ステップで、尾瀬沼

過去に何度か登っている燧ヶ岳に行こうと思い、案をめぐらせた。連休前半はたいてい福島県檜枝岐側の七入〜御池までの車道が開かない。昨年はめずらしく4月中に御池まで車で上がることができたが、今年は雪が多めで例年通りとなろう。ならば、群馬県片品村側の大清水からアプローチしてみよう。尾瀬沼ヒュッテで1泊し、長英新道から登ってナデッ窪を滑るというのはどうだろう。

ということで、地形図やネット上でのツアー記録を見て出したルートが、
初日
大清水〜三平峠〜早稲沢滑降〜尾瀬沼ヒュッテ〜檜高山〜小淵沢田代〜大江湿原〜尾瀬沼ヒュッテ(泊)
二日目
尾瀬沼ヒュッテ〜長英新道〜ミノブチ岳〜ナデッ窪〜沼尻〜小沼〜大清水平〜三平峠〜大清水
というものだった。

予定していた30日は晴れの予報だが、その前後日は大気の状態不安定で午後雨か、晴れ後雨の予報。
これは入山日の30日に行きたいところへ行くしかないとナデッ窪滑降を前倒ししたのだが・・・

現地での結果は、30日は快晴で暑かったが尾瀬沼ヒュッテで11時を回り、高い気温と南風、南面の急斜面滑降になるナデッ窪滑降は断念。沼と大江湿原をフラフラして、大江山の西面に疎林を見つけ、そこで登り降りして遊んだのみ。1日は朝から雨で、スゴスゴと退散した。なかなか計画通りには行かないものだ。

29日、片品村の「さわやかトイレ」前で車中泊。片品村は桜の満開をいま迎えている。朝6時過ぎに大清水へ向かう。やけに交通量が多いと思ったら、みな28日に開通した戸倉〜鳩待峠方面か、丸沼スキー場へ向かう車だったようだ。朝7時前に戸倉の駐車場は満車。至仏山は平日を狙って行くべきだ。

対して大清水は祝日前に入山した車で狭い第1駐車場は満車だったが、第2駐車場はガラガラ。7時10分にゲートを通過して歩き始める。ゲート先ですぐに雪になり、ステップソールのG3finderで歩き始める。雪面が汚れていて、凹凸も大きく、朝はやや硬いのでやや歩きにくい。8時30分に一ノ瀬を過ぎ、沢を渡って三平峠方面への夏道を歩く。木道などは全く出ておらず、すべて雪の下だが、枝が出ていたり狭い場所で急だったりでステップ板ではちょっと歩きにくく、板を脱いでブーツで歩いたりした。途中標高1590mあたりで尾根を巻いて夏道の西側から三平峠手前で合流した。尾根を巻くところがやや難しかった。一応、シール無しで三平峠までたどり着いた。

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すぐに雪の道になった
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雪に埋もれたままの一ノ瀬休憩所

10時45分、三平峠から尾瀬沼に向かって滑り、尾瀬沼の沿岸を歩いてヒュッテの方へ向かう。まだ沼は雪が多くて、多少水の青い色が透けている場所もあるが上を歩ける。ヒュッテ近くで11時30分を回っている。すれ違ったスキーヤーから情報を仕入れてみたが、今から長英新道を登ってナデッ窪を滑るのはちょっと厳しい。浅湖(あざみ)湿原あたりでお昼のアンパンを食べながら結論を出した。

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雪に覆われた尾瀬沼と燧ヶ岳(正面の大きな沢状地形がナデッ窪)

一人なので諦めるのはたやすい。もう一度ヒュッテに引き返して檜高山の鞍部へ登り、小淵沢田代から大江湿原へ降ろうかと思っていたが、檜高山はすぐ目の前に見えていて、けっこう樹間が狭いので、大江湿原から逆ルートで上がることにした。長細い大江湿原を一人歩き、大江山を左手に見ながら沢を詰め始める。しかし針葉樹の濃い林間で、沢から湿原に乗り上げても面白くなさそう。大江山の西面には疎林の雪面が見え、登って滑ったら楽しそうだ。いままでの計画はすっ飛び、ここで遊ぶことにする。40分ほど登って滑って、13時を回ったのでヒュッテに向かう。

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疎林を登ったところからの燧ヶ岳
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遠くに至仏山が見える

とにかく日差しが強くて暑い。ヒュッテ前でアルバイトのお兄さんとしばらく話して、チェックイン。閑な午後が始まった。負け惜しみっぽいが、山小屋でマッタリ午後を過ごすのも悪くはない。だが、BSのデータ放送では明日は朝9時から雨の予報だ。なんだかここに泊まらず、大清水へ戻った方がいいような気もして、地団駄を踏む。一体何をしに山中一泊したんだろう?滑ったのは三平峠から尾瀬沼までと大江山で遊んだだけ。

2017-04-30-14.19
ヒュッテのウッドデッキもほとんど雪に覆われている

この日の宿泊は私以外に7名のみ。単独のスキーヤーのおじさんは私より年齢は上に見えるが、朝6時に大清水を発ってナデッ窪を登り滑ってきたとのこと。二人組のスキーヤーは七入から沼山峠まで自転車でスキーを担ぎ上げ、29日の荒天を避けて30日に一日かけてナデッ窪を滑ってきたとのこと。彼らのスケジュールがベストに思われた。あとは4人組の登山者。

15時30分からめちゃくちゃ熱い風呂に入ってしまい、ゆでダコ状態で17時の食事を待ち、夕食が済んでから日が沈むのを見て布団に潜り込んだ。携帯もつながらないし、やることは皆無。

朝5時に隣の単独スキーヤーが準備して出て行くのを見届けた。彼は朝食を弁当にしてもらっていた。雨が降る前に出て行ったのはさすがだ。私は6時から朝食を食べ、15分くらいで歩き始めたのだが、すでに予定前倒しで小雨が降ってきた。尾瀬沼山荘近くで6時35分。そのまま三平峠まで20分。シールの付け外しなしで行動できるのはこういう時にありがたい。来た道と同じようなコース取りで標高1590mで夏道に戻り、その後は横滑りを駆使して降る。沢の近くではちょっと面倒くさいところもあったが、何とかクリアし、一ノ瀬休憩所で7時20分。あとは林道を降るだけ。前日に比べ雪の量は確実に減っていた。それにしても1月のゲレンデ転倒以来肩の痛みが引かない。普段右手で滑りの悪い場所へ文字をたくさん書くのが仕事の一部なので、 治りが遅い。ザックを背負っていても痛い時がある。こりゃー、かなり影響の多い転倒だった・・
ボーッと考え事をしながら滑っていたら、7時45分に大清水のゲートに着いてしまった。なんと帰りは1時間30分。群馬県側に降りてきたら若干降り出しが遅くなったのか、雨が止むこともあり、片づけが捗った。今回の独り歩きでG3finderのソールが傷ついた。あちこちに落石が見られるルートを通ったので仕方ないが、買ったばかりの板だけにショック。
駐車料金二日分1,000円をポストに投函し、帰路につく。

東京に向かって南下しているのに行く先々で雨が降ってくる。片品村は桜が満開で、老神温泉から赤城山の東側に入ると桜吹雪だ。雪のある風景から時間を短縮して初夏に向かうようなドライブだった。大間々から50号線と県道を使って館林インターから東北道で東京へ。高速上でも雨が降ってくる。東京に到着したら、やはり雨が降ってきた。

あともう一回、遅くとも15日までの間に、乗鞍岳でシーズンを終了としたい。天気がよくて思い残すことのないターンができればそれで満足である。

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