう。
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宿を出て雨上がりの町道を歩いていく

結局そのアドバイス通りのルートを辿ることにした。しかし低山歩きは思い通りには行かない。
8時、宿を後にして生瀬富士を左手に見ながら町道を歩き、アップルラインといわれている農免道路との交差点直前から地形図上描かれている登山道に入ろうとした。しかし、畑の中の柔らかいあぜ道しかなく、幅5mくらいの川があって橋は架けられていない。当然徒渉ができるほど浅くはない。
近所の人に道を訊ね、アップルライン側から支流を渡る橋を使って山すそへ。入り口に「生瀬富士登山道(立神口)」と書かれた細い杭があった(杭はゆっくり歩いていないと見落とすほどみすぼらしい)。少年たちは橋を渡ってすぐ林業者の作業道のような道に入っていこうとしたが、すぐにそんな道を登山道に使うはずはないので、引き返してもうしばらくコンクリの軽トラ一台分くらいの道幅の道路を歩き、墓地の間を抜けていくトレイルに進む。これが正解。近所の人が「左・左へとルートを取れ」と言っていた意味がここで飲み込めた。このへんから時々パワーバーの黄色いテープが枝に巻かれていた。やや広めの尾根の最下部を回り込むと深めの谷(小川だが)があり、川を渡ると川が三方から合流しているので先頭はルートを見失ったが、最後方から見ていたら一つの谷の方向にパワーバーの黄色テープが見え、そちらに誘導する。その後もパワーバーテープに誘導されて登山道に乗った。あとはひたすら谷を詰めて鞍部に出るのみ。無名低山は古い登山道の情報がそのまま地形図に残っていて、新しい登山道が情報として反映されていないことがよくある。登山口に特に多く、ここが難しい。

鞍部から生瀬富士山頂までは200mしかないが、3日間の重いザックを背負って急な岩稜を登るのは断念し、ここまでしっかりルートファインディングして登ってきたことで登頂以上の成果があったことにする。
さて下山。地形図では鞍部から2方向の下山路があり、できれば尾根伝いに袋田小学校と郵便局のあるところへ降りたかった。しかし稜線の崖を巻いて尾根に乗るであろうルートは落ち葉が深く、通行を妨げるために人為的に置かれた太い枝もあり、尾根筋には地形図にあらわれない大岩が見える。おそらく廃道に近いのだろう。ウェブで前日ルート情報を探ったが、すでに10年間歩かれた記録がない。諦めて袋田温泉方面へ直線的に下山するルートを選択して歩いた。このルートも最初は激下りで、雨後の地面は緩く泥とともに靴が滑っていく角度だ。信頼度の低い古いロープも設置されている。

結局11時ころ下山完了、袋田駅まで歩く。帰りの列車を15:31発から一本早めて13:58に切り替えたので、朝は登る予定に入れていた鷲ノ巣山はあきらめて駅前で行動食を食べて2時間30分ほど列車を待つことにした。
ヒマな2時間ではあったが、昼過ぎにはパラパラと雨が降ったりしたので登山を強行せずよかった。目的の列車に乗ると、水戸駅で特急「ひたち」に乗り換えれば最寄り駅着は17時過ぎ。東京は雨が降っていた。

茨城県中南部一周ツーリング

暖かくなってきたのでゲレンデスキーに行く気は湧かず、久しぶりにW800で日帰りソロツーリングをした。

ソロツーリングだといつも出発ギリギリまで目的地が決まらない。とりあえず京葉道路と東関道で終点の潮来まで行くことにする。出発8時。高速に乗るには距離が適当で、約1時間で高速を強制的に降りることになるのがいい。
結果的には利根川以北、水戸線と国道50号以南の茨城県中南部を一周して帰ってきた。

茨城県道50号で北上開始。しかし何度も走った道なので途中で右折して北浦大橋で北浦を渡り、そのまま鹿島灘沿いの国道51号へ。再び北上する。順調に北上して、涸沼方面へ左折し、涸沼を時計回りに回り込んで涸沼自然公園でトイレ休憩。特段見たいものがあるわけではないので涸沼沿いの道路を戻り、県道106号、40号で常磐線内原駅近くで国道50号へ。西に向かって少し走り、笠間稲荷神社へ11時30分頃到着。
神社前の有料駐車場にバイクを入れて(200円)、近くの稲荷寿司と蕎麦を食べさせる店で少し早い昼食にする。帰りに「そば稲荷」を3つ購入。
笠間稲荷神社へ参拝して、再びバイクにまたがり国道50号、筑西市の水戸線大和駅近くで左折、あとはいつも別宅から帰る時に使う県道をひた走って下妻市役所経由、美妻橋で鬼怒川を渡り、芽吹大橋で利根川を、玉葉橋で江戸川を渡って江戸川沿い埼玉県側の道路を南下して小岩まで。

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筑波山山頂と、よくわからんのだがアンズの花?ウメの花?

総距離は270〜280kmほど。燃費は約25km。若干悪いのは2月に都内を走ったためだろう。筑波山北麓でヤマザクラが咲きかけていて、梅の花は終わりに近づいていた。鬼怒川・利根川・江戸川土手と河川敷には菜の花が一面に咲き始めていた。鮮やかな彩りの季節がやってきた。

追記:W800もこのツーリング序盤(東関道のどこか)でオドメーター8,000kmを超え、8,300km弱になった。