ブリザードのハンタマ

いっこうに天然雪が増えず、安定しているのは人工雪スキー場だけだ。
遊ぶ者には選択肢があるからいいが、スキー場で労働している人々にとっては辛いだろう。

吐月工房氏が別宅を視察に立ち寄ってくれたので、年末期間に入り駐車場代がかかる前日にハンターマウンテンへ行ってみた。朝、麓の気温は比較的高かったので前回よりも薄着にした。朝8時過ぎに到着してみると結構な人が来場していて、前回よりも一段上の第7駐車場に誘導された。準備してセンターハウスでシニア割一日券を購入して雪面に出た。最初に2本ほど緩斜面を滑っていると、緩斜面の混み方が尋常ではなくなってきた。

そのうち雪雲が会津方面から迫ってきて吹雪になり、強烈な雪交じりの風が斜面を吹き上がってくるようになった。中腹まで上がるリフトに乗り換えて中斜面を滑っていたが、風が強烈すぎて斜面に入る時のスピードが乗らない。人工雪が吹き上がってアイスバーンの下地も出ているところがあり、一方でコース脇には新雪がうっすら溜まるようになった。11時台に休憩も兼ねて昼食とする。やはりゲレ食は価格高い。

前回晴れて景色良かったゲレンデトップまで数回上がってみるが、視界は利かず、寒さが尋常ではないのでポール練習しているレーサーと大人だけの世界になっている。ホワイトアウト状態に近づき、強風で午後にはゴンドラが止まった。

その代わり新しいコースがオープンしたのでそこで何本か滑って、13時30分に終了。車に戻って14時にはゲレンデを後にした。あれ以上やっても効果的ではないし、駐車した車が一斉に下山すると渋滞も発生する。やはり「50過ぎたら2時上がり」が原則だ。

スムーズに塩原温泉街を抜けて40分後には別宅にたどり着いた。
まあこんな条件もある。それでもまだ南会津方面の天然雪スキー場はオープンできないそうだ。気を長くして待つ他ないが、もう年内には難しそうだ。

今回の動画(2分32秒、約380MB)

仕事山行 雪の雲取山

久しぶりに年末の仕事山行に行った。運悪く、数日前の天気予報では奥多摩町一帯は22・23日とも雨の予報だった。ということは確実に雪になる。幸い、近づくにつれて22日夜から23日朝にかけての降雪に限定されたので行動中に降られることはなかったのだが、三條の湯から雲取山荘までの行動時間が7時間30分となってしまった(夏のコースタイムは3時間20分)。

22日11時、奥多摩駅から丹波行きバスに乗って「お祭」バス停で下車し、後山林道を延々と歩く。同じバスに乗った人は単独行の男性1名だけで、我々は10名の青少年と私を含む2名の帯同者でバスを独占した。この時期、あまりに寒くて日曜日の日中でも山に行く人は極端に少ないようだ。奥多摩湖の駐車場でも人はまばら。

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後山林道

後山林道を最初から最後まで歩くのは今回が初めて。だいぶ前、6月に三條の湯まで入って幕営して雲取山に登ったことがあるが、その時はタクシーでできる限り奥まで入った。今にも雨が降り出しそうな気配だが、なんとか雨にたたられずに15時に三條の湯に到着。先行していた単独男性がテントを張り終えていた。我々は今回は小屋素泊まりである。ちょっと軟弱かなと思ったりしたが、結果的には雪中キャンプにならず、設営・撤収の時間も無駄にならず、暖かい小屋生活ができた。小屋泊まりだと熱い湯がサービスされるので、ガスを使わなくてもテルモスに紅茶を淹れることができて助かった。

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三條の湯の小屋を見上げる

三條の湯の小屋番の長髪・ひげ面の男性はもと警察官・消防士・レスキュー隊員を遍歴してきた人で、なんとなく柔らかな感じがする人だった。せっかく小屋に泊まった上に我々だけで独占状態だったので、せっかく薪を使って暖めた湯だということもあって、初日にも関わらず風呂に入らせてもらう。風呂から上がる頃、雪がちらつき始めた。これは明日はどうなることか。部屋には石油ストーブがあって暖かく過ごせたが、翌朝ヒザ上の積雪があったら軽アイゼンだけでは無理だから下山しなくてはならない。

