ココヘリに入会した

今週末はスキーは休みにした。本当は日曜日の日中いっぱい天気が持ちそうな裏磐梯まで遠征して、グランデコスキー場から西大巓に登り南西尾根を滑ってみようかと計画を立て、朝ちゃんと起きられれば行かれるだけの準備はしておいたのだが、夜中あまり眠れず、睡眠不足のまま出かけるのを躊躇した結果、取りやめとした。

西大巓は昨シーズンも行こうと思っていて行かずじまいだった。縁があれば3月中にリベンジしてみたい。針葉樹林の密林地帯を滑ることになるのであまり気が進まないのだ。振り返れば昨年末からほぼ毎週スキーを履いていたから、これを中休みとしてバックカントリー中心の後半戦に切り替えることにする。東京は日曜日午前中から雨が降ってきた。

ところで、計画倒れに終わった西大巓行きの前日に「ココヘリ」の発信機が届いた。数日前にウェブ上で入会手続きをしたのだ。ココヘリとは、登山者が小さな発信機を持って入山し、遭難した時に家族からの通報でヘリが飛び、ヘリから発信機を探知して遭難者の位置を特定、捜索にあたるというものだ。初年度は入会金が3,000円、年会費が3,650円。一日あたり10円という費用設定がされている。バックカントリースキーをやっていると、ビーコン発信器の小型版で遠距離受信が可能なもの、と捉えればわかりやすい。

最近は登山届がスマホから届け出られるようになっていて、私も「コンパス」というサービスをここ2年くらい使ってきた。「コンパス」では届けに必要な情報を入力して、最終的にスマホから発信して届け、下山後は下山通知を促すメールに従って通知を出すことで無事下山した報告がメールで緊急連絡先に届くというしくみになっているが、必要事項の中に「ココヘリ」のID番号を入力する欄がある。ここへ情報を入れておけば、遭難した時にこの番号をヘリ上から探すことができ、迅速に発見される原理である。

もちろん、ココヘリとコンパスだけでは不十分で、捜索費用を捻出できる山岳保険がさらに要る。これはずっと昔から木村総合保険さんの山スキー・山ボード保険に入っているので、ココヘリと提携しているJROという山岳捜索の費用を補填できるものには今のところ入っていない。ココヘリのシステムで出動するヘリは遭難者の位置を特定するだけで、ピックアップまではしないだろうと思うので、実際の捜索は地上から警察や消防、地元の遭対協が対応してくれることになる。すると驚くような捜索費用が家族にのしかかることになる。これを捻出するためには捜索費用に対応した山岳保険か、捜索費用カバーに特化したJRO加入が必要になる。

私の場合、一人で山に入ることが多く、山行の度に緊急連絡先の妻には説明をして出かけてはいるが、「コンパス」の通知だけでは少し心もとない。行方不明になってしばらくしても生存が確認できないとか、最悪遺体が見つからない、ということになると残された人に厄介が及ぶことになる。まあそういう時のためのお守りとして入会した。本当は早速西大巓に持っていこうと思っていたが、上記のように取りやめてしまったのでまたの機会になる。

ココヘリの発信機は証明写真を一回り大きくしたくらいのサイズ(縦5cm、横3cm)で、嵩張らない。発信機の電波(925Mhz)は最長16km飛ぶそうだ。電池はUSBによる充電式で、1回の充電で3ヶ月ほど持つらしい。2月中に入会したのでおまけとして発信機ホルダーが付き、それをシリコンラバー製のスキーストラップに通してザックに括り付けてみた。スイッチのオンオフがピンを穴に押し込むやり方(昔のMacのリセットスイッチと同じ)なので誤操作は避けられるが、いちいち面倒ではある。この機械のお世話にならないよう、慎重に行動することはもちろんだ。