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朝、一面水墨画の世界へ

23日、朝の積雪量は小屋前の吹きだまりで10cmほど。上に行けば行くほど積雪量は増えるだろう。どこかで重要な判断をしなくてはいけない。青少年たちは装備の点検が甘すぎ、さまざまなトラブルが起こる。やれ手袋が小さくて手が入らない、スパッツの装着ミス、軽アイゼンの装着が初めてで手間取る、アイゼンのベルトが極端に短い(以前の小さな靴だとベルトが余るので切ってもらったらしい)、アイゼンの幅が調整できるモデルを持ってきたが未調整、などなど、夏の仕事山行もそうだったが、10人もいるとそれだけで時間が過ぎていく。普通は初めて使う装備であれば家で仮に装着してみるとか、調整をするなどの点検を怠っている。普通ならここで即刻下山命令を出してもいいくらい、一昔前の山小屋のオヤジであれば怒声一喝だ。

失敗も重要な経験なので、後でみっちり反省させるとして(しかし反省がすぐに生かされない)、予定時刻よりも遅れて8時30分出発。テント泊の単独男性は11月にも歩いており、我々より1時間近く早く出発したので、彼のトレースを追っていけばあまり間違いはなさそうだ。

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晴れたけど、木からの落雪あり。

三条ダルミという峠で稜線に出る長い斜登行ルートをジワジワと登っていくが、尾根をいくつも巻く中で日の当たりにくい北東斜面の雪はアイゼンが効かない雪で難儀する。さらに台風の影響なのか、迂回ルートに誘導され、急な尾根を乗り越えるようになっていたので時間をロスする。歩きが長くなってくると先頭とリーダーの判断にズレが生じ、リーダーに従うべきところで反論や疑問が全員の前で呈されるようになってきた。これではパーティ行動の基本が揺らいでくるので、リーダーに従うようにきつく言い渡すが、それでも止めようとしない者がいる。こういう時、彼らに帯同するのがほとほと嫌になる。リーダーはたった一人。最も年長とはいえ、歳の差はわずかでしかなく、普段は仲がいい仲間なので、複数人が反論すれば強く出ることは難しい。山中で結局自分一人で結論を導かねばならないリーダーが孤立するのは望ましくない。意見や反論はそこそこにして、最終的にはリーダーの判断を尊重する姿勢が欲しい。

三条ダルミで14時20分、雲取山山頂まではスムーズに登れて15時過ぎ、雲取山荘に16時であった。先行した単独男性も15時着だと言っていたので、ルートファインディングに要するタイムロスはないが、極端に遅いわけではなかったようだ。夏のコースタイムは積雪期には全く当てにならないことが今回も痛感された。

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雲取避難小屋から山頂へ

雲取山荘の部屋は機密性が三條の湯よりも高かったが、炬燵のみでちょっと寒かった。ガスを扱える場所が屋外の別棟で、夜のうちに翌日の紅茶を淹れておいたほうが合理的だった。今回、寒さに備えて食器として100円ショップのプラスチック製小どんぶりを持っていったが、食後にみそ汁を作ってご飯のこびりつきを取ることができて重宝した。

翌朝の朝はロールパンのみ。スープが出るということだったが、勝手に周囲の意見を聞いて無しにしたのですぐに出発したいと言われ、ちょっとそれはないんじゃないのと言いたくなる。昨夜決めた出発時刻よりも少々早くなるが、決めたことを簡単に覆すとは?

再び雲取山山頂で前日拝めなかった富士山、南アルプス(白根三山は飛竜山の影になるが、塩見・荒川三山・赤石・聖などはバッチリ)、浅間山、筑波山などを眺める。東京方面の大都市が一望でき、スカイツリーや東京湾まで見渡せた。

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山頂からの富士
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南アルプス(中央に塩見・荒川、右手に白根三山)

下山。廃墟となった奥多摩小屋近くで登ってきた数人とスライドしたが、彼らは七ツ石小屋に泊った人たちだろうか。七ツ石山のピークは巻いて、七ツ石小屋前を通過して尾根を下っていく。標高1200mあたりでアイゼンを外し、あとは転げ落ちるようにして鴨沢集落のバス停に13時30分に到着。下山にも雲取山荘から6時間以上かかった。

下山後、結構早い時間からふくらはぎの筋肉痛あり。帰宅後すぐに銭湯の豊富な湯に浸かって体を暖めた。

それにしても、クリスマスを迎えても寒波が弱くてスキー場に雪がない。せっかくの会津高原高畑スキー場のシーズン券もその使用が先送りだ。この分だと東北道方面はまた人工雪のハンタマに混雑覚悟で行くか、同じような積雪量の裏磐梯方面(グランデコ)へ行くか、夏油高原スキー場まで足を伸ばすかしないと年内は滑れそうもない。関越方面でもかぐらスキー場だが、そのかぐらですら積雪量が1mに達していない上、上部ゲレンデしか開いていない。うーむ。新年の志賀高原はどうなっちゃうのかな?

ハンタマで初滑り

シーズンインは例年のかぐらスキー場ではなく、別宅に近く、12月半ばでオープンしているスキー場にした。

日曜日なら裏磐梯まで足を伸ばしてグランデコ、平日なら近くでハンターマウンテン塩原と決め、日曜日に別宅へ向かった。どちらも東急系列で同じようなリフト券価格設定(個人的には結構高い)で、シニア年齢はクリアしているようだ。高速道路を使って行くのも面倒くさく、結局ハンタマにした。月曜日でそれなりに空いていてよかったが、天然雪がさほど積もらない高原山西麓のオール人工雪スキー場なので、景色はいいが下地が硬く、リフト下は岩がゴロゴロしていてあまり気分はよくない。それでも快晴なので、日光白根山、会津駒・三岩岳などのの連山、遠く真っ白な飯豊連峰の本山から大日岳までの長大な吊り尾根が見えて素晴らしかった。

シーズン始めでケガをしては元も子もないので、滑り出しの10時頃は緩斜面でアルペンターンの練習をして、外向傾を意識し、だんだん慣れてきてから急斜面やテレマークターンを交えて滑った。久しぶりでモモが痛い。日の当たるところは暖かく感じられ、外で軽食のお昼が食べられるくらいだった。実際には雪が解けないところを見ると気温は0度前後だったのではないかと思われるが、別宅近辺が冷え込んだので厚着してきたら汗をかいてしまったくらいだ。

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goproで撮影中

午後2時に終了。午前中はスキーヤー、スクール生も多かったが、午後になると平均年齢の高いスキーヤーは早上がりしたようだ。午後はボーダーばかり。アルペンボードが多かったなあ。
我々も体が持たないので目一杯は滑らない。「50代になったら2時上がり」が疲れを軽減しケガをしない秘訣だ。

渋滞なく約40分で別宅へ戻って、近所の立ち寄り温泉で体を温めた。いくらでも入っていられる温泉は390円で、スタンプ帳に5回ハンコを捺してもらうと1回分タダになる、というありがたいところだ。
そしてついに別宅に6,000円で入手した、きわめて原始的な電子レンジ導入。このレンジで惣菜も温められるし、100円ショップで買った容器でご飯も炊けることになった。めちゃくちゃ画期的だ。しかし冷蔵庫はまだ持っていないので、冷蔵庫の上に電子レンジ、という構成がとれない。電子レンジは床に直置きなので、中身をのぞき込むことが難しい。

この日の動画(約1分30秒 約250MB)
※ まだ初滑りですが、どうも自分の滑りが気に入りません。
外傾を意識しているつもりだが内倒気味で、内側の肩が下がる傾向があります。もう一度外側のストックを引きずりながら滑る練習をしよう。
低速だとどうしてもターン弧がピボットターン気味になります。特に右ターン。と、動画をよく見ると後脚のかかとの上がりが左右でかなり違いますね。20年以上やっているのに今さら気付いた!ビンディングのバネの強弱もこの日は違っていて後から気付きましたが、金具の問題だけが原因ではなさそうです。今度NTNビンディングでどうなるのか確かめてみよう。
理想としてはedgeに乗る時間をもっと増やして、低速でも切れるターンをもう少し追求したいのです。アルペンならできることがテレマークターンになると途端に困難になります。テレマークは難しく、奥が深いのです